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2009年4月30日 (木)

さあ、関西空港の生ビールだ!!!

 突然ですが、関西空港の「さくらラウンジ」で生ビール三昧でブログを書いている。至福のひとときで何が悪いと思ったりする。

 今日の1時間目の演習の講義を終えて、その後に帰宅してて今からベトナム・ラオス・カンボジアに出張する。今回の仕事も重要である。今年からの新しい仕事の準備が目的である。

 ハノイ・ビエンチャン・プノンペンの現地情報を明日から紹介する。それにしても関空で飲む「一番搾り」も「ドライ」も「モルツ」も、それぞれが旨い。この気分で出発できる関西空港を私は好きだ。今日は、日本航空の「そばですかい」を初めて食べた。なかなか美味しい。

 なお関西空港は連休で大混雑と予想していたら、閑散としている。出国のピークは明日から5月2日ということであった。また出国カウンターの職員はマスクを懸けている人も少数だ。ただし到着カウンターは、かなり緊張感はあるらしい。しかし、メキシコ・米国などからの直行便が関西空港にはないから、その意味でノンビリしている印象は否めない。

 帰国時の早朝に大学で講義がある。関西空港から直行して神戸の大学に向かうが、果たして検疫など円滑なのであろうか。いずれにせよ、学生には私の大学到着までの宿題を与えてある。大学生なのだから自習するのは当然だが、果たしてどうか・・・。

 夕陽の中の関西空港。直角的な外観の清潔感ある施設を柔らかい夕陽の淡い光が優しく包み込むように照らす。なかなか稀有な風景である。のんびりした時間が経過する。忙中閑あり。ご容赦を頂戴したい。

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2009年4月29日 (水)

大学教授の1週間の仕事:大公開

 ともかく最近は多忙である。そこで先週1週間の活動を公開する。今日29日は祭日のはずであるが、大学は平常通りに講義が開講されている。文部科学省の指導があり、2単位取得のためには15回の講義を必ず開講しなければならないからである。今日を休日にすれば、夏休みを短縮しなければならない。それは回避しようという苦肉の対応策である。

4月19日(日)⇒休日(自宅で原稿を書いている)
4月20日(月)⇒午前中・「大阪中小企業家同友会」と「流通科学大学大阪オフィス」訪問、「日本ベトナム経済交流センター」会員総会に出席
4月21日(火)⇒3時限目・「企業論」講義、4時限目・大学院演習、6時限目・「アジアビジネス特講」講義(午後7時45分に終了)
4月22日(水)⇒3時限目・「21世紀の業界展望」講義、「キャリア開発委員会」出席、「経営情報学科会議」出席、「箕面船場ライオンズクラブ」例会出席
4月23日(木)⇒1時限目・基礎演習、4時限目・卒論研究
4月24日(金)⇒大阪市内ベトナム関係企業訪問、4時限目・「企業論」講義、5時限目「3年生演習」、補習6時限目「SPI試験演習」
4月25日(土)⇒大学で「就職相談会」相談員

 自宅から大学まで往復電車で約3時間である。車内では主に本や雑誌を読んでいる。最近になって愛用しているパイロット社製の「消えるボールペン」を駆使して、赤線を引っ張りながら読むことが楽しみである。

 木曜日の「卒論研究」は、会社説明会のために出席できない4年生がほとんどであり、開店休業の状態である。また金曜日の「SPI試験演習」は、3年生の希望者のために問題を一緒に解いている。最後の土曜日は通常休みであるが、この週は大学行事が開催されているので出勤である。

 1回の講義が90分。1週間に補習を含めて9コマである。以上の仕事量が軽労働か重労働かは意見の分かれるところであるが、個人的には心身ともに疲れている状況が続いている。毎日の原稿執筆のために睡眠時間を減らしているからである。シンドイわ・・・。この原稿さえ書き終えれば、かなり楽になることは確かである。ともかく忍耐である。

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2009年4月28日 (火)

ビールを飲んで乗用車が景品に当たる:ビアラオ社の試み

 現在ラオスにはビール醸造会社が2社ある。ビアラオ社とタイガービール社である。タイガーは2008年からの市場参入である。輸入ビールを除いてビアラオの独占状態であったラオスのビール市場は競争の時代を迎えた。

 これに対応するようにビアラオ社は、フォードの乗用車を商品にするキャンペーンを2008年に開催した。瓶ビールのキャップに自動車のマークがあれば当たり。当選者には乗用車がもらえる。その贈呈式が2008年7月8日にビアラオ社で開催された。

flairflair:乗用車を贈呈されたヴァネーホム氏は30歳であり、友人とビエンチャンのビアガーデンでビールを飲んでいて、注文したビール18本中の16番目が当たりだったそうである。こういう詳細がニュースとして報道されることがラオスの現状である。さて、この当選者が運転免許証を所持していない場合、自動車はどうなるのだろうか。そこまでは報道されていない。

 さらに2008年12月19日にはビアラオ社の創立35周年の記念式典がビエンチャンで開催された。これには、ブアソーン=ブッパーヴァン首相を始めとする政府首脳も列席している。ビアラオ社は1973年に創業され、当時の生産能力は年間300万㍑であったが、現在ではビエンチャン工場とチャムパサック工場の両方で2億㍑にまで生産が拡大した。

 なお同社の株主は50%がラオス政府であり、残りはデンマークのカールスバーグ社である。

 このビアラオ社のキッサナ社長がラオス全国商工会議所の会頭であることは先日に紹介した。私の愛飲するビアラオについては、その味の吟味とともに企業経営の動向にも目が離せない。

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2009年4月27日 (月)

カンボジアのアクレダ銀行がラオス進出:インドシナ半島のビジネス相互浸透が深まる

 ラオスの英文雑誌を読んでいると、カンボジアのアクレダ銀行(ACLEDA Bank)がラオスに進出したという記事が掲載されていた。TARGET, ISSUE 25, AUGUST 2008, p. 10。さらに同行の広告も同誌のp.5に掲載されている。

 またカンボジア・ラオス・タイ・ベトナムで販売されていて、カンボジアで発行されているSOUTH EASTRERN GLOBE, FEBRUARY 2009では、その表紙にアクレダ銀行のチャンニー頭取が掲載され、同行がカバーストーリーとなっている。

 ラオスとカンボジアの両国を単純に観察していると、その共通点の一つとしてアクレダ銀行に注目せざるをえない。これは、ベトナムとカンボジアのマイリンタクシーやエースコックベトナム、ベトナムとラオスのサコムバンクやエースコックベトナムやビナコネックスと同様である。このように、これらの国々を連結する企業が出現している。

 上記のTARGET誌によれば、ラオス=アクレダ銀行は、零細・中小企業家に対する資金提供と顧客に対する他の金融サービス提供を目的としている。これはカンボジアでの活動と同じ目的である。2008年7月8日にビエンチャンのドンパランスで開業し、2008年8月にはサワナケットとチャンパサックにも支店が開業する。

 新銀行の資本金は1千億キップ(約1,173万ドル)である。flairflair:1ドル=8,525キップ:3月1日・ワッタイ空港。私がラオス滞在当時の2001年には1ドル=11,000キップ前後であった。この「キップ高」について「オランダ病」という指摘がある。これについて2009年1月3日の本ブログで紹介した。

 その株主は、カンボジアのアクレダ銀行(47.50%)を筆頭として、次のような外国株主が続く。FMO(オランダ)、Triodos Doen(オランダ)、Triodos Fair Share Fund(オランダ)。さらに将来の出資者としてIFC(世界銀行)、KfW(ドイツ)が予定されている。

 開業当時にラオス人スタッフ66名が雇用されているが、その採用過程には透明性があり、すべてが銀行業務に習熟している。人材教育は理論とOJTの双方から実施された。3週間のラオスでの教育後にカンボジアのアクレダ銀行に派遣され、約2ヵ月のOJTに参加した。カンボジア人12名はラオスに滞在し、ラオス人の教育を担当している。

 カンボジアで十分に零細金融ビジネスの経験を積んだアクレダ銀行のラオス進出は、ラオス中小企業の金融サービスの接近をより以上に促進するはずである。また銀行業の資産が、迅速ではないが民間銀行に移行することに貢献する。これは世界銀行のビエンチャン事務所の見解である。The World Bank Office, Vientiane, LAO PDR ECONOMIC MONITOR, NOVEMBER 2008, p.20.

 私見では以上、アクレダ銀行のラオス進出はラオスの金融業界の発展に貢献するであろうし、カンボジアとラオスの相互の経済交流を促進すると考えられる。

 

 

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ベトナムの追加景気対策が5月1日から実施される

 本日2009年4月27日の『日本経済新聞』によれば、ベトナム政府は次のような内需拡大策を実施することになった。すでに4月22日に指摘したように、ベトナム政権の「野党」としての役割を果たす報道機関・ジャーナリズムの指摘を受けて、政府が追加の景気刺激策を実施したという流れになっている。

・5月1日~12月31日まで適用
1.座席数10席未満の自動車登録税の半減:
 ハノイの店頭表示価格の12%が6%、それ以外の地域で10%が5%に下落
2.付加価値税の半減:繊維、皮靴、紙、セメント、タイル、オートバイ
3.農業用資機材の購入時における貸出金利の優遇

 ベトナムでは、政策の施行の「前兆」が、ベトナム共産党の理論雑誌や報道機関によって通常は議論される。その発表に対する一般の反応を確認してから、ベトナム政府は実施の有無を判断する。今回の景気対策も事前にその必要性が報道され、その必要性に支持が集まったからこそ実施されるという過程を経ている。これがベトナム流の民主的な政策決定過程の様式とみなされる。

 しばしばベトナム政府は突然に政策を変更したり、突然に政策を打ち出すという批判が外国投資家・外国企業から出されてきた。しかし必ず、その政策の前に、その反応を「観測」するための論文や記事が雑誌や新聞に発表されているはずである。

 今回の場合、突然の政策発表という批判は受けないであろう。外国企業にとって好ましい政策だからである。しかし、たとえば増税や優遇策撤廃となれば、「ベトナム政府の突然の政策変更はけしからん」と批判されたはずである。ただし、その前兆が必ずあったはすである。

 ベトナム政府が政策実施の「透明性」をさらに強めることは当然であるが、外国企業側もベトナムのテレビ・新聞・雑誌などで政策の「前兆」を捕捉しておく必要がある。これは企業のリスク管理の中に含まれる作業であると思う。 

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2009年4月26日 (日)

「実学」の探究:「宮本理論」から学ぶ

 表題の「宮本理論」の宮本とは、剣豪の宮本武蔵のことである。津本陽『日本剣客列伝』(講談社文庫)は、私の入浴時の愛読書の一つである。同書の中で宮本武蔵について著者は次のように述べている。

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 真剣勝負の場では、小手先の技はすべて通用しない。芸道の伝授にあたって、初伝、中伝、奥伝などと段階をつけるが、殺しあいの場で、奥伝の技と初伝の技の区別はないというのである。

 当時、諸国流派のなかには、形の数が百五十から二百に達するものがあった。そのような形は、ほとんどが敵が死人か藁人形のように動かない対象でなければ通用しないものであると、武蔵はみていたのである。
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 私は、以上の指摘を次のように読んだ。正しいかどうかは検討を要するが、少なくとも問題提起に値すると思われる。

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 ビジネスの現場では、小手先の理論はすべて通用しない。経営学の教育にあたって、初級・中級・上級などと段階をつけるが、実際のビジネスの場で、上級の理論と初級の理論の区別はないのである。

 特に今日のような不況時には、ビジネス書が次から次に出版されている。そのような書籍は、そのほとんどがすでに過去の事例の受け売りであり、そのままでは企業経営や営業の最前線では通用しないものである。
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 著者の津本氏は、次のように続ける。「彼は空疎な剣術の形式を嫌い、あくまでも実戦に役立つ技を弟子たちに教え、破邪顕正の力を伝えようとしたが、そのため孤高の険路を歩まざるをえなくなった。・・・剣術は・・・すでに教養化していた。命を懸けての闘いに勝つために考え抜いた武蔵の理論は、凡庸な門人たちに理解できるものではなかった」。

 以上は、「命を懸けての闘い」に臨んだ経験をもつ武蔵の独自理論が、そういう経験のない凡人には理解できないことを指摘している。また、そもそも「命を懸ける」必要のない凡人に不必要の理論であったから、その理論は一般に受け入れられなかった。

 この意味では、経営における「実学」を探究するためには、やはり「命を懸けた実戦=実践」の体験(少なくとも疑似体験)が不可欠である。さらに命を懸けている人々のための内容でなければならない。単なる知識や情報としての経営理論は教養のために必要であるが、それが実戦に役立つかは別の問題である。

 たとえば「実学」としての理論は、ビジネスの基本は報告・連絡・相談(ホウレンソウ)するというような内容なのかもしれない。実学への探究は続く。

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2009年4月25日 (土)

ラオスの理論水準を見直した:社会主義と市場経済の問題

 私は、社会主義を指向するベトナムが株式市場を開設することについて、それが社会主義と矛盾しないことを以前に指摘したことがある。その根拠は、株式会社そして株式市場が資金調達のための人類共通の「発明」であり、それは政治体制とは無関係に活用されてよいということである。

 このように考えれば、株式市場の開設が社会主義から資本主義に転向したことを意味しないし、他方、そもそも資本主義に転向していないのだから、野放図な市場運営もありえない。つまり、ベトナムの株式市場を政府が管理することは当然という帰結になる。

 より具体的には、過度なマネーゲームもしくはバブルの発生を政府は抑制するべきであるし、それが長期的には健全な株式市場の発展に貢献するとみなされる。

 2008年前半までは、以上のような政府管理の市場運営は恣意的であり、より完全な自由市場でなければベトナムを信用できないという批判があったかもしれない。しかし今や、市場経済の総本山である米国さらに日本までも政府が公的資金を投入して市場に介入している。ベトナムにおける市場経済の管理を批判することはできない。

 このような社会主義と市場経済の問題がラオスでも議論されている。これを私は意外に思った。その政治的な理論水準はけっして低くない。

 「自給自足生産様式は確実に商品経済へと至り、そして、市場経済へと至る。基本的には、商品経済と市場経済の本質は同じであり、違いは範囲と発展度合いだけである。それは、例えば、資本主義体制の市場経済、または、社会主義体制の市場経済のように、各生産様式が独自の市場経済を有するということではない。なぜなら、市場経済はひとつの生産様式ではなく、経済・社会組織の型で、経済を組織する技術であり、経済を常に効率的で日々発展させる目的で人類が発見した成果だからである」。

flairflair出所:ペーンター=ウィラウォン「政府調整を伴う市場経済メカニズムへの移行」『マルン・マイ』1993年7・8月号、pp.21-26,33。引用:山田紀彦「市場経済移行下のラオス人民革命党支配の正当性」天川直子・山田紀彦編『ラオス 一党支配体制下の市場経済化』アジア経済研究所、2005年、p.45。

 おそらくベトナムでも、さらに中国でも、こういった理論的な議論が存在していると想像しているのだが、未確認である。経済発展や経済制度の研究のみならず、いわゆる社会主義国における証券市場の「リスク管理」にとっても、こういった本質的な問題に目配りが必要であると私は思う。

 

 

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2009年4月24日 (金)

職場でも大学でも可視化・数値化は有効な教育手段

 職場における生産性の向上、ムダの削減、いわゆる「改善」にとって「可視化=見える化」は有効な導入・実施方法と指摘されてきた。さらに「数値化」ができれば、ただ成果が「見える」だけでなく、その成果が客観的に表示されうる。

 単純に言って、自らの成果が明確に見えたり、客観的な数字で表記されたりすることは、ただ「何となく」成果があったというよりも、はるかに達成感が大きくなるし、さらなる改善の動機付けにもなる。様々な成果を可視化・数値化することは、その当事者に対する教育的効果は大きい。

 ただし、その成果の評価に対する信頼性の確保が最優先に重要である。それぞれの成果を可視化・数値化することは望ましいが、その成果それ自体の評価方法や、その数値化の方法に対する信頼性が欠如していれば、可視化・数値化は逆に不満や不快感を増幅し、仕事に対する動機付け・意欲・やる気の喪失という結果をもたらす懸念がある。

 このような可視化・数値化は、大学教育の現場においても活用できる。たとえば出席の程度を自分で毎回の講義で確認できるようにする。これで学生の自発的な出席率は向上する。

 より具体的な方法は、学生に名札を持たせる。この名札は、机の上に置いて講義中に私が名前を呼ぶ時に利用する。この名札の裏が出席や発言をチェックする欄になっていて、出席または発言があれば、その欄に私の確認スタンプを押している。講義に積極的に参加(出席・発言)すると、上記の欄に私の確認スタンプが押される。まるでポイントを貯める感覚で講義に出席する。これが「平常点」となる。

 以上の「名札」による出席・発言の管理は、現在まで効果的のように思われる。さらに改善と工夫をしてみようと思っている。「独りよがり」にならないようにして・・・。

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2009年4月23日 (木)

ベトナム共産党マイン書記長の来日:日本ベトナム経済交流センター総会が開催される

 4月20日に「日本ベトナム経済交流センター」の会員総会が開催された。同センターは、これまで任意団体であったが、本年2月に一般社団法人に登記を済ませた。今後は公益社団法人の登録を目標としている。

 同センターが開設されて16年目になる。当初は任意団体であっても、会員企業のベトナム活動支援に大きな支障はなかったが、最近のベトナムではセンターに法人格が必要とされる活動が増加している。そこで社団法人さらに公益社団法人を登録することになった。私は副理事長として、同センターの発展に貢献できればと決意を新たにしている。

 この総会には、リュウ大阪総領事のご出席を賜った。総領事によれば、在大阪ベトナム総領事館は、この秋に現在の大阪市博労町から堺市に移転する予定である。それに伴って職員5名を15名に増員し、これまで大阪中心であった領事外交活動を関西全域に拡大するそうである。

 さらに福岡の総領事館が4月22日に再開し、その記念式典に現在来日中のベトナム共産党にマイン書記長も出席されるそうである。その準備のために、総会出席後にリュウ総領事は福岡に出張された。また関西空港とベトナム中部ダナンの直行便の開設も検討課題になっているそうである。

 以上のようにベトナムは、日本とのEPA(経済連携協定)締結後、本気になって友好交流関係の深化を考えている。これほどに「本気」の国は稀有ではないか。それに対応して、次は日本が本気にならなければならない。私は、同センターで以下のように発言した。

 あくまでもEPAは国家間の協定である。その次は民間企業の「本気」の出番が求められている。そのためには「官民連携」の枠組みが好ましい。日本が官民連携してベトナムと関係を深める。ベトナムの経済成長を支援しながら、その成長力で日本経済も成長する。アジア諸国の中で、こういった共存共栄の関係を友好的に構築できる国の筆頭はベトナムではないか。

 リュウ総領事は言明された。「日本ベトナム経済交流センターの会員企業には最大の便宜を図るつもりです」。ベトナムに関心をお持ちの企業・個人の皆さまは、ぜひセンターにご連絡を賜ればと幸甚に存じます。連絡先:http://www.j-veec.jp/

 

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2009年4月22日 (水)

ベトナムの内需拡大は不十分?(下)

 国民の購買力の低下は生産を深刻に後退させる。景気回復のために政府は生産を上昇させようとしているが、その前に購買力を向上させるべきである。これがティエン氏の主張である。

flairコメントflair:日本も同様の政策が採用されて、同じような批判がある。ただし背景は異なっている。購買力を高めるためには、たとえば日本では、すでに分配が始まった「定額給付金」がある。この給付金と言えば、下記で紹介するように、ベトナムでも貧困層に給付金を提供するという政策がテト前に実施された。ただし給付対象は貧困層に限定されている。日本のような「バラマキ」給付はベトナムでは論外であろう。

 購買力を高める工夫は、ベトナムではインフレ抑制がある。これはデフレ傾向の日本とは事情が異なっている。そのほかに多様な手段が考えられる。減税・社会保障費の引き上げ、さらにベトナムでは汚職防止の意味も含めて公務員給与の引き上げがあってもよい。このような政策選択は、ベトナムも日本と「同じ土俵」に乗っていることを認識させる。

 社会主義を指向した市場経済の運営・管理をベトナムは実施しているはずである。そのための政権だからである。他方、日本はそうではない。社会主義を指向する政策の大部分が拒否されているはずである。いわゆる与党に社会主義を指向する発想は存在しない。しかし景気対策の効率性といった問題を考える場合、上記のようにベトナムと日本は同じ土俵に乗っている。この効率性の観点から、必ずしも日本がベトナムに「全勝」するとは限らないと思われる。日本がベトナムから学ぶことがあるかもしれない。こういった謙虚な姿勢が両国の友好関係を深化させる。

 以下では、さらに掲載記事の紹介を続けて本項を閉じる。

 計画投資省(MPI)は、2009年当初2ヵ月に次の業種の生産が下降気味であると指摘している。縫製業、鉄鋼、電気製品、建設材料である。「これらの下落は市場の狭隘性が原因である」と工商省副大臣のビエン氏は述べている。

 「消費者は将来費用のためにお金を節約する傾向がある。失業や所得減少を懸念して、現在の支出を抑制している」とティエン氏は述べる。

 政府は20万ドン(11.7米ドル)を旧正月の費用として貧困層に給付することを政府は1月に決定した。それに加えて、財務省は18種の製品について付加価値税を50%減免した。

 「より以上の財政的な支援・奨励策を消費者は必要としている」。計画投資省の社会経済情報予測全国センターのアン理事は指摘した。

 

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2009年4月21日 (火)

ベトナムの内需拡大は不十分?(上):政策批判の作法

 世界同時不況における輸出減少に対応して経済成長を維持するためには、国内市場の拡大を誘導する。日本を含めた各国政府の内需拡大政策は、ベトナムでも同様である。

 しかしながらVietnam Investment Review, No908/March 9-15, 2009, p.1, p.4によれば、内需拡大の政策効果には、しばらく時間がかかるようである。

 統計総局によれば、2009年2月の小売業総売上高は179兆8千億ドン(約103億米ドル)であった。これは2008年2月期の20.6%増加である。同時に2月の消費者物価指数は通年で16.13%の上昇となっている。このことは、小売業総売上高の実質的な成長が約5%であることを示している。このことは、それほど内需拡大が進んでいないことを意味している。

 統計総局の2009年1月のデータでは、この小売業総売上高の実質成長は2008年同期の8.2%の増加であった。成長率が8.2%が5%に下落していることから、2月の消費は鈍化していると指摘されうる。

 旧正月(テト)のための特別な需要が1月にあったと解釈できるけれども、2007年1月に比べて2008年1月は11.7%の増加であったから、2009年1月の8.2%という数値は下降している。

 2008年初頭以来、高いインフレと世界金融危機によって国内消費は下落した。2008年のインフレ率は19.98%であり、1993年以来の高率であった。過去2年に渡ってベトナムの平均所得はインフレのために30%下落し、その結果、国内消費も下落したとみなされる。

 そのために政府は、景気刺激策を導入したが、それは購買力を上昇させるには不十分であるとベトナム経済研究所のティエン常務理事は述べている。(以下、続く)

flairflair: 以上のような政府の経済政策に対する批判が、ベトナム国内で新聞報道されていることが改めて注目される。その民主主義の進展の度合いを示す記事である。一党独裁の政治体制のベトナムでは、新聞(=ジャーナリスト)が「野党」の役割を果たしているとみなされる。
 私見では、こういった政府批判は、事実と論理に基づいていることが許容範囲である。現政府を転覆させることを前提にした批判ではなく、現状分析に基づいた論理的な批判はベトナムで許容されているとみなされる。
 ただし、この事実や論理が様々である。ベトナムに富裕層が存在していることも事実だし、依然として貧困層が存在していることも事実である。この事実から、所得格差という事実が発見できる。では、その格差是正をどうするか。その解答のために多様な論理が存在する。唯一絶対の解答はありえない。しかし、この解答のための探究を通して、最適な解答が発見できる。
 この探究の過程では、演繹的思考と帰納的思考の双方が駆使される。私見では、それを米国や日本のMBA(経営大学院)コースでは「クリティカル・シンキング」と呼んでいる。他方、それを「弁証法」とみなすこともできるであろう。

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2009年4月20日 (月)

ラオスビジネスの窓口:「ラオス全国商工会議所」の沿革

 本年3月にラオス全国商工会議所のカンタボン事務局長を訪問した。2001年の私のラオス滞在当時からの旧知の間柄である。同所は、これからのラオスビジネスの窓口として、ますます重要な役割を果たすことになるであろう。また原産地証明の管理と発行をしており、

 以下では、この商工会議所の会員名簿3冊(2001年版・2004年版・2008-9年版)を比較して、ラオス民間企業の発展動向を指摘してみようと思う。

flairflair: ラオス全国商工会議所の英語名は、LAO NATIONAL CHAMBER OF COMMERCE AND INDUSTRY(略称:LNCCI)であるが、このNTIONALの訳語が悩ましい。同商工会議所は商業省の傘下に設置されているので「国立」と言ってもよいが、設立認可の政令によれば、その運営は会費に依存している。また「地方商工会議所」という表現が出てくる。そこで、ラオス全国商工会議所と呼ぶことにした。

 ラオス全国商工会議所(LNCCI)は商業省の傘下で1989年に設立された。その会員数の変遷は次のとおりである。

350社(2001年)⇒685社(2004年)⇒1043社(2008-9年)

 わずが7年間で3倍の増加である。この企業数の増加は、ラオス民間企業の発展を明確に示している。なお会長は、2001年当時からビアラオ社長のキッサナ氏である。その当時に私は面会したことがあるが、なかなか最近は難しい。それほど多忙になり、それほど組織が大きくなった証明である。

 この会員企業が産業別の部会や協会に加盟している。複数の部会に所属する重複会員や、普通会員のほかに協賛会員・名誉会員が含まれているために以上の会員数と部会所属の企業数の合計は一致しない。

 さて、この部会所属の企業数の変遷を見れば、次のような点が注目される。

(1)手工芸品の会員企業は着実に増加している。
 54社⇒99社⇒128社
(2)繊維・縫製企業は再編成されたと言えるかもしれない。
 57社⇒92社⇒50社
(3)コーヒー協会の会員数は縮小して横ばいとなり、成熟産業化したと言えるかもしれない。
 27社⇒16社⇒16社
(4)ホテル・レストラン企業も着実に増加しており、観光業の発展を示している。
 14社⇒53社⇒98社
(5)自動車(予備部品を含む)関連企業も増加し、その販売増加を想像させる。
 36社⇒57社⇒68社
(6)2008-9年に発足した新しい部会が経済の近代化を示唆している。
国際運輸、情報通信技術販売、プランテーション、宝石・宝飾品販売、女性事業家、青年起業家。

 以上、簡単な指摘であるが、ラオス経済の発展動向を個別企業のレベルから検証している。より詳細な数値は、拙著(近刊、カナリア書房)を参照してほしい。

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2009年4月19日 (日)

来たれ!ベトナム留学生「日本留学事情ベトナム視察ツアー」日本旅行主催の募集始まる

 この2月に社団法人となった日本ベトナム経済交流センターが企画し、ベトナム大使館・在大阪ベトナム総領事館が協賛する上記のベトナム視察ツアーが、主に日本の高等教育機関(大学院・大学・専門学校)の入試・留学生を担当する教職員向けに募集されている。

来たれ!ベトナム留学生 日本留学事情ベトナム視察ツアー
・日 時:2009年6月15日(月)~6月20日(土)
・訪 問:ベトナム教育訓練省、国家人文社会科学大学、貿易大学、フンボン大学、ドンズー日本語学校、さくら日本語学校、ハノイ国家大学、外国語大学、FPT大学、VJCC(ベトナム日本人材協力センター)、チューバンアン高校など(予定)
・費 用:208,000円(1人:5☆ホテル宿泊2人部屋・食事を含む)

 同センターの理事長である森正暁氏は、次のような挨拶を述べている。
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 少子化と人口減少が進行する日本では、大学および専門学校の一部で「定員割れ」が発生しています。これまでに日本が積み上げてきた高等教育体制が危機を迎えています。他方、日本とベトナムでは「経済連携協定(EPA)」が締結され、ベトナム青少年の間で日本語学習の関心が高まっています。

 そこで今回の視察ツアーは、ハノイとホーチミン市の日本語教育の大学・機関を訪問し、日本留学の実情を知っていただくことを目的に企画されました。

 創立16年を迎えた当センターは、ベトナム人学生と視察ツアーご参加の大学・専門学校の橋渡しの一助になりますように今後もお役に立てることを祈念いたしております。
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 ベトナムと日本の人材を太いパイプで結びつける。このことが経済交流の発展にも連携する。従来のビジネス相手企業の相互紹介という仕事から、社団法人化後は、その活動範囲を人材交流にまで同センターは拡大しようとしている。ベトナム人留学生と日本の大学を結びつける「場」を提供し、その「場」の活用を支援する。これが当センターの役割である。

 けっして留学生を斡旋したり、割り当てるようなことを当センターは行わない。学生を入学させる判断は、あくまでも大学の自由裁量だからである。ちょうど未婚の男女の「自然の出会い」を演出する仕事と同様である。もちろん双方が納得する幸せな結婚までの助言やお手伝いは最後までやらせていただくつもりである。

 こういった企画旅行は、模倣がつきものであるが、上記の視察ツアーの場合、それは不可能に近い。長い歴史をもった日本ベトナム経済交流センターにしかできない企画だからである。歴史と信用は模倣が困難な差別化要因の一つである。

 

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2009年4月18日 (土)

松本清張『象の白い脚』を再読:ラオスはインドシナの「要衝の地」である

 今年2009年は、社会派推理小説の開拓者である松本清張の生誕100年周年であり、再び清張の作品が注目されている。

 その松本清張が、1969年のラオスの首都ビエンチャンを舞台にして小説を書いている。文春文庫『象の白い脚』(1974年)が私の手元にある。

 この小説の文庫版は絶版になっていて、全集の中でしか今は読めない。この本の存在は数年前にハノイの小松みゆきさんに教えてもらって、私は中古本を購入した。

 この小説は、「清張ブランド」に対する読者の期待を裏切らない。私見では、表題の「象」はラオスの国をイメージし、それに米国の巨大な政治力・軍事力を重ね合わせている。そして「白い脚」は米国情報機関CIAを示唆している。外国の主権とは無関係にアジアに足を踏み入れるCIA、そして白人を暗示し、白色の麻薬もイメージさせる。

 同書は、ラオス特権階級と米国CIAが結びついた麻薬取引が素材となっており、その実態に迫ろうとした日本人記者はメコン川に浮かぶ死体となる。その記者の眼から見た当時のビエンチャンの様子が生々しい。過度の好奇心は身を滅ぼすし、それは虎の尾を踏むことと同じである。表題の「像の白い脚」という命名は、これらの内容を圧縮して絶妙である。

 小説それ自体を十分に楽しむことができるし、さらにラオス訪問の経験者または予定者にとっては、40年前のラオスの風景を想起する楽しみがある。

 それにも増して同書では、原寿雄氏の解説が秀逸である。当時のラオスの政治社会環境が的確に説明されているように思われる。原氏は、共同通信の記者を経て専務理事・編集主幹となり、現在は84歳であるが、意気軒昂な本物のジャーナリストである。今から40年前の1969年7月に初めて原氏はラオスを訪問している。原氏の解説から次を引用する。

 「もし、インドシナ戦争がなかったら、この国は至極平和な小王国として、国際ニュース種になることもなく、世界から忘れ去られていたことであろう。・・・(引用者注:著者は)この物語の舞台であるラオスの首都ビエンチャンについて「どこか咲き損ねの隠花植物のような感じがする。それも毒々しい花ではなく、日蔭にある色のない感じである」と書いている。南国の街ビエンチャンを隠花植物のようにしてしまったのは、米国が国民に知らせずにひそかに介入を深めた秘密戦争のためだと言えよう」(339頁)。

 「米国は中国の雲南省および南北ベトナム、カンボジア、タイ、ビルマと国境を接するラオスを戦略上重視してきたからこそ、それまでもビエンチャン政権の左傾防止にテコ入れしてきた。ベトナムから撤退するに際しては、ラオスの赤化防止がいわば前提条件とならなければならなかった」(341頁)。

 ラオスは港湾を持たない内陸国であり、経済発展にとって障害になると言われてきたが、北に中国を後背地としてもち、ラオス周辺の港湾(モーラミャイン・バンコック・シハヌークビル・ホーチミン・ダナン・ハイフォン)に連結する「ハブ」となっている。現在、東西および南北経済回廊の整備が進行中であり、その完成後にラオスは「通過される国」になると懸念されているが、逆にラオスは「ハブ国」になりうる可能性もある。

 それだからこそ前述の引用のようにラオスは軍事的要衝として米軍に認識されたのである。仏教徒が住む温和な国民性の平和な国を変貌させたのは、米軍機によるB52の焦土作戦と、米軍が育成したメオ族部隊である。その不発弾の処理や民族的な確執は40年を経過した今も残っている。ラオスにとって米軍との戦争は、未だに解決できていないように思われる。

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2009年4月17日 (金)

虫と鳥と魚と動物と人間の視点:経営者に不可欠な発想

 企業経営者にとって自社を取り巻く経営環境を認識することは、その企業存続にとって最重要の課題である。

 この場合、ミクロ的な視点を「虫の眼」、マクロ的な視点を「鳥の眼」、そして社会経済の潮流を把握する視点を「魚の眼」と特徴づけることができる。

 これに加えて東京証券取引所の西室泰三代表取締役社長(当時)は、2006年7月19日に東京・品川で開催された「IT Japan 2006」の講演において、「動物の眼」と「人間の眼」が経営者に不可欠であると指摘している。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20060913/248013/

 この「動物の眼」とは、「動物的な勘」と呼べるものである。自らの生存本能を最大限に発揮するような視点が企業経営では確かに不可欠であろう。

 さらに「人間の眼」とは、人間に対する尊重もしくは愛情が企業経営に必要であることを前提にして、その視点の経営が重要であることを表現している。西室氏は、この「人間の眼」が企業経営では最優先であると指摘している。「人間の眼」から見れば、「派遣切り」や食品偽装など利益優先の行動は論外である。

 西室氏が指摘する「5つの眼」は、世界に対して日本から広く普及・認識されてよいビジネスの基本姿勢であるとみなされる。

 なお、この「眼」に関する最初の出所は、竹内宏氏の著書であると思うが、それが初出であるかどうかを私は未確認である。

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2009年4月16日 (木)

すでにAJCEP(日本アセアン包括的経済連携協定)が発効している

 日本とアセアン諸国の間には、AJCEP(日本アセアン包括的経済連携協定)が2008年12月1日から発効している 。これにはベトナム・ラオス・ミャンマーが含まれているが、カンボジアは2009年4月時点で未署名である。

 関税や原産地規則がEPA(経済連携協定)では二国間で個別に適用されるが、AJCEPでは日本とアセアンの11カ国間で共通して適用される。

 たとえば日本原産の部品を用いてタイで部品を生産し、そのタイ製部品をマレーシアに輸出する場合、AJCEPでは日本原産の部品がタイ部品の付加価値に加算されるので、タイからマレーシアへの輸出はAFTA(アセアン自由貿易協定)の適用によって関税0%となる。これまではタイからマレーシアのタイ部品の付加価値しか考慮されず、関税の支払いが必要な場合があった。

 このようにアセアン諸国を中心にして関税撤廃が進行中である。すでに日中韓さらにインド・豪州・ニュージーランドが貿易投資協定をアセアン10カ国と締結している。

 これは、世界人口の半分(31億人)を占める統合された経済市場の形成を意味する。少なくともアセアン域内では2015五年に「アセアン共同体」が実現する。この潮流を企業経営者なら見逃すことはできない。

 この31億人の舞台で自らを主役とするシナリオを自らで書かなければならない。これは、企業経営者であるからこその醍醐味と考えるべきであろう。AJCEPを利用したタイ・ラオス・カンボジア・ベトナムというアセアン諸国のビジネスモデルは、これらの国々の陸上輸送のインフラ整備と共に実現化が容易になる。このビジネスネットワークにおいて、昨日指摘したように雲南省を組み込む。

 今、メコン川流域ビジネスが熱い・・・・・これは私が執筆中の著書の表題である(3月刊行予定が5月になりそうである)。

flairflair AJCEPについては、以下を参照した。http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/data/AJCEP/0902AJ.pdf

 なお、AJCEP協定の正式名称は「包括的な経済上の連携に関する日本国及び東南アジア諸国連合構成国の間の協定」(Agreement on Comprehensive Economic Partnership among Japan and Member States of the Association of Southeast Asian Nations)である。

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2009年4月15日 (水)

中国雲南省の南下政策を再考する:新たなビジネスモデル構築の課題

 中国雲南省の動向は、CLMV(カンボジア・ラオス・ミャンマー・ベトナム)にとって無視できない。

 私は「中国脅威論」を扇動するつもりはない。日本を始めとするアジア諸国また世界の「共存共栄」が基本的な立場である。これを最優先に考えれば、場合によっては冷静に判断して日本も譲歩しなければならないし、場合によっては冷静に判断して同盟国に耳の痛いことも言わなければならないと考えている。外交は「冷静に判断する」ことが重要だと私は思う。

 それにしても事実として、「1992年、雲南省政府は「南の門戸を開き、アジア太平洋に向かおう」というスローガンを掲げ、周辺東南アジア諸国との経済貿易協力展開の強化という対外開放戦略を決定」 している。

 引用:石田正美・工藤年博編『大メコン圏経済協力:実現する3つの経済回廊』アジア経済研究所、2007年、97頁。

 これは、中国とベトナムが国交正常化した1991年の翌年である。この迅速な決定は、港湾をもたない雲南省の「南下政策」の強い意図を示している。中国で「辺境」とみなされている雲南省の発展のために中国も重視している政策であるとみなされる。

 最近の『日本経済新聞』(2008年4月10日)によれば、日本がミャンマー軍事政権に経済援助の再開を発表したが、それは「日米欧の援助が止まるなかで、援助を続ける中国のミャンマーへの影響力が増大。日本の援助再開は中国をけん制する狙いもあるとみられる」。

 さらに同紙(2008年4月13日)は、中国がCLMに対して2億7千万元(約40億円)の特別援助を実施する方針であることを伝えている。アセアン全体では今後3~5年で総額150億ドル(約1兆5千億円)を融資するそうである。

 この中国の動向に対してCLMVはどう対処するか。特にV(ベトナム)の対応が注目される。これは重要なビジネス上の留意点でもある。

 以上の観点から考えれば、ベトナム進出企業は、ベトナムやCLMだけでなく雲南省を取り組んだ将来のビジネスを考えなければならない。これは、中国の華南地方とハノイを結び付けたキヤノンに代表されるビジネスモデルに匹敵する検討するべき新たな課題である。

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2009年4月14日 (火)

タイの暴動:追いかけるベトナムの足音に注意せよ

 タイで開催予定のアセアン首脳会議が中止された。反政府運動のためである。これまでにもタイでは、同様の事件が多発している。

 タイに対する国際的な信頼の失墜は確実である。首都バンコクに非常事態宣言が出されたそうであるが、おそらく大多数の国民の生活は平穏に営まれているに違いない。要するに、こういった政争は日常的な感覚で受けとめられているのではないか。

flairflair:昨年バンコック国際空港が閉鎖された時に私はラオスからタイのムクダハンに陸路で渡った。このことはブログでも紹介している。こういった地方都市でも政治活動が活発であるとすれば、タイの政争も「本物」と思われたが、現実には平穏そのものであった。全国的な政治運動の高揚があるとすれば、少なくともポスターや垂れ幕などがあったり、軍隊もしくは警察が治安維持のために全国で出動していることを私は想像していた。

 ベトナムでは、1人当たりの国民所得が1,000ドルを超えた。これは、これまでの発展途上国から中進工業国への新しい段階に入ったことを意味している。この観点から言えば、現在のベトナム経済の諸問題は、その移行期の「産みの苦しみ」とも考えられる。

 タイは、かつて米軍に協力して派兵までしたベトナムが、経済発展においてすぐ後ろまで追いついていることを認識すべきである。2008年12月のアセアンのサッカー試合でベトナムが初めてタイを下して優勝したことを想起しなければならない。

 それにしても私見では、株式市場が経済発展に与える影響は絶大である。ベトナムを見ていて、その印象をもった。日本で当たり前のように新聞で株価が掲載されていて、当たり前のようにニュースでも報道されているが、そのことが経済発展にどれほど貢献しているか。この数年間のベトナム経済の動向を見ていて、このことを改めて認識させられる。

 タイに投資されていた外国資金がベトナムに移動する。こういうことも現実的である。両国の経済格差が一気に縮まる予感がする。タイの暴動を見ていて、こんなことが頭をよぎった。

 

 

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2009年4月13日 (月)

読むだけで美味しいフランス料理店:ラオスに開店

 昨日と同じTARGET誌(2009年1月号)によれば、ビエンチャンのラオ=パリ=ホテル内に新しくフランス料理店が2008年12月にオープンした。店名は、ラドレッセ:L’Adresse

 ラオ=パリ=ホテルはサムセンタイ通りにあり、ラオプラザホテルの左手、斜め向かいである。この前を何度も歩いて、コピーを頼んだり、買い物に行った場所である。古いホテルであるが、伝統を感じさせる雰囲気がある。このホテル内に100%の妥協なしのフランス料理を提供するレストランが開店した。

 ビエンチャンのフランス料理店と言えば、2001年のラオス滞在当時からナダーオに何度か行ったことがある。この店はワインの種類も豊富で味も雰囲気も良いが、純粋なフランス料理のようには思われなかった。

 L’Adresseでは、お母さんがラオス人・お父さんがフランス人のフランス国籍のティアニー氏とイタリア国籍の奥さんのデルフィンさんがオーナー兼シェフである。お二人は2008年始めに母の母国であるラオスでラオス式の結婚式を挙げたが、それが契機となってラオスに魅了されたそうである。そこでフランスからラオスに移住してきた。

 ティアニー氏はパリのレストラン4店で15年を超える料理の経験がある。パリで有名な料理人Michel Sarranに師事したこともある。ラオスの店舗は20~30人の定員であり、毎日午後6時~10時の営業である。食材の80%が輸入で、残りを地元で調達している。

 同店の特徴は、味と素材と料理方法であるとティアニー氏は自信をもって述べている。主なメニューは、ビーフテンダーロイン・アヒル・海老・サーモン・チーズの5品であり、そのいずれもが65,000~120,000万キップである。また写真の中ではあるが、デザートのケーキが美味しそうである。

 ティアニー氏とデルフィンさんの夢は、南部のパクセーやコーン島に店舗を増やすことと、フランス料理の学校を設立することである。

 次回のラオス訪問では、必ず試してみたいレストランである。私の予想では、おそらく日本で1万円以上は必要なフランス料理が、数千円で食べることができるという感覚だ。早くラオスに行きたい・・・・・・。

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2009年4月12日 (日)

ベトナムのサコムバンクがラオス進出:進む関係の深化

 ラオスの英語雑誌TARGET,ISSUE 30,JANUARY 2009によれば、ベトナムの民間銀行Sacombankが、2008年12月12日にビエンチャンに支店を公式に開設した。

 この支店は、定期預金・当座預金・中長期融資を始めとするフルサービスを提供する。開設式がドンチャンパレスで開催され、ラオス国立銀行のプーペット=カムフォヴァン総裁とサコムバンク=グループのダン=ヴァン=タイン会長が出席した。

flairコメントflair この報道は、ベトナムとラオスの関係が深化していることを示している。すでにラオスとベトナムの合弁のLAOVIET銀行があるが、今回は民間銀行の単独進出である。またビエンチャンにはカンボジアのACLEDA銀行も支店を設置している。

 通常、ビジネスの外国進出は、貿易や直接投資など実物ビジネスから始まり、その必要に応じて銀行が進出するという過程が一般的である。今回のサコムバンクのラオス進出は、その背景に実物ビジネスの深化と拡大を示唆している。

 ベトナム経済の悪化が指摘されているが、その理由は、ベトナム自国内の「バブル崩壊」とその後の世界同時経済不況が重なったためである。ベトナム自体の経済成長力は健在である。ベトナム企業の内需拡大が不調であれば、近隣のラオス・カンボジアに進出すると私は考えている。この報道は、その一端ではないか。

 ベトナム・ラオス・カンボジアを「点」ではなく、「面」として考える。これからのベトナムビジネスの考え方であると思う。

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2009年4月11日 (土)

講義が始まった・・・3タイプの大学教育について少し考える

 大学で講義が始まった。

 今期の講義は、企業論・21世紀の業界展望・アジアビジネス特論・基礎演習・3回生演習・卒論演習である。企業論は4単位だから、1週間に7講義である。これに大学院の研究指導がある。

 最近の大学では、受験生の減少傾向もあり、いずれの大学も教育を重視する傾向にある。その教育にも3つのタイプがあると指摘されている。これは興味深い分類である。 

 ①研究に裏付けられた教育を行う場
 ②教育のための教育を行う場
 ③モラトリアム人間の保育を行う場

 flairflair:関口礼子「「学生による授業評価」の現状を考える」『書斎の窓』No.583、2009年4月号、有斐閣、p.49。なお関口氏は「誤解のないように付け加えると、「保育」が教育より低いという意味ではない。「保育」は「教育」より幅の広い内容を持っている」と指摘している(同上)。

 経営学の観点から指摘すれば、以上の3つのタイプの分類が正しいとすれば、それぞれの「場」に最適の戦略を採用することが重要である。大学も教員も学生も同様である。これまでの大学はタイプ①であったし、そのつもりで教員も研究と教育を行うように努力してきた。

 これに対して多数の大学に求められている現実のニーズは、タイプ②やタイプ③に属していると思われる。それにもかかわらず、教員は依然としてタイプ①の大学を想定している。これでは、教員も学生も不幸である。その結果、その大学は人気を失うであろう。

 高級レストランのシェフと思って仕事していても、いつの間にかお客は大衆化して、子連れのお客(大学では親が子どもの入学式や卒業式に同伴するが・・・)が大多数になっている。かつての腕を振るったシェフの味は、お客に支持されなくなっている。また新人シェフは、手間暇かけない要領のよい料理を作っている。この古参のシェフは、しかしプライドだけは失いたくない。今の私の世代の大学教員は、このようなシェフの感情が十分に理解できる。

 どのように大学教育を変革するのか。私見では、日々の大学では教育に集中するが、たとえば5年に1回は半年間から1年間は講義をしないで研究に専念する。こういったメリハリのある制度が、タイプ②やタイプ③で働く大学教員のために必要である。少なくともシェフを自認している教員のプライドを奪うことがあってはならない。

 大学において不幸な教員や学生をなくす真剣な工夫や改革が、今こそ求められている。そうでなければ、大学経営のみならず、日本の高等教育体制が実質的に破綻するであろう。

 ところで私の場合は・・・・。上記のたとえで言えば、高級レストランのシェフであったことはないが、料理の基本は学んだつもりである。アジアで美味しい料理を探求して、いずれは自分で小さくてもよいので店舗を持ちたいと思っている。こんな感じである。

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2009年4月10日 (金)

カンボジア最新の経済成長率(改訂版):経済財政省の鈴木氏から

 昨日、カンボジア経済財政省の上級顧問エコノミスト・鈴木博氏から以下のメールを頂戴した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
> 上田先生
> ;
> いつもブログを拝見しております。カンボジアの2009年GDP成長率予測については、 3月以降引き下げが目立っています。
>
> IMF  マイナス0.5% (3月6日)
> ADB 2.5%     (3月31日)
> 世銀 マイナス1.0% (4月6日)
> EIU  マイナス3.0%
>
> 小職の以下のブログもご参照賜れば幸甚です。
> IMF
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/72918b9d6a519eab798a0fd957b3957d
> ADB
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/3e1b244b208f4c6818b3e74b957eed58
> 世銀
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/c3e1b4634c7b4f81331caf9c5e0ef8b8

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 この頂戴したメールに対する私の返信は以下の通りである。

 既存のデータ整理に追われております。余裕がなくて申し訳ありません。貴重なご指摘に感謝を申し上げます。・・・・・・今後とも、よろしくお願い申し上げます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 以上、カンボジア経済の成長予測については、かなりの下方修正である。もともと輸出・外国直接投資・外国支援に依存していた経済構造であるから、世界同時不況の影響は深刻と理解される。これに対して国際的な支援強化が対策として考えられる。ベトナムでは、数年前からの所得上昇に関連する国内需要(もしくは先行投資)の増加が期待できるのだが、その段階にまでカンボジアは進んでいない。

 いずれにせよ、鈴木氏のご指摘に御礼を申し上げたい。私は未だお目にかかったことがないが、それでも旧知のようにメール交換できる。これはブログ媒体の最大の効用である。新年度に当たって今後とも「アジアで実学を追究する」という原点から情報を発信したいと思う。重ねて今後とも、よろしくお願いいたします。

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2009年4月 9日 (木)

2009年カンボジア経済成長率の予想(続):1%~6%のどれが正しいか?

 政府が6%を予想しているのに対して、IMFは4.8%となっている。これについてヤーブ氏は次のように述べる。

 「時々IMFの予想は正しくない。2005年のIMFの成長予測は7.5~8%であったが、実際の数値は13.5%であった。これは予期しないコメの増産があったからである」。

 IMFが述べているように、農業は、ある程度までカンボジア経済を引き上げるが、「縫製と観光は、景気が弱い条件の場合には足を引っ張ることになる」。さらにIMFは、不動産と建設が、投資の縮小のために減少するであろうと予想している。

 政府の反論があるにもかかわらず、悲観的な経済予想がある。EIUの東南アジア専門家ジャスティン=ウッドである。彼は述べる。「最近の経済成長は、農業・縫製・建設・観光の4つの分野に大きく依存してきた。政府は経済の多様化を支援する必要がある」。

 金融制度の強化、インフラ投資、よりよい資源管理――特に教育を通した人的資本は、カンボジアを襲う台風から同国を救済するだろう。このことは世界銀行とIMFが繰り返し提言してきたことである。

 ウッドは述べる。「それにもかかわらず、正しい政策があれば、外国投資家が興奮するような機会をカンボジアは提示するであろう」。

flairコメントflair 
 
カンボジア経済の予想の決め手は、上記の4つの経済分野の動向にあることには同意できる。農業・縫製・観光・建設である。それぞれの産業動向がさらに分析される必要があると思われる。
 さらに
私見では、やはり外国投資の動向を無視できない。主に韓国による不動産・建設の投資が世界同時不況によって中断もしくは中止されることは、大きな経済的マイナス要因であるが、それを補う外国投資家の出現が注目される。
 ベトナムの場合、台湾・韓国・シンガポールが先行し、その次に日本が登場という流れであった。カンボジアの場合、しばらく日本の出番には時間を要する印象である。では、日本に代わる外国投資家として、どの国があるか。私は中国だと思う。

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2009年4月 8日 (水)

2009年カンボジア経済成長率の予想(下):1%~6%のどれが正しいか?

 サム=ランシー氏は、その名前を党名にした野党党首であり、前財務大臣である。彼は次のように述べる。「経済成長率の異なった数値は、それぞれの機関の予測方法や経済モデルによって上下する」。「カンボジアの輸出水準は欧州経済および世界経済の回復に依存している」。「仮に経済回復が早急にできなければ、カンボジアは行き詰まるであろう」。

 なお、サムランシー党は、蔓延する汚職や非現実的な経済予測を主張する政府をしばしば率直に批判している。flairflair2008年7月の総選挙後に同党はと人権党が合併したが、人権党の党首ケムソクハは、サムランシーが経済の専門家であり、国民も信頼していると評価している(South Eastern GLOBE, Feburuary 2009, p.16)。

 ランシー氏が政府の6%成長に懐疑的な理由は、カンボジアにおける失業率の上昇、国内生産の低い利益率、主要経済部門の低下傾向に注目するからである。 

 他方、与党カンボジア人民党(CCP)のチェアム=イェーブ国会金融銀行委員会委員長は「カンボジア経済は、首相が述べたように、6%を超えて増加する」と指摘する。そのための政府の対策は、税収の増加(縫製産業を除く)、インフラ建設プロジェクト、農業・教育・健康のような優先分野における公的支出の増加という3点である。

 さらに彼によれば、国会と上院は政府は、インフレ抑制と他のリスク対応のために使用される10億米ドルに近いODAに加えて、国際支援機関で3億米ドルの政府の借款を承認した。カンボジア国家銀行の外貨準備20億米ドルは、もし必要であれば、世界経済金融危機の衝撃の緩和に役立つであろう。(以下、続く)

 

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2009年4月 7日 (火)

2009年カンボジア経済成長率の予想(上):1%~6%のどれが正しいか?

 すべての先進国の経済成長率が、2009年はマイナスの数値が予想されている。これに対してカンボジアはプラス成長である。しかし1%から6%までの幅がある。この事情を紹介する。

 現在のところ、カンボジアの経済成長率に関心をもつ日本人は極めて少数派であると思う。しかし数年後には、その関心が一気に高まるに違いない。本年末から来年にかけてカンボジア株式市場が開設され、その取引が活発化されることが予想されるからである。

 現状を比較しても、金融自由化の程度はカンボジアがベトナムよりも進行している。このことを推論すれば、カンボジアがベトナムよりも自由に株式売買ができるようになるのではないか。たとえばアンコールワット観光の旅行者が「お土産」の代わりに「アンコールビール」の株式を1株だけ購入する。こういうことが可能になるかもしれない。私見では、メコン川流域もしくはインドシナ半島の「金融センター」としてカンボジアが注目されても不思議ではない。

 なお以下の予想数値と解説は、昨日と同じEconomic Today: Cambodian’s Business Magazine, Volume 2, Number 34, March 1-15, 2009, p.14からの紹介である。

 2009年GDP成長率の予想
・ 6.0%・・・カンボジア政府
・ 4.9%・・・世界銀行
・ 4.8%・・・IMF(国際通貨基金)
・ 4.7%・・・アジア開発銀行
・ 4.0%・・・サムランシー党
・ 1.0%・・・EIU(Economist Inteligence Unit)社

 2009年2月16日にシェムリアップで開催された「ビジネス円卓会議」においてフン=セン首相は次のように述べた。「2009年に成長は低下すると予想される。それにもかかわらず、政府は約6%の成長を維持するように最善を尽くす」。

 この会議の主催者は皮肉にも、成長率1%という最も保守的な予想数値を発表して、多数の人々にショックを与えたEIUであった。(flairflairEIUは、世界有数の経済調査・コンサルティング会社であり、英国の国際的経済誌『エコノミスト』における企業部門である。参照:http://www.rayden.jp/contents/eiu/

 成長予測は、政府の政策と同様に経済現況に大きく依存する。経済成長の推定値は幅広く変動する。カンボジアの場合、しばしば信頼度の評価が異なった情報に基づく解釈の相違があったり、複数の予想に基づく情報が欠如していたりする。なお、これらの情報は悪意をもって隠蔽された可能性もある。

 ネウ=セイハ主任研究員(EIC:カンボジア経済研究所)によれば、成長率の推定値は利用可能な直近の公式経済統計を使用して計算されており、EICによる2009年の6%成長は、2008年当初から9ヵ月のカンボジア集計経済数値に基づいて予測された。しかし、その予想値は、より最近の国民統計に基づいて改訂される。(以下、続く)

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2009年4月 6日 (月)

ベトナム石油精製プロジェクト:補遺

 ベトナムの英文経済雑誌Vietnam Economic Times, March 2009, pp. 30-31によれば、ズンクワット石油精製プロジェクトについて、次の記事を掲載している。前日に続いて追加的にその概要を紹介する。

 1.ズンクワット石油精製所・副プロジェクト=マネージャーのディン=ヴァン=ゴック氏によれば、ベトナム製の石油価格は国際価格よりも安くならないかもしれない。その理由は次の3点である。
 (1)この石油精製所は、ベトナム全土の需要の30%を充足するにすぎない。残りの70%は依然として外国に依存しており、政府のマクロ管理政策は石油の二重価格を容認しない。
 (2)バクホー油田から提供される原油価格は外国企業に輸出される価格と同一であるから、原材料価格が安いというわけではない。
 (3)輸送コストも安くない。当面のズンクワット精油所はバクホー油田の原油を使用するが、将来はCa Mgu Vang油田・Rang Dong油田・Du Tu Den油田からの原油を使用するかもしれない。

 2.ペトロ=ベトナム社のディン=ラ=タン会長によれば、外国石油会社がペトロベトナムグループに対する資本参加や新規石油精製プロジェクトに関心を示している。それらの会社は、ロイヤル=ダッチ=シェル、インドのエッサル、韓国のSKエネルギーなどである。

 外国投資家は、ほかの投資機会を手短に獲得できるかもしれない。ズンクワット石油精製所はペトロベトナム社の3大プロジェクトの中の一つにすぎない。それ以外の2つのプロジェクトは下表で示されている。そして今まさに、ズンクワット以外の2つのプロジェクトが動き始めている。

表 主要ベトナム石油精製プロジェクトの概要

ズンクワット

ギソン

ロンソン

立地

クワンガイ省

タインホア省

ヴンタウ省

投資資金

30億ドル

60億ドル

37.7億ドル

年間生産能力

650万トン

1,000万トン

1,000万トン

完全操業

20098

2013

2013

(出所)Vietnam Economic Times, Issue 181, March 2009, p.31から筆者が作成。

 投資総額60億ドルのギソン=プロジェクトは、ペトロベトナム社・クウェート国際石油社(KPI:Kuwait Petroleum International)・出光興産(IKC)・三井石油(MCI)の合弁事業であり、2013年の操業時には年間で原油1,000万トンの精製能力をもつ予定である。

 2009年2月8日にタインホア省人民委員会は、ギソンプロジェクトの出資企業と一緒に作業部会を設置した。敷地整備が進行中であり、投資家がプロジェクトを開始する必要条件が満たされた。すでに敷地の54%は投資家に引き渡されている。

 クウェート国立石油グループのハッサン=エスマイエン氏は、プロジェクトの合弁相手企業と強力な関係を持っていることを確約し、このプロジェクトに最先端の技術を投入することを強調した。 

 ロンソン石油精製プロジェクトは、ペトロベトナム社・ベトナム国家化学会社・ビナSCG化学会社・タイ=プラスティック社・化学パブリック会社の合弁事業であり、ヴンタウ市ロンソン地区のロンソン石油工業団地内の400haに立地している。

 総投資額は37億7,000万ドルとなり、第1フェーズの建設が2011年に開始予定である。建設は6つのフェーズに区分され、プロジェクト全体の完成は2013年の第2四半期の予定である。(以下、『日越経済交流ニュース』2009年5月号を参照されたい。)

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2009年4月 5日 (日)

ベトナム初の石油精製の概要:隣国カンボジアでも注目されている

 カンボジアの英文雑誌Economic Today: Cambodian’s Business Magazine, Volume 2, Number 34, March 1-15, 2009, p.25は、ベトナムの中部クヮンガイ省・ズンクワットの石油精製プラントが、2009年2月22日から生産開始したという記事を掲載している。以下、その要点を紹介する。

 1.この石油精製プラントは、ベトナム自身で操業管理される最初の商用石油製品を生産する。ズン首相は「これが石油精製と石油化学産業の重要な出発点となる」と讃辞を述べた。

 2.この重要な国家プロジェクトの完成は、工業化と近代化に向けた政治・経済・社会・国防・安全保障の観点から大きな意義をもっている。また、環境保護に対する厳格な条件に合致した上質の石油製品を生産するために先端技術が利用されている。

 3.原油の精製能力が年間650万トンとなるように設計され、国内石油需要の約30%を賄うことが期待されている。その施工はTechnip建設請負グループであった。それは、Technip(仏)・Technip(マレーシア)・JGC(日本)・Tecnicas Reunidas(スペイン)で構成された。

 4.2005年から始まった建設の過程でTechnipグループは、ベトナムの下請け会社や設備とサービスの関連供給会社を100社を超えて採用してきた。クヮンガイ省で数万人の雇用を創出した。最多時では12,000人以上の労働者が、ベトナムの他の地方や世界30カ国を超えた国々から雇用された。

 5.工場は2009年8月にフル生産が期待されている。この場合の月産は、ガソリンで150,000トン、ディーゼルで240,000トン、LPGで23,000トンである。さらにプロピレンが8,000トン超、ジェット燃料が30,000トン、燃料油が約25,000トン生産できる。総計、本年は約260万トンの石油製品を市場販売する予定である。

 6.フル操業に備えて2008年5月から何回か試験操業されてきた。LPG1,500トン、ディーゼル50,000トン超、バックホー(ホワイトタイガー)油田から原油160,000トンが使用された。そして1,000人を超える人々が操業・管理するために訓練されてきた。同じ2008年5月に効果的な操業・管理を目的としてBinh Son石油精製・石油化学会社が設立された。同日に最初の石油製品に対して品質証明書が品質基準委員会から手渡された。

flairコメントflair
 
原油生産国であるベトナムが、石油精製プラントをもたないためにシンガポールに原油を輸出して、ガソリンなど石油製品を輸入する。このズンクワットの石油生産開始によって、この非効率性が解消された。

 一般に、ベトナムでは工学系人材はいるが、化学系人材は不足していると言われている。こういった人材の育成も必要であろう。私は現地を訪問したことはないが、中部ベトナム固有の台風などの自然災害の影響を受けないのかどうか。また当初の計画段階から問題視されていたが、中部に立地するために南部よりも物流コストが高くなることが国際競争力を低めないのかどうか。こういった課題が直ちに思い浮かぶ。その操業を喜ぶとともに、これらの課題の検証が求められる。

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2009年4月 4日 (土)

新しい挑戦:英語でブログを書く

 昨日は、4月からの新しい挑戦としてゴルフを始めることにしたが、このブログでも1週間に1度は、英語でブログを書くことに決めた。

 弊社・合同会社TETでは、英語のみならずベトナム語・ラオス語・カンボジア語の翻訳ができる体制を構築中である。日本語を英語に翻訳できれば、その後のベトナム語・ラオス語・カンボジア語が可能だ。英語翻訳は、これらの国々との契約書を作成する場合も基本であるから、日本語は必ず英語に翻訳することを前提になすれば、その後の英語からそれ以外の言語の翻訳は難しくない。

 こういう仕事を始めるにあたって、とりあえず英語でブログを書いてみようと思う。1週間に1回程度を予定している。

 この契機になったのは、次の書籍の出版である。この本の内容に非常に私は共感する。私と同じような立場や観点からの調査研究の成果だからである。

 Dr.Pam Scott & Wayne Bannon, MANAGING FOR SUCCESS IN VIETNAM, Nha xuat ban Tre, 2008.

 ベトナムのビジネス研究は、日本で多数出版されているが、それが英語になっていないので、世界で情報が共有されていない。これは非常にもったいないことである。私は英語でベトナムについて論文を書いたことがあるが、それについて反応は皆無であった。それはそうだろう。掲載した雑誌が、大学内の論文集なのだからやむをえない。

 しかし今では、インターネットで世界に情報を発信できる。英語にすると、その読者の数は飛躍的に増えるのではないかと思う。とりあえず初回は、同上の書評を書いてみよう。著者のメールアドレスもあるので、ぜひご本人から意見もお聞きしたいと思う。

 

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2009年4月 3日 (金)

ゴルフ練習を始める:シューズ2足を履きつぶすまで・・・

 この4月からゴルフの練習を始めることにした。自宅近くのゴルフレッスン場に毎週1回ほど通う。今後3ヶ月間で10回のレッスンを受けることができる。

 次の楽しみは、コースデビューのタイミングである。今年中にベトナムかラオスが目標である。

 今まで何回かゴルフを誘われたが、なかなか練習の時間がなかった。ゴルフクラブのフルセットを岳父から借りているのだが、それに埃がかぶっていた。申し訳なし。

 また、新品のゴルフシューズが靴箱から2足も出てきた。ゴルフを始めると決めてシューズを買って、そのままになって忘れていて、再びゴルフを始めると決めてシューズを買った。最初からゴルフシューズ2足を準備するゴルファーも珍しいのではないか。

 このゴルフシューズ2足を履きつぶすまで頑張ってみよう。大学では新入生の入学式があり、そのゼミ(基礎ゼミ)を担当する。新たな気分に乗じて、私も新しい挑戦である。

 

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2009年4月 2日 (木)

報告・連絡・相談する:大学教育の欠落は社会に反映する

 『日本経済新聞』(2009年3月28日)の別刷り紙「日経プラスワン」は、特集「新人のその言動、気になりますか?」を掲載していた。

 この「新人」とは、この4月に入社した新入従業員のことである。このアンケート調査の順位は次の通りである。

(1)報告・連絡・相談をしない
(2)プライドが高く、周囲を見下したように言動をとる
(3)ゴミ捨てや電話取りといった自分の担当業務以外の仕事をしない
(4)歓迎会など職場や部署内のイベントに特別な理由もなく参加しない
 そのほかに本文中では次が列挙されている。
(5)出勤時や終業時のあいさつをしない
(6)敬語を使わない
(7)仕事中、携帯電話で私用メールをしている

 以上のような社会人のマナーの欠落は、当然、それ以前の大学教育の欠落である。確かに最近のゼミ生と接していると、これら全部が当てはまる。大学教育における教員の指導不足が社会に影響している。これは大学でも何とかしなければならない。

 ここで発想を変えれば、これらの言動を適切にできる学生は就職活動で優位になる。「優位」と言うよりも「普通の常識」であるが、その普通が普通でないから、普通にできれば優位になる。このように学生に話して、しっかり大学で学生を指導すればよい。早速、私は実行したい。それにしても、情けない話である。

 この現状をどう変えるのか。文部科学省は、大学生の学力低下の対策のための指導を強化する方針である。とりあえず本年度から、2単位の科目の講義回数は15回を厳守するといった指導がされているようである。こうなると、月曜日の講義回数が祭日が多いために不足する。そこで祭日返上で講義したり、夏休みが短縮されたりする。

 これは講義回数という形式的な改善であるが、さらに根本的な改革が実行されなければならない。学問や研究水準の維持・向上はもちろんだが、上記のような社会人マナー教育がより重要であると思われる。もっともこれは、各教員が学生に講義中に少し指導すれば改善できる。大学教員の責任は重い。もっと自覚せねば・・・。

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2009年4月 1日 (水)

コピペの対策を真剣に考える

 『朝日新聞』2009年3月16日夕刊に「ネット上の攻防:中高生感想文もコピペ」という記事が掲載された。中高生の読書感想の作文までもインターネット上の感想文をコピーして貼り付ける(通称:コピペ)実例があるという。私は、この対策を大学で早急に検討するべきであると指摘してきた。

 同記事によれば、「東大教養部ではリポートなどでコピペが見つかった場合、該当する科目だけでなく学期全体の単位を認めない。カンニングと同じ不正行為の扱いだ。01年から06年までに計5人のコピペが発覚した」。

 コピペは、ほとんどの場合、文章が上手すぎることで発覚する。私の場合も何人か学生のレポートで発見している。また文体が相違していることでも気がつく。インターネット情報を引用することはよいが、その出所を明示する必要がある。これは、あらゆる論文やレポートの執筆で不可欠の条件である。教員によっては、出所不明のインターネット情報の利用を禁止する場合もある。

 文章を引用したり参照することは悪いことでない。ただし、それを明示すればよい。重要なことは、その引用した資料や文章を自分がどのように解釈・理解し、それに基づいて自分の意見を発信することである。文章は下手でもよい。それは書いていれば次第に上手になる。

 これは当たり前のことであるが、それが新聞記事で問題になるのだから日本は当たり前でなくなっている。4月からの1年生対象の「基礎ゼミ」で新入生に話しておかなければならないことである。

 最初は下手でも次第に上達すればよい。これは、すべての教育の基本であると思う。

 

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