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2009年3月27日 (金)

経済収縮時の雇用受け皿:サービス産業の重要性(9・最終回)・ロッテマートを訪問した

 以下では、ベトナムの流通市場の記事についてコメントし、ホーチミン市のロッテマートの紹介する。

 前日のブログで、工商省競争管理局の見解を最後に紹介したが、これに関連した発言を同省の副大臣から直接に私は聞いたことがある。流通小売市場において外国企業からの競争圧力があるので、ベトナム企業は防戦に苦労しているという内容であった。

Dsc02269  私は、流通小売業には地元企業の優位性があることを一般的に指摘した。また、外国企業の参入が進んだとしても、非公式的な参入障壁があるので心配ないのではないかと応じた。これは日本も同様である。なぜ、フランスのカルフールは撤退しなければならなくなったか? この究明はベトナムにとっても参考になるであろう。

 これまでの連載記事によれば、ベトナム大手小売業4社が連携しており、さらにベトナム小売業協 会が設立されている。これは、外国企業にとって強力な布陣の防衛線である。Dsc02271英国のTrade and Investment Agencyが言うように、確かに全般的な状況から見れば、外国小売業の参入に好機であるが、個々の企業経営の採算性を考慮すれば、外国企業においては慎重な意思決定が必要であろう。

 ベトナムの小売業の中堅企業との提携や協力という形態で外国企業が参入することによって、操業後のリスクを小さくできるかもしれない。この場合、ベトナム小売業協会の訪問は有効な情報収集先となるであろう。

Dsc02273  私は2月にサイゴンサウスのロッテマートを訪問した。もう20年近い前であるが、かつての韓国の流通企業が、日本のスーパーマーケット内(より正確には当時の新業態ハイパーマート)を盗み撮りして、それに基づいてホテル内で設計図面を描いたという逸話があった。この図面完成まで何度も足を運んだそうである。日本の店舗レイアウトを模倣するためである。当事者から聞いたので本当であろう。その韓国のショッピングセンターの写真をベトナムで撮影した。これには不思議な感慨がある。

 ロッテマートの立地はサイゴンサウス。この地域は、台湾の国民党が開発したタントゥワン輸Dsc02270出加工区の向かい側に広がっており、ホーチミン市の市内からは自動車で20~30分必要である。自動車の渋滞の状況に時間は依存する。高級住宅地が広がっており、その意味で立地に将来性はある。ロッテマートでは、韓国資本のダイヤモンドデパート店などを経由させたシャトルバスを市内から運行させている。

 開業は2008年12月17日。営業時間は8時~22時30分である。平日の午前中に訪問したが、お客は少ない。これは、以前に訪問したドンナイ省のスーパーマーケットBig C(かつてのCora)も同様である。しかし生鮮食品には人だかりができていた。食物に対するベトナム人のこだわりを感じさせる。

 2階には、Best Caringという家電売り場がある。これがベスト電器の出店であろうと想像できた。価格の比較をするだけの材料をもっていないが、品揃えは豊富であった。

Dsc02277  ロッテマート店舗全体は総じて、什器と什器の間が幅広く、ショッピングカートをもってゆっくり歩けるようになっている。明るい雰囲気もよい。ソウル駅に隣接するようにロッテマートを利用したことがあるが、それと同じで、まったく雰囲気は日本人でも違和感がない。要するに問題は商品の値段である。ベトナム人の価格感応度は非常に高いと予想される。

 かつてハノイでMetroの評判を聞いたことがあるが、ベトナム人の評価は「日用品では高いものも、安いものもある。生鮮食品は高い」。それはそうだろう。「チョー」と呼ばれる市場(いちば)と比較されると値段は負ける。スーパーは品質で勝負するしかないのだろうか。これらのベトナムの流通については、ベトナム人の日本留学生が研究を蓄積している。その成果を実務に還元することが、ベトナム流通業の発展に貢献するであろう。

 流通業の発展は、ベトナムの第3次産業・サービス業の発展にも連動する。それが雇用機会の増大にも寄与する。人口構成からみた農業国であるベトナムが、第2次・第3次産業の並列的な発展をする。それだけに高度な経済成長が期待できる。さらにベトナムでは国内流通チャネルの改革が進むと同時に外国資本との戦いも始まっている。この場合、外国資本を活用した国内改革が進むのかもしれない。日本の経験を超えた新たなベトナム流通業の挑戦とみなされる。(以上、この連載終わり)

  

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