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2009年2月20日 (金)

経済収縮時の雇用受け皿:サービス産業の重要性(2)

 世界同時不況は、各国政府の財政金融政策を比較する学問的な好機であると以前に指摘した。ここでは簡単に、景気対策の国際比較を紹介する。

 酒向浩二「米国依存のツケが一気に露呈 設備と雇用の過剰がアジアを苦しめる」『週刊エコノミスト』(2009年2月10日号、25頁)によれば、中国政府の景気浮揚対策はアジア各国の中では巨額である(表1)。

 表1 アジア各国の景気対策
 国  金額(円換算)  景気刺激策内容

中国          52兆円 インフラ整備・住宅建設など
韓国           2兆円 インフラ整備・減税など
タイ      8000億円 インフラ整備・農作物価格支援など
マレーシア  2000億円 住宅建設・企業融資拡大など
インドネシア 4000億円 インフラ整備・補助金拡大など
フィリピン   5000億円 公務員雇用拡大・減税など
ベトナム   1000億円 インフラ整備・住宅建設など
インド     3600億円 インフラ整備・減税など
(出所)各国政府発表をベースにみずほ総合研究所作成。

 同じく景気対策の規模に関する国際比較が、「米景気対策 ここがポイント①」『日本経済新聞』(2009年2月19日)に掲載されている。表2の数値の日本は、08年度の第1次・第2次補正予算と09年度予算を引用者が合計した。また各国の規模は現地通貨を省略し、円換算のみを示した。

 表2 主要国の景気対策の規模
 国   規模   名目GDP比

米国  72.4兆円  5.5% 
英国   2.6兆円  1.4%
ドイツ   9.4兆円  3.3%
フランス 3.0兆円  1.3%
中国  54.0兆円 13.3%
日本  75.5兆円 14.9%
(出所)『日本経済新聞』2009年2月19日。

 表2の数字を見れば、日本の景気対策は、金額で米国を上回り、GDP比率で中国よりも大きな数値である。これで世界最初に景気回復ができないとすれば、日本政府の財政出動の効率性が低いことを意味する。このような観点から現政権を見れば、前担当大臣が世界に醜態をさらしている場合ではない。

 次に直感的に言って、米国の景気対策の規模は中国や日本に比べて小さい。昨日は、米国が主張する市場経済が「ご都合主義」と指摘したが、他方、「米国=市場経済の本舗」を堅持しようとすれば、財政出動は最小限にしなければならない。このような躊躇があるから、景気対策の規模が中途半端になっているのではないか。

 そうであるとすれば、米国経済の回復は時間がかかる。それは世界同時不況の長期化を意味する。最悪のシナリオである。他方、この金額が米国にとって必要最小限の景気対策の規模であり、景気回復を達成できたとすれば、さすがに財政を効率的に運用する米国ということになる。最善のシナリオである。米国の真価が問われている。

 さて中国は、アジア諸国の中で圧倒的な金額である。GDP比も日本に次いでいる。この中国の景気対策に注目した論文が、前掲のカ=リュウ氏である。 (以下、続く)

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