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2009年2月 7日 (土)

東大阪市「モノ作り」の現場を訪問(1):製造業の系譜と中内功の「革命」

 2月5日(木)に私のゼミ学生10名を同行し、東大阪市の株式会社・中農製作所クリエイション・コア東大阪を訪問した。そこで学生に伝えたかったことをここで述べる。
 http://www.nakanoss.com/index.htm
 http://www.m-osaka.com/jp/index.html

 これまでに日本経済が成長してきた原動力は製造業であるし、その基盤を中小企業が構成してきたことは間違いない事実である。明治時代からの日本の経済発展を振り返れば、繊維・縫製、軍需、造船・鉄鋼、自動車・家庭用電機という系譜がある。これらは国際競争力という観点から見て、その時々で「世界一」の品質や技術を達成してきたとみなされる。

 経済発展や国際競争力の文脈の中で「軍需産業」を語ることに批判があると思われるが、たとえば第二次世界大戦におけるゼロ戦や戦艦大和は少なくとも当時の製造業の最高技術を結集した「世界一」の製品であろう。こういった歴史の流れを見ると、その時代時代において日本が世界に輝いた主要産業がある。その中で共通している産業は製造業である。

 数年前から「金融立国」と言われたが、それが実現できるかは今日の世界不況の中で極めて疑問である。日本の小売業・サービス業において養われた「おもてなし」といった顧客満足サービスは「世界一」であると思うが、日本の小売企業が世界を席巻するという状況ではない。日本で開発されたゲームやマンガが世界的に人気であるが、それが持続的・主導的になるかどうかは今後の課題であろう。

 自動車・家電に次ぐ新しい製造業の動向を見れば、日本が「省エネ技術」で「世界一」になれるかであろう。これら製造業の「世界一」の基礎を支えてきた主役は、精密・高品質の部品産業であり、それが中小企業である。日本の中小規模の製造企業は以前に「下請け産業」と言われてきたように思うが、最近は「すそ野産業」と呼ばれるようになっている。私は、その英語訳である「supporting industry」がより適切な表現であると思う。これは、「組み立て産業」を支援するという狭い意味だけではなく、「日本経済を支持する産業」という意味が含まれているからである。

 フリーターとしてコンビニで働くことが、中小企業の「モノ作り」よりも魅力的に思われる。私の勤務先の流通科学大学は、このような意識の社会人を育てる大学ではない。私は、経済活動の基本である製造業に対して消費者・顧客のニーズを届けられる学生を育てたいと考えている。

 製造企業が自己本位で開発製造した製品を定価で販売するシステムに対して、消費者に直結した小売業の立場から異議を申し立て、それに「反逆」し、そして「革命」を志し、それを達成させた人物が中内功(流通科学大学創設者・ダイエー創業者)にほかならない。

 その「革命」の精神は、けっして製造業を軽視するものではない。製造業あっての流通業・小売業である。製造あっての営業やマーケティングである。中内功は、日本の製造業における「旧体制」を批判したのであって、製造業それ自体を批判したのではない。このことを学生に伝えたい。そのためには日常に接することができる小売業よりも、時間と交通費をかけて製造業を見学することが効果的ではないか。私には、このような訪問の意図があった。
(以下、続く)

 

 

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