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2009年2月 2日 (月)

ベトナム報道の偏見と先入観:『朝日新聞』の記者に問う(7・最終回)

 以下では、これまでに紹介した『朝日新聞』の論点の残りの部分についてコメントする。

 sad「世界銀行や仏などが09年に総額約50億ドルの支援を決めた昨年12月上旬の対ベトナム支援国会議で、日本政府は新規の円借款を凍結する方針を表明した。」「凍結中の円借款約650億円は、15年開業を目指すハノイの地下鉄建設などにあてられる計画だった。凍結が長引けば、開業時期がずれ込む可能性もある。」

  この凍結の原因は、日本側の英断と評価されるべきことである。ODA資金の贈収賄についてベトナム側の厳しい対応を求める意図があるとみなされる。

 日本の大手建設コンサルティング会社PCIが、ホーチミン市人民委員会幹部に82万ドルを提供したという内容である。2009年1月30日に判決があり、裁判長は判決理由で、「国際商取引における競争の公平性を害した。わが国のODAや海外コンサルタント業界に対する信頼を損ないかねず、結果は重い」と批判。一方、「高額な現金供与は(現地高官の)法外な要求による面が大きかった」とした(『産経新聞』2009年1月30日)。
 http://news.nifty.com/cs/headline/detail/sankei-m20090130014/1.htm

 この日本の判決より以前にベトナム側の担当者の処分は終わっているが、再発防止の対処を日本側が求めている。それまではODAを凍結するという立場である。これに対してベトナム側も真剣に対応し、さらに友好関係に支障がないように日本側も配慮している。今週に予定されている日本の皇太子のベトナム訪問もその一環とみなせないこともない。

 ODAの凍結という深刻な問題ではなく、再開のタイミングの問題であると私は理解しているが、もちろん贈収賄に厳しく対処することは当然である。日本の血税による贈収賄は世論が許さない時代になっている。友好関係に重大な影響を与える可能性がある。

 wobbly「世界金融危機の影響も懸念される。・・・『海外からの直接投資やODAは減る』と予想する。j実質GDP(国内総生産)の成長率は、07年の8.5%から08年は6%台前半に減速する見通しだ。」

  これは指摘の通りである。私見では、そうだからと言ってベトナム経済の成長力が衰退するとは思われない。たとえば身近な例で言えば、今でも日本の不動産や株式を購入する日本企業・日本人がいる。企業全体が悪い悪いと言っても、個々では儲かっている企業がある。これは日本もベトナムも同様である。

 happy02「『成長を続けるには、外需頼みから脱し、貯蓄を殖やし国内投資を担う金融面での体制を整える必要がある』。ベトナム国家銀行のチーフアドバイザーを務める日本銀行の鉢村健参事役は指摘する。」

  私見では、ベトナムが「インフラ未整備」と言われる限り、内需拡大の傾向は続くであろう。また株式市場の黎明期の「バブル崩壊」の経験は、新しい成長期の準備であるとみなされる。残念ながら私の記憶に頼るしかないのだが、2000年初頭に導入された郵便貯金は健全に発展していると想像される。政府による銀行や証券会社・証券運用会社の管理も厳格化されている。時間は必要であろうが、ベトナムの金融市場は良い方向に向かっていると判断される。

 以上、やや長期の連載であったが、ベトナム投資の「黄信号」についてコメントした。自動車法規と違って投資の場合は、「黄信号」は「停止」ではなく、「注意して進め」である。これが私の見解の要点である。

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