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2009年2月 8日 (日)

東大阪市「モノ作り」の現場を訪問(2):感謝の気持ちから生まれるもの・・・

 大人気コミック・富樫義博『ハンター×ハンター』で「感謝の正拳突き:1日1万回」(第25巻、N0.265)という話が出てくる。「感謝」は若者の中で「死語」にはなっていない。 

 東大阪市の中農製作所の中農社長は、次のように述べられた。日常生活のすべてのモノは人間が作ったもので、それも1人の人間が作ったわけではない。しかし1人の人間でモノは簡単に壊すことができる。多くの人々の手を通して作られたモノを大切にする気持ちは、ほかの人間に対する感謝の気持ちから生まれる。

 こういった感謝の気持ちは、モノ作りの原点であると思う。つまり自ら感謝するから、逆に感謝される仕事に誇りをもてるということである。モノ作りについて自信と誇りをもつ。この気持ちがあればこそ、品質向上やコスト削減に向けた改善ができる。ただし私見では、そういった仕事に対して、より多くの報酬が伴ってもおかしくない。

 たとえばベトナムで「すそ野産業」の育成といっても、そこで生産された部品が組み立て大企業から「買いたたかれる」ことがあれば、だれも好き好んで部品生産をしないだろう。こういった労働・生産システム全体の将来を見据えた構想の構築が、ベトナムのすそ野産業の育成では留意されるべきである。

 中小企業で働く魅力についても、中農社長は指摘された。大企業と違って従業員一人ひとりがわかっている。お互いの個性を尊重しながら共に成長できる。いわば全員参加の経営ができる。これは人間としてやり甲斐のある仕事である。

 クリエーション・コア東大阪では、東大阪市を中心とする企業の最新技術や製品の常設展示場を見学した。この展示場から商談に発展することもあるのだから、外国からの訪問者も多いそうである。中小企業の街といえば、東京都・大田区が思い浮かぶが、そこでは主に下請け企業の性格が強い。これに対して東大阪市は独自技術をもった「オンリーワン」の中小企業が多いそうである。

 産学連携オフィスには、15大学・1高専(大阪工業大学・大阪産業大学・大阪大学・大阪商業大学・神戸芸術工科大学・大阪電気通信大学・大阪府立大学・東北大学・関西大学・近畿大学・関西学院大学・同志社大学・龍谷大学・奈良先端科学技術大学院大学・立命館大学・国立奈良高専)が、産学連携のためのオフィスを構えている。

 私の提案であるが、東大阪市そしてクリエーション・コア東大阪が、ベトナムの「すそ野産業」育成支援に連動して技術移転・生産移転の指導力を発揮できないのであろうか。それが積極的にできない理由は、それが実現すれば、東大阪市に「産業空洞化」が発生するからである。それでは、そうならないように東大阪市が工業団地をベトナムに建設し、その売却益と管理料を市の収入にすればよい。東大阪市にベトナム人従業員の研修施設を建設すれば、それは人口増加にもなる。

 学生と共に2つの企業と施設を見学させていただき、こんなことを考えながら帰宅した。率直に言って、せっかく優良な企業があり、立派な施設があるのに、それがもっと評価され、もっと成長拡大してもよいと思った。

 一般に、今回のような世界的な経済不況時には、既存の施設・技術・人材・資金を最大限に効率的に活用するという視点が不可欠であると思う。そのために必要があれば、法律や規制や慣行を変更する。こういった大胆な変革を早急に実行しなければ、日本経済の劣化は回避できないであろう。

 以上のような大胆な改革の期待が、大阪府の橋元知事の高い支持率に表現されていると思われる。ただし同様に、政治改革に対する期待によって人気の高かった小泉元総理大臣からの教訓を忘れてはならない。

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