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2009年1月19日 (月)

ベトナムの経済危機は本当か?:大阪のベトナムセミナーから(2)

 今回のセミナーの注目点は、配付資料を見る限り、昨年のベトナム経済に関する否定的な一連の報道が、果たして本当かどうかということであった。これについて荒川研・ジェトロ投資アドバイザーが次のように説明されているので紹介する。

 昨年のベトナム経済に関する報道は次の3点に要約される。注:以下は、荒川研氏の資料に基づくいて、筆者が敷衍したものである。

(1) 株式の暴落、貿易赤字の拡大、インフレの進行等でベトナム経済は変調をきたしている?
(2) ベトナム発の経済危機の可能性?
(3) ベトナムは未曾有の経済危機?

 これらに代表される報道は、果たして本当なのか?荒川さんは次のように反論される。

 株式の暴落:ベトナム株式市場は、先進国の株式市場とは全く比較できないほど、その規模は小さい。ハノイ証券市場・ホーチミン証券市場と合わせても約300銘柄である。したがって金融経済が実体経済に及ぼす影響は小さい。

 私見では、ベトナム株式市場の設立は2001年。民間の金融機関が本格的に活動を始めたのもその時期である。それ以前は、「タンス預金」と民間・親族の資金融通であった。金融機関に対する信頼が低いことが理由であった。これは、表面的な金融動向の背後にある「奥深い」金融制度が依然として存在していることを意味する。その代表は「越僑」(海外在住ベトナム人)からの送金であろう。

 貿易赤字の拡大は鈍化し、しかも外貨準備によって対応可能な水準である。実際、2008年1~5月の貿易赤字が144億ドルで、2007年通年の貿易赤字141億ドルを超えた。その大部分は発展途上国では当然ともいえる機器・資材の輸入分であり、さらに外貨準備高が212億ドルを考慮すると、問題とならない。さらに1~12月の貿易赤字は175億ドルであり、赤字幅の増加額は鈍化している。

 インフレは抑制されつつある。2008年9月の消費者物価指数は前年同月比27.9%であったが、12月には19.89%に低下した。主な内容は、食品・食糧である。ハノイ市やホーチミン市等の大都市では、流通革命が始まり、卸や仲卸業が出現したことが主要因である。単純に市民生活が逼迫しているというよりは、市場経済、とりわけ流通分野の発展を意味している。

 世界経済危機の影響は、より具体的には米国・日本・EU等の景気悪化によってベトナムの輸出額が減少することである。この影響は存在するが、私見では、ベトナムの内需拡大と周辺国(ラオス・カンボジア)投資によって輸出減少は補填できると思われる。

 私見では、ベトナム経済は成長率8%台から6%台に低下すると言われているが、けっして成長率6%台は低い数字ではない。世界経済危機に巻き込まれた日本は、このベトナムの成長率と連動することを考えればよい。円高・ドン安は投資の好機である。ベトナムと共に成長する。この判断と決断が求められる。

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