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2009年1月16日 (金)

日本企業における「株主重視」経営の意味:企業が「企業重視」の経営をする?

 日本経済のグローバル化の進展によって、また1990年代のバブル崩壊後の株価低迷によって、日本企業において外国人株主が急増してきた。また最近では、投資ファンドが株式取得を通して企業経営に対して「発言」するようになってきた。このような状況になって、日本の企業経営者は株主を重視した経営に舵を切るようになったと言われている。

 この「株主重視」の経営とは、具体的に言えば、配当金を増やしたり、株価を高く維持したりすることである。そのために企業業績が最優先されるために、コスト削減が求められる。その方法の一環として人件費の削減が企図され、中高年従業員の人員削減(早期退職=「リストラ」)が実施され、さらに今日の社会問題となっている派遣・非正規の従業員を増加させることになった。

 ここで具体的な事実を見れば、日本の株式市場における過半数の株主は法人である。その中には事業法人と機関投資家が含まれているが、そのいずれもが安定株主として企業経営者の地位を安定化する機能を果たしている。株主総会で賛成票を通常は投じる役割を果たしている。その典型は株式相互持ち合いである。お互いに賛成票を投じて、経営者の地位を相互に保全する。これは「なれ合い経営」・「無責任経営」の温床である。

 このような日本の現状を考慮すれば、日本企業における「株主重視」の経営とは、その主要株主が法人であるから、「法人株主重視」の経営である。より簡単に言えば、「法人株主重視」の経営とは「企業重視」の経営に他ならない。

 より端的に言えば、オーナー経営の会社が「株主重視」の経営を主張していることに似ている。経営者が、その会社の株主でもある自分を重視する経営をする。こんなことを公言すれば、従業員の反発は必至である。日本の大企業で「株主重視」と言えば、これに類似したことを意味するのではないか。ただし相違点は、ある企業の経営者と、その企業の大株主である企業の経営者が別人ということである。しかしこの場合でも「経営者がほかの経営者を重視する」と言うことができる。

 企業が「企業重視」の経営をする。経営者がほかの経営者を重視する。その論理の中には、従業員・消費者・顧客・地域住民といった利害関係者は含まれない。派遣・非正規従業員の解雇は当然という帰結になる。さらに言えば、企業重視の経営であるから、たとえば食品業界における「食の安全」といった消費者の観点も欠落する。

 私は「株主重視」の経営に反対するわけではないが、より正確に「個人株主重視」の経営を推進してもらいたいと思う。法人株主は、その保有株式を売却して、その資金を本業に使用するべきである。会社が会社の株式を所有する。この意味が不明である。企業グループの形成のためなら、その中核に持株会社を設置すればよい。現代企業において、こういった問題が問われているのではないか。

 以上は問題提起である。私自身が今後も検討したい課題である。

  

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