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2009年1月23日 (金)

企業論の後期試験:試験問題を一緒に考えて・・・

 23日(金)は私が担当する「企業論」の後期期末試験の日であった。その中の問題の一部を紹介する。『日経ビジネス』(2009年1月5日号、45頁)を教材に使用し、それを試験問題のために編集した。問題は全部で50問。時間は60分。教科書・資料・ノートの持ち込みは禁止である。教科書は、佐久間信夫編『よくわかる企業論』ミネルヴァ書房(2006年)を使用している。

 解答はマークシート方式。以下の問題に挑戦してみてください。

 問題: 二宮尊徳は、経済的な利益と道徳を不可分のものとする思想を提唱し、それが北京大学の日本文化研究所でも注目されている。(43)~(46)に該当する適当な言葉を①~⑤の中から選択して解答欄にマークしなさい。

 19世紀のドイツの社会学者マックス・ウェ-バーは、ドイツに比べて英米の資本主義への移行と経済発展が早かった理由として、(43)に由来する合理性と、その合理精神に支えられた(44)があることを指摘した。

 これに対して、日本の経済発展の原動力や日本人の勤勉性の理由は、二宮尊徳の思想であると考えられる。松下幸之助が「道徳は実利に結びつく」と述べ、それ以前に二宮尊徳が「道徳なき経済は(45)であり、経済なき道徳は寝言である」という言葉を残した。

 最近の世界同時不況の原因が、米国の実体経済から乖離した(46)によって発生した「バブル」の崩壊であることを考えれば、これらの指摘は今後の企業経営のあり方を考える場合に傾聴に値する。

(43)①カソリック信仰 ②プロテスタント信仰 ③利己主義 ④株式会社制度 ⑤フロンティア精神
(44)①人材育成 ②経営戦略 ③官僚制 ④職業倫理 ⑤経営者支配論
(45)①理想 ②犯罪 ③空虚 ④騒音 ⑤煩雑
(46)①M&A ②コラボレーション ③イノベーション ④マネーゲーム ⑤コンプライアンス

解説 こういった道徳=経営倫理が企業経営者に欠如すれば、市場経済の暴走を管理するための規制が必要となる。この規制は各国の自由裁量ではなく、経済がグローバル化している現状を考慮すれば、世界共通の規制が必要となるであろう。

 たとえばWTO(世界貿易機関)・IMF(国際通貨基金)・世界銀行などの国際機関が、市場メカニズムの世界的な規制・監視機関に進化・転化することを期待したい。しかし、その規制内容が各国の利害に直接関与するので、すべての国が合意することには困難が伴う。

 そうであるなら、現在の世界同時不況は今後も再発することを意味する。それでは「人類の進歩」は幻想である。市場経済の暴走を制御することは不可能なのであろうか。上記の「道徳」は、ひとつの有力なアイデアである。二宮尊徳は過去の人と思われるかもしれないが、そういった歴史から学ぶことなしに未来の展望は見えてこない。

 

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