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2009年1月 3日 (土)

ラオスは「オランダ病」に感染した?:広島修道大学・豊田利久教授の診断

 ラオス通貨(キープ:KIP)の対米ドルの為替レートが上昇傾向にあり、1人当たりの国民所得もカンボジアを抜いてベトナムに迫ろうとしている。これは豊富な天然資源(金・銅・電力・・・)を輸出した成果である。

 このことについて、広島修道大学(前・神戸大学)の豊田利久教授は、完全な「オランダ病」と診断している。豊田先生には、2001年の私のラオスJICA専門家の滞在時からお世話になっている。先生からの年賀状にラオスについて、このように指摘されていた。

 この「オランダ病」とは経済用語である。1970年代にオランダが天然ガスを輸出して社会福祉を充実させたが、その後に財政赤字になったことが、この用語の起源である。天然資源の輸出によって国家財政が一時的に潤って通貨高となる。その時に製造業の国際競争力が十分でなければ、製造業の輸出品が伸び悩む。その後に天然資源の市況や枯渇によって国家財政が赤字=破綻に転換する。 

 昨年から私もラオスのキープ高の原因が気になっていたが、それは米ドル価値の下落の反映であって、貿易高が最も多いタイ通貨のバーツに対してはキープ高とみなされないと指摘されており、それに私も納得していた。しかし豊田先生による「オランダ病」の診断は確かに注目しなければならない。

 来年10月に予定されているラオス証券市場が開設されると、米ドルが大量に流入することは間違いない。これに伴って、さらなるキープ高が加速されることは必至である。このキープ高は、ラオスの人件費や輸出価格の国際競争力を低下させる。この対策として、それを補填するほどの生産性向上や輸出促進のために、証券市場で調達された資金が有効に使用されなければならない。

 ラオスの場合、上場予定企業のほとんどが国営企業もしくは国営企業との合弁企業であるから、株式公開による利益は国家財政の収入となる。この収入が、上述のようにラオス経済の「オランダ病」の予防薬として使用されるかどうかが、ラオス経済の将来を決定する重要な分岐点である。

 日本や韓国のような資源不足国の国民は勤勉に働く。ラオス・カンボジアは共に天然資源の宝庫である。したがってラオス・カンボジアの国民は勤勉ではない。この単純な三段論法を論破するためにどうすればよいか? 実際には、天然資源の多寡と国民の勤勉性の高低の間には、いくつかの前提条件が存在している。「オランダ病」 の処方箋を考えるためには、このような問題も検討しなければならない。

 ラオス=「オランダ病」の分析視点を頂戴した豊田先生に感謝を申し上げたい。

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