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2009年1月20日 (火)

ベトナム報道の偏見と先入観:『朝日新聞』の記者に問う(1)

 『朝日新聞』(2009年1月16日)に「ベトナム投資 黄信号」という記事が掲載された。

 すでに紹介したように、去る1月14日に大阪ヒルトンホテルでベトナム投資セミナーが開催されたばかりである。そのセミナーでは、ベトナム経済が健在であることをジェトロハノイセンターの荒川研・投資アドバイザーが指摘した。それに対して、まるで「冷や水」を浴びせるように、この記事が掲載された。

 全国新聞の影響力を考えれば、この記事の見出しは問題である。ベトナム投資の不安を扇動して、この朝日新聞の記者は何を意図しているのであろうか。ベトナムに関係して30年にもなろうとする荒川さんに対して、私でもベトナムと関わって今年で15年になるが、この記者は、どれほどベトナムについて熟知しているというのか? 

 もっとも、こういった批判は感情的である。研究者はもちろんジャーナリストであるとすれば、少なくとも事実と論理に基づいた議論の展開が不可欠である。徹底した事実と論理の追究が、物事の真実に迫る。先入観に基づいた偏や、結論先にありきの議論は「真実」を曲解することになる。

 ベトナムについての代表的な先入観は、「ベトナム=共産党一党独裁=非民主国家」という論理である。この先入観の誤りについては、本ブログで何度も紹介している。ベトナムの民主主義は確実に着実に拡大している。

 さらにベトナムに対する典型的な先入観としては根強い「反共主義」がある。「共産党」という名称を聞くだけで拒否感・嫌悪感・反感を抱く人々が依然として多数存在している。これも「事実と論理」から逸脱した議論や結論を生み出す懸念材料である。

 せっかくのビジネス好機がベトナムにあるにもかかわらず、経営者の先入観や偏見によってそれを見逃すことは、株主から経営責任を問われる問題である。すべての利害関係者に対して説得力をもった事実と論理に基づいた意思決定が企業経営に求められている。

 もちろん「リスク」に対する客観的な認識は不可欠である。しかし、これまでベトナムについて10年以上見てきたが、リスク、リスクと言われながら、それを切り抜けてきた柔軟性がベトナムにある。

 このような観点から、上記の『朝日新聞』の記事を検討することにしよう。(以下、続く)

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