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2008年11月18日 (火)

ベトナムで外資100%銀行が認可された背景

 少し古いニュースになるが、ベトナムの金融市場が外資に開放された。より正確に言えば、ベトナムのWTO加盟時の約束に従って、100%出資の外国銀行設立をベトナム中央銀行が認可したのである(『日本経済新聞』2008年9月15日)。

 この銀行は、英銀大手のHSBCとスタンダード=チャータード銀行である。同報道によれば、「今後も順次、100%出資を認める方針とされる。外資が本格進出すれば、収益力の弱い中小行などが金融再編の対象になる可能性もある」。

 この両行が認可されたことの背景は何か。両行は、すでにベトナムで操業の実績をもっている。今回の100%外資化によって自由裁量の経営展開ができる。新たな競争の導入によって、ベトナムの銀行業全体の経営効率化とサービス向上が促進される。これはWTOの趣旨にも合致している。

 他方、ベトナムにおける銀行の問題として、私は不良債権の問題を指摘してきた。昨年からの不動産価格の上昇を加速したのは銀行融資であり、現在、不動産価格の下落によって、その銀行が不良債権を抱え込んでいると想像される。こういった不良債権処理をする適当な会社がベトナムに存在していない。そうであるとすれば、今年度の第4四半期の決算を前にして、銀行の経営破綻が発表されるのではないかと私は懸念している。

 認可された二行は、今回の世界同時金融危機の影響が大きくない(『日経ビジネス』2008年10月20日)こともあり、この時期にベトナムに積極的な進出する。このように考えられる。では日本の銀行はどうか? 日本の銀行も経営状態は悪くないはずである。ベトナムにおける東京三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行の動向はどうなっているのか? 気になる問題である。

 以上のことから推理すれば、100%外資銀行が不良債権を抱えたベトナム銀行を買収するというシナリオが考えられる。つまり不良債権を処理するために外資銀行が利用されるのである。『日本経済新聞』の報道では、「収益力の弱い中小行などが金融再編の対象」と指摘しているが、これは一般的な説明である。

 実際には、より具体的で緊急性のある銀行の不良債権処理がベトナム金融再編の「引き金」となり、その「主役」として上記のHSBCとスタンダード=チャータード銀行が抜擢されたのではないか? 日本のバブル崩壊後の日本の銀行の不良債権処理は、欧米系金融会社の独壇場であったと聞いている。ベトナムでも、その歴史が部分的に再現されるのかもしれない。今後の事実の推移によって、この推理が検証されるであろう。

 

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