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2008年11月 2日 (日)

2008年度・VJCC「ビジネスコース」講師研修(2):理論から実践に

 今回のJICA研修の成果報告会で、「日本センター」における講義について研修生から次の指摘があった。これについて以下で紹介する。それは、ベトナム進出の日本企業がベトナム人の管理職や従業員に指導する場合にも共通した問題点である。

 ベトナムのビジネスコースにおいては、日本人講師もベトナム人受講生に対して講義している。それらの講義の内容は非常に有益であるが、その知識を実際に応用する場合に何かが不足している。その「不足しているもの」は何か? つまり理論と実践を結び付ける要因は何かという問題である。

 A先生lovely:ベトナム人には「もの作り」の精神が欠如している。生産または仕事の品質に対する「こだわり」が欠けている。「まあ、こんなもんでよいだろう」と勝手に妥協する。

 B先生sad:ベトナム人受講生は整合性・全体像を見ることができない。部分的な知識を学んでも、全体を理解していないから、その知識を実践に適応する場合、それは部分的であり、結局は成功しない。

 C先生happy01:受講生は経営責任者ではないので、職場に帰っても、それを実行する権限がない。結局、知識が無駄になってしまう。

 D先生coldsweats01:権限のない人が受講生の場合が多い。たとえ権限がある人が受講生であっても、これまでの通常の仕事に追われて、新しいことをする「お金」や「時間」が不足する。

 以上、いずれも鋭い的確な指摘である。さすがにベトナム屈指の名門大学・貿易大学の先生だと感心してしまう。どの意見も、すべて当たっている。しかし私は、次のようにコメントした。

 私見では、ベトナム人が実践上で不足しているものは、熱意・情熱・思い入れ・意欲・執念・信念といった心理的要因である。ベトナムや日本を問わず、世界中で成功した起業家そして企業経営者に共通した資質は、こういった心理的なエネルギーを所有していることであると考えられる。現在でもベトナムの企業経営者の中の成功者は、こういったエネルギーをもっているはずである。そのためには、たとえば経営者が自ら「率先垂範」することが重要である。

 こういった心理的エネルギーを発揮するためには、将来の夢や理想を全社的に共有していることが重要である。これは経営理念と言ってもよい。また逆に共有することは、会社存続の危機感といったマイナス要因であってもよい。いずれにせよ、こういった心理的エネルギーを発揮するための「風土」もしくは「仕組み」を社内に醸成しておくことが求められる。

 私は、以上のようにコメントした。たとえば大企業から独立して自分で会社設立したベトナム人は、必ずしも当面は高収入を目的としていない。自分のやりたい仕事をするため、さらに自己実現のために仕事に熱中する。こういう人々を支援することが、ベトナムの企業成長さらに経済成長にとって最も効果的であると思われる。国営企業のサラリーマン経営者は、いくら優秀であっても、その仕事に対する心理的エネルギーは不十分ではないか。

 政府の政策に期待するのではなく、自らが主体的に工夫する。日本のODAや支援に依存するのではなく、自らが率先して改革の仕事に取りかかる。こういった姿勢や発想がベトナムの政府および企業に最も必要とされているのではないか?

 この意味では、ベトナムの「日本センター」ビジネスコースでは、民間企業の起業家を対象にしたビジネス教育が最も効果的であり、それがベトナムで最も必要とされているように思われる。そういった研修を受講した上場候補の企業に対して、民間の投資ファンドが積極的に資金援助をすればよい。そうすれば、そういった企業を発掘するコストが投資ファンド側も節約できる。これこそ官民連携の新しいスキームではないか? 今回の研修を通して、このような提案を私は考えた。

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