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2008年11月17日 (月)

世界同時不況下のベトナム経済:最悪のシナリオ

 先週の土曜日(15日)に既報であるが、大阪市・本町で「ベトナム・ドバイ・ヘッジファンド投資セミナー」があった。

 主催者を代表して、金融商品仲介業・ユニバーサル・マネーコンシュルジュ株式会社http://www.aru-aru43.com)の代表取締役・北野明信氏が挨拶をされた。この金融商品仲介業については、ぜひ上記のHPを参照していただきたい。2004年から認可された新たな投資家向けの金融サービス業である。

 このセミナーで私は、今後のベトナム経済やベトナム株式の見通し、さらにカンボジアやラオスの株式市場開設の進捗状況を話した。いつもベトナムについて私は「楽観論」ばかりなので、以下では「悲観論」を紹介してみよう。

 世界同時経済不況の中で、ベトナムの直接投資と間接投資の両方が停滞することが想定される。対米輸出の減少を始めとして輸出全般が縮小する。外貨を稼ぐ輸出企業を保護するために政府は「ドン安」を誘導するが、これは輸入価格の上昇を意味する。これはインフレ抑制に反する。この微妙な政策調整が難しいのではないか。

 また、いわゆる「すそ野産業」が十分に発展しない場合を考える。これは、ベトナム製造業における原材料・部品の国内調達が不十分なことを意味する。そのまま2015年のASEAN経済統合に突入すれば、無関税の原材料・部品がASEAN周辺国や中国から輸入される。外貨獲得のために政府が輸出企業を支援するとしても、輸出が増加すればするほど原材料・部品の輸入も増加するから、思ったよりも貿易黒字にならない。その結果、外貨準備が増えない。

 これは韓国経済の状況に似ている。貿易黒字で外貨を稼いでも、対日貿易は常に赤字である。製造部品を日本から輸入しているからである。韓国人の中には貿易黒字なら、対日赤字を気にしなくて良いという人もいるが、経済活動の根幹を日本に依存していることは事実である。総じて外国投資に依存した韓国経済は、今日の「ウォン安」や1997年の通貨危機を見ても理解できるように不安定である。

 農産物・水産物の加工輸出において、今日の中国のような状態が発生する可能性もある。「ベトナムよ、お前もか」とベトナム食品の信頼性が喪失する。さらに10月末にハノイを襲ったような自然災害が頻発することもありうる。以上の状況に対して政府の対策は後手に回る。国営企業の改革が進まず、自国の天然資源の「切り売り」状態で輸出を促進し、それによって外貨を獲得するが、いつか天然資源は枯渇する。

 以上の悲観的なシナリオの実現を回避するためにベトナムは何をするべきか。その実行はベトナム人に依存する問題である。ただし私見では、ベトナムは危機に対する強靱性・耐久性がある。ベトナムの民間組織である「祖国戦線」を中心にした国民運動が発動されれば、世界で最も愛国心をもった国民は、おそらく大部分の危機を克服するのではないか? 悲観論を言いながら、やはり最後は楽観論になってしまった。

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