« 新しい投資ファンドの考え方:世界同時株安の影響 | トップページ | ラオス証券市場の開設:その最新の進捗状況は? »

2008年10月19日 (日)

ベトナム株式市場は「はしか」に感染した:マネーゲームの教訓

 新規株式公開(IPO)前の株式を取得し、それが店頭市場や上場市場で売買されることによって株価が上昇する。株式市場で儲かる典型的なシナリオである。

 ただし、これまでのベトナムの経験では、このような過程を必ずしもたどっていない。IPO時の入札価格よりも、その後の株価が下落することが頻繁に発生していた。

 私は、この理由について、ベトナム人個人投資家が、現実の企業価値以上の高値で入札するためであると指摘してきた。また、ベトナム現地法人の投資運用会社ロータス社のファンドマネージャーのタイ社長なども同意見であった。

 しかし考えてみれば、IPOで調達した資金が有効に使用されていれば、その後の企業業績は向上して株価も上昇するはずである。それが実際には、そうなっていないということは、投資家側だけでなく、株式発行主体である企業側の資金使途にも問題があると指摘しなければならない。

 ベトナム株式の昨年までの株価高騰は、単に個人投資家のみならず、発行主体である企業もマネーゲームに参加したと言えるのではないか? 資金調達の必要性が当面は特にない企業が、とりあえず株式ブームであるから株式公開して一儲けしようと考える。その調達資金を経営者や従業員の給与や遊興に使うが、それだけでは資金が使い切れないから、流行の不動産会社や証券会社でも設立しておこうかと考える。やや極端であるかもしれないが、昨年の株式ブームについて、こういった説明ができないこともない。

 株式発行によって調達した資金を何に使うのか? この最も単純で重要な問いかけが、すべての上場をめざす企業になされるべきである。本業から離れた事業に投資するというような企業は、資金調達という株式市場の本来の機能から自ら逸脱して、単なるマネーゲームに参加した企業であると言えば、それは言い過ぎであろうか? 将来の経営計画を吟味し、その内容と調達資金に適合性があるかどうか判断する。これが、ベトナム未公開株式を取得する場合の大前提である。

 ベトナム企業やベトナム株式市場は、ベトナム個人投資家と同様に、まだまだ未熟で幼稚である。また政府の株価対策においても、自社株取得の容認などという知識はあるものの、その実施は有効でなかった。このように考えれば、昨年から今年の株価下落は、いわば「子ども」が感染する「はしか」のようなものである。そういった苦しい経験を一度は経て、ベトナムの市場も投資家も企業経営者も、そして政府も成長し、一人前の「大人」になるのではないか?

 以上、ベトナム株式市場を先進国の市場と同列に考えると、それはミスリーディングな判断を招くことがあるので注意である。子どもは幼く未熟であるから子どもなのである。ただし大人の想像以上に強い生命力成長力をもっているという側面もある。

|

« 新しい投資ファンドの考え方:世界同時株安の影響 | トップページ | ラオス証券市場の開設:その最新の進捗状況は? »