« 国際的な資金流通システムを整備せよ:金融危機からの教訓 | トップページ | ベトナム経済について2つの記事(2):株式市場における3つの懸念材料 »

2008年10月15日 (水)

ベトナム経済について2つの記事(1):直感的・皮相的

 ベトナム経済について、大前研一氏が、「米「破綻連鎖」で中国・インド・ベトナムが大失速 日本は「10年不況」に備えよ」と述べている(大前研一「ビジネス新大陸」第186回「ジャングルで勝ち抜く戦闘力をつけろ」『週刊ポスト』2008年10月24日、p.72)。

 「まずアメリカがこけたら、世界で最初にこけるのは、アメリカ経済と深くリンクしてきた「中国」と「インド」である。すでに中国経済は全土で失速しているが、なかでもアメリカ向けの商品を中心に作っていた広東省の落ち込みがひときわ激しい」。・・・・・・「その次はベトナムだ。先進国は、あまりにも中国に工場が集中したためベトナムにヘッジをかけていたが、中国が空いてきたので、もはやベトナムを押さえておく必要がなくなっている」。

 まあ何と、直感的・皮相的なコメントであろうか。どうせ電車の中や待合室で読まれるのだから、単純なメッセージで十分というのだろうか? 確かにベトナムのアメリカ輸出が最近急増しており、アメリカ経済の失速はベトナムに負の影響がある。しかし全方位外交を堅持し、食糧と資源の輸出国であるベトナム経済に大きな後退はありえない。ベトナムからカンボジア・ラオスの周辺国にも経済発展が波及している。今後のベトナム国内需要の拡大も十分に期待できる。

 アメリカの経済失墜がベトナムに波及し、アメリカがベトナムを道連れにする。ベトナム戦争に負けたアメリカが、こんな形でベトナムにリベンジする・・・。与太話としては面白いが、現実にはありえない。まだまだベトナムは発展途上の国である。ベトナムの発展余力は、世界経済後退の影響を補って余りある。昨年のWTO加盟後、ベトナムは中進国になっていると私は指摘したことがあるが、それをより正確に言えば、「なった」のではなく、「なりつつある」。

 ベトナムについて大前氏が注目してくれることは有り難いが、依然としてベトナムは発展途上国である。その年々の成長には目を見張る。世界からのODAに依存する側面はあるものの、ベトナムを始めラオス・カンボジアの発展は継続する。大きな政変や災害が発生しない限り、発展途上国の発展は止まらない。 (以下、続く)

 

|

« 国際的な資金流通システムを整備せよ:金融危機からの教訓 | トップページ | ベトナム経済について2つの記事(2):株式市場における3つの懸念材料 »