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2008年8月 4日 (月)

ホーチミン市におけるPCI社の贈収賄についてコメント(1)

 ハノイからホーチミン市に移動。ハノイでは時間不足だった。親友のベトナム人・ハウさんに会った。「家に来てくれると思っていたのに・・・」と言われて申し訳なかった。初めて会ったときは小学生だった彼のお嬢さんが結婚したので、お祝いをしたかった。彼は、来年に「おじいちゃん」になるそうだ。「月日の経つのは早い・・・」といった話をして、何とかギリギリ(30分前到着)でノイバイ空港の離陸時間に間に合った。

 ホーチミン市のホテルでNHK衛星放送のニュースを見ていると、大手建設コンサルタント会社・PCI(パシフィック=コンサルタンツ=インターナショナル)のベトナム・ホーチミン市でのODA(政府開発援助)資金による贈収賄事件が報道されていた。記者が直接ベトナムから報道しており、さらに元大手商社のOBが匿名で出演していた。本格的な取材である。

 ベトナムのビジネスにおいて、贈収賄が普通に行われているか? この質問は難しい。そうだとも言えるが、それは日本人の常識とは異なる。よくベトナム人は「WIN-WINの関係」でやりましょうと言う。これに日本人も納得するが、この発想はベトナムで伝統的であると思う。簡単に言えば、「お互いに利益を分けましょう」という相互扶助である。ホーチミン市の市庁ぐるみの汚職とテレビで指摘されていたが、受け取ったお金を個人が独占したわけではない。収賄側のベトナムでは日常的である。これまでに私が見聞したことを以下で紹介する。

 第1、大学の講義を休講して、アルバイトで通訳の仕事をする先生がいる。その代講をする先生がいる。アルバイトで得た収入の一部を大学の学科に「供出」して、そのお金を使って学科の教職員で夕食を食べに行く。これをやならいと、アルバイトする先生は同僚から「白い目」で見られる。また代講する先生が個人的に御礼をもらうと、あの2人は「ずるい」といった雰囲気になる。

 第2、寄付金をもらって大学でセミナーを開催する。会議費や資料作成などお金が必要だが、余ったお金はどうするか。手数料として担当者に分配される。通常の給与の範囲以外の仕事だから、それについて報酬は当然という発想である。また、こういった研究会やセミナーに出席するために「お車代」が渡されることも多い。セミナーに出席してお金を払うことが日本では普通にあるが、ベトナムでは出席するだけでお金がもらえる。「有料セミナー」の意味が反対である。この場合、主催者は多数の出席者でメンツが立ち、出席者はお金をもらって嬉しい。・・・・・・そう言えば、これと同じことが政府主催の公聴会で日本でもあった。

 こういったベトナムで仕事をしていると、当然、日本企業も収賄側に立つ。ベトナム企業が仕事を取るために日本企業に接近してくる。たとえばベトナムの事務所の中に飲料水の機械を設置する。熱湯と冷水が選択できるので便利だ。この飲料水タンクを納入する仕事がほしいので「贈収賄」が発生する。つまり商品それ自体が価格や品質で差別化できないので、競争の手段として納入担当者に対する贈賄が発生する。これは小さな実例であるが、こういった「贈収賄」は当然のように行われている。(以下、続く)

  

 

 

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