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2008年7月25日 (金)

関西経済同友会「中国・アジア問題研究委員会」で講演:質疑応答

 猛暑の中、関西担当の外務省・山崎大使もご出席され、昨日に紹介した関西経済同友会「中国・アジア問題研究委員会」の「ベトナムセミナー」が開催された。前・ベトナム特命全権大使の前での話はさすがに少しばかり緊張する。以下、質疑応答の一部を紹介する。

 1.ベトナムの汚職問題をとう思うか?
 ⇒アジア全体を見て、ベトナムは汚職の程度は低いと言える。最近、日本企業を巻き込んだ贈収賄事件が発生したが、それは特例的な事件であろう。ベトナム社会は「贈り物」の習慣は、日本と同様にある。ちょうど、日本の「お中元」・「お歳暮」と同じだ。日本では、こういった慣行をなくすという企業もあるが、ベトナムでも同じように「贈り物」をしないとすれば、ベトナム社会の中に現在のところ適応しないのではないか。

 2.ベトナム政治の将来の展望は?
 ⇒社会主義社会の実現を志向しているが、その社会主義のモデルが旧「ソ連」とか「中国」というようなことはない。独自のベトナム型の発展を志向していると思う。それは、ホーチミン思想からの影響もあると思われる。

 3.労働争議は今後、どうなるか?
 ⇒多くのベトナム人労働者は、労働組合の役割であるとか、「労働法」の知識を十分にもっていないと思われる。その状況で「給料を上げて欲しい」と思えば、自己の判断に依存せず、一部の「扇動者」の言うなりになってしまう。これが現状ではないか。経営者は、健全な労働組合の育成をする。「寝た子を起こすな」という姿勢ではなく、労働者に対して自らの権利や義務についても教育をする。おそらく将来、労使協調型の企業経営が可能であると思う。労働争議は一時的である。

 4.企業における会計監査の透明性は大丈夫か? 株式投資が安心できない。
 ⇒会計監査や株式取引において問題点は多々存在する。これらの問題は、次第に解消される問題である。特に株式売買の場合、コンピュータ取引のシステム化が不十分なことが、不正や事故の発生を助長している。このような改善は、時間の問題である。このような問題点があるからと言って、進出を躊躇していては、「ハイリターン」は獲得できないのではないか。

 5.「すそ野産業」の発展の展望は?
 ⇒中小企業のベトナム進出も活発であり、次第に「すそ野」産業が充実してきたことは間違いない。ただし、「アセアン共同体」の創設や、それに中国が加わった経済統合が2015年に予定されている。関税の撤廃された18億人の巨大市場が出現する。これまでの「すそ野産業」の発想は、一国内で「最終組み立て」を頂点とした「すそ野」産業の形成が理想とされてきた。それが日本の経済成長の原動力であった。しかし「経済統合」の世界では、「すそ野」産業が国境を超えてもよいのではないか。こうした発想の転換が迫られているように思われる。

 以上、多数のご出席を賜り、ご静聴と積極的なご質問をいただいて感謝を申し上げたいと思います。私自身も勉強になりました。

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