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2008年7月10日 (木)

ベトナムの流通事情:消費者行動の分析(下)

 {前日の続き}

 「回答者の大多数は、食料品を伝統市場で購入しているが、回答者の64%は、スーパーの方が伝統市場よりも好ましいと見なしている」(p.28)。「消費者は買い物する商品の品目に応じて、買い物場所を使い分けている」(p.29)。「食品及び非食品の両方で伝統市場が主たる買い物施設であり続けていること、そして、生鮮食品では公設市場、非食品では家族従事の零細店が主たる買い物施設になっている」(同上)。

 「ベトナムの消費者は、自然で新鮮なものほど美味しく、健康的でリスクが少ないと認識しているので」(p.30)、ほぼ毎日のように公設市場かフロッグマーケットで買い物する。「消費者はふつう生鮮食品をまとめ買いしないし、冷蔵庫に生鮮食品を保管しようともしない」(同上)。

 「商品の鮮度へのこだわりが強くて、伝統市場への距離の近い消費者ほど、買い物頻度が高ま」(p.31)り、冷蔵庫を保有しているかどうかや所得といった要因は、消費者の買い物頻度に有意な要因ではない」(同上)。「消費者が伝統市場で生鮮食品を購入する習慣と、そうした店舗の近接性(利便性)低価格といった要因が、スーパーの発展を阻む大きな要因である」(同上)。

 「スーパーと公設市場との評価を比較すると、「商品の鮮度」、「価格」の水準、「店舗の近接性」の点で、消費者はスーパーよりも公設市場を高く評価している。・・・・・・スーパーと家族従業の零細店とを比較すると、「価格」の水準、「店員のサービス」、「商品の鮮度」、「返品(調整)制度」、「店舗の近接性」の面で、消費者はスーパーよりも家族従業の零細店の方をかなり高く評価している」(pp.31-32)。

 「公設市場は、鮮度の高い商品を提供している。他方、販売促進のための活動や快適な買い物環境(例えば、清潔さ、陽ざしの良い窓、空調など)を提供していない。しかし、ベトナムの消費者にとって、それらは伝統市場のマイナス要因となっていないようである」(p.32)。

 本論文の結論は、次のように指摘されている。「伝統市場とスーパーは代替関係にあるというよりも、互いに流通機能を補い合う補完関係にあり、消費者にとって共に重要な存在となっている。こうして伝統市場とス-パーが共存する形でベトナム社会に溶け込んでいる」(p.33)。

 「ベトナムでは、今後、公設市場は加工食品よりも生鮮食品にいっそう重点をおいていくように変革していくであろうし、スーパーは加工食品や非食品の分野での主たる流通チャネルとなっていくであろうと予測できる。・・・・・・家族従業の零細店は、スーパーとの価格競争によって、加工食品や非食品の分野でシェアを失っていく可能性がある」(同上)。

shineコメントshine: チュングエン=コーヒー店およびインスタントコーヒー・G7で有名なチュングエン社が、コンビニエンスストア・G7マートのフランチャイズを展開中である。同社は、家族従業の零細店がG7マートのフランチャイジーとなってこそ、スーパーとの対抗が可能であり、将来も存続できると主張している。この戦略が正しいことは、本論文が証明している。ただし低価格の商品を各店舗に十分に供給できていないとも言われている。メーカーに対する価格交渉力が不足しているのである。本論文を同社に紹介すると同時に、その近況について再調査してみたいと思う。

 なお、本論文で言及された「ハノイ西友」(p.27)は台湾の統一グループに売却され、西友はベトナムから撤退した。西友本社が米国のウォルマートに買収され、経営が見直しされたことが原因である。現在、少数株主として三菱商事が残っており、店舗名は「ユニマート」に変更された。これは確か数年前のことである。これは、本論文における唯一の些末な誤りであるが、それは本論文の独創性や有益な実践性を損なうものではない。

 

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