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2008年6月17日 (火)

カンボジア情報:新川加奈子『カンボジア今』を読む(1)

 現在のカンボジア人が、自国民を虐殺したポルポトを憎みながらも、そのポルポトを倒したベトナムも嫌いだ。これは、本ブログで紹介した熊岡路矢『カンボジア最前線』(岩波新書)の報告である。この理由は何なのか? 

 このような問題意識を持ちながら、新川加奈子『カンボジア今:ポルポトの呪縛は解けたのか』(燃焼社、2008年2月17日)を読んだ。同書は、カンボジアにおける著者の10ヶ月間のNGO活動を通して経験したカンボジア人・カンボジアに関する印象や調査結果を一般に分かりやすく紹介している。著者の子どもや精神障害者に対する優しい目線が印象的な著書である。

 以下、私の印象に残った同書の指摘を紹介する。特にビジネスとの関係を念頭に置きながら・・・。

カンボジア今―ポル・ポトの呪縛は解けたのか Book カンボジア今―ポル・ポトの呪縛は解けたのか

著者:新川 加奈子
販売元:燃焼社
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 「事務所の物品の私物化、領収書、見積書の偽造、外貨両替時の不正などなど、あまりにも不正が多い事務職員の解雇」(p.iii)を逆恨みした職員が、著者が暴力を振るったと訴えた。「数ヶ月後、突然、裁判所からの呼び出しを受けた。呼び出し状には、要件名も理由も書かれていない。ただ、「指定期日に出頭し、1000万円を支払え」というものであった。

 これが、現代のカンボジアの現実である。お上の権力は絶対であり、呼び出し理由は必要ない。「一般市民でさえも、お金さえ出せば、警察の供述書も病院の診断書も偽造は可能であり、事実無根の事件を作り出せる」という現実が、21世紀のカンボジアには実在している。極左共産主義にとって代わった現実は、拝金主義である」(p.iv)。

shineコメントshine:以上の2点。「お上の権力」と「拝金主義」は、ビジネスの重要な留意点である。なお著者は、「残念ながらインドシナ半島に存在する国の中で・・・一番発展の見込みが薄い国である」(p.v)と指摘している。

 しかし私は、必ずしもそうは思わない。日本企業ゼファーが開発する「プノンペン経済特区」が完成し、シハヌークビル港までの道路・鉄道が連結する。さらにベトナムとタイの交通も円滑化する。シェムリアップのアンコールワット観光に付随した海岸線のリゾート開発も進む。カンボジアの若い大卒の人材も育ってくる。そして証券市場の開設は、少なくとも経済に刺激を与えることは間違いない。このような展望を考えれば、カンボジアも捨てたものではないと私は考えている。

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