« カンボジア情報:新川加奈子『カンボジア今』を読む(2) | トップページ | カンボジア情報:新川加奈子『カンボジア今』を読む(3) »

2008年6月21日 (土)

ベトナム株式に対する妄言や流言飛語に対して

 ベトナム証券法の第9条の1と2には、次のような規定がある。

第9条 禁止される諸行為

 1.証券の公募、上場、取引、経営、証券投資、証券サービス、証券市場に重大な影響を与えるために、事実を偽り、欺き、誤った情報を作り上げ、あるいは必要な情報を隠して誤解を生じさせる諸行為を直接、間接に行うこと。

 2.証券の売買を紛糾、扇動させるために誤った情報を流すこと、あるいは市場の証券価格に大きな影響をもたらす事情についての情報を、適時に漏れなく公表しないこと。

 さらに、今年になってズン首相は、この法律の趣旨に基づいて次の2点を表明している。
・ 公安省は株式市場でデマを飛ばして投資家に悪影響を及ぼす行為を厳罰に処す。
・ 情報メディア省は国民が株式市場の発展に関する政府方針を理解できるように、各メディアに対して客観的な報道を指示する。

 ここでの違法行為となる情報のキーワードは、「偽り」「欺き」「誤った」「必要な情報を隠して誤解を生じさせる」「デマを飛ばす」である。

 現在のベトナムについて、たとえば次のようなことを言う日本人がいるそうだ。「某筋の予測ではベトナムのバブルはもうじき弾けるらしい。そこまで見ることが出来るかもしれない」。この「バブルはもうじき弾けるらしい」は、明らかに妄言・流言飛語に属する。そもそも「某筋の予測」が明示されていない。

 すでにベトナム株価の異常な高値は是正され、まさに「今が買い時」になっている。2006年からの株価上昇局面では、個人投資家の過剰な投資熱の影響で機関投資家が新株発行の入札が成功しない状況であった。まさに企業価値(=企業実態)を反映しない「バブル」のような株価だった。このような意味で、すでに「バブル」は沈静化した。

 おそらく、この日本人がいう「バブルが弾ける」とは、ドン暴落に伴う「通貨危機」を意味するのであろう。これについては、すでに本ブログでも指摘したように、1997年のタイ国とは事情が異なっている。当面の最大課題である「インフレ抑制」は、15%に達する高金利政策の効果が出ると期待されるし、その効果に時間を要する場合、公共投資事業を延期して、ある程度まで経済成長を犠牲にすることも選択肢になるであろう。また外貨準備の放出も視野に入るかもしれない。

 まだまだベトナム政府には政策的な選択肢が多々ある。「打つ手がなくなった」という状況ではない。政策実施のタイミングや程度が課題となっている。私見では、思い切った大胆な政策遂行が、国民や外国人投資家を安心させる。もちろん最悪の場合、IMF(国際通貨基金)の緊急融資というような事態も考えられるが、これまでベトナムは途上国としてIMF・世界銀行・アジア開発銀行といった国際金融機関からの助言や支援を受けている。現在のベトナムの経済・金融破綻は、これらの国際機関の努力や成果を無にすることを意味する。それはベトナム政府も国際機関も望んでいない。そうであるとすれば、最悪の事態を招くことはありえないと私は判断している。

 以上、上述のような「もうじき弾けるらしい」というような気楽な発言は、インフレと懸命に闘うベトナム政府や、それに耐えているベトナム国民に対して、少なくとも非礼であると思う。

|

« カンボジア情報:新川加奈子『カンボジア今』を読む(2) | トップページ | カンボジア情報:新川加奈子『カンボジア今』を読む(3) »