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2008年6月 7日 (土)

カンボジアの証券法について(3):ベトナム法との比較

 カンボジア証券法の第2章は、カンボジア証券取引委員会(以下、CSECと略記)について規定している。その中で注目されることは、第5条・6条・7条はCSECについて述べられ、第8条・9条はCSEC長官についての権力や職能について規定していることである。長官についての規定が詳細であるということは、それだけ権力が集中していることを想起させる。

第2章 ガンボジア証券取引委員会

第5条 カンボジア証券取引委員会の権限
 カンボジア証券取引委員会(以下CSECと略記)は、この法律下で設立され、法令下で任命された委員長と委員8名によって運営される。CSEC委員は5年間の職能を持つ。CSEC委員は任期満了前にその地位から解雇または移籍されることがある。CSEC委員は、その任期満了後にCSEC委員長の求めに応じて再任されることがある。

第6条 カンボジア証券取引委員会の構成
 CSECの委員長は経済財務大臣である。CSEC委員の構成は次の通りである。
 1.経済財務省の代表者1名。
 2.カンボジア国立銀行の代表者1名。
 3.商業省の代表者1名。
 4.法務省の代表者1名。
 5.閣僚会議の代表者1名。
 6.CSEC長官1名。
 7.有価証券専門家2名
 上記の人々は、その立場が中立的であり、経済財務大臣によって王立政府の長に対して選任・提案される。CSEC委員として服務する専門家は大学院の学位を保有し、有能であり、その任務遂行のための適当な資格を持つだけでなく、実務・企業経営・証券市場・法律・経済学・会計・その他の関連分野において1つ以上の経験を有する。

第7条 カンボジア証券取引委員会の職能
 CSECは次の職能を持っている。
 1.カンボジア王国における政府証券市場を始めとする証券市場を規制・監督する。
 2.証券市場に関する政策を施行する。
 3.証券市場・清算決済機関・証券保管所の業者に認可を付与する条件を策定する。
 4.証券会社および証券会社駐在事務所に認可を付与する条件を策定する。
 5.この法律の要件の遵守を促進および奨励する。
 6.認可された事業者の意思決定が委員・参加者または投資家に影響を及ぼす場合に上訴機関としての役割を果たす。
 7.カンボジア王国における証券市場発展のための政策策定を目的として、あらゆる有資格者に助言を求める。
 8.法令により規定された他の任務を遂行する。 (以下、続く)

shineコメントshine
 (1)CSECは、ベトナムでは国家証券委員会(以下、SSCと略記: State Securities Commission)に相当する政府機関である。ここで注目すべきは、たとえば証券会社の許認可権をベトナムではSSCがもっているが(下記の第8条の1のa))、カンボジアではCSEC長官が有している。カンボジアでCSECは「認可を付与する条件を策定する」(第7条の4)「審議機関」の役割でしかない。

第8条 国家証券委員会
 1.国家証券委員会は、財務省所属機関として以下の任務、権限を有する:
  a)  証券活動および証券市場に関連する許可証、承認証を交付、期間延長、回収すること;証券活動および証券市場に関連する変更を承認すること;
  b) 証券取引所、証券取引センター、証券預託センター、および各補助組織の活動を管理、監察すること;投資家の合法的な権利と利益に影響を及ぼす兆候がある場合に、証券取引所、証券取引センター、証券預託センターの取引活動、預託活動を一時停止すること;
  c) 証券活動および証券市場における苦情申し立て、提訴を監査、監察、行政処分し、その解決をはかること;
  d) 証券活動および証券市場に関する統計、予測を実行し;証券および証券市場の分野における情報技術の現代化を進めること;
  e) 証券部門の幹部、公務員、職員層の養成・訓練機関、組織を組織化し、提携をはかり;証券と証券市場に関する知識を一般に普及すること;
  f) 証券、証券市場に関する業務規定と、関連する書式に指針を示すこと;
  g) 証券および証券市場の分野における国際協力を進めること。
 2.国家証券委員会の組織と管理運営機構は政府が定める。

 (2)カンボジアではCSEC長官に権限が集中している。この権力の乱用を防止する意味で、それが証券法で明記されているとみなされる。他方、権限の集中が、汚職防止になるとも考えられる。たとえば権限が委員会に付与されると、その委員全員が汚職の可能性をもつことになる。もちろんベトナムがそうだと言っているわけではないが・・・。

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