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2008年6月27日 (金)

愛国心に訴える:「ベトナム経済救国戦線」を結成すれば?

 世界で一番の愛国心をもった国民はベトナム人である。そのことを以前に本ブログでも紹介した。それは、学校における愛国教育の影響もあるだろうが、それ以上に家庭教育の影響が大きいと思う。

 父親・祖父そして親戚がフランスやアメリカの戦争に従事し、それを母親を始めとする女性が後方で支援する。さらに場合によっては女性兵士として従軍する。そして少なからぬ犠牲者が親族の中に存在する。さらに現在も、アメリカ軍の枯葉剤による被害を遺伝子的に受け継いた子ども達が誕生する。

 このような膨大な犠牲を払って勝ち取った統一と独立の祖国ベトナム。そのベトナムを愛さないでどうするのか? 普通のベトナム人でも、このように考えるのが自然であろう。ベトナムの愛国心は、自然発生的な愛国心とみなすこともできる。

 今、ベトナムでは経済危機が指摘されている。特にインフレである。インフレに伴う生活苦も発生している。国際収支の赤字も心配だ。こういった状況が深刻であれば、政府は、国民の愛国心に訴えることも必要であると思う。国際収支の改善のために輸入品から国内品に購買を移すとか、贅沢な輸入消費財の購入を避けるとか、また、投機的な為替売買を自粛したり、電力を節約したりとかである。さらに方策は多々ありうる。

 ベトナム政府は、WTO加盟後に政府規制による経済誘導は難しくなっている。自由市場の原則を歪めることはできない。ただし他方、国民に直接に訴え、経済回復のための国民運動を政府が誘導することは可能である。輸入品を政府が規制することはできないが、自発的に国民が買わないことは自由である

 かつてのフランス戦争の時に「ベトナム祖国戦線」が結成され、その組織が現在まで続いている。これは、広範な国民各層で構成された統一戦線の組織である。私聞では、たとえば国会議員などの選挙に立候補する場合に祖国戦線からの推薦が必要である。現在、このような組織に類似した「ベトナム経済救国戦線」を結成すればどうか?

 これは全国的な国民運動として、ベトナム経済の回復を目標とする組織である。私見では、本当に危機が迫れば、こういった組織が結成されても不思議でないと思うのだが、実際には未だ結成されていない。ということは、外国メディアやエコノミストが騒ぐほどに危機は深刻ではないということである。ベトナム人の愛国心を考慮すれば、また、近年に戦争の惨禍を経験したベトナム人から見れば、他国に比較して、経済危機の克服はより容易ではないかと思われる。危機克服のための忍耐力は十分に備わっているとみなされる。

 純粋な経済指標の分析のみならず、ベトナム人の国民性といった観点からの経済危機の分析も必要ではないか?

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