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2008年6月22日 (日)

カンボジア情報:新川加奈子『カンボジア今』を読む(3)

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 上記の著書では、カンボジア人から見た隣国についての記述が興味深い。タイとラオスは次のように指摘されている。

 「カンボジア人のタイ人に対する感情も、ベトナム人に対するのと同様決して良くない。17世紀以降の歴史の中で、東からのベトナムの脅威と同様、西からはタイ(シャム)の脅威に常に曝されていたことは明らかである。しかし、ベトナム人への感情とは異なるものがある。一説によると、シェムリアップは「タイ人帰れ」という意味だそうである}(p.13)。

 「カンボジア人は「タイ人から、軽蔑され苛められるから」嫌いなのである」(p.14)。

 「カンボジア人はラオス人に対してだけは優しい。歴史的にもあまり軋轢がなかったこと、また地理的にも国境があまり多くないことも理由なのであろう。メコン川を共有する隣国として大切な存在である。・・・「ラオスは自然が沢山あって、平和な国」そんな良いイメージがあるようだ」(p.14)。

 2005年には1人当たりのGDPでラオスはカンボジアを追い抜いた。「経済成長もさることながら社会の仕組み自身に、発展性が感じられるラオス。今後のカンボジア人のラオスに対する国民感情は,予測不能である」(pp.14-15)。

shineコメントshine:私はタイ国およびタイ人について、ラオス訪問時の通過点という程度しか知らない。しかし2003年2月に発生したプノンペンのタイ大使館焼き討ち事件については、その後にプノンペンを訪問し、その背景を在留日本人の方々に聞いたことがある。タイ大使が大使館から退避するために、隣接する日本大使館の当時の小川特命全権大使が、タイ大使館裏のトンレサップ川に小舟を用意したというような裏話は、もう時効であろう。この事件から、カンボジアとタイの関係は必ずしも良くないという程度の認識は私にもある。

 前回と今回で紹介した著者の見解によれば、カンボジア人はベトナム人もタイ人も嫌いだが、その「嫌い」な感情や理由は少し異なっているようだ。この感情の相違は、もう少し私も調べてみたい。

 ラオスについて、「社会の仕組み自身に発展性が感じられる」と紹介されている。この意味は不明だ。これまでラオスに滞在・訪問して、このような指摘を在留日本人から聞いたことがない。著者の思い過ごしか誤解ではないか? 少なくとも経済的には、カンボジアが発展の可能性をもっている。総合商社の日本人駐在員はプノンペンに滞在し、ビエンチャンにはラオス人スタッフを常駐させるという形態が一般的である。

 ただしラオスは、人民革命党の一党独裁の中央集権国家であるから、その意味では国家の統制や国民の管理が、多党制のカンボジアよりも容易という特徴はある。この政権形態の相違が「発展性」に影響するかは議論の余地がある。

 なお1人当たりのGDPをラオスがカンボジアを抜いたということは、私は気にしていなかったが、著者が指摘するように、カンボジアにとってはショックであるのかもしれない。人口がラオスはカンボジアの半分以下であるからしかたがないと思うのだが、隣国の成長や発展は誰でも大いに気になることは理解できる。

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