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2008年6月 3日 (火)

就職戦線「第2ラウンド」を迎える学生にメッセージ:(株)ダイエーからの教訓

 (株)ダイエー人事・人材開発本部・人事企画部の久保敦氏に、流通科学大学で講義していただいたことは先週の本ブログで紹介した。そのご講義の中から以下では、小売業で求められる人材についてのメッセージを紹介する。

 久保氏は、ダイエーが経営不振に陥った原因について、人事部門の立場から次のように総括された。「新たなチャレンジを正しく判断・指揮できる人材育成を怠ってしまった。「お客様のニーズ」と「ダイエーが目指したい姿」にギャップが生じてしまった」。そこで「ダイエーは、「原点」に立ち返り、もう一度、お客様から支持をいただける店舗を目指し」たい。

 このような反省に基づいて久保氏は、小売業で働くことの意義を次のように指摘された。これらのことは、小売業に就職を希望する学生のみならず、すべての業種に共通して必要な能力であると思われる。

 6月は就職活動の「第2ラウンド」である。すでに内定をもらった学生は「第1ラウンド」の勝者である。勝者に「奢り(おごり)」は禁物である。長い人生から見れば、それは初戦のわずかな勝利にしかすぎない。他方、現在も就職・求人活動は依然として継続している。就職未内定の学生は悲観する必要はない。これから改めて自己点検して、自己の「売り出し戦略」を再構築すればよい。

 さて「小売業は接客業か?」と問えば、「はい」と答えるだけでは不十分である。正しくは「小売業は接客する」のである。「小売業の中に接客業も含まれる」ということが正しい認識である。このことは、「接客が好きだ」という理由だけで小売業に就職を希望することが、必要ではあるが、十分ではないということである。

 それでは小売業に必要とされる能力は何か? 久保氏は次の2点を指摘された。

 (1)変化対応力:お客様のニーズに如何に応えていくか? お客様の求めているものをどれだけ把握できるか? お客様に支持されるであろう提案をどれだけできるか?
 (2)戦略立案力:どのように競合他店と戦っていくか? どの店と戦うのか? どこで「差異」をつけるのか? (注:これら課題は、競争戦略論が対象とする基本問題である。)

 「常に新しいものを求めるお客様のニーズに対応することが社会貢献になり、そのことが同時に自己成長を実現することにもなる。これが小売業である」。この指摘は、特に小売業に限られていない。新しいイノベーション(技術革新)を追求するという観点から言えば、そべての業界に共通していると私は思う。それでは小売業の特質は何か?

 (株)ダイエー・川戸義晴・代表取締役会長((株)イオンモール前社長)は、久保氏によれば、次のように述べている。「物事には達人がいる。もし「人間の達」がいるとすれば、それは小売業を経験した人であろう。小売業は、お客様に対する1対1の対応の連続である。お客様は口頭では言わない。直接に何も言わないが、お客様の行動・態度・目線を見れば、お客様が何を考え、何を求めているかが理解できる。お客様を読む。すなわち「人間を読む」。これができれば、「人間の達人」である。その領域に最短で達することができる人は、日常にお客様に接する小売業に従事する人である」。

 「人間の達人」の領域に達する。これは、すべての企業経営者に求められることでもある。銘記すべき名言である。以上、貴重なご講義を賜った久保氏に改めて感謝を申し上げたい。

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