« カンボジア情報:新川加奈子『カンボジア今』を読む(4) | トップページ | カンボジア情報:新川加奈子『カンボジア今』を読む(6):「曖昧さ」に留意 »

2008年6月29日 (日)

カンボジア情報:新川加奈子『カンボジア今』を読む(5)

 新川氏の著書の「腹帯」のキャッチコピーに使用されている次の文言にも注意が必要である(p.44)。

 「あるものなら、使えるなら何でも使ってしまう」

 「私のものは私のもの、貴方のものも私のもの。皆で仲良く使いましょ。壊しましょ」

 これぞまさしくカンボジアンマナー!!!

 カンボジア今 ポル・ポトの呪縛は解けたのか

カンボジア今 ポル・ポトの呪縛は解けたのか
販売元:セブンアンドワイ
セブンアンドワイで詳細を確認する

 このキャッチコピーを『ビジネス書』に付ければ、著書の購買意欲は増加するであろうが、実際の投資意欲は激減することは間違いない。しかし、こういう国だからこそ、進出して成功させることが「面白い」(=リターンも大きい)と考えるのがビジネスであると私は思う。なお新川氏の著書は、ビジネスパーソン向けの著書ではないが、そこからビジネスの教訓を引き出すことが私の意図である。

 ベトナムでも一部の日系企業で工場の原材料や工具の「お持ち帰り」がある。いわゆる窃盗事件である。それを防止するために、ガードマンを雇って工場の出入り口でボディーチェックをしたり、金属探知機の設備を導入したりしている。上記のキャッチコピーによれば、このような対応がカンボジアでも当初から導入されなければならない。

flairflair:この金属探知機は、盗難防止のために図書館やレンタルビデオ店などで広く日本でも使用されている。工場での導入は不思議でない。ただしこれは「従業員を信頼していない」という表明であるから、日本人にとって抵抗感があるかもしれない。

 また従業員に対する社内教育、特に操業前からの事前教育が重要であろう。ベトナムの別会社の事例であるが、次のような教育姿勢が参考になるかもしれない。

 「工場に入れば、そこは別世界」という意識を根付かせる。工場には工場の規律がある。その規律は、目に見えない潜在的な競争相手、カンボジアの場合はタイ・ベトナム・ラオス・ミャンマー・バングラディッシュなどの労働者と競争するためである。これらの国々の労働者が、目には見えないけれども、隣りに座って作業競争している。このような意識で工場内では働く。

 また、タイやベトナムが好きでないカンボジア人に対して、「タイやベトナムに負けるな」という意識を植え付けることは、労働意欲や規律を高めることに効果があると思われる。このような意味で、すでにベトナムに進出している企業が、その「衛星工場」としてカンボジアに進出し、そのカンボジア工場でベトナムに対して良い意味での対抗意識を醸成させる工夫をする。ベトナム経由でのカンボジア進出の最悪は、カンボジアにおける偉そうなベトナム人管理者の起用であろう。このようなカンボジア進出モデルが提起できる。

 

|

« カンボジア情報:新川加奈子『カンボジア今』を読む(4) | トップページ | カンボジア情報:新川加奈子『カンボジア今』を読む(6):「曖昧さ」に留意 »