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2008年5月29日 (木)

ベトナムのインフレ対策は購買力=所得の上昇で

 ベトナムのインフレが進行中である。4月の消費者物価指数の上昇は前月比11%を超えている。これに対して金融政策=高金利政策で対応しようとしている。

 もちろんインフレ対策として政府主導の物価統制・価格凍結も採用されている。たとえばガソリン・石油価格の価格安定や国営企業の価格凍結である。しかし民間企業の活動に対して政府は直接干渉できない。あくまでも市場メカニズムを通してインフレ抑制を考えている。

 ベトナムは市場経済化を真面目に推進しているのだが、その理由は何であろうか。おそらく米国から「市場経済国」であることを認めてもらう必要があるのだ。すでにベトナムはWTO加盟を果たしたが、現在も米国は縫製品についてダンピングの疑いをもっており、監視を継続している。その米国から「市場経済国」と認定されれば、米国企業からの投資はさらに拡大する。

 米国との経済関係の拡大は、中国の経済的影響に対する「外交カード」として使用できる。中国という超大国に隣接したベトナムにとって、その影響を牽制するためには米国という超大国との関係を重視せざるをえない。

 なおインフレ対策として心理的な要因を言えば、かつての日本のように「所得倍増」計画を全面に強調することである。インフレを克服するために購買力を高める。つまり所得も上昇させる。これは国民を心理的に安心させる。「インフレが心配だが、所得も上がる。インフレもやむをえない」。そして所得上昇は、新たな株式投資家を増加させることにもなり、株式市場の発展に貢献する。

 外国企業の直接投資の魅力が、所得上昇で弱まる懸念がある。しかしそれは、どの国でも先進国に向けて通過する経路である。韓国も台湾も中国もそうであった。こういった国々の経済成長過程や日本の「所得倍増計画」からの教訓が、現代ベトナムに緊急に必要とされているように思われる。そう言っても、こういった分野の研究蓄積は多くないのではないか。 

 

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