「中国の次はベトナム」:岩井証券・沖津社長の指摘
『日本経済新聞』(2008年3月29日)・「エコー」欄で、「中国の次はベトナム」と岩井証券の沖津嘉昭社長が述べている。
東証1部上場の証券会社がベトナム投資を本格的に開始することは、株価低迷で悲鳴を上げているベトナム株式市場にとって朗報である。
日本の証券市場の歴史を振り返れば、戦後の財閥解体に伴って証券民主化が進められたが、一般大衆には資金力がない。それが「朝鮮戦争」の特需で好景気となり、一般大衆の資金が株式市場に流れ込む。戦後最初の株式ブームである。その間、株式買い占めによる「乗っ取り」事件が相次いだが、1953年の「スターリン暴落」で株価は低迷する。
他方、ベトナムでは2005年に外国人株式の所有制限が30%から49%に緩和され、外国資金の流入で株価は高騰した。この株式売買による利殖の成功体験がベトナム人一般大衆を刺激し、株式市場はマネーゲーム化した。それは、企業価値よりも割高の株価形成を意味した。その後、インフレ抑制のための高金利政策の採用があり、さらに不動産投資や金投資に資金が向かい、2007年3月をピークにして現在の株価指数は半減した。
以上、日本でもベトナムでも株価変動・株価下落は共通である。それが市場原理である。ただ日本の投資家の優位性は、その変動が当然と理解できていることと、経済成長に伴って株価は長期的に上昇するという確信をもっていることである。このような意味で、ベトナム株式市場の低迷について、日本人の投資家がベトナム人と同様に狼狽してどうするのか。今こそ、ベトナム株式は「買い」である。
沖津社長のベトナムに関する見解に私も同感であるが、「中国の次はベトナム」という表現には注意が必要である。それなら「ベトナムの次はどこか」ということになる。経営者の立場から、新規のビジネスチャンスとして「中国の次」、「ベトナムの次」を考えることは当然である。しかし、その論理の帰結は、南極に行き着いて終わりとなる。南極に株式市場が開設されるのはいつになるのであろうか。
このような「南極進出」の指摘は、JETROハノイの荒川投資アドバイザーからの引用である。中国もベトナムも南極も、それぞれに特徴があり、それぞれが連携しながら棲み分けをしながら発展していく。このように考えれば、中国やベトナムそれぞれの独自の優位性を認識しなければならない。それを最初に考慮してベトナム進出を考えるべきである。荒川さんの主張は、そういう趣旨だ。
このような観点から言えば、ベトナムはメコン川流域の発展の拠点になりうる。中国雲南省・ラオス・カンボジア・ミャンマー・タイを含めた経済圈の中でベトナムをどのように位置づけるか。さらにはアセアン諸国の統一された証券市場の設立も構想されている。こういう中でベトナムをどのように考えるか。それぞれの国々の経済成長力や人材などが考慮され、アジア戦略の立案が重要であろう。「中国の次のベトナム」ではなく、「中国に加えてベトナム」を考える。いろいろ問題はあるにせよ、まだまだ中国は発展するだろうし、それを無視できない。
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