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2008年4月 1日 (火)

これからのベトナム進出:大学のある地方都市

 これからの日本企業のベトナム進出の条件を考えると、3月末の現地調査によって次のような提言ができる。

1.進出の場所
 ハノイ・ホーチミン市さらにダナンなどの工業団地は大企業向けであろう。大企業の隣りに中小企業が進出するとなれば、大企業の高い賃金や手厚い福利厚生に中小企業は太刀打ちできなくなる懸念がある。都市部の労働者不足が強まれば、少数の労働者の奪い合いに中小企業は勝てないのではないか。そうならないように中小企業は地方都市の進出が望ましい。他方、中小企業=すそ野産業を専門とした工業団地を設定して、それを優遇する政策が、ベトナム政府によって採用されることが望ましい。

2.労働集約的産業企業の進出は?
 労働集約的産業の企業は、ベトナムが高い労働コストになることを認識しておかなければならない。たとえば毎年15%以上の給与上昇があれば、5年後に給与水準は2倍になる。長期的な計画として高コストに対応できる高付加価値製品の生産や多品種少量生産ができそうにないなら、ベトナム進出はあきらめた方がよいかもしれない。
 「ベトナムが豊富で安価な労働コストを特徴とする」という指摘は過去になった。明治維新なのに、いつまでもサムライ姿に憧れてもしかたがない。それが時代の変化である。もっとも、まだまだ賃金は安価である。最低賃金は100万ドン(約7,000円)。しかし今後の戦略を検討しなければ、5年か10年後にはベトナム撤退ということにもなりかねない。

3.資源大国の可能性
 ベトナムは食糧輸出国であり、さらに石炭・石油・鉄・非鉄金属・希少鉱物など鉱物資源も採掘できる。これは日本にはない経済成長の優位性である。現在、自国の原油をシンガポールに輸出して精製し、それを輸入しているが、数年後には石油精製を自前でできるようになる。そうなれば、化学製品の関連分野の成長は確実である。さらに高炉をもつようになれば、鉄鋼の輸入も不要となる。鉄鋼の一貫生産は現状のWTO体制下ではコスト高になると指摘されることがある。しかし長期戦略は、当面の経済性に基づく判断とは異なる。

4.進出の心構え
 何よりも重要な成功の秘訣は、ベトナム人パートナーの選択である。日本人がエラソウにしても、ベトナムでベトナム人がいなければ、どうやって仕事するのか。最良のパートナーを見つけるためには、できるだけ多数のベトナム人に会うことである。ベトナム人を見る目を養う。このためには積極性や忍耐力が必要だ。ここでの忍耐力とは、一般に外国人と会う場合、日本人と違って疲れるという意味だ。しかし慣れれば普通になる。こういった努力が進出時には必要である。

5.大学のある地方都市に進出
 たとえばゲアン省の首都はヴィン市。建国の父・ホーチミンの生誕地である。ここにはヴィン大学がある。観光地にもなっている古都フエにはフエ大学。このような大学のある都市には当然、将来の専門職・管理職の候補となる大学生が勉強している。地方都市は定着率も高い。賃金も安い。地元が歓迎してくれる。かつて私はヴィン市を訪問したことがあるが、インフラ整備の進んだ大きな都市である。賃金高騰を懸念するなら、こういった地方都市も検討に値する。

 以上、いくつか思いつくままにベトナム進出の留意点を指摘した。また気がつけば、追記してみよう。

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