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2008年4月30日 (水)

ベトナムでの聖火リレー:中国国旗を振るベトナム人

 長野県で北京オリンピックの聖火リレーがあった。その後の報道によれば、韓国、そしてベトナム・ホーチミン市でも行われた。

 『朝日新聞』(2008年4月30日朝刊)によれば、29日午後6時半にドンコイ通りの市民劇場前から出発し、約10㎞を走者60人が完走したそうである。「沿道には五輪や聖火リレーを歓迎する垂れ幕が掲げられ、中国から来た「応援団」や動員された地元の共産党青年組織が中国国旗を打ち振った」。

 ここでも「中国国旗」である。ベトナム人は、どうして自国のベトナム国旗を振らないのだろうか。日本でも中国国旗ばかりが目についた。同上の『朝日』は、ベトナム国旗を掲げようとすれば、取り締まりが行われたと報道している。世界で最も愛国心が強いベトナム人は、この事態を当然不満に思うはずである。

 私見では、聖火リレーが世界各国で行われる意義は、それぞれの国で自国の聖火走者に声援を送り、その走者のみならず、その国民の「思い」を聖火に込める儀式であろう。このような過程を通して聖火は、世界の人々の様々な「思い」を集約・結集した象徴として、オリンピック開催中に競技者を見守るのではないか。

 中国人が中国国旗を振るのは当然だが、ベトナム人がベトナム国旗を振って、ベトナム走者を応援することが禁止される理由がわからない。

 確かに、もしベトナム国旗をベトナム人が振れば、その愛国心が高揚し、中国人との小競り合いが発生したのかもしれない。その理由は、同上の『朝日』も指摘しているように、チベット問題よりも南シナ海での領有権問題について、ベトナムと中国の対立が存在しているからである。軍事的な紛争解決をしないと両国政府は合意しているが、ベトナム政府の領有権問題についての説明は、国民感情を抑制するまでには至っていない。

 このように考えれば、ベトナム公安当局の対応も理解はできる。中国に対して世界が気を遣う。それほどに中国の存在感が大きくなった。この事実を中国人自身も自覚するべきであろう。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」。これを中国政府は理解できるのであろうか。

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2008年4月29日 (火)

海音寺潮五郎を読む:『武将列伝:戦国揺籃編』(文春文庫)

 昨日28日は、東京に日帰り出張であった。早朝6時30分の新幹線で新大阪から東京に向かう。午前10時に元代々木にあるベトナム大使館に到着した。いろいろ情報の交換が目的である。

 新大阪の駅の売店で、表題の文庫を買って車内で読んだ。故・海音寺潮五郎は、歴史小説の大御所であり、以前にも短編作品を読んだことがあるように記憶している。今回、改めて読んでみると、その歴史観・人物観察・人物分析力に驚かされる。

 たとえば北条早雲の章では次のような指摘がある。、「英雄の素質があって大志のある者は、その微賎の時代には空威張りなどはしない。かえってへりくだって俊傑の心を摂り、おのれの羽翼にすることを心掛けるのである」(p.116)。

 なるほどと思われることである。このような教訓が強引に押しつけがましくなく、自然に述べられていることが海音寺の歴史小説の大家としての実力なのだと思う。

 しばらくは、車内での読書時間が楽しみである。

武将列伝—戦国揺籃篇 文春文庫
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2008年4月28日 (月)

大阪府橋下知事のアジア戦略は何か?

 新しい大阪府知事となった橋下氏は、中国との友好関係に熱心なことが感じられる。2010年に予定されている上海万博には4億円も負担して出展するそうだから、そうなのだろう。

 以前の太田知事は、ベトナム。ホーチミン市に訪問し、現地でも歓迎されていたことが思い出される。また来阪したベトナム首脳との会談も熱心であり、随行のベトナム人から聞いた話では、ベトナム側も好感をもっていたようだ。

 さて橋下知事は、アジア諸国との交流、さらにベトナムについて何を考えているのだろうか。中国との交流・友好の促進について否定はしないが、「餃子の問題」や「チベットの問題」は無視してもよいのであろうか。地方自治体の長として、府民を代表して意見を述べる立場に自分が立っていることを考慮するなら、こういった問題に触れて当然であると思われる。おそらく東京都の石原都知事であれば、かなり手厳しい意見表明をするはずである。

 いずれにせよ、かつては「世界の東京」、「アジアの大阪」と言われていたように記憶しているが、最近は「アジアの福岡」、「アジアの沖縄」といった印象が強く、大阪の存在感が薄れているようにも思われる。関西空港を擁する大阪府として、アジア諸国との積極的な交流・友好事業の促進によって、経済の活性化が検討・展望されてもよい。

 少子高齢化・人口減少の日本では、アジア諸国との関係を強化するほかに成長手段はないように思われる。実際、松下電器(パナソニック)の売り上げや利益は、ベトナムを含めたBRICs諸国にますます依存しているという報道があったばかりである。また、アジア諸国との交流・友好の素地のある自治体では、アジアの人々も生活しやすいであろう。

 こういった問題に関する橋下知事の見解を伺いたいものである。

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2008年4月27日 (日)

名古屋でのベトナムセミナー

 4月26日(土)に日本ベトナム友好協会愛知県連合会が主催するベトナムセミナーが、以下の要領で伏見ライフプラザ12FのNPOセンターで開催された。

 13:00~13:20
○司会  戸嶋啓夫 日本ベトナム友好協会愛知県連合会・事務局長
○挨拶  鍵谷恒夫(弁護士) 同上・理事
 13:20~13:50
南遊の会  丹羽 武
富士ツーリスト  堀米 亘
ベトナム人留学生会  Trang Viet Cuong(豊橋技術科学大学大学院)                         
 13:50~15:20
○講演  上田義朗(流通科学大学教授・日越経済交流センター副理事長)
 15:20~15:30
ニュース証券  野口善史
 15:30~15:40
○休憩
 15:40~16:40
○質疑応答
 17:00~
○懇親会(於 東鮨)

 ベトナム反戦運動の世代から、ベトナム株式投資の世代まで、世代と関心を超えた多様な人々がベトナムという一致点で集まった貴重な講演会であった。

 質疑応答では、ベトナムの社会保障制度はどうなっている?という質問があり、それには、私の勉強不足で直接回答できなかった。ハノイの小松みゆきさん(日本ベトナム友好協会理事)の認知症のお母さんのハノイ滞在の経験や、板東あけみさんの母子手帳普及活動の推移を説明した。ベトナムには儒教精神が色濃く残存しており、それが社会制度の不備を補完しているように思われる。

 日本ベトナム友好協会のますますの発展を期待したい。なお私は、友好協会大阪府連合会の会員である。友好協会の諸活動が幅広く認知されることを期待したい。

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2008年4月26日 (土)

ベトナム株式投資のトラブル(回答編)

 ベトナム証券会社に口座開設する場合、昨日のようなトラブル防止の留意点は何か。

  信頼できるベトナム人に証券会社の窓口に行ってもらって、常に自分の取引をチェックしてもらう。この場合、ベトナム人を代理人とする委任状を書くことが必要かもしれない。

  2ヶ月に1回程度はベトナムを訪問し、顧客としての自分の存在をアピール。日本語ができるベトナム人取引担当者と友達になる。夕食を一緒する。日本からお土産をもっていく。「口座を開設してやった」のではなく、「口座を開設させていただいた」と考える。このような気配りをすれば、それに対して義理堅いベトナム人は便宜を提供してくれるであろう。(本当は違法)。

  大規模な国営の証券会社を安全と思うと失敗する。従業員の意欲やモラルは必ずしも高くない。「親方日の丸」と似た「親方金星紅旗」の意識は強力だ。かえって民間企業の経営者や従業員の方が競争意識やインセンティブが高く、より以上の顧客サービスが期待できる場合が多い。

  できれば日本人従業員を採用している証券会社を選択したい。ただし、その日本人が他社に移動してしまう場合もある。この時は、その日本人から離れないで口座開設の証券会社も変えましょう。(変なの)。

  トラブルが発生したら、あきらめないで自己主張する。「社長を呼んでこい!」というような強い抗議も必要だ。この場合、窓口のベトナム人は当惑した表情になるか、ニヤニヤ笑いをすることがある。後者は、別にバカにしているのではなく、照れ笑いに近い感情表現である。このニヤニヤで怒りを増長しないで、あくまでも冷静に論理的に抗議する。そのためにも契約書や送金書類などの書類はすべて保管しておく。高額の投資でのトラブルでは、現地の弁護士に相談ということになる。その前に、その証券会社に影響力をもった人物に相談することも有効である。

 ベトナムの証券会社は100社ある。その経営内容・情報量・顧客サービスは玉石混淆であると想像される。以上5点のほかに日本人・ベトナム人の評判を考慮して、慎重に口座開設をすることがトラブル防止のために重要である。

 命の次に大事な財産を預けるパートナーを選択するのだから、その証券会社に信頼をもてるかどうかが最大の要点である。法人に対す目利きができなければ、人間でもよい。ビジネスの基礎は信頼。新興国で投資を自ら直接開始するなら、その言葉の重要性を認識しておくことである。

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2008年4月25日 (金)

ベトナム株式投資のトラブル(問題編)

 かなり以前になるが、ベトナム株式投資のトラブルについて以下の質問を受けたことがある。

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 ベトナムの×××証券会社に証券口座を作り、入金しました。6月末よりインターネットで株を購入し始めましたが、どうも様子がおかしいのです。株単価が本で読んだものと違っていたり、他人のコードが平気で送られてきたり、一度、入金できたものが、今度は入金できなくなっており、銀行間(×××銀行と日本の銀行)でそのような口座名義人はいませんとのことで振込みができません。

 フィッシングのような大掛かりな詐欺のようなものに引っかかっているのではないかと心配です。ベトナムにそのような詐欺グループのようなものはあるのでしょうか。

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 フィッシングのような詐欺をベトナムで私は聞いたことがない。それほどクレジットカードが普及していないからである。上記の質問者の場合、おそらくベトナムを訪問し、口座開設をされたと思う。それで安心すると失敗する。日本とベトナムでは事情が違う。

 担当者はだれか。この担当者が退職した場合、顧客情報の引き継ぎをする体制ができているのか。この引き継ぎの時、ローマ字の氏名の綴りが1文字間違って登録された。口座開設の書類に不備が後になって発見され、取引が停止となったが、その連絡が来ないままになっている。そもそも担当者が英語や日本語を本当に理解しているのか。こういった原因が直ちに想像される。

 何と言ってもベトナムは経験不足。会社も従業員も、さらに投資家も初めて株式を売買する。相当な取引リスクがある。もちろん証券会社の経営者や従業員は国家証券委員会の研修や講習会を受講し、その資格を満たさなければならない。

 では、どういう証券会社に口座を開設すればよいか。口座開設後の留意点は何か。それらは次回に紹介する。

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2008年4月24日 (木)

ブレインワークス編著『ベトナム成長企業50社:ハノイ版』カナリア書房

 表題の新著が出版された。とりあえず以下も参照してほしい。

Book ベトナム成長企業50社―ハノイ版

販売元:カナリア書房
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 そのキャッチコピーは次のとおりである。「ベトナム投資に必読の1冊。発展目覚ましいベトナム・ハノイの成長企業が終結! 世界が注目するベトナム経済の成長。その原動力である急成長企業をレポート!」。

 「広告・メディア・IT・製造・建設・不動産・金融・商社・人材サービス・コンサルティングなどなど。個性的な成長企業を一挙紹介!」

 「第1部 ベトナムに魅せられて」には私の拙稿「変貌するベトナムの首都ハノイ:将来の大企業・優良企業の「原石」に注目したい」が収録されている。私自身の校正時間がなかったために、いくつかの部分に気にくわない文書表現もあるが、私の主張は十分に伝わっていると思う。

 また、ITの「サラ・ベトナム」(pp.70-73)のフン社長は、私の親しい友人であるし、製造の「ハー・タイン・ビン・インダストリーズ」(pp.94-97)のビン社長は、JICAがPREXに委託した日本研修で本年3月に来日し、拙宅にも来ていただいた間柄である。

 同書と同じ表題の「ホーチミン版」も出版されているので、併せて購読を勧めたい。ベトナム企業の本格的な紹介は貴重である。

ベトナム成長企業50社 ホーチミン版 Book ベトナム成長企業50社 ホーチミン版

販売元:カナリア書房
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2008年4月23日 (水)

カンボジア金融制度:発展のロードマップ(下)

 さて資本市場の発展についてカンボジア政府のロードマップは次の通りである(アジア開発銀行、前掲書、p.xii)。

 資本市場の発展計画は、10年に渡る3段階の発展目的から構成されている。
 第1段階では、資本市場が実現するための環境を作り出すことが期待される。
 第2段階では、資本市場の基礎を作り上げることが予想される。そのために詳細な規則と手順を適用すると同時に証券取引に関連した必要なインフラストラクチュアーを発展させる。
 第3段階では、準備的な作業が達成された後に政府が、資本市場を発展させる系統的な努力を継続するであろう。

 金融市場のインフラストラクチュアーには、(1)法的インフラ、(2)会計監査制度、(3)金融情報インフラ、(4)金融部門のセイフティネットが必要である。

 これらの計画実施の成功は、政府による強力な指導力・確固とした約束・驚異的な努力に依存している。特に経済財務省・商業省・カンボジア国立銀行である。また民間部門の支持と国際支援機関によるタイムリーな援助が求められる。民間部門と国際機関の積極的な参加は、計画実施が成功するための知識投入源として不可欠である。

 以下、続く。

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2008年4月22日 (火)

カンボジア金融制度:発展のロードマップ(中)

 カンボジア資本市場の発展にとって関連が深い主要な制度的・政策的な改革について以下で紹介する(2001年以降)。

・貿易開放政策と投資に関する改革
03年 9月:WTO加盟承認(147番目)
04年10月:WTO加盟
05年 1月:米国二国間繊維協定(1999年)が満了
05年 5月:米国商務省とEU覚書が対中国衣料品セーフガード発動(2008年末まで)
06年 7月:対米国・貿易投資枠組み協定の締結
06年 8月:ベトナム・ラオス・カンボジア首相会談(ダラット)
07年 6月:対日本・投資の自由化・促進・保護協定の締結

・民間部門発展に関する改革
02年   :標章・商標法、不公平競争法の通過
03年 1月:著作権及び著作権隣接権法の通過
03年 2月:修正投資法、租税法修正法、特許・実用新案・証明・工業意匠法の通過
05年 5月:営利事業法、有価証券・支払取引法の通過
05年 9月:カンボジア王国投資法修正法の施行
06年 3月:商業仲裁法、工場・手工業管理法の通過、
07年 4月・5月:担保付き取引法の採択・公布
07年 4月:カンボジア品質基準法の採択・公布
07年 6月・7月:関税法の採択
07年 9月:営業権法の採択

・国家財政管理・歳入に関する改革
02年 7月:企業会計・監査・会計士法の通過・公布
03年 3月:関税法修正法の採択
06年 3月:カンボジア王国監査法の公布
07年 1月:国家証券法の公布
07年 4月:2007年財政管理法の公布
07年 6月:遊休土地徴税大臣令(Prakas)
07年 9月:非政府証券の発行と売買の法律が通過

以上については、Economic Institute of Cambodia, CAMBODIA ECONOMIC WATCH, October 2007, pp.91-108から抜粋した。

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2008年4月21日 (月)

カンボジア金融制度:発展のロードマップ(上)

 ADB(Asian Development Bank:アジア開発銀行)は、カンボジア金融制度が発展するためのロードマップを作成した(Byoung-Jo Chun, Xuechun Zhang, Ashok Sharma, Arun Hsu, FINANCIAL SECTOR BLUEPRINT FOR 2001-2010, Asian Development Bank December 2001)。

 以下では、同書の概要を紹介し、さらに金融市場・証券市場に関する見解を抜粋する。なお同書の目次は次の通りである(xiii p+79 p)。

はじめに
・前書き
・要約
・序文
・金融部門の重要問題

 
○概観、○銀行部門、○地方金融、○保険部門、○年金制度、○ノンバンク金融機関、○決済制度、○銀行間/貨幣市場、○資本市場、○法的インフラストラクチュアー、○会計・監査制度、○人的資源
金融部門の2010年ビジョン:「離陸の準備」
 
○ガバナンス改革における経済発展の展望
 ○金融部門の2010年ビジョン

金融部門の青写真
 
○序文、○銀行部門、○地方金融、○保険部門と年金制度、○ノンバンク金融機関、○銀行間/貨幣市場、○資本市場、○金融市場インフラストラクチュアー
結論
・付録

 余談であるが、上記の目次が「はじめに(FOREWORD)」・「前書き(PREFACE)」・「序文(INTRODUTION)」と続くのは、こういった外国支援に基づく政策策定につきものである。いろいろな立場と謝辞を表明して、すべてが丸く収まる。

 カンボジアは1989年に私有財産権を保障し、価格統制を廃止した。この年から、後戻りのできない経済改革にカンボジアは踏み出した。国有企業は民営化され、インセンティブが国内・外国の民間投資に提供されるようになった。このことによって1991年パリ和平協定に調印するための舞台が設定された。1993年総選挙後に、カンボジア王国政府が政策を担当することになった。

 カンボジア銀行制度は、単一銀行制度から二層銀行制度に移行した。すなわち中央銀行の機能と商業銀行の活動を分離した。1996年1月に新しい中央銀行法が公布され、カンボジア国立銀行の新しい役割が再定義された。1999年11月には銀行・金融機関法が施行された。さらに2000年6月保険法が通過した。(注:以上は同上書、p.iiiを参照した。)

 以下、続く。次回は、証券市場の開設の計画について紹介する。

 

 

 

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2008年4月20日 (日)

ベトナムで祭日が増える:「フン王を祭る日」

 先週、4月15日(火)はベトナムの祭日。私が顧問をしているロータス証券ファンド投資運用会社も休日となった。なぜ?と思ったのだが、昨年の国会が、「フン王(雄王)を祭る日」を休日と定めたからである。

 これは、陰暦3月10日であるから、毎年のように新暦の休日は変化する。この時期に訪越する外国人は、テト休暇と同じように「フン王を祭る日」を確認しておいたほうがよい。

 3月10日(陰暦)はフン王命日で、Phu Tho省にあるフン神殿には、毎年この日になると全国から人々が集まってきていた。それを公式の祭日にしたのである。

 これにより、ベトナムの祝日は9日となった

 ・ 新暦正月:1月1日

 ・ 旧暦正月<テト>:4日間

 ・ 旧暦3月10日=フウン王(雄王)を祭る日

 ・ 南ベトナム解放記念日:4月30日

 ・ 国際労働日<メーデー>:5月1日

 ・ 建国記念日:9月2日

 祝日が週の休日に重なった場合は、その翌日も休みとなる。すでに公務員は週休2日となっており、民間企業も次第にそれに準じている。


 休日が増えるということは、ベトナムの人々の生活に余裕が出てきた反映と考えることもできる。また余暇を過ごすためのサービス産業にビジネスチャンスが生まれている。他方、まだまだ今日でも、出勤手当が欲しいので休日や祭日も働きたいという人々も多数いる。発展途上国から中進国に向けて高度経済成長の段階に入った過渡期的なベトナムの状況を示す出来事と言える。


 ベトナムの都市の通りの名称は、歴史の英雄の名前に由来している。遠くない将来、これらの通りの名前の数だけ、祭日が増えるかもしれない。それほどにベトナムの経済発展を予感させる。

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2008年4月19日 (土)

ジャバグループ・株式会社ロートレ・アモン:門田さんのご講義

 流通科学大学における「実学」講義の一環である「21世紀の業界展望(A)」が本年度も始まった。本日は、神戸に本社を置くジャバ=グループの中の1社、株式会社ロートレ・アモン門田(もんでん)しのぶ氏をお招きした。

1  ジャバグループは神戸を本拠にして、神戸のエレガントな雰囲気にこだわったデザインを意識しながら、アパレル製品を日本や世界に発信している。写真は本社ビルであり、グループ企業11社が入居している。その中の(株)ロートレ・アモンは、資本金5,125万円、売上高154億4,000万円、従業員数は620人。婦人服・服飾雑貨の企画・卸・販売を事業内容としている。全国の百貨店・ファッションビルなどで160店舗を展開している。

 同社の門田氏は、SHOP運営部・採用教育リーダーとして大学4年生の採用活動と新入社員教育の両方を担当され、現在が最も多忙な時期である。ご来学に感謝を申し上げたい。

 繊維・アパレル産業は年間21兆円の市場規模を日本で持っており、それは家電や自動車の20兆円を上回っている。ただし零細企業が多数あり、「多数乱戦市場」が特徴となっている。Pict0013現在のロートレ・アモン社の基本戦略は、SPA(Speciality Store, Retailer of Private Label Apparel)ブランドの積極的な展開である。

 現在のビジネスは一般に、「プロダクト・アウト」から「マーケット・イン」の時代に移行している。つまりアパレル業界で言えば、「企業によって作られる流行」から「生活者が自ら作り出す流行」に変化している。 それに対応した業態が、SPAである。また個別ニーズに対応したブランド展開が必要であり、オーダーメードスーツのブランド展開が重視される。これは在庫負担を軽減し、顧客の固定化に寄与する。

 2000年以降、婦人服のマーケットは30歳代~40歳代に移行し、それは今後20年間は持続するとみなされる。2006年の人口分布は20歳代よりも30歳代が多くなっている。この世代の婦人服のキーワードは「本物・着心地・自分らしさ」である。

 以上、今後のファンション・アパレル業界の動向を門田さんは、優しい語り口で説明された。また日本の主要な女性誌のポジショニングの分析結果を紹介していただいた。縦軸に自分志向他人志向横軸にエレガントカジュアルを取れば、日本の女性雑誌が、いくつかに分類できる。最近の注目は「アラサー(Around Thirty):30歳周辺」であり、その中には『GISEL』・『GLITTER』・『GLAMOROUS』・『Ane Can』・『BLENDA』・『ViVi』・『SCawaii!』が含まれる。これはエレガント志向の強い「OL系」および「お姉系」と重複している。 こういった情報について普段は寡聞であって、私にとって非常に勉強になった。

 最後に門田さんは、採用リーダーとして「求める人物像」および「就職活動のポイント」について話していただいた。・明るく常に前向きな人、・広い視野を持つ人、・目標を設定しチャレンジする人。こういった人材が欲しいと指摘され、さらに「日頃から大人と人と会話することが就活のポイント」と話された。コミュニケーション能力は、あらゆるビジネスの基本である。

 貴重なご講義を賜った門田さんに、改めて感謝を申し上げたいと思う。ますますのご活躍をお祈りいたします。

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2008年4月18日 (金)

日越経済交流センター:会員総会と記念講演会の開催

 日本とベトナムの国交回復35周年日越経済交流センター創立15周年、そして日越経済交流センターがベトナム外務省からチェット大統領の来日時に友好の表彰状を受けたことを記念して、大阪弥生会館で講演会が開催された。その前には、同センターの会員総会が開催された。

 講演会では、東京のベトナム大使館からズオン(Ruong)公使閣下、大阪総領事館からリュウ(Luu)総領事閣下に続いて、私が約1時間ほど最近のベトナム情勢について紹介した。ベトナム人のしかも専門家の前でベトナムについて語ることは恐縮であると同時に光栄である。

080418_18450001  写真上:懇親会後に、左からリュウ総領事・ズオン公使・森正暁センター理事長。
 写真下:左側が山崎大使、右側がリュウ総領事。 

 ズオン公使とは10年来の旧知の仲である。ハノイのご自宅にも何度か訪問したことがある。タイビン省のご出身でリュウ総領事080418_18470001とは初対面であったが、穏和で礼儀正しい紳士という雰囲気の方であった。通訳のミン副総領事は貿易大学の出身。堪能な日本語には感心させられる。

 講演会の後の懇親会には、外務省大阪分室の山崎隆一郎・特命全権大使(関西担当)が、ご多忙にもかかわらず参加された。山崎大使は元ベトナム特命全権大使を務められ、当時はズオン公使と何度も交渉された間柄である。大阪ご赴任の前はフィリピン特命全権大使であった。私は以前にハノイの日本大使公邸でお目にかかったことがある。お若い頃に、大平首相・福田首相とカーター大統領の日米首脳会談の通訳をされた英語のプロである。

 ベトナムと日本の友好と親善を願う人々の集まりであり、私にとって心地よい講演会であった。「日本の少子高齢化・人口減少を救う国ベトナム」という主張は、多くの人々に受け入れられたように思われた。

 日越経済交流センターと私との出逢いも今年で10年になる。旧知の方との再会があり、さらに新しい方との出逢いがあった。気分を新たにしてベトナムに取り組もうと思う。

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2008年4月17日 (木)

ベトナム金融政策に提言:金融引き締めの継続とベンチャー投資の促進

 昨日に続いて、ベトナムの金融政策および経済政策について私見を述べる。

 ベトナム政府は、インフレ抑制のために高金利政策(預金金利11%)を採用している。それでも企業の資金需要は旺盛であるから、金利15%を超える融資であっても企業は甘受する。この高い資本コストが製品価格に転化されると、さらにインフレは加速する。このような「悪循環」の論理が、昨日のブログで紹介された。

 ここで、銀行融資ではなく、エクイティ=ファイナンス(新株発行を伴う資金調達)を通して企業の資金需要を賄うと考えてみよう。そうすれば、資本コストは大幅に低下する。したがって「悪循環」は断ち切られることになる。

 さらに、このエクイティ=ファイナンスの出資者がベンチャー型外国投資ファンドであるとする。こういった投資ファンドは通常、投資先企業(Investee)を選別し、さらに株式上場を支援する。すなわち、優良企業および潜在的な成長企業に投資を限定する。

 これらの優良企業は、同業他社に比較して、この時期にこそ大きな競争優位性を獲得できるであろう。これは経済成長の維持に貢献すると同時に、非効率的な企業を淘汰することにもなる。結果として、ベトナム経済の国際競争力を高める

 経済成長を維持しながら、インフレを最小限にする。この難問を解決するためには、実物市場から流通資金を吸収する伝統的な手法を機械的に採用することは新興国では疑問である。企業の成長意欲が強いために資金量が減少しないからである。

 幸いにしてベトナムには株式市場がある。株式公開を推進し、外国投資資金を受け入れる。こういった企業が経済成長を先導する。この資金供給は限定的・選択的であるから、インフレを最小限に抑制できる。エクイティ=ファイナンスの活性化はインフレを一時的に加速するように思われるが、それは全面的でなく部分的である。不良企業には資金が向かわないからである。

 インフレ抑制のための高金利が継続するが、成長性ある優良企業は外国投資ファンドからの資金供給を低コストで受けることができる。これは企業の経営改革を促進する。この役割を果たすのが、外国投資ファンドである。以上は、このような見解である。

 このために政府は、株式公開を推進するための税制上の優遇策を導入する。こういった施策が求められる。

 注:私見では、不動産価格の下落は、この1年内で発生する。ベトナム政府が、地価高騰に対する国民の不満を無視できなくなると思われるからである。近近に、不動産の投機と騰貴の抑制が強化されるのではないか。

 

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2008年4月16日 (水)

ベトナムのインフレ対策は「悪循環」を生む懸念がある!

 ベトナム財務省が発行するVIETNAM FINANCIAL REVIEW(No.03(No.12), March, 2008, pp.4-5)は、貿易大学のグエン=ヴァン=ミン博士によるインフレーションとの戦いという巻頭のコメントを掲載している。

 ベトナム政府の政策動向を予測する場合、ミン博士のような非政府系エコノミストの見解は重視されなければならない。私的な意見として公表されているが、その反応もしくは反響を政府は注視しているからである。このような手順を踏んで世論の動向を政府は探っていると考えられる。政府の公式発表だけを信用すると、思わぬ判断ミスをすることもある。

 さて前掲の記事でミン博士は次のように述べている。
 インフレーションを抑制するために政府は厳格な金融政策を採用しなければならない。
第1に、商業銀行に対して支払準備比率を10%から11%に強制的に引き上げさせた。
第2に、2月1日から3つの主要な金利を上昇させた。基準金利を年8.25%から8.75%、借り換え金利を6.5%から7.5%、割引金利を4.5%から6.0%に引き上げた。これは、ベトナム通貨ドンの魅力を増加させて、実物市場における通貨流通の減少を目的としている。

 最近の最も極端な施策は、年7.8%の国債20兆3千億ドン(12億6875万ドル:1ドル=16000ドン)の強制的な発行であった。すべての商業銀行は、公平な割合で国債を購入しなければならなかった。ベトナム投資開発銀行(BIDV)、産業商業銀行(Incombank)、ベトナム貿易銀行(VCB)は、それぞれ3兆ドン(1億8750万ドル)を購入しなければならない。またACBは1兆5千万ドン、サコムバンクは1兆2千億ドンである。テコムバンク・エクシムバンク・ドンアを始めとする他行は、それぞれ5千億ドンを購入しなければならない。これは、通貨流通市場からの過去最大の通貨引き上げである。 

 政府のインフレ-ション管理は当然である。しかし商業銀行では預金金利が10%~12%であるにもかかわらず、上記の7.8%の国債購入を強制される。商業銀行にとって損失の発生は明らかである。結果として、貸出金利は年15%以上となり、企業は資金不足に陥る。これは生産コストの上昇を招き、さらにインフレーションを悪化させる。 

 マクロ経済を安定させ、インフレーションを沈静化し、生活水準を改善する中央銀行(SBV:ベトナム国家銀行)の対策は、実際には反対の結果をもたらす。これらの対策は、自らの責任を企業や国民に転化し、長期的な結論として悲劇を生む可能性が高い。

 インフレーションは今後も継続すると予想される。これまでの金融引き締め政策は時代遅れとみなされる。さらに金利の高騰は民間企業にとって厳しいが、他方、国家予算に組み込まれた国営企業にとってその混乱は小さい。

 ミン博士は、これらの事情を考慮した包括的な解決策が望まれることを指摘するが、具体的な政策手順を提示していない。しかし現在の政府および中央銀行の施策が、経済悪化の悪循環を招くという批判的見地を明示している。

 私見では、貧困層に対する十分な保護や支援を考慮しながら、また自然環境(=公害対策)に配慮しながら、高物価・高賃金といった拡大成長路線を進めることが、上記の「悪循環」を断ち切る方法ではないかと思われる。

 そのためには、高金利による資金調達の困難性をエクイティファイナンス(新株発行による資金調達)によって克服する視点が必要ではないか。この資金供給源として、株式市場における外国投資が改めて注目される。第2次株式投資ブームの到来が期待・予想される。

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2008年4月15日 (火)

名古屋でお会いしましょう:ベトナム講演会のお知らせ

 名古屋でも、以下の要領で4月26日(土)に講演します。タイトルは、上田義朗ベトナム経済講演会「元気な国の元気な話」です。昨日に続けて、ご案内します。この講演は、日本ベトナム友好協会(私も会員)が主催し、東京のニュース証券が後援。ベトナムの社会・文化・経済そして実践的な株式投資の魅力も理解できるという欲張りな企画です。
 なお、この講演会は『日刊ゲンダイ』(中京版)4月2日付けの第1面、福田総理の写真の隣に公示されています。
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 「社会主義とドイモイはどういう関係?」「進出した日本企業の実績は?」「インフレは大丈夫?」ベトナム戦争から33年、世界最貧国だったべトナムは今やWTOにも加盟して、アセアン諸国の中でも最も注目を集めています。今後のベトナムの展望、べトナムと私たちがどのようにかかわっていけるのか、流通科学大学上田義朗教授に、講演していただきます。

●日 時 2008/04/26 13:00~16:00
●場 所 なごやボランティア・NPOセンター (伏見ライフプラザ12F)
愛知県名古屋市中区栄1-23-13 (周辺地図)
●定 員 100名
●参加方法 電話かファックスにてお申し込みください。
●参加締切 
●連絡先 日本ベトナム友好協会愛知県連合会
名古屋市名東区平和が丘3-12,8-201
担当:戸嶋
TEL/FAX:052-782-5623 (夜間)
E-mail:aivi07@yahoo.co.jp

●その他 懇親会参加の方は2000円です。
【交通手段】公共交通機関のみ
【最寄り駅】地下鉄伏見駅6番出口南へ徒歩8分
【参加費等】500円(学生無料)
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2008年4月14日 (月)

日越経済交流センター「記念講演会」のお知らせ

 日越経済交流センターでは、以下のように講演会を開催する予定である。この日時には大学で講義があり、講演会と講義の選択は非常に悩ましい。

 結局、講義を休講・補講して講演会を優先することにした。大学の講義で最先端のベトナム情報を提供できる前提は、こういった学外活動である。学外活動ができないとなれば、書籍・雑誌・新聞・インターネットでしか情報入手できない。それでは「実学」が追究できないではないか。

 以上のような事情を私は学生に話すべきであると思し、そのようにしたい。あらゆる場合に情報公開は必要であるし、そのことによって相互理解が深まる。

 なお、この講演会で私は主催者側であるから私は無報酬である。日越経済交流センターは非営利の公益活動を目的とした現在は任意団体であるが、新たな法律の下で公益社団法人の申請を予定している。皆さまのご支援とご協力をお願い申し上げます。

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 日越経済交流センター「記念講演会」
 主催:日越経済交流センター
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~今後の日本とベトナムの関係のさらなる発展を願って~

この度、日越経済交流センターでは、日越国交樹立35周年・日越経済交流センター設立15周年、そしてベトナム外務大臣から表彰を受けたことにより、記念講演会ならびにレセプションを開催することになりました。

セミナー後のレセプションでは、ベトナム大使館 グエン公使やレー総領事をはじめ、ベトナム関係の皆様方とご歓談いただきます。皆様のご参加をお待ちしております。

【日 時】     4月18日(金)   15:15~19:30
※セミナー終了後、レセプション 17:30~19:30

【会 場】     大阪弥生会館 (大阪市北区芝田2-4-53)

【参加料】    センター会員    5,000円(1人・レセプション付)
センター非会員  8,000円(1人・レセプション付)

【定 員】      60名(定員になり次第お申込を締め切ります。)

【内 容】◆セミナー(ご講演予定者)
・グエン・カン・ルオン氏(ベトナム大使館 公使)
・レー・ドゥク・リュウ氏(ベトナム総領事館 総領事)
・上田義朗氏(流通科学大学 教授・日越経済交流センター 副理事長)

【申込・問合】  日越経済交流センター
TEL: 06-6359-5071 FAX:06-6359-5072
Eメール: j-veec@gol.com
※申込みは電話にてお願いします。

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2008年4月13日 (日)

日本とCLVの協力関係:福田総理の約束

 日本の外務省のホームページによれば、2007年11月20日にシンガポールで福田総理は、フンセン・カンボジア首相、ブアソーン・ラオス首相、ズン・ベトナム首相との間で首脳会談を行った。わずか1時間の短時間であり、日本の報道機関の関心は低かったが、日本とカンボジア・ラオス・ベトナムの将来の関係強化に向けた重要な内容を含んでいる。

 なお日本の外務省は十数年前からアセアン(東南アジア諸国連合)の後発四カ国をCLMVと呼んで、ODAによる特別の支援を強調している。Cはカンボジア、Lはラオス、Mはミャンマー、Vはベトナムである。

 私見では、この中でミャンマーは軍事政権下の民主化が一般に注目されているが、経済面でも為替レートが一元化されておらず、外国企業の操業は苦しい。この意味で、CLMVの中のMは、CLVの次の国と見なしてもよいかもしれない。その時期は、これらの問題改善の推移に依存している。

 さて、この首脳会談において福田総理は、次の6点について述べた。

 (1)日本は1990年代初頭から一貫してメコン地域開発を重視。その豊かな潜在力を更に開花させ、メコン地域がまさに「希望と発展の流域」となるよう共に努力したい。

 (2)CLV各国及びメコン地域全体に対するODAを今年度から3年間拡充していく。

 (3)メコン地域が一つの経済圏として発展していくため、東西回廊及び第二東西回廊の整備を重視。日本アセアン統合基金のうち2,000万ドルを活用して、両回廊が実際にビジネスに利用されるよう物流効率化のための支援を行う。現在、東西回廊実用化に向けた課題を調査する実走実験を実施中であり、具体的な支援にはその結果を反映させていく。

 (4)CLVの国境地帯である「開発の三角地帯」について、日本として今年度は25件25億円以上の協力案件を実施するほか、日本アセアン統合基金を通じた2,000万ドルの支援を準備しており、具体的支援案件のパッケージを日メコン外相会議で採択させたい。

 (5)日本とメコン地域との貿易投資の拡大に向けて、本年6月のカンボジア投資協定署名及び日ラオス投資協定交渉の前進を歓迎する。また、法的枠組みの整備に加えて、実態上の貿易投資環境の整備も重要であるとの認識のもと、日越共同イニシアティブの継続と12月の「日ラオス官民合同対話」の実施を歓迎する。

 (6)日本とCLVの相互理解を深めるため、今後の5年間で4,000人を超えるCLV各国の青少年を日本に招聘する。

 以上、ベトナムを含めたメコン川流域3カ国に今年は注目である。ただし、すでにベトナムは経済成長の段階から言えば、「離陸」したように思われるが、ラオス・カンボジアはこれからである。その理由は、かつてのベトナムがそうであったように、現地のビジネス情報が少ないことである。これから、この課題にも挑戦してみよう。

 

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2008年4月12日 (土)

常識のないベトナム企業に対応する:仮説

 国際ビジネスが初めてというベトナム企業は多数存在する。これは日本企業も同様である。ただし日本企業の場合は、情報が豊富である。また相談する会社や機関も多様であるから、自社の知識と予算に応じて選択することができる。

 これに対して、ベトナム企業の場合、こういった国際ビジネスに関する相談窓口は多くないと思われる。たとえば商業省(現在の商工省)がVIETRADEhttp://vn.access-a.net/official/index.html:貿易促進庁)を設置している。ベトナム企業と外国企業のビジネスマッチングが主目的になっているが、トラブル相談には対応しているのであろうか。日本のJETRO(日本貿易振興機構)に対応したベトナム機関とみなされるが、その実態を私は確認していない。

 国際ビジネスに未経験のベトナム企業と取引をする機会が、日本企業にも増加していると思われる。同業他社との競合を回避するためには、新しい未開拓のベトナム企業と取引する可能性が増えてくる。

 この場合、国際的なビジネス常識から見て、思ってもいない要求に遭遇することになる。たとえば詳細は省略するが、ベトナムで一緒に食事した「接待費」が後に日本企業に請求されるようなことがある。ベトナムでも企業会計で「接待費」は計上できるから、普通はベトナム企業が負担するものだ。それを取引が不成立の場合、日本企業に請求してくる。

 このような請求を無視すればよいと思うのだが、そうはできない事情がある。この場合、どのように対応すればよいか。日本の常識はベトナムでは通用しない。国際ビジネスの常識も通用しない。通用しないからこそ、この例のように「接待費」を請求してくるのだ。

 この対応をどうするか。ベトナムにおける弁護士・公的機関・有力者・長老---。いくつかのルートを使って相談・交渉する。これらを試してみるほかない。トラブルに巻き込まれないことが最善だが、常にそういうわけにもいかない。こういう場合の「ノウハウ」もしくは「ノウフー」が重要である。この点の「実学」の成果を近々に報告することにする。

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2008年4月11日 (金)

「Tri」は「チ」:ベトナム語の発音

 流通科学大学にもベトナム人留学生が増えてきた。今日の講義の直後に「先生、ベトナム語ができるんですか?」という質問が学生からあった。「少し話せる」とベトナム語で答えて、「きみはベトナム人ですか?」と質問したら、「そうだ」という返事であった。

 ニャチャンの出身というので、この3月にニャチャンのビンパールホテルに言ったよといった話になった。すぐ側で会話を聞いていた日本人の学生が「先生、何を話してたんですか?」と質問してきた。こういう場面は、教員としてちょっと気分がよい。

 私のベトナム語は、1998年のハノイ留学時に毎週1回の家庭教師で勉強しただけである。もっと勉強したいのだが、十分な時間がない。このような言い訳をしているが、「時間がない」のは誰もに共通した理由だから、理由にならない理由と考えて良い。要するに「優先順位が高くない」ということだ。ただし、もっとベトナム語が上達したいという気持ちは持続している。

 さて『日経ビジネス』(2008年4月7日号、pp.109-110)に「インフレ対策でドル・ペッグ制見直し:ベトナム経済に大異変」という記事が掲載されている。これは、米紙『ウォ-ル=ストリート=ジャーナル』(2008年3月19日)の記事の翻訳である。

 この内容は別途に紹介・コメントするとして、本文中には「経済計画研究所のヴォー・トリ・タン所長」という人物の発言が出てくる。この「トリ」は変だ。おそらく原文は「Tri」であるが、これは「」と発音する。ベトナム語の発音は、文字に一対一に対応しているから、文字と発音が不規則な英語よりも簡単だ。

 記事の内容は興味深いが、このようなミスがあると興ざめする。批判するのではなく自戒すべきことであると思う。

 

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2008年4月10日 (木)

ライオン中内功からの手紙

 ライオンズクラブ(http://www.lionsclubs.org/JA/index.shtml)は、世界最大のボランティア組織である。日本では会員数が12万人弱。世界ではアメリカの38万人、インドの14万人に次いで3位の会員数となっている。ちなみに日本の次は韓国の8万人、イタリアの5万人である。

 同クラブの会報誌『The Lion』2008年2月号(pp.54-55)に表題の記事が掲載されている。中内功は、ダイエー創業者であると同時に、私の勤務先の流通科学大学を創立し、当時は学園長であった。2005年2月14日に中内は所属ライオンズクラブに退会届の手紙を書いた。私の入会は同年の4月。この退会と入会のタイミングが不思議な偶然である。同年9月に中内は83歳の生涯を閉じた。

 中内がライオンズクラブの会員であることを私が知ったのは、彼が亡くなってからである。それも偶然の発見である。数万冊に達していた彼の蔵書が希望者に無料で頒布される機会が大学であった。150人規模の教室3つに書架が運び込まれた。その中に1960年代のライオンズクラブの会員名簿があり、ページをめくれば、その中に中内功の名前も記されていた。そこで初めてライオン中内の存在を知った。この会員名簿は今、私の手元にある。

 経団連(現在の日本経済団体連合会)副会長にまで上り詰めた中内功は、その多忙のために、すでにライオンズクラブを退会していると私は勝手に思い込んでいた。しかし上記の会報誌で、亡くなる直前までクラブ会員であることを知った。

 このような経過を今から思えば、ライオンズクラブの会員が2名、同じ大学に10年以上も在籍していたことになる。もちろんライオン中内は休会をしていたのだと思うが、れっきとしたライオンである。この関係を知っていたら、もっと中内と違った話ができていたように思う。

 私が今も続けているラオス清掃ボランティア活動の推進者は中内であった。それは、2001年12月に中内が私の案内でラオス国立大学で講義したことが契機となっている。そして、その後のラオスの活動支援は、現在の私が所属するライオンズクラブが継続してくれている。

 ラオスとライオンズクラブを結びつける縁が中内と私にあった。お互いがライオンであることを知らなかったが、同じ活動をしていたのである。この偶然に驚かざるをえない。この活動を10年間続けるのが、私と中内の約束になっており、今年は6年目になる。

 上記の会報誌の記事の中には、次の文書が引用されている。

 ・人は人生それぞれの時期に初心者に戻る。 シャンフォール

 ・金儲けするだけで仕事するのはつまらない。人の役に立つことが自分の事業の最大の目標である。 中内功

 ・他人に尽くすことなくして人生の大は成しとげられない。 メルビン=ジョーンズ(ライオンズクラブ創設者)

 それぞれが記憶されるべき内容であると思う。なお、ライオンズクラブでは会員の氏名を呼ぶ場合、「ミスター」の代わりに「ライオン」と呼ぶ。

  

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2008年4月 9日 (水)

京都大学によるユーチューブでの講義公開

 4月9日(水)の新聞各紙は、京都大学の講義がユーチューブで公開されると報道した。自分の講義が公開されてしまうと、同じネタが使えなくなると思うのだが、京都大学の講師陣ともなれば、落語家の名人芸のように何回観ても新しい発見や感動があるのだろうか。

 私も実は、自分の講義がインターネット上で公開されている。1月16日(土)に東京の渋谷で開催されたニュース証券の「ベトナム株式セミナー」の講演である。

 ニュース証券http://www.news-sec.co.jp/

 それ以前には、ユナイテッドワールド証券が主催するベトナム講演の様子も公開された。ベトナム経済・社会の発展スピードは急激だから、普通に最新の状況を紹介していると、それだけで内容は更新されるので、特に公開についての不都合や不満はない。

 また桃山学院大学の社会人向けの大学院でも、欠席学生のために講義を録画し、それを公開している。これは学内に限っての公開であるが、京都大学では一般公開である。

 現在、各大学ではFD(ファカルティ=デヴェロップメント)活動が活発である。大学の研究・教育・社会貢献などのレベルを向上・改善する大学独自の試みである。その中のひとつに講義方法の改善という課題がある。そのために講義の参観制度などが実施されているが、それと同時に次の段階では講義を録画し、それを見ながら、自己点検するという方法もありうる。

 いずれにせよ、自分の講義を見て最大の反省点は、自分自身のメタボリック的な体型である。こういう反省ができるのも、講義の録画・公開の副産物である。早速、大学のFD担当者に提案することにしよう。

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2008年4月 8日 (火)

悪材料が出尽くしたベトナム株価

 ベトナム株の低迷は、インフレ対策のための金融引き締めが最大の理由と考えられる。金利が11%となれば、株価下落が当然である。

 IPO段階からの高株価は企業価値を過大評価していると私は以前から指摘していたが、その調整局面という意味も今回の株価低迷はもっている。

 しばらくはインフレ抑制のために高金利が継続すると考えられるが、現在の土地価格の高騰が持続するとは思われない。投機目的の不動産投資の影響で、一般庶民の地価が上昇していることについて、ベトナム政府が放置しておかないとみなされるからである。土地価格の沈静化・下落が予想される。

 そうなれば、株式投資に資金が向かうであろう。またベトナム政府は、今回の株価下落の教訓を学び、国営企業の株式公開を慎重に勧めると考えられる。国営銀行・携帯電話・ベトナム航空など大規模な株式公開が控えているが、それは市況を見ながら、徐々に進められるであろう。

 さらに東京のニュース証券がベトナム株式の直接売買の仲介を始めたように、外国人の投資や投資ファンドがベトナム株式市場に向かう好機である。現在の株価はPER(株価収益率)から見ても10倍台であり、株価下落の今こそ買い相場である。私見では、経済成長率7~8%が予想されるベトナム経済に投資して、大きな損失は長期的に見てありえない。

 以上、ベトナム株式市場は上場銘柄数と投資金額が増え、その時価総額が拡大する「成長期」に入ったと思われる。真っ暗な闇の世界に太陽が昇り、まぶしいほどの輝きを見せる。1年間で2倍や3倍に株価が上昇する「黎明期」の時代をベトナムは卒業した。

 太陽が昇れば、雲の出ることもあるし、雨が降ることもある。しかし太陽はまずます輝きを増していることは間違いない。現在の雨が上がり、雲が晴れると、まぶしい太陽が天中に向けてかなり上昇しているであろう。このようにベトナム株式市場は「成長=拡大期」の段階に入ったのである。ベトナム株式市場について大きな懸念は不要であると私は考えている。

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2008年4月 7日 (月)

こんなベトナム企業には注意が必要だ

 日本企業のベトナム進出が加速し、それに伴ってベトナム企業とのトラブル発生の事例も増えていると想像される。これまでの私の経験から、その留意点を列挙しておこう。

 1.社長が英語を話さない。だれが英語を話しているのか。その人物は常勤なのか。
⇒日本の場合も、英語ができない人が多いのでエラそうには言えないが、少なくとも片言でも話す。これに対してベトナムのような新興国では英語を話す社長がいることは普通である。そうでなければ、ちょっと注意が必要だ。少なくとも社長の努力不足は明白だ。

 2.外国企業との取引経験はあるか。
⇒初めての外国企業との取引という場合、これも注意が必要である。よほど信頼できるベトナムの仲介企業があればよいが、そうでなければ、ちょっと遠慮したほうがよいかもしれない。国際ビジネスの常識が通用しないというトラブルが発生するかもしれない。

 3.やはり企業の外観を無視しない。
⇒小さな町工場のように見えて、郊外に大きな工場を持っていたりする企業は多い。企業の実力を外観で判断してはいけない。しかし逆に、本当にショボイ外観の会社がある。掃除も十分でない。5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)など知らないし、無関心。こういう会社は要注意だ。ビジネス常識がないか、または知らない。

 4.ニコニコ顔にだまされない。
⇒一緒に食事して、意気投合して、この人は信用できると思ってしまう。しかしそれとビジネスは別だ。冷静に判断する。感情移入は判断を誤らせる。

 5.無駄な出費はしない。
⇒試作品の段階で相手側が経費を請求してくる場合がある。暴力バーのホステスの「おねだり」と同じではないか。普通の誇り高いベトナム人は、外国人に対して簡単に「おねだり」はしないものである。

 以上、思いつくままに書いたが、ベトナムビジネスに成功するためには、最終的にはパートナーである。アタリとハズレがある。少なくともハズレないためには、パートナー周辺の人々にもパートナーの状況を確かめる必要がある。そういうことができるコンサルティング会社があれば、そのための経費を惜しんではならない。

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2008年4月 6日 (日)

剣客商売と学者商売

 『剣客商売』は池波正太郎の代表作のひとつと言ってよいだろう。江戸の風物や名物料理が、それぞれの物語の中にさりげなく挿入され、それが池波の独自の世界を作り出している。日本の江戸文化を感じ取ることができる名作である。

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 主人公の秋山小兵衛は、剣客の世界から引退しているのだが、その腕は今も健在という設定である。この秋山小兵衛は「必殺シリーズ」と並ぶ藤田まことの当たり役と思われる。剣を取った時の厳しさと日常の柔和な表情の落差が、必殺シリーズの中村主水と同様に、藤田の持ち味を十分に発揮させる。余人をもって代え難い適役である。TV・CATVで何度も放映され、DVDが発売中。レンタルDVDもある。

 このDVDを見ていると、剣客商売とは、剣客という厳しい修行の世界から脱力して、悠々と生活を楽しむ生き方を表現している。かといって剣客の姿勢や矜恃が消滅したわけでもない。剣客として、さらに人間としての生き方を踏み外してはいない。剣の道を一筋に歩む柳生十兵衛や柳生連也齋のような剣客もいれば、秋山小兵衛のように老後を「第二の人生」として楽しもうとする剣士もいる。後者は、より人間的であり、一般の人々から見れば、より身近な存在である。

 この「商売」という日本語には、「ビジネス」という外来語にはない楽しさや猥雑さを感じる。恵比寿さんのお祭りでは「商売繁盛で笹もってこい!」であって、やっぱり「ビジネス繁盛」とは言わんわな。

 このような意味で、「学者商売」を今年度の私の課題としよう。自己に厳しく禁欲的に研鑽を積み重ねる修行の道を歩む「学者」もいれば、そうでない学者がいてもよい。学ぶこと自体の知的な楽しさや、新しい事実を発見する驚きや感動を楽しむ学者を目標としてみたい。肩を張らない。気負わない。無理しない。楽しく仕事する。そうすれば、学生も楽しく勉強するだろう。「学者商売」。この意味を「実学」とともに追究してみよう。

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2008年4月 5日 (土)

伊香保温泉の旅

 群馬県の伊香保温泉に3日から1泊の旅をした。東京・恵比寿に本社があるニュース証券http://www.news-sec.co.jp/)西川社長からの依頼で、渋川市・伊香保温泉にお住まいの小笠原さんや黒岩さんを始めとする企業経営者の方々にベトナムの様子をお話しするためである。

 4日の午後は、東京・お茶の水(財)日本経済研究所でベトナムの株式市場について講演した。(財)日本経済研究所は、今月から日越経済交流センターの会員になっていただいた。ベトナム・ラオス・カンボジアの地域経済について優秀な研究員を擁する同研究所と当センターの交流と協力が深まることが期待される。

 東京から上越新幹線で高崎まで50分。JR上越線に乗り換えて渋川駅まで25分。さらに080404_11070001 バスかタクシーで20分~30分で伊香保温泉である。泉質は鉄分を含んでおり、お湯は鉄分で茶褐色に変色している。宿泊したホテル木暮は、掛け流しの豊富な湯量が自慢である。

 渋川駅からは赤城山を眺めることができる(写真参照)。ここは「上州」。「木枯らし紋次郎」や国定忠治の世界だ。福田総理は高崎市が地元である。お招きをいただいたおかげで、穏やかな春の日をゆっくり過ごすことができた。ベトナムとの関係が地方都市から発展することを期待したい。

 なおニュース証券では、ベトナム株式の直接売買を始めている。これは日本初である。すでにベトナム株式担当者のグエン=ヴィエット=ハーさんが採用されている。この伊香保温泉でお目にかかったが、神戸大学経営学部の出身。私の後輩である。さらに私の勤務先の流通科学大学で私が主催したベトナムセミナーにも参加されたそうだ。私は忘れていたが、ハーさんはよく覚えてくれていた。タオさんやニュンさんなど共通の知人・友人がいる。タオさんとは3月末にハノイで会ったばかりである。

 「地球は丸い」「世界は狭い」。ベトナムの仕事をしていて、次々に嬉しい出逢いがある。ベトナムに感謝である。

 

 

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2008年4月 4日 (金)

今こそベトナム企業はライバルに差をつけろ!:エクイティ=ファイナンスの勧め

 ベトナムのインフレーションは、今年の予想経済成長率を8~9%から7~8%に下落させるほどである。金融引き締めによって経済活動の停滞が予想されるからだ。

 こういう時期に新規の設備投資をすれば、同業他社に対して大きな競争優位性をもつことができる。資金力のある企業は、そうでない企業に対して格差をつける好機である。この資金力の源泉は、必ずしも自己資金である必要はない。株式市場を通したエクイティ=ファイナンス(新株発行による資金調達)の手段がある。

 特に投資ファンドを「戦略パートナー」として資金調達することをベトナム企業に勧めたい。投資先の経営に対して投資ファンドは基本的に「無色」(サイレント=パートナー)であり、その株式公開(IPO)および上場にのみ関心がある。その売却益が目的だ。したがって、これまで通りに自分のスタイルで経営すればよい。自分の会社を乗っ取られる心配はない。

 この「心配がない」という根拠が、私が関与しているロータス証券投資ファンド運用管理会社の場合、日本からの出資会社ということに対するベトナム人の信頼感である。ベトナムと日本の長い友好と交流の歴史を背景にして、日本と日本人に対するベトナム人の信頼は大きい。もちろん、この信頼感の醸成は、これまでの多数の日本人の努力と献身に起因している。

 ロータス社の投資ファンドは、欧米系に代表される「ハゲタカ」投資ファンドと性格が異なる。同社には投資諮問委員会が組織されているから、その日本人の委員からの生産性向上や経営改革について、ベトナム企業の求めに応じて助言を受けることができる。また日本を含めた海外の取引先を紹介してもらうこともできる。このように、これまでの日本とベトナムの友好と支援の延長上に、この投資ファンドが運用される。

 ロータス社は今、このような営業方針で有望なベトナム企業(INVESTEE)を個別訪問している。そしてこれが、ロータス証券投資ファンド運用管理会社の存在価値である。上場株のテクニカルな売買ではなく、現在の企業価値と将来の成長性を適正に評価して長期的に投資する。つまり「戦略的パートナー」としてベトナム企業の発展に貢献する。その結果、成長した企業の株式の適時売却によって日本の投資家は利益を獲得できる。

 株式市場が低迷しているからと言って、投資運用会社の仕事が減少するわけではない。これが証券会社と異なった運用会社の責任と役割である。 

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2008年4月 3日 (木)

ベトナム政府の株価下落対策:公的資金の投入も当然だ

 ベトナム株価指数の下落に対して、ベトナムでは次のような対応策が実施されている(2008年3月26日、各紙の報道)。それらが有効に機能することが期待される。また有効でないとすれば、それはベトナム株式市場の特殊性を示すことになる。

 私見では、ベトナムは証券知識の普及活動が必要である。これまでの不動産・金という投機対象に加えて、株式が追加されたという認識しか大部分のベトナム人はもっていないのではないか。株式市場の経済機能や、株式会社の構造などの知識が普及されなければならない。そうなれば、企業統治(コーポレートガバナンス)の意義が理解される。その企業統治の前提として情報公開や経営透明性が不可欠となり、さらに説明責任という概念も浸透する。

 ベトナム証券業界は、資金を出し合って、こういった証券知識の普及運動を全国に展開するべきである。「どの株式が儲かるか」といった「ギャンブル情報」ではなく、株式市場や株式会社に関する知識を広く普及させる。このことが、投資家のすそ野を広げるであろうし、より長期投資を志向するベトナム人投資家も増やすことになる。これが、ベトナム株式市場の持続的な発展に貢献すると私は思う。

1.ズン首相の指示
  国家資本投資経営総会社(SCIC)は市場安定のために主力銘柄の株式を集中して購入する。私見⇒SCICは国家持株会社であり、国営企業の株式を所有している。同社が市場の株式を購入し、株価下落に歯止めをかける。日本の事例で言えば、公的資金の投入である。

  国家銀行は商業銀行に対して、資金回収の手段として担保証券を売却することを一時停止するように指示する。私見⇒商業銀行の株式売却を制限する目的である。

  商業銀行が一時的な資金不足の状態に陥った場合、国家銀行は年9%の金利で貸し付ける。国家銀行は商業銀行から合法な外貨(間接投資の外貨も含まれる)購入を推進する。私見⇒株式売却できずに資金不足の懸念がある商業銀行の経営を安定させるために国家銀行が特別に対処する。

  上場企業が株式市場から自社株を買い戻すことを許可するが、この買い戻しは登録資本の増資に関する現行規定から除外される。私見⇒自社株買いを許可。

  公安省は株式市場でデマを飛ばして投資家に悪影響を及ぼす行為を厳罰に処す。私見⇒言飛語や情報操作を禁止する。

  情報メディア省は国民が株式市場の発展に関する政府方針を理解できるように、各メディアに対して客観的な報道を指示する。私見⇒政府による報道統制とも言える指示である。

2.国家証券取引委員会(SSC)の対応
 上場銘柄の値幅制限を強化する。個別柄の1日の変動幅をホーチミン証券取引所(HOSE)では5%から1%に、ハノイ証券取引所(HASTC)では10%から2%にする。

 以上の株価対策について、政府は商業銀行の経営に配慮している。それはインフレ対策を商業銀行に強制しているからである。株価上昇とインフレ抑制を同時に進める。これは難しい課題であろう。このインフレ対策について、次回は紹介する。

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2008年4月 1日 (火)

これからのベトナム進出:大学のある地方都市

 これからの日本企業のベトナム進出の条件を考えると、3月末の現地調査によって次のような提言ができる。

1.進出の場所
 ハノイ・ホーチミン市さらにダナンなどの工業団地は大企業向けであろう。大企業の隣りに中小企業が進出するとなれば、大企業の高い賃金や手厚い福利厚生に中小企業は太刀打ちできなくなる懸念がある。都市部の労働者不足が強まれば、少数の労働者の奪い合いに中小企業は勝てないのではないか。そうならないように中小企業は地方都市の進出が望ましい。他方、中小企業=すそ野産業を専門とした工業団地を設定して、それを優遇する政策が、ベトナム政府によって採用されることが望ましい。

2.労働集約的産業企業の進出は?
 労働集約的産業の企業は、ベトナムが高い労働コストになることを認識しておかなければならない。たとえば毎年15%以上の給与上昇があれば、5年後に給与水準は2倍になる。長期的な計画として高コストに対応できる高付加価値製品の生産や多品種少量生産ができそうにないなら、ベトナム進出はあきらめた方がよいかもしれない。
 「ベトナムが豊富で安価な労働コストを特徴とする」という指摘は過去になった。明治維新なのに、いつまでもサムライ姿に憧れてもしかたがない。それが時代の変化である。もっとも、まだまだ賃金は安価である。最低賃金は100万ドン(約7,000円)。しかし今後の戦略を検討しなければ、5年か10年後にはベトナム撤退ということにもなりかねない。

3.資源大国の可能性
 ベトナムは食糧輸出国であり、さらに石炭・石油・鉄・非鉄金属・希少鉱物など鉱物資源も採掘できる。これは日本にはない経済成長の優位性である。現在、自国の原油をシンガポールに輸出して精製し、それを輸入しているが、数年後には石油精製を自前でできるようになる。そうなれば、化学製品の関連分野の成長は確実である。さらに高炉をもつようになれば、鉄鋼の輸入も不要となる。鉄鋼の一貫生産は現状のWTO体制下ではコスト高になると指摘されることがある。しかし長期戦略は、当面の経済性に基づく判断とは異なる。

4.進出の心構え
 何よりも重要な成功の秘訣は、ベトナム人パートナーの選択である。日本人がエラソウにしても、ベトナムでベトナム人がいなければ、どうやって仕事するのか。最良のパートナーを見つけるためには、できるだけ多数のベトナム人に会うことである。ベトナム人を見る目を養う。このためには積極性や忍耐力が必要だ。ここでの忍耐力とは、一般に外国人と会う場合、日本人と違って疲れるという意味だ。しかし慣れれば普通になる。こういった努力が進出時には必要である。

5.大学のある地方都市に進出
 たとえばゲアン省の首都はヴィン市。建国の父・ホーチミンの生誕地である。ここにはヴィン大学がある。観光地にもなっている古都フエにはフエ大学。このような大学のある都市には当然、将来の専門職・管理職の候補となる大学生が勉強している。地方都市は定着率も高い。賃金も安い。地元が歓迎してくれる。かつて私はヴィン市を訪問したことがあるが、インフラ整備の進んだ大きな都市である。賃金高騰を懸念するなら、こういった地方都市も検討に値する。

 以上、いくつか思いつくままにベトナム進出の留意点を指摘した。また気がつけば、追記してみよう。

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