« ホーチミン市からニャチャンへ | トップページ | ニャチャンの甘い海 »

2008年3月23日 (日)

ベトナム最新の金融為替情勢:ベトナムニュースの記事から

 ベトナムに滞在すると、日本の新聞は読めないから、ベトナムの英字新聞のお世話になる。これまでVIETNAM NEWSだけに依存していたが、今回から空港や飛行機内やホテルでベトナム青年同盟が発行するTHANH NIEN Dailyが日刊で読めるようになった。ベトナムニュース紙が5,000ドンに対して、タンニエン紙は2,500ドン。前者が公式報道とすれば、後者は活字も大きくて大衆的な記事と論調である。

 さて以下では、読み慣れたViet Nam News(Thursday March 20, 2008)から最近の金融情勢を紹介する。

 商業銀行のドル建て預金金利が上昇している。SeA BANKは3月24日から、13ヶ月定期預金を0.9%上昇させて6.9%にする(最低預金金額は500ドル)。 それより早く、Saigon-Hanoi Bankは、12ヶ月間の預金金利を6.47%とし、3ヶ月から6ヶ月の金利を6.45%とした。 VIB Bnakは金利を0.6~1.3%上昇させて、6ヶ月から12ヶ月の金利を6.1%とした。Asia Commercial Bankは3月初旬に13ヶ月の金利を5.85%として、銀行間の金利戦争に火を付けた。

 SeA BANKによれば、毎日の預金量が金利上昇前の数千ドルから上昇後には数百万ドルに増加している。しかしVIB BANKは、預金者は短期預金を選択していると報告している。

 この事情を私見を補足して説明すれば、次のとおりである。ベトナム国家銀行は、ドン建て財務証券(=国債)の購入を商業銀行に求めており、それに応えるために商業銀行は資金が必要である。しかしドン建て預金金利が上限の年間12%に到達している。そこで新たな預金獲得の手段としてドル建て預金金利を各行は上昇させた。

 他方、一般にドン建て借入金利が17~18%になっており、この高金利に企業は辟易している。したがって米ドルは銀行にも企業にもラストリゾート(最後の拠り所)となっている。ドルの借入金利は約8%であるが、その水準は乱高下している。

 銀行のドル建ての預金と貸し出しにおいて、ドン高(=ドル安)が進行すれば、ベトナム国内企業は為替差益を獲得できる。ドル借入時に必要なドンよりも、ドル返済時に必要なドンが少額になるからである。さらに非公認の為替市場を利用すれば、通常よりも安いドルを買うことができる。実際に、このようにしてドル建ての借り入れをしているベトナム企業があると同紙は報じている。この意味で、ドル建て預金に対する需要は存在している。

 事実、ベトナム国家銀行の銀行間為替レートは、1ドル=16,005ドン。ベトコムバンクのドルの売値は1ドル=15,845ドン。ハノイ市内の金の売買店では1ドル=15,420ドンである。
 
 ただし今後も、ドル建て金利上昇を伴う銀行間競争が激化すれば、企業の資金需要それ自体が減退する懸念がある。インフレ抑制を目的とした金融引き締めは、経済成長を犠牲にする。経済管理中央研究所(Central Institute for Economic Management)のThanh上級研究員は、中央銀行のドン金利の上限規制はビジネスの自由を制限するので反対と主張している。ただし、ドル預金金利の上限は設定されないと見ている。米国連邦銀行のドル金利が切り下げられたからである。

 以上の報道から、日本のビジネスマンは何を考えればよいか。低金利で円を借りて、円高の今にドルに交換し(円キャリー取引)、ドルをベトナムに投資し、高金利のドルまたはドンで運用し、ドン高と円安を見計らってドルを日本に持ち帰って、円の借金を返済する。この場合のハードルは、ベトナムから日本に対するドル送金である。要するに、そんなに美味しい話は多くない。

|

« ホーチミン市からニャチャンへ | トップページ | ニャチャンの甘い海 »