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2008年3月26日 (水)

ベトナム違法ストライキの対応:現地からの再考

 今日は、エースコック=ベトナム社(食品製造販売)、サンヨーホームアプライアンス社(冷蔵庫・洗濯機・エアコン製造販売)、GABBベトナム社(ソフトウェア・IT人材育成)、そしてMetran社(医療機器商社)を訪問または面会した。これらに共通して、今年の旧正月前後に発生した「違法ストライキ」や最近の賃金上昇・地価高騰が主な話題であった。

 新3回生の学生にとっては、まるまる1日を企業訪問に使うのは初めての経験であろう。今後の就職活動の参考になればよいと思う。

 違法ストライキについては、3月19日にホーチミン日本商工会が対策セミナーを実施した。その報告書は、ストライキ発生の背景として次の3つの要因が重なり、ドイモイ政策実施後に初めての強烈な賃上げ圧力が企業にかかってきたと説明している。

1.2008年1月に昨年同月比で食料品を中心に2桁を超える消費者物価指数の高騰。
2.WTO加盟後の新たな企業進出や既存企業の事業拡大による労働力不足。
3.管理職・技術職の引き抜き。

 私見では、インフレと賃上げが追いかけ合うように発生する現象は日本の高度経済成長期に経験されたことである。このような時代にベトナムも入った。賃上げが、企業それぞれの事情によって、インフレに追いつかないこともある。しかし長期的に賃金も上がる。日本の経験がそうであった。このことを経営者側も労働者側も認識しておく必要がある。

 上記の報告書で「労働組合との交渉・妥結が意味を成さない」と指摘されている。それだから「違法スト」と呼ばれるのだが、この問題は重要である。ベトナムは労働者の国である。労使対立がない。もともと労使協調である。それだからこそ労働組合は、福利厚生の一環としてスポーツ大会を主催するなどの役割しかしていなかった。経営者と同様に労働組合にとっても、労使間の紛争解決など初めての経験であったと思われる。

 労働組合の活動を積極的・日常的に経営者が支援する。会社に意見・要望があれば、上司には言いにくい場合は、労働組合に何でも言う。その意見に経営者も真摯に対応する。こういった労使間の信頼関係をつくる。そのために労働者に対する指導と教育をする。経営者は労働組合に対して会社情報を開示する。これが「違法スト」対策のための1つの教訓ではないか。

 オーナー経営者を除いて、大企業の場合、ベトナム日系法人の経営者自身が日本本社では労働者にすぎない。本社組織の中では自らが中間管理職として、たとえば本社の意向と現場の意識との乖離の板挟みになることもあるだろう。その努力や苦労を本社が理解してくれない。さらに自らの人事考課は不当に低い。このような自分と同じ立場にベトナム人中間管理職が立たされていると考えなければならない。自分と同じ悩みをベトナム人はもっていなかどうか。労働問題を懸念する経営者は、こういった自問自答することから始めることを勧めたい。

 なお、この種の違法ストの多くには扇動者がいるのだが、その政治的な背景はないようである。いわゆる「小遣い稼ぎのアウトサイダー(はみ出し者)」というような人間が首謀者のようである。

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