« ハノイ雑感:市内を走る(2) | トップページ | ラオスの鉄道が起爆剤 »

2008年2月21日 (木)

ベトナムの変貌を考える:ストライキの背景

 現在、ラオス・ビエンチャンに来ている。2001年のJICA専門家当時からのラオプラザホテルに滞在中である。ここには、故・中内功ダイエー創業者と奥様も一緒に宿泊した。

 さてラオスにいてベトナムのことを考える。もはや低賃金の国ベトナムというイメージは払拭された。新卒の大学生は150ドルから200ドルと思っていたら、初任給で2,000ドルを出す証券会社もあるそうだ。確かにそうであろう。32歳で5,000ドルや7,000ドルになるのだから不思議でない。

 しかし、これらの情報は「うわさ」に過ぎないし、ごく限られたベトナム人に過ぎないであろう。確かに新卒と言っても、シンガポールや欧米に留学して国際水準の英語や学問を身につけた学生もいるから、そういった新卒学生の給料が高いのは理解できる。

 ただし証券金融の取引は、相手がベトナム企業だから信託手数料が0.5%とはならない。国際水準の2%とかになる。そうなれば、こういった業種の給与が国際水準で支払われても不思議でない。しかし、その能力や経験は必ずしも国際水準に達していない企業も多いと指摘されている。たとえば証券アナリストと言っても、本当に分析力があるのか実際に試してみないとわからないのが実情である。

 さらにサービス業においては、たとえばゴルフの場合、日本のキャディーさんよりもアドバイスが的確でよく気がきく。また日本語や英語が上手で、さらに笑顔が素敵で楽しい気分になる。これは国際水準のキャディーである。そうなれば、給与は日本並みを出してもよいのではないか。それが実際は月給100ドル+成果給+チップである。この給与を高いと思うか、安いと思うか。

 これらに対して製造業は、これまでの技術や技能の延長上にある。突然に外国企業と取引したからと言って、その製品の品質が国際水準に達するわけでもないし、その給与が大きく上昇するわけでもない。 同じ能力があるベトナム人学生が、その就職する業種によって給与が格段に相違する。これらの現実に直面した製造業で働く人々が不満に思っても不思議ではない。

 これらの事情がストライキの背景にあると私は思う。日本でも金融証券業は製造業よりも給与が高い傾向にあるが、その格差の根源は、過去の給与体系の相違を反映しているのではないか。ベトナムを想起すれば、それらに以前の日本はもっと大きな格差があって、それが日本製品の国際競争力の向上とともに縮小してきたと考えられる。

 WTO加盟後のベトナムでは、いきなり突然に国際水準の取引をする業種と、旧態依然とした仕事の改善を進めている業種との給与格差が顕著になってきている。後者の業種は、国際水準に達するまで給与は上昇していくのが当然と考えられる。台湾や韓国や中国も同様の歴史を辿ってきた。もちろん日本もそうである。

 ただし、この給与上昇は、生産性や品質の国際水準という基準による評価が必要である。それに応じた給与の段階的な見直しが求められるのではないか。そうでなければ、ストライキの危機は回避されないように私は思う。

|

« ハノイ雑感:市内を走る(2) | トップページ | ラオスの鉄道が起爆剤 »