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2008年2月29日 (金)

違法ストライキの原因:再考

 タントアン輸出加工区に進出した日本企業の老舗とも言えるJUKIでもストライキがあったそうである。JUKIと言えば、同輸出加工区内でも高賃金で有名な会社である。それがなぜストライキか。

 私見であるが、たとえば隣りの工場労働者の賃金が20%上昇しているのに、自分の賃金は10%しか上昇していない。また、勤務年数が長く給与水準が高くなっているのに、そのことを考えず、もっと給与を上げてほしい。このような単純な意識が働いたのだと思われる。

 三洋電機アプライアンスは昨年ストライキがあったが、今年は平穏であった。ストをしても得することがないと労働者が理解したのである。経営者の毅然とした対応が良い効果をもたらしたのだと思われる。ストライキ防止の決め手は、経営者と労働者の信頼関係・相互理解である。それがなければ、ストライキ発生の種火は温存されることになる。

 なお今回のストライキは、最低賃金が2008年1月1日に100万ドンに改訂されたことが、大きな理由であると言われている。

 WTO加盟によって国内外の企業の最低賃金は統一され、ホーチミン市とハノイの大都市部では1万ドンとなった。もともと高かった外国企業の最低賃金が、国内企業と同水準になったのだから、外国企業の労働者が不満に思うことも理解できないことはない。しかし以前の最低賃金87万ドンから100万ドンは、15%の賃金上昇である。

 なお注意を要するのは、これは企業の最低賃金であって、公務員の賃金ではない。政府役人や公務員の汚職防止のためには、その給与改訂が必要と思われる。

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2008年2月28日 (木)

ベトナムに戻ってきました

 プノンペンからホーチミン市に戻ってきた。プノンペンの最後は、丸紅の今井さんとJICAの米田さんにお目にかかり、ホーチミン市の最初は日本センター(VJCC)の藤井さんとお話しした。

 藤井さんとは、PANASONICにお勤めの頃から10年に渡って交際いただいている。「もの作り」の精神をベトナム人に伝える伝道師のような風格が最近はお持ちのように思われた。この藤井さんと「もの作り」伝道師の双璧となるのは、富士通コンピュータプロダクツの川嶋さんである。川嶋さんも現在、ベトナムにお越しのようである。川嶋さんは、今年の違法ストライキについての対応をかなりの長文で指摘されたことは、すでに紹介した。

 ベトナムの株価が下落している。基本的に私は心配していない。下落の理由は、インフレ対策で高金利政策が採用されていることが第一に指摘できる。ドン建て1年で12%という金利である。しかもドン高傾向である。このような状況なら銀行預金がリスク無しに儲かる。

 第2の理由は、不動産価格が依然と上昇していることである。したがって株価を売却して不動産に投資することは一般的である。たとえば1,000万ドル程度の不動産売買はベトナム人が普通に行っている。不動産バブルの下落が株価復活の契機になるだろう。

 日本料理店で一番高い日本酒をキープするのはベトナム人と言われている。ハノイの日本料理店で「ご注文は何ですか?」。「一番高いもの」という笑い話のようなやり取りがあったそうである。これほどにベトナム人の所得は急騰している。

 幸いなことに、ベトナム企業の業績は好調である。企業価値が下落した株価下落ではない。このことがベトナムでは好材料である。短期投資を考える投資家は動揺するだろうが、長期投資の場合、ベトナム株式市場に懸念材料はない。

 

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2008年2月27日 (水)

昨日と今日の出来事

 少し風邪気味であるが、元気だ。昨日は、プノンペンから片道4時間かけて国道4号線を南下し、シハヌークビル港を見学した。この国道沿線には、スズキ・ヤマハの工場もあり、さらに多数の工場、また椰子油(パームオイル)のプランテーションも広がっていた。

 シハヌークビルは日本の支援で港湾整備をしており、さらに工業団地の建設も予定されている。昨年8月には国道1号線を使ってベトナム国境まで行ったので、残りはタイ国境まで行けば、カンボジアの主要な道路は走破したことになる。

 今日は、この4号線沿いのプノンペン経済特区を運営管理する(株)ゼファー(東証1部上場)の上松さんにお目にかかった。この経済特区は、ワンストップサービスと電力・上下水道などインフラ整備が特徴である。広大な敷地の中には住宅地や商業施設も計画されている。

 その前にGMAC(カンボジア縫製協会)、その後には日本大使館、さらに先日紹介した繁栄投資特殊銀行(ベトナムが設立)を訪問した。今日は多忙な1日で疲れた。この投資銀行のCEOはカンボジア国籍をもつベトナム人であり、米国で教育を受け、ニューヨークのゴールドマンサックスに勤務していたそうである。同行は本年2月1日に商業銀行の認可も取得し、総合銀行として活動している。

 確実にカンボジア経済は前進している。主に道路整備は日本のODAであったが、フランスの援助で、現在は休止中の鉄道が復活するそうである。先に訪問したラオスとカンボジア両国でフランスの鉄道支援が開始される。上記のプノンペン経済特区内にも貨物駅が設置される予定である。

 東西経済回廊は、日本のODAが大きくかかわる事業であり、日本では注目されている。しかし今後の石油枯渇や地球温暖化の影響を考えれば、道路輸送それ自体が先進国でも見直されてもよい。この意味で、発展途上国における鉄道の復活や敷設は歓迎されて良いのではないか。

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2008年2月26日 (火)

カンボジアにおける韓国の存在感:喧噪の中を走る

 ラオスの静寂から一転して喧噪のカンボジアを走っている。中国人病院があった敷地にGOLD TOWER 42という42階建ての高層アパートが建設予定である。そのショウルームを見学した。専有面積170㎡超、共有面積50㎡超。合計230㎡で30万ドル台である。最高分譲価格は合計500㎡台で100万ドルを超える。その広さを考えると、日本に比べて割安だ。

 このアパートは韓国企業の開発・建設・分譲である。モデルルームには、LG製の壁掛け型の液晶テレビや洗浄便座が設置されており、高層階からはビエンチャン市内が一望できる。熱心に商談中の人々が2組あったが、使用言語は英語であった。これ以外にも52階建ての高層アパート建築の予定があり、これも韓国企業である。
 
 このようにカンボジアでは、韓国企業・韓国人の存在感が大きい。昨日、李明博・韓国新大統領の就任式があったが、カンボジアのフンセン首相も出席している。李大統領はカンボジアの経済顧問を務めている。さらに中国人は、プノンペンで多数見かけるが、カンボジアと中国には長い歴史がある。近年では、大虐殺を行ったポルポト政権を支援したのは中国であった。

 日本のマスコミは福田首相の訪韓の動向を追っていたが、それだけではなく、将来の日韓関係を考えるなら、アジアの中での韓国の位置づけも把握する必要がある。たとえばカンボジアやラオスの発展のために、日韓が相互補完的に協力することも考えてよい。

 かつて日本企業が欧米市場を席巻したとき、それが「黄禍」と呼ばれたことがある。ラオスやカンボジアでは、中国人や韓国人がそれに相当するように思われる。地元の人々から必ずしも歓迎されているようには思われない。日本の場合、日本の商品の参入であったが、中国や韓国の場合、人間が移住してくる。これは確かに脅威であろう。

 今や、先進各国の「援助競争」は途上国の発展に貢献している。日本のODAは最大であるが、民間資本の投資はラオス・カンボジアで立ち後れていると言わざるをえない。民間の人間の交流がなければ、相互理解は進展しないと思われる。日本市場ではなく、その次は日本人の閉鎖性が問われている。

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2008年2月25日 (月)

カンボジアの投資銀行:ベトナムが設立した!

 ラオスから昨日カンボジア・プノンペンに移動した。ぎらぎらと乾いた太陽の光がまぶしい。また青い空が鮮明に目に入る。毎度おなじみのドライバーであるトーチ氏の運転で市内に入る。ホテルで午後に以下のような記事を読んだ。

 The CAMBODIAN SCENE, Issue#31, December 2007, p. 50によれば、2007年8月24日にベトナムの繁栄投資特殊銀行(The Prosperity Investment Specialized Bank)がプノンペンに開業した。これは、ベトナム初の投資銀行である。同行は、カンボジアの経済発展と貧困撲滅に貢献するという目的を掲げており、カンボジアに対するベトナムの優越的な立場を示しているように思われる。

 具体的な業務は、コーポレートファイナンス、ストラクチャードファイナンス、M&A、不動産投資銀行業、投資アドバイサリーサービスである。特に不動産、健康管理、工業、技術、農業、情報通信のような国民経済の改善できる分野に主に資金提供すると同行のCEOであるMr. Sarun Minは述べている。

 この開行式には、カンボジア国家銀行総裁のMs. Tai Nay Imも出席している。同行は、国家銀行から認可を受けたカンボジアで7番目の特殊銀行であり、カンボジアの中小企業に同行が資金的な便宜を提供するであろうと総裁は指摘した。

 ベトナムでは投資会社の設立は自由であるが、このような投資銀行の制度は寡聞である。投資銀行は通常の商業銀行ではなく、いわゆる不動産投資やベンチャー投資の仲介が可能な銀行形態である。カンボジアでは2009年に証券取引所が開設予定であるが、そうなれば、投資銀行は上場支援や上場株式の引き受け業務をすることになる。その株式を証券会社が投資家に販売する。

 投資銀行がカンボジアで認可されているとすれば、ベトナムにおける投資ファンド運用管理会社の法的な地位はどうなっているのであろうか。また設立のための最低資本金など施行細則の情報が必要だ。カンボジア株式市場を展望する場合、これらの法的枠組みの把握が不可欠である。これらは今回のカンボジア調査の主要な目的のひとつである。

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2008年2月24日 (日)

ラオスの最新画像を公開:経済発展の礎石

 ラオスの最新画像を以下で紹介する。

Dsc00342  左は、ラオスのビエンチャンとタイのノンカイの間を結ぶメコン川に架けられた友好橋。オーストラリアの援助で建設された。さらにメコン川にはラオスのサバナケットとタイのムクダハンを結ぶ橋が、日本のODAによって2006年末に完成した。それを「第2友好橋」と呼ぶ。したがって左の橋は、「第1友好橋」になる。

 2月20日に、この第1友好橋のラオス側に鉄道線路が敷設された。これまでは、橋の途中のタイ側までしか線路がなかった。この鉄道の両側には道路が走っているが、列車が運行されると、かなり危険だと思われる。この列車は当面は貨物専用であり、タイとビエンチャンの物流の改善に大きく貢献する。

Dsc00370  左の敷地に中国人街が建設される。敷地は1,600ha。2009年11月に第25回アセアン諸国オリンピック試合(SEAゲーム)が開催されるが、現在のラオ=プラザ=ホテルの裏にある競技場は、国際基準に達していない。そこで新しい競技場が必要とされるのだが、その建設を中国企業が受注した。その見返りに、この敷地が中国に提供された。ラオス人は、この中国人の進出を懸念している。中国人にラオスが乗っ取られるのではないかという不安だ。

Dsc00418  このSEAゲームの競技場の全貌が左に示されている。緑地が豊富で、競技場の周辺にはテニスコートがある。この建設を担当する企業が、雲南建工という中国の会社である。中国は本年2008年に北京オリンピックを開催するのだから、こういった施設を建設しても不思議ではない。一般に、オリンピック開催以降には、景気後退局面になると言われているが、中国は、地方都市の開発のみならず、こういった海外プロジェクトの推進によって経済成長を維持するようにも思われる。

Dsc00421  上記の競技場が建設されるのは国道13号線沿いである。そこにゴルフ場が建設予定である。この予定地が、何とビエンチャンの「ゴミ捨て場」であった所である。このゴミ捨て場は、2003年に瀬筒さん(当時のJICAシニアボランティア)に案内していただいた場所である。それ以来、私は「ラオス清掃ボランティア活動」を日本とラオスの青少年と一緒に継続している。そのゴミ捨て場が、ゴルフ場になるとは---!!。これは驚愕である。ゴミ捨て場の上にゴルフ場ができる。新しいゴミは、どこに捨てられるのであろうか。(注:ダイオキシン発生の防止をするゴミ焼却施設は高額であるから、ラオスではゴミを焼却でなく所定の場所に投棄してきた。)

Dsc00482  第1友好橋から続く鉄道の貨物駅「タナレン駅」の建設現場である。この建設はタイとラオスの合弁事業である。一般のラオス人にとって鉄道を見るのは初めてになる。この駅までの建設をタイが支援し、その次のビエンチャン駅はフランスが支援すると言われている。このビエンチャン駅は、ビエンチャン首都が管理する「ビエンチャン工業地域」の近くに建設される。その立地は先の国道13号線から右に5㎞である。この工業地域は、私がJICA専門家として滞在していた2001年当時から建設されていたが、入居は進展していなかった。鉄道駅が完成すると、入居を検討する企業も増加すると思われる。

 すでに、こういった都市計画の周辺の土地は買い占めが進んでいる。外国人の土地取得は禁止されているが、ラオス人名義の不動産投機がある。私見では、ベトナムよりも不動産価格は割安であるから、今からでも間に合うという印象である。

 ビエンチャン周辺を以上のように走り廻った。乾燥した強い日差しによって「日焼け」した。今回の訪問で、その熱気だけが理由ではないラオスの発展を体感できた。

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2008年2月23日 (土)

「国際物流競争力パートナーシップ」のワークショップに出席

 滞在中のラオスのラオプラザホテルで、国際物流競争力パートナーシップのワークショップが22日に開催された。主催者は、日本側が経済産業省と国土交通省、ラオス側が工業商業省である。

 この会場で、ラオス国立大学経済経営学部長のカムルーサ先生にお目にかかった。2001年に初めてJICA専門家として学部長を訪問してから、もう7年になる。また当時の講師であったカンタボン氏にも偶然に再会した。彼から声をかけてくれたのだが、その名刺をもらって驚いた。何と、ラオス国家商工会議所の事務局長である。商工会議所メンバー企業二百数十社を束ねる重要な仕事だ。大学から実務に転身というわけだ。何事にも積極的な彼の姿勢は、当時から大学の枠組みを超えていたように思われたから、現職は適任であろう。素直に再会を喜んだ。

Dsc00357  さてワークショップは、ラオス側がヴィヤケス大臣が出席し、日本側が経済産業省の石黒氏であった。また報告者は、物流コスト削減に貢献するということを強調するのだが、このコスト削減は荷主や運送業者に対して話すべきことであろう。ラオス政府側にとってのメリットや提案が、もっと語られてもよかったように思われる。なお写真は、大臣閣下のオープニングスピーチである。

 報告の注目点は、東西経済回廊の走行実験の報告であった。すでに民間企業で走行実験は実施されている。また私も2005年に、ベトナムのラオバオからラオス側に国境を超えた。この当時の私見は、すでに『日越経済交流ニュース』で公表した。今回の報告も私見に近い部分があった。

 つまり、ベトナム側の道路が舗装されているものの、曲がりくねった隘路となっており、かなり通行に時間を要することである。土地の広大なラオス側は直線道路で快適である。東西経済回廊と言うと、日本人のイメージなら、たとえば九州縦断道路のような光景を想像されるかもしれない。しかし実際は、箱根山や六甲山のようである。建設コストは格段に上昇するのだろうが、山間部ではトンネル建設が望ましかったのではないか?

 偶然であるが、このような貴重な機会に遭遇できてよかった。ワークショップ開催をご案内いただいた鈴木先生(計画投資省・JICA専門家)に感謝を申し上げたい。

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2008年2月22日 (金)

ラオスの鉄道が起爆剤

 昨日はJICA専門家の鈴木先生(元鈴鹿国際大学学長)、今日は日本大使館を訪問し、ラオス国立大学経済経営学部のカンパティップ先生、さらにJICA専門家の山田先生(アジア経済研究所)にお目にかかる予定である。

 鈴木先生からは、ビエンチャン首都直営のビエンチャン工業団地とタイからの鉄道開通について、お話を伺った。私は直感的に、これでラオスの発展は間違いないと思った。東西経済回廊の開通によって、ラオスではサバナケットに注目されがちであるが、おそらく時間がかかるだろう。それに対して当面は、ビエンチャンに注目である。

Dsc00520  昨日の夕方から「ラオシルク博物館」を訪問した。数少ない親友であるハンサナ氏ご夫妻との再会は心が安まるし、いつものラオス家庭料理も美味しい。「上田は家族同様だ」と言われると恐縮してしまう。この博物館の敷地内にJICAの支援で「ラオス日本伝統文化教育センター」が今週の月曜日からオープンした。私も、開館式典の招待状をハノイで受け取ったが、残念ながら日程が組めなかった。

 ラオスの変貌は、ベトナム以上に顕著である。もともと数少ない自動車が急増している。2001年当時からの馴染みの店が閉店している。戸惑うことが多くなった。不動産価格は上昇。中国が土地の買い占めをしており、ラオス政府は100ha以上の土地取引を規制しているそうである。事実、ラオスはアジアの中で中国・ベトナムに次いでの経済成長をしている。もっともっと注目されて当然である。

 日本を上回る外貨準備をもった中国が、政府ファンドで日本株を買うと発表されているが、それと同様に周辺国のベトナム・ラオスそしてカンボジアにも投資している。株式市場が未開設であるなら、当然、それは土地取得に向かう。私見では、おそらく韓国企業(たとえば三星やLG)のような株式も中国は取得しているのではないか。

 アジアに出て日本を見ると、日本政府や日本企業の安全重視の慎重さは、あまりにもアジアの成長スピードに合致していないように思われる。経済成長国から経済慎重国に転換した日本と言えるのではないか。もしそうなら、日本のローリスク=ローリターンの結末は明らかである。

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2008年2月21日 (木)

ベトナムの変貌を考える:ストライキの背景

 現在、ラオス・ビエンチャンに来ている。2001年のJICA専門家当時からのラオプラザホテルに滞在中である。ここには、故・中内功ダイエー創業者と奥様も一緒に宿泊した。

 さてラオスにいてベトナムのことを考える。もはや低賃金の国ベトナムというイメージは払拭された。新卒の大学生は150ドルから200ドルと思っていたら、初任給で2,000ドルを出す証券会社もあるそうだ。確かにそうであろう。32歳で5,000ドルや7,000ドルになるのだから不思議でない。

 しかし、これらの情報は「うわさ」に過ぎないし、ごく限られたベトナム人に過ぎないであろう。確かに新卒と言っても、シンガポールや欧米に留学して国際水準の英語や学問を身につけた学生もいるから、そういった新卒学生の給料が高いのは理解できる。

 ただし証券金融の取引は、相手がベトナム企業だから信託手数料が0.5%とはならない。国際水準の2%とかになる。そうなれば、こういった業種の給与が国際水準で支払われても不思議でない。しかし、その能力や経験は必ずしも国際水準に達していない企業も多いと指摘されている。たとえば証券アナリストと言っても、本当に分析力があるのか実際に試してみないとわからないのが実情である。

 さらにサービス業においては、たとえばゴルフの場合、日本のキャディーさんよりもアドバイスが的確でよく気がきく。また日本語や英語が上手で、さらに笑顔が素敵で楽しい気分になる。これは国際水準のキャディーである。そうなれば、給与は日本並みを出してもよいのではないか。それが実際は月給100ドル+成果給+チップである。この給与を高いと思うか、安いと思うか。

 これらに対して製造業は、これまでの技術や技能の延長上にある。突然に外国企業と取引したからと言って、その製品の品質が国際水準に達するわけでもないし、その給与が大きく上昇するわけでもない。 同じ能力があるベトナム人学生が、その就職する業種によって給与が格段に相違する。これらの現実に直面した製造業で働く人々が不満に思っても不思議ではない。

 これらの事情がストライキの背景にあると私は思う。日本でも金融証券業は製造業よりも給与が高い傾向にあるが、その格差の根源は、過去の給与体系の相違を反映しているのではないか。ベトナムを想起すれば、それらに以前の日本はもっと大きな格差があって、それが日本製品の国際競争力の向上とともに縮小してきたと考えられる。

 WTO加盟後のベトナムでは、いきなり突然に国際水準の取引をする業種と、旧態依然とした仕事の改善を進めている業種との給与格差が顕著になってきている。後者の業種は、国際水準に達するまで給与は上昇していくのが当然と考えられる。台湾や韓国や中国も同様の歴史を辿ってきた。もちろん日本もそうである。

 ただし、この給与上昇は、生産性や品質の国際水準という基準による評価が必要である。それに応じた給与の段階的な見直しが求められるのではないか。そうでなければ、ストライキの危機は回避されないように私は思う。

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2008年2月20日 (水)

ハノイ雑感:市内を走る(2)

 ハノイ在住15年以上になる小松みゆきさんのお母様ヒロさんが、もうすぐ88歳になる。その誕生会をしようという時、入院されることになった。外科的な傷病だから「不幸中の幸い」と小松さんに電話で話したが、ご高齢だけに心配である。

 小松さんとヒロさんのハノイ生活は、すでに昨年に「NHK福祉ネットワーク(教育放送TV)」で放映されたが、以下の予定にアンコール上映される。日本では室内の段差の解消や手すりの設置など高齢者向けの自宅改築の支援制度があるが、ベトナムでは同様の施策は無理である。高齢者に対する儒教的な優しい気持ちはあるが、それに伴う予算がない。再度テレビを見ながら、ご回復をお祈りしたいと思う。

・ 「ヒロさんと認知症とベトナムの空
・ 放映日時:3月4日(火曜)午後8時~8時半
・ 再放送 3月11日(火曜)午後1時20分~1時50分

 先日のブログで『週刊ダイヤモンド』2008年2月16日号(p.22)の記事を批判した。これについて頂戴したご意見に伴って若干の語句を修正したが、私の主張の趣旨は変更していない。、「ベトナムで”違法”ストが多発:為す術なしの日系メーカー」という表記は、あまりにも扇動的である。

 ホーチミン市に進出する日系企業で構成される日本商工会は、ベトナムの労働問題を担当する労働傷病兵社会省と合同で対策委員会を立ち上げたそうである。またハノイには飛び火していないが、ホーチミン市と同様に対応策が検討されるそうである。

 このストライキの基本的な原因は、現地在住のITソルーションの後藤さんによれば、「ベトナム企業の最低賃金が上昇したのだから、それに応じて外国系企業の最低賃金も上昇させろ」という言い分だそうである。現在のベトナムでは、ベトナム企業と外国企業では最低賃金が異なっている。内外格差の是正がWTO加盟の条件であるから、政府は最低賃金を同一にしようとして、より低いベトナム企業の最低賃金を上昇させたのである。

 普通なら、外国企業の労働者は不利益を被っていないから、文句を言うのは筋違いである。ホーチミン市訪問時にも、この違法スト問題についてさらに調査してみようと思う。

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2008年2月19日 (火)

ハノイ雑感:市内を走る(1)

 ハノイの新都心(チュンホア、ナンチン)はハノイ訪問で欠かせない。この地区を見るのと見ないのとでは、ハノイのみならずベトナムの印象が異なる。

Dsc00318  私見では、「90年代の上海・浦東新区」や「80年代のソウル・汝矣島(ヨイド)」を彷彿させる。経済成長を数字で見る場合が一般に多いが、それを体感できる場合は幸運である。年齢の若い間に海外体験をしておくと、それが将来の仕事に活用されることがある。私は、数字ではなく、その空気や光景でベトナムの経済成長を実感することができた。

 現在の外国人のベトナム国内の株式売買に伴う税金と言えば、株式売却時に課せられる0.1%だけである。これを2009年から一般の所得税と同じように売買益の28%にしようという話がある。これを心配する投資家が日本にもいる。しかし何も決まっていない。これは、これまでのベトナム政府の政策導入の手法を踏襲している。まずアドバルーンを揚げて、その反応を確かめてから実施に移す。

 これまでに何度もベトナム政府は、このようにしてきた。たとえばオートバイのヘルメット着用が昨年12月から始まった。宿泊ホテル近くの馴染みの「バイク=タクシー(セ=オム)」でも、お客用にヘルメットを用意している。私も試してみたが、普通の人ならともかく、私の頭には絶望的に入らないが、法令は順守したことになる。

 ハノイ市内でもヘルメット無着用で公安に止められて、罰金を払う現場を何回か見た。この規制の施行は、数年前にも提案されたが、その時は「暑い」という国民の反発で見送りになった。またヘルメットが「高い」という理由もあった。交通事故の悪化と国民所得の向上によって、この施策が今年に導入された。これはベトナム政府の政策施行の「手口」である。民意を吸収しながら政策を実施する。だからベトナムの政権は安定している。 

 

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2008年2月18日 (月)

「円高」リスクを「ドン高」でカバーできる:ベトナムはドン安からドン高に転換

 たとえば1ドル=100円とする。円高になって、1ドル=90円になったとする。1万ドルの外国投資の場合、100万円が90万円になるから10万円の損失となる。

 ベトナム投資の場合はどうか?
 1ドル=100円の時、1ドル=16000ドンとする。同じように円高となり、1ドル=90円になれば、10万円の損失となる。ただし、この時にドン高になって、1ドル=14400ドンになったとする。

 この場合、すでに投資した1万ドルに相当する1億6千万ドンは、1万1,111ドルの価値をもつ。これを円に換算すると、ちょうど100万円。前述の10万円の損失は、ドン高の利益で相殺される。

 このように1ドルが100円から90円の円高になっても、1ドルが16,000ドンから14,400ドンのドン高になれば、日本円で換算して損失がない。このように円高リスクはドン高で吸収できる

 ベトナムは最近、ドン高傾向であり、明らかに従来の「ドン安」傾向とは異なっている。ドン高は、輸出価格が上昇してマイナスの影響がでるものの、輸入価格は下落し、プラスの影響がある。最近のインフレや、外国投資の急増に対応するために、ベトナム政府はドン高を容認すると考えられる。事実、為替レートの変動幅を上下1%から1.5%に変更した。

 ベトナム投資の場合、為替レートの観点から見れば、円安+ドン高が最大の為替利益である。日本経済の財政赤字・人口減少を考えれば、国内経済の低迷は避けられず、インフレを誘導するために基本的に円安になると私は考えている。

 ただし先週の土曜日のニュース証券のセミナーでは、為替チャートの傾向から見れば、明らかに円高が進行すると言われている。また別の情報筋によれば、1ドル=90円にまで向かうと言われている。それだけ日本よりも米国の経済が低迷することを意味している。

 以上、単純な仮説例であるが、ベトナム投資における為替リスクの考え方を示した。

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2008年2月17日 (日)

ベトナム・ロシア・FX・タイ株式投資セミナー:ニュース証券が主催

 2月17日に成田空港からハノイに向かう。前日の16日は渋谷のFORUM8で表題のセミナーが開催された。新興市場に対する日本の投資家の関心の高さを実感することができた。

 昨年末の『日本経済新聞』が、東京・渋谷ニュース証券(New-S証券)株式会社がベトナム個別株式の取引を開始すると報道した。そこで同社の西川社長を訪問した。それがご縁でセミナー講師を引き受けることになった。同社については次を参照。https://www.news-sec.co.jp/index.html

 すでに同社はロシア株の取り扱いを始めており、1月末からベトナム株、そしてタイ株と次々に新興国の株式の直接取引を始められている。さらに中東諸国にも西川社長は近日中に訪問されるそうである。このセミナーの副題が「世界の株式を囲いこむ」。なるほどと思わせる同社の戦略である。

 会場にはNHKのBS放送が取材に来ていた。取材記者と少し話をしたが、日本の投資家のグローバル化について本格的な取材をしているという印象であった。「ビジネス最前線」という番組で近日中に放映されるそうである。

 NHKの取材もそうだが、来客の多さに驚かされた。午前と午後で合計の出席者は500名は超えていたのではないか。またアンケートに答えると、最後の抽選会でベトナム旅行に招待という企画もユニークだった。

 日本株式の低迷によって、多くの日本人投資家の目が世界に向かっている。金融証券市場のグローバル化といった抽象的な概念ではなく、日本人投資家それぞれがグローバル化している。その潮流を実感することができた。

 このような新しい動向は、アジア市場を重視する大阪から生まれてほしいと個人的には思っているが、それを先導する元気のある証券会社が大阪にはないように思われる。新興市場の開拓には、ニュース証券のような新しい証券会社の意欲や情熱が必要とされるのかもしれない。

 現在、オイルマネーやヘッジファンドが世界を席巻するような印象も受けるが、近い将来に、ジャパンマネーが世界を動かす日が来るかもしれない。そのためには私見では、「もの作り」と「金融立国」を同時に追求する国家戦略が必要である。この両者は二者択一の選択肢ではない。これらが併存・両立できる可能性をもった国は、世界の中で日本しかないのではないか。もの作りを志向する人は、もっと金融取引に関心を持つべきであるし、逆に金融取引にしか関心を持たない人は、もの作りの重要性を理解するべきである。それができる国は世界の中で日本だと思う。

 さらに私は、このような国家戦略が適用される初めての舞台となる国がベトナムになることを願っている。以上、多数の投資家の方々を思いながら、ベトナムに向かう機中で考えたことである。

 

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2008年2月16日 (土)

ベトナムの違法ストライキ問題:「為す術なしの日系メーカー」に反論する

 『週刊ダイヤモンド』2008年2月16日号(p.22)は、「ベトナムで”違法”ストが多発:為す術なしの日系メーカー」という見出しの記事を掲載した。同誌は、このようなストライキは、ベトナム進出を考えていた企業の中国回帰をもたらし、ベトナム直接投資に悪影響を及ぼすと指摘している。

 この記事の掲載のみならず、大阪の朝日放送テレビの夕方の人気番組「ムーブ」では、この記事の内容そのままが放映された。たとえば私の妻から「ベトナムあかんて言うてた」と聞かされた。この記事に起因するベトナム悪宣伝の効果は大きい。

 「違法スト」が多発しているという事実はあるが、しかし「為す術なしの日系メーカー」という記述には反論せざるをえない。第1に、この「為す術なし」は事実に反する。第2に、こういったストライキに真剣に対峙して、その解決に努力したり、エースコック=ベトナムのようにストライキ自体が発生しない日系企業の経営者に対して失礼ではないか?

 すでに2006年10月にホーチミン市日本商工会では、このような違法ストライキの対応策についてセミナーを開催している。その時の講師であった富士通コンピュータプロダクツ初代社長・川嶋修三氏の資料と講演録は、その後に加筆されて、私が副理事長を勤めている日越経済交流センターhttp://j-veec.jp/)発行の『日越経済交流ニュース』(2006年12月・第155号、2007年1月・第156号)で公表されている。

 (注:この記事は、同センターから実費で入手できるほか、近日中に国立国会図書館で閲覧が可能である。)

 ベトナムにおける日系企業のストライキは今に始まったことではなく、2006年春に発生している。すでに日系企業は、この教訓を生かして、それぞれの対応をしている。より詳細で具体的な対応策は、上記の川嶋氏の指摘を参照されたい。

 川嶋氏の特に注目すべき指摘は、自社の労働組合を経営者が育成して、違法ストに対峙するようにするいうことである。この場合、日本人経営者が、労働組合について理解を深めなければならない。

 このような現在までの経緯を無視して、「為す術なしの日系メーカー」とは、いったいどういう趣旨で書かれた記事なのであろうか。ベトナム投資の問題点が多々あることは私も承知しているが、この記事は、あまりにも事実の背景を知らなさ過ぎる。これは署名記事であるから、その執筆者から明確な返答を頂戴したいと思う。日本でストライキは死語になっているから、そういった経営者がいても不思議でない。そこで当然、ベトナムの労働法や労働総同盟の組織について関心をもたなければならない。またベトナム人労働者の気質やハノイとホーチミン市など地域間の労働意識の異同にも注目しなければならない。「為す術なし」ではなく、「為す術」を提示することが、この記事には必要であった。  

 ジャーナリストに批判精神があって当然である。それは学者・研究者も同様である。現状に満足しないという意味からいえば、企業経営者にも批判精神は必要である。批判することは推奨されこそすれ、禁止されるべきではない。しかしながら、そういった批判には根拠が必要である。また批判のための批判ではなく、生産的でなければならないと私は思う。「ベトナムブーム」という時に、それに対する批判は歓迎されるべきである。問題点の指摘は投資環境の改善を促進する。ただし、それらは事実に基づかなければならない。また日本とベトナムの双方の利益にとって建設的な批判でなければならない。

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2008年2月15日 (金)

ベトナム人と中国人の関係は?:ベトナム進出の留意点

 神戸の流通科学大学に昨日、ベトナム進出を希望される会社幹部の方が来られた。ベトナム関係のご相談は通常、大阪・梅田の日越経済交流センターで引き受けることにしているのだが、今回の場合、梅田よりも大学所在地の神戸西区が会社に近いという事情があった。

 すでに同社は中国に進出し、20年近い生産を継続している。日本で生産活動はしていない。中国国内の生産は、たとえ沿岸部の人件費が高騰しても、内陸部に移動すれば可能と考えていた。しかし増値税が上昇し、人件費の高騰も継続している。さらに中国政府は委託加工生産を歓迎しない方針が露骨になってきた。

 そこでベトナムに進出したいという話である。なお上記の増値税とは、簡単に言えば、流通段階でかかる付加価値税である。http://www.k3.shigaplaza.or.jp/chugoku/bz/d-1.html 輸出する場合は還付されるのだが、全額の免税にならない。

 同社がベトナムに進出することは可能だと思うが、実際の操業時には当初、現在の中国工場の中国人技術者がベトナムに派遣されて、ベトナム人労働者を指導する計画だそうである。ここに問題はないか?

 一般にベトナム人と中国人の関係は、それほど友好的というわけではない。このブログでも指摘したように、領土問題に関して中国大使館に対する抗議デモが昨年にあった。中国文化の影響を強く受けながらも、中国支配からの抵抗の歴史をベトナムはもっている。ある有力なベトナム人に聞くと、「今はいいが、将来は心配」というのがベトナムと中国の関係である。

 ベトナムの工場において、ベトナム人労働者と中国人技術指導者が良好な関係を維持できるかどうか。一般論として工場現場での留意点は次のとおりである。
 (1)若い優秀な労働者を抜擢する場合、年長者に注意できない場合があるので日本人経営者の応援が必要である。
 (2)注意する時は他人の前でなく別室にする。ベトナム人のプライドに配慮する。
 (3)仕事ができない理由は、能力がないのではなく知識がないから。馬鹿にしないで根気よく教える。
 (4)成果主義は情報を公開して公平感・納得を全員が受けるようにする。
 これらは一般論であり、おそらく中国でも妥当することである。

 さらに今回の場合の日本人社長は、工場指導者である中国人に任せないで、積極的に労働者との接触を図るべきであろう。ベトナム人労働者に日本の会社であることが自覚できるようにする仕組みが重要であると思う。

 ベトナム人と中国人。かなり微妙な人間関係だと思うのだが、それは私の杞憂であろうか。この案件を今後は念頭において調査してみたい。

 

 

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2008年2月14日 (木)

「木目プリント鉄製ドア」を日本で見た:フータイン社のハイ社長

 昨日は、勤務先の流通科学大学のS方式の入学試験であった。S方式とは、成績優秀者には奨学金が供与されるという方式の入学試験である。私は大阪会場の試験監督であった。

 大阪第3ビル17階が試験会場であったが、この部屋のドアが「木目プリント鉄製」であった。おそらく、このありふれたドアを見て感激するのは、日本では私だけだろう。ちょうどベトナムのPHU THANH社が、この鉄製ドアの生産販売を開始するからである。

 私が顧問をしている「ロータス証券投資ファンド運用管理会社」が同社の株主となり、投資ファンドとして戦略的パートナーとなっているのだ。そして先日ハノイで社長のハイさんに会ってきたばかりである。このファンドの投資家は日本人だけでなくベトナム人も含まれている。1  
 ハイ社長は、ハノイ外国語大学で英語を学んだ後に会社を設立。日本にはAOTS((財)海外技術者研修協会)の支援で研修にも来ている。そこでは品質管理を学んだそうだ。32歳の若手社長だ。

 ハノイの日本料理店おはんで昼食を食べながらの話であったが、熱心にパソコンを用意して会社説明してくれた。大株主として経営者と話すのは、これが初めてである。日本で経験できないことがベトナムでできるから楽しい。

 なお、おはんの店長の板野さんに久しぶりにお目にかかった。ホーチミン市からハノイさらにカンボジアにも店を展開されていると思う。ホーチミン市で日本料理店が少数であった頃、おはんは、日本人のオアシスだったし、情報交換の場であった。懐かしい。

 ハイ社長の熱意と明るさは、会社経営の前途を象徴している。PHUT HANH社の成長を確信した。さらに株主として、できる限り助言や支援したいと思う。そうなると当然、冒頭の「木目プリント鉄製ドア」を日本に輸出できないかということになる。次は、工場見学をさせてもらうことにした。

 しっかり儲けてもらって、しっかり配当、しっかり株価を上げる経営をして欲しい。株主として率直に思った。短期売買を繰り返して利益を稼ぐマネーゲームは悪くないが、本来の経済活動や企業活動では人間が主体になるべきである。その人間を無視した諸活動は、人間性を荒廃させるのではないか。資金調達という株式市場の基本的機能を株主として実感した。大阪の鉄製ドアを見ながら、こんなことを考えた。

 

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2008年2月13日 (水)

勘違い:お詫びと訂正

 テレビ東京(テレビ大阪)系で2月13日夜11時から『ワールド・ビジネス・サテライト』を見て下さいと知人にメールでご案内した。私がカンボジアについて韓国から取材を受けた番組が放映されると思ったのだが、これが大きな勘違いだった。

 東京のIPO証券・黒田社長から、同上の番組に出演しますという連絡を頂戴した。韓国企業について取材であり、そして「日本企業が減る」というテーマという説明だった。私は、すっかり韓国企業がアジア各国に積極的に進出し、日本企業の影が薄くなりつつあるという話を連想した。

 それなら私が取材を受けた内容と同じだ。ここが「早とちり」の始まりだ。私に対するカンボジアに関する取材は、韓国企業がカンボジア進出に熱心であり、その実態を知りたいということであった。そこで、私のカンボジアの友人・知人を紹介した。韓国企業が目立つのに、日本企業の進出は少数である。その結果、韓国人はカンボジアのビザ(査証)が不要になったのに、日本人は依然として20ドルかを支払わなければならない。

 実際の番組は、日本企業数が20年間で100万社減少したいという内容だ。その理由は、起業よりも廃業が多いことだ。投資家保護を重視するあまり、起業・上場し難い経済社会環境になっているというのである。この番組自体は面白かったが、私の想像とは異なっていた。

 韓国とカンボジアをキーワードにした番組。今後も注視しておこうと思う。今回、せっかく見ていただいた皆さん、場合によっては録画までしていただいた皆さん、以上の理由をご理解いただき、お詫びと訂正を申し上げます。

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2008年2月12日 (火)

日本ASEANセンター・カンボジア人ヴォン=サム=アン投資部長に会う

 国際機関・日本ASEANセンターの投資部長であるカンボジア人・ヴォン=サム=アン経済学博士に面会した。アン博士は、東北大学大学院経済学研究科から学位を取得されており、日本語が堪能である。

 カンボジアにおける投資環境や経済状況について話が弾んだ。その理由は、共通の友人であるプイ=キア氏の存在が大きい。プイ=キア氏は、プノンペンで数年前から親しくしていただいている共同通信の記者である。このブログでも紹介されている。

 カンボジアについて情報交換したのだが、ちょっと秘密。それにしても、これほど親切に対応してもらって日本でカンボジア情報が入手できるとは思わなかった。国際機関・日本アセアンセンターは頼りになる。さらにホームページ http://www.asean.or.jp/ からも各種情報が入手できる。

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2008年2月11日 (月)

東南アジアの経済動向:日本アセアンセンターを訪問

 先週の金曜日に東京・銀座にある国際機関・日本アセアンセンターを訪問した。各国の資料が多数用意されており、さらに具体的な投資・貿易の助言も日本語で対応してくれる。アセアン諸国に旅行やビジネスを考えている人は、同センターを訪問すれば有益であろう。

 最初に私は、貿易部長・寺西武英さんからアセアン諸国の対日輸出用の商品についての説明を受けた。ちょうど展示会があったばかりで、各国から数社の商品がセンター内に陳列されていた。ベトナム・ラオス・カンボジアはシルクなどの手工芸品が主であるが、シンガポールやマレーシアからはデザイン性の高い工業製品が並べられていた。

 日本人の大部分は、アジア製品と言えば、値段が安いという先入観があるが、けっしてそうではない。彼らは「安売り商品」ではなく、自社商品の「ブランド化」を目標にして努力している。したがって日本での商談では、そう簡単には値段を下げない。私自身は、JICA(国際協力機構)の研修セミナーなどでは、アジアからのビジネスパーソンの受講生に対して、そのような内容を講義している。品質の良悪によって価格の高低がある。これは市場経済において当たり前の論理である。

 さて以下は、東南アジアと日本・中国における経済成長率(GDP)を示している。2007年(推定値)に基づいてアセアン諸国上位6カ国に順位づけている。 

          2007  2006  2005  2004  2003(年)
○中 国     10.0  10.7  10.4  10.1  10.0
○日 本      2.3    2.2   1.9    2.7   1.4
1.ベトナム    8.0  8.2  8.4   7.8   7.3
2.ラオス     7.1    7.6   7.1   6.4   6.1
3.カンボジア  7.0   9.5  13.4  10.0   8.6

4.インドネシア  6.0    5.5   5.7    5.0    4.8
5.フィリピン    5.8    5.4      5.0     6.2       4.9
6.ミャンマー   5.5    7.0    13.2    13.6    13.8
 (引用者注)2007年および他年度の一部は推定値。
 (出所)国際機関アセアンセンター『ASEAN-日本統計ポケットブック2007』p.16。

 10%台の中国に次いで、8%台のベトナムの経済成長率の安定性が目立っている。また、それに次ぐラオス・カンボジアの成長も顕著である。さらに2003~2005年までのミャンマーの成長も驚異的である。

 BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)の次にベトナムが成長するという認識は正しいが、その次は意外と、ラオス・カンボジアが注目である。中国が成長する。そしてベトナムが成長する。そうなれば、その周辺国であるラオス・カンボジア・ミャンマーが派生的に成長して当然である。

 私は、インドシナ3カ国(ベトナム・ラオス・カンボジア)に数年前から注目してきた。上記の経済成長率を見れば、これら3カ国が、中国との南北回廊やタイとを結ぶ東西回廊のインフラ整備に伴って、相互連関的・相乗的に発展するように思われてならない。事実、ベトナム企業や中国企業が、ラオス・ベトナムに対して直接投資や貿易を通して影響力を高めている。

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2008年2月10日 (日)

『月刊アジアネットワーク』編集部を訪問

 東京・築地にある月刊アジアネットワーク編集部を先週の金曜日に訪問した。コネックス・アジア・ネットワーク(株)はAsia Business Today シリーズとして、韓国・ベトナム・ドバイ・インド・アセアン・中国・マカオ=香港の7誌を刊行している。

080208_18510001   編集長の土井さんは、週刊文春などの雑誌記者を経て昨年の創刊号から現職を務めておられる。私が何度か執筆している『ベトナム版』の編集担当者は、写真の桜本さんである。大学を卒業されて数年にもかかわらず、『ベトナム版』だけでなくさらに1カ国を担当されている。編集の仕事は面白いと話されていた。

 私は、同誌の写真を見ているだけで、その国の「息づかい」が伝わってくるような気がする。なかなか魅力的なアジア専門誌である。読者の気持ちを掴む写真の選択や記事の編集など、なかなかの激務だと思うのだが、桜本さんにとって、そういった仕事が自分の個性を十分に発揮する舞台になる。彼女のためにも、充実した内容の原稿を書かなければと思ってしまう。

 同誌に関心のある方や、購読の申し込みは、http://www.conex-can.com を参照されたい。私の勤務する流通科学大学の「アジア流通研究センター」でも、同誌の全シリーズを定期購読している。ますますの誌面の充実を望みたいし、もっともっとアジア情報が広く多数の人々に発信・受信されることを期待したい。

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2008年2月 9日 (土)

流通科学大学東京オフィスから

 東京駅に隣接するサピアタワー9階に流通科学大学の東京オフィスがある。学生の就職活動や教職員の仕事や面談、また研究会やセミナーが開催できるようになっている。もちろん卒業生も利用可能だ。すぐ隣には関西大学が入居している。

 ここで就職活動中の3回生の柴田くん(サービス産業学部)に会った。午後は青山にある会社に行くそうである。いろいろ雑談したのだが、わざわざ東京まで就活に来るとは立派なものだ。また、そういう学生だからこそ、おそらく立派に内定をもらうであろう。

 この東京オフィスを私は重宝している。喫茶店で話すのは時間や周囲が気になる場合、ここなら気兼ねがない。立派な応接室もあり、快適な対応が可能である。

 学生にとっては、就職情報誌が完備し、インターネットも用意されており、会社訪問の合間の時間を有効に活用できる。もっともっと学生の利用が増えることを期待したい。

 ビジネスの規模やスピードは、大阪・神戸よりも東京が格段に上である。この事実を反映した「就活戦略」があって当然である。

 それなら東京よりも急激な成長を続ける中国やベトナムに関心を向けて当然だ。成長するアジアに関与する企業で働くことが自分の成長にも役立つ。このように考えれば、東京に来なくても神戸や大阪にも企業はある。かな?

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2008年2月 8日 (金)

2007年ベトナム株式市場の基本データ

 ベトナム経済発展を実感させることととして、財務省が英文雑誌VIETNAM FINANCIAL REVIEWを発刊するようになった。定価3.50ドル。装丁も内容も立派なものである。以下では、その中からベトナム株式市場の現状を示す基本統計を紹介する(No.01-02(10-11)January,2008、p.39)。

           2005年    2006年    2007年
上場株式       41       193      233
対GDP時価    1.2%     22.7%    39.4%
証券会社数     14       55       74
ファンド運用会社   6       18       24
取引口座数    31,316   106,393    307,409

 2007年の約30万口座における7,500口座が外国人投資家であり、その中の300口座が機関投資家である。(筆者注:他の情報筋によれば、外国人口座の半数が日本人の口座と言われている。)

 国家証券委員会によれば、2007年において76億ドルがハノイとホーチミン市の証券取引所に投資された。店頭市場における未登録の投資を含めれば、その数値は200億ドルにも達し、2006年における外国人の登録間接投資23億ドルからの大きな増加である。現在、いくつかの投資ファンドが組成中であり、その金額は50~60億ドルになると予想される。  

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2008年2月 7日 (木)

ハノイゴルフ場の点描

 先日に紹介したハノイゴルフ場の様子を写真で見てみよう。私はゴルフを現在しないが、仕事で時間の余裕ができれば、ぜひやりたいと思っている。基本的に最低100歳まで私は生きるつもりなので、まだまだ時間がある。このように予定をしておけば、少なくとも「長寿のリスク」(=予定よりも長生きするリスク)を解消できる。そして実際には、平均寿命まで生きれば十分だ。 Dsc00269 Dsc00270  

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 私の知っているゴルフ場は箕面・池田・宝塚であり、その周辺でハイキングをしただけであるが、このハノイゴルフ場ほど広大な印象を受けたことはなかった。ともかく広い。またバンカーには、ベトナムのリゾート地として有名なニャチャンの白い珪砂を使用している。これも目に鮮やかだった。素朴な疑問だが、バンカーの白い砂に白いゴルフボールはどのように見えるのだろうか。

 クラブハウスのレストランには日本食も多数用意してあり、日本人にとってリラックスできる。さらにそれだけでなく、数日前に離任された服部特命全権大使を始め外国大使などの社交場ともなっている。ハノイ在住の日本人にとってハノイゴルフ場は親睦と情報交換の場になっている。

 またベトナム人の富裕層の社交場にもなっている。私の訪問前に『ベトナム経済タイムズ』主催のゴルフ大会が開催されたそうである。同誌の編集長カット氏や副編集長ラム氏とは1994年以来のつき合いである。私は同誌の創刊号(1994年)からの読者である。

 同ゴルフ場をご案内をいただいた室賀社長に感謝を申し上げたい。なお室賀社長は、箕面ライオンズクラブ会員である。私は箕面船場ライオンズクラブに属しており、合同例会で年に何度かお目にかかる関係である。縁とは不思議である。

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2008年2月 6日 (水)

テト前日に思う

 ベトナムのテト(旧正月)の前日には、花火大会があったと思うのだが、最近はどうなっているのだろうか。

 ベトナムに行かないと話にならないではないか。こんなストレスを感じながら、ゆっくり時間を日本で過ごす。今日は、こういうことで終わり。

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2008年2月 5日 (火)

ベトナムの大金持ち:どの程度の富裕層がいるか?

 Vietnam Investment Review, No. 850, Jan.28-Feb. 3, p.14は、ベトナムの2007年の「株式資産による富裕層上位100人」の記事を掲載している。

 その上位4名は、次のとおりである。
1.3億9400万ドル: Dang Thanh Tam
   KBC会長・社長、ITA取締役 
2.2億3100万ドル: Pham Nhat Vuong
   Vincom大株主        
3.2億1800万ドル: Tran Dinh Long
   Hoa Phatグループ会長     
4.1億7500万ドル: Nguyen Duy Hung
   Saigon Securities Incorporated会長  

 2006年のトップ(1億5,000万ドル)であったFPT会長・社長のTruong Gia Binh氏は第7位になり、1億600万ドルであった。昨年トップの金額から今年は3倍以上になっていることが注目される。

 これについて同紙はコメントを掲載しているわけではないが、本来は一般国民に対して、これほどの資産家が株式市場を通して生まれたのかを説明する必要がある。株式投資をすれば、100億円も儲かるとなれば、家を売って借金しても株式を買おうとする人々が出てきてもおかしくない。一発逆転の勝負だ!!

 これらの富裕層の所得は「創業者利得」であって、単純な株式売買の利益ではない。こういった基本的な知識を広く国民に周知させる必要がある。個人投資家は、銀行預金と同様の余裕資金を株式投資することが原則である。

 私見では、これらの富裕層はベトナム経済発展の貢献者として賞賛されてもよい。ただし問題は、その資金の使途である。こういった資金が国外流出する場合、それが合法的であっても、ベトナム政府は何らかの規制を発動するリスクがあると考えられる。おそらく、その規制は、国民の批判に応じることが根拠になるであろう。

 賢明なベトナム人の富裕経営者なら、こういった創業者利得を社会還元するであろう。まだまだ多数存在する貧困層に対する寄付や支援は「美談」である。かつての日本の明治時代の実業家にも、そういった人々が存在した。

 いわゆる外国人投資家や外国ファンドも合法的な投資であれば、問題ないというのではなく、こういった富裕層に対する世論の動向に注意である。その動向によって、政府規制の発動の可能性が予想されるからである。このような問題に留意することが、ベトナム株式投資における「政策・規制リスク」の軽減になる。

 以上は、合法的な投資であっても発生するかもしれない「リスク」である。非合法的な株式投資は論外である。真っ先に規制対象となることは当然である。

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2008年2月 4日 (月)

ベトナム株式市場:投資家は依然として強気!

 ベトナム株式市場が一進一退を続けているが、その将来はどうであろうか。いくつかの意見を紹介しよう。私は、最低でも2年程度の期間で見て、株価について心配ないと考えている。なぜならベトナムの企業業績は好調で、経済成長も継続しているからである。

 ただし今後の課題も多い。私見では、国家証券委員会・証券取引所・証券会社が協力して、国民に対する証券市場の啓蒙運動をするべきであると考えている。ちょうど、戦後日本の「証券民主化」運動と同じである。

 株式売買が「マネーゲーム」ではなく、それが健全な経済発展に寄与するという認識の普及が必要である。また、株式市場の発展が、社会主義に向けた経済発展にとっても有益であることを理論的にベトナム共産党は研究・公表する必要がある。その原則が明示されれば、市場に対して発動されるであろう政府規制の程度やタイミングが予想できる。市場の動向に右往左往するのではなく、基本的な枠組みをベトナム政権を指導するベトナム共産党が明示するべきなのである。このことは、ベトナム株式市場における政府規制のリスクを軽減することになると私は思う。

 さらに私は、以下の各氏の提案にそれぞれ賛成である。それは時間がかかる問題であるかもしれないが、先進国の仲間入りを目標とするベトナム経済発展にとっては、回避できない超えるべきハードルである。

 Vietnam Investment Review, No. 850, Jan. 28-Feb. 3, p.15 によれば、外国人投資家は、最近の継続する株価下落にもかかわらず、中長期の展望は堅調であるとしてベトナム証券市場に関して依然として楽天的であると指摘している。

 ホーチミン証券取引所のベトナム指数は、2ヶ月前の1,000ポイント超から1月24日には764ポイントに下落した。

 国際コンサルティング監査会社Grant Thornton取締役・パートナーである Ian Pascoe氏は次のように述べた。「ベトナム市場は外国市場と違わない。その経済は急速に発展しているし、短期よりも中長期の展望を見れば、ベトナム市場はうまくやっていく」。

 Standard Chartered Bank地域取締役であるAshok Aud氏は、ベトナム証券市場の状況は正常であり、管理の範囲内と述べた。彼は、政府が証券市場に直接干渉するよりも、資本を証券市場に自由に流入させる経路を創造するべきであると指摘した。ベトナム政府は、より透明性があり適切な法的枠組みを創設するより重要な役割を果たさなければならないとSud氏は述べた。

 Pascoe氏は、証券市場の規模は相対的に小さいままであり、「ベトナム規模の国であるなら、さらに数百社の上場企業があってもよい」と指摘した。彼は述べる。ベトコムバンクのような比較的大規模な企業が上場されるべきである。「その時、ベトナム株式市場を人々はより以上に信頼するであろう」と。

 国家証券委員会の訓練研究部長であるPham Quang Huy氏は、株式の需給バランスが監視されるべきだと言う。「需要側を改善する必要がある。そうでなければ、上場会社数の増加を所与とすれば、ベトナム指数は暴落を続けるであろう」。

 Pascoe氏によれば、ベトナム市場の流動性の増加は、より多くの外国企業をベトナム市場に接続させることに役立つであろう。「ベトナム市場の流動性は、シンガポールよりも遥かに劣っている」。さらにベトナム証券市場の隠されたリスクは透明性の欠如であり、報告書の質を保証して企業統治を改善するために厳格な要件が求められる。

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2008年2月 3日 (日)

「ベトナム・スタディツアー」に参加しませんか?

 3月最後の週に「ベトナム・スタディツアー」を計画している。日本~ホーチミン市~ハノイ~日本という行程である。航空券は各自手配。

 もともとゼミ学生を主体にした行事である。昨年はハノイで「河内音頭」を貿易大学の学生と一緒に踊った。今年の企画は、現在検討中である。4月になると「さくら祭り」で高知の「よさこい」を踊る企画があるそうなので、それと「河内音頭」が競合するのも少し遠慮した方がよいと思ったりしている。

 ベトナムでは、毎度ご迷惑をおかけするのであるが、いくつかの現地企業を訪問したり、大学を訪問したりする。通常の旅行では体験できないコースである。社会人の方々では、昨年は福岡から山田弁護士、宝塚ロータリークラブから永野さん、それに元三洋ホームアプライアンス・ベトナム元社長の竹岡さんが参加してくださった。

 ホテルは同じにして、その後の訪問先は自由選択の予定を組んでみたいと思う。ベトナム視察ツアーは多いが、これは私的な注文可能な視察ツアーである。学生説明会は2月5日に開催予定。社会人の方々の応募も歓迎である。社会人の皆さまの説明は別途に実施する。

 ご関心の方は、日越経済交流センターに連絡をして下さい。http://www.j-veec.jp/ 

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2008年2月 2日 (土)

ベトナム株式投資・短期と長期:どちらが儲かるか?

 ベトナム株価指数の変化を見れば、2005年から2006年初頭までに株式を購入していれば、その後に5倍程度に上昇したことがわかる。ただし、この上昇はビナミルクの株式公開と上場に起因している。大型株式によって指数全体が影響を受ける。

 その後のベトナム株価指数は一進一退を続けることになる。現在の銘柄は200を超えるまでになったが、それら企業は玉石混交と見て間違いない。

 国営企業は有名だが、先日に紹介したように、その経営改革は遅い。また多角的な事業展開が、必ずしも成功するとは限らない。この多角的な事業展開のリスクについては、FPTのような民間企業も例外ではない。

 他方、外国人投資家には馴染みが薄いが、たとえば国内市場のシェアが最大であるとか、新しい商品発売に意欲的に取り組んでいる民間企業があったりする。これらの企業の株価は割安であるから、現在は株価購入の好機である。このような株価の上昇には、しばらく時間が必要である。

 たとえばホアファット=グループの業績は好調であるが、それが必ずしも株価上昇に反映していない。企業業績が株価に反映しないということは、2つの可能性がある。1つは、企業業績が株価にすでに織り込まれている場合、もう1つは、投資家が企業業績を考慮しない場合である。私は、その両面があると思われるが、一般の投資家は後者ではないか。

 私見では、ベトナム人投資家は株価変動にだけ注目し、企業業績を見ていないと思われる。簡単に言えば、企業に投資するのではなく、株価という数字の変動に投資しているのである。ベトナム在住者ならともかく、このような短期的な売買に外国人投資家が参加することは得策ではない。ベトナムにおける情報量や人間関係で外国人は劣るからである。

 このように考えれば、ローリスクで確実なリターンを確保するためには、長期投資ということになる。短期で3倍や4倍に株価が上昇する時代は終わった。それを期待するなら、2009年に開設予定のカンボジア株式市場が注目である。ベトナム市場では、今の間に優良株を仕込んで、その成長を楽しみながら、数年後の果実を期待する。このような長期投資の立場が望ましいと思われる。

 株価は、長期的に見れば必ず企業価値を表現するからである。短期的な変動に一喜一憂するマネーゲームは、外国人が行う新興国投資のスタイルとしては、やや大人げないのではないか。

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2008年2月 1日 (金)

ベトナム未上場株と上場株:どちらが儲かるか?

 ベトナムの未上場株式は、「未公開株式」とIPO(新規公開)をしてOTC(店頭)市場で売買される「公開株式」に区別される。後者をOTC株式と呼ぶこともできる。このOTC株式が上場を目指すことになる。

 通常、IPO時点で株価が上昇し、さらに上場時点でさらに株価上昇が期待される。しかしベトナムでは、必ずしもそのようにならない。

 その理由は、ベトナムにおいては投資家の人数が限定されているからだ。通常、IPO時点と店頭市場で売買される時点を比較すれば、後者の方が、投資機会が増えるはずである。IPO入札の手続きをする必要がないからだ。したがって株式の需要が増えて、株価は上昇する。店頭市場と上場市場を比較すれば、上場市場における投資家数が多いので、やはり需要が増えることになり、株価は上昇する。

 投資家の人数が増えて、株式に対する需要が増え、そして株価が上昇するという以上の仕組みがベトナムでは十分に機能しない。投資家の絶対数が少数なことと、成熟した市場であれば、上場時点で市場に参加する投資家が、IPO時点でも投資に参加するからだと想像される。

 今後、たとえばニュース証券のような日本の証券会社が、ベトナム株式売買を日本の投資家に直接取り次ぐようになる。そうなれば、上場市場の参加者が飛躍的に増えることになるから、上場時の飛躍的な株価上昇が期待できるとみなされる。

 ベトナム株式投資の魅力は、まだまだこれから増大すると考えて間違いない。

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