« ベトナム経済のリスク(1):インフレに対応する | トップページ | ベトナム経済のリスク(3):コアビジネスは何か? »

2007年12月11日 (火)

ベトナム経済のリスク(2):いつ「ドン高」に転換するか?

 (2)ベトナムドンと米国ドルの相場安定のための中央銀行の「ドン売り」は不適切。「傾向的なドン安」誘導は輸出に貢献するが、世界的な物価高傾向の中で多数の輸入品の値上がりを招きインフレを助長する。

 ⇒世界銀行ラマ首席エコノミストの以上のコメントの意図は、最終的には為替相場の自由化を求めているように想像されるが、それについて明言していない。政府主導での為替介入を容認しながら、「ドン高」誘導を求めていると考えられる。

 さて、日本からベトナムに株式投資をする場合、米ドルと円の為替リスクと、米ドルとベトナムドンの為替リスクが存在している。他の条件が同一であるとすれば、円高になれば、日本の投資家は損失を被る。また、これまでのドン安傾向が継続しても、日本の投資家は損失となる。なお、ここで注記すれば、ベトナムドンのレートは米ドルに対して決定される。したがってベトナムドンと円の為替レートは米ドルを仲介して決定されている。

 以上を考慮すれば、ベトナム株式投資の為替リスクを次のように要約できる。なお( )内の+とは日本からの株式投資に有利、-とは不利を意味している。

① 円安(+)・ドン高(+) ⇒最良
② 円安(+)・ドン安(-) ⇒??
③ 円高(-)・ドン高(+) ⇒??
④ 円高(-)・ドン安(-) ⇒最悪

 ここで??は、(+)と(-)が、どの程度まで相互に相殺できるか不明ということを意味している。

 さて現在の状況は、②または④であって「最悪」または「不明」を意味する。このような為替リスクを補填するほどにベトナム株価が上昇すれば、為替リスクについて大きな懸念はないとみなされる。ベトナムに対する直接・間接投資の最近の増大は、ベトナム市場にドルが流入することを意味しており、通常なら「ドン高」が必然である。

 「ドン高」になれば、「円安」・「円高」のいずれにおいても、現状よりは悪くならないと考えてよい。この意味で、冒頭のコメントに含まれているように傾向的な「ドン安」政策を採用するベトナム政府が、「ドン高」を容認することが望まれる。また、そうすることが市場経済の原理に従うことであり、WTO加盟の趣旨にも合致している。

 ただし、為替市場を自由化するということは、それが投機の対象にもなり、為替変動=為替リスクは大きくなる。したがって、それに対する耐久力がベトナム経済に伴わなければならない。この観点から考えれば、私見では、ベトナム企業が国際競争力を装備するまでの間、為替市場の自由化には時間的猶予が必要である。

 

|

« ベトナム経済のリスク(1):インフレに対応する | トップページ | ベトナム経済のリスク(3):コアビジネスは何か? »