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2007年12月12日 (水)

ベトナム経済のリスク(3):コアビジネスは何か?

 (3) 大手国営企業グループの事業多角化はリスクが大きい。
 (4) 異業種の金融分野の進出にも警戒を示す。

⇒大手国営企業グループのみならず、民間企業においても多角化のリスクは大きい。業務分野の選択と経営資源の集中は日本では最近になって認識されるようになったが、ベトナムでの認識は薄いように思われる。自社の活動領域(ドメイン)を自覚することからベトナム企業は始めなければならない。

 たとえば建築ブームで「レンガ」工場が儲かるとなれば、レンガ工場が多数設立され、結局は供給過剰になった。人気のあるレストランがあれば、その隣りに同じようなレストランが軒を並べる。また、そもそも株式投資家それ自体が、ベトナムでは付和雷同の売買行動である。これは、日本人に似ている気質かもしれない。

 自社の分析をして、自社の得意分野に特化する。そして積極的に外国の先端技術を吸収する。そうでなければ、WTO加盟の下での国際競争市場においてベトナム企業が存続していくのは難しい。このことに早く気がついたベトナム企業は生き残り、そうでなければ存続は危ういのではないか。コア(中核)ビジネスを育成・強化する。これがベトナム企業における最大の課題であると私は考えている。

 このように考えると、上記の(3)・(4)のような多角化は、その中身と競争力を吟味しなければならない。たとえばITで有名なFPTは、FPT証券を設立した。同社は、コンピュータ取引を差別化戦略の中核として、本業の優位性を証券業に活用しようとしている。このような多角化は、ITで蓄積した技術と人材とノウハウを証券業に応用させている。同社は「範囲の経済性」を実現しており、競争優位性を保持しているとみなされる。

 他方、ただ株式市場が人気だから証券会社を設立するというだけでは、その後の企業の成長や存続が懸念される。前述の「レンガ工場」や「模倣レストラン」と同様に独自性=差別化が十分でないからである。

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