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2007年12月10日 (月)

ベトナム経済のリスク(1):インフレに対応する

 世界銀行ベトナム事務所のラマ首席エコノミストは、ベトナム国民が目覚ましい経済成長の恩恵を受けており、貿易赤字の拡大は懸念問題ではないと指摘した。

 一方、「ベトナム経済は急速な成長に伴って多くのリスクに直面している」という見解を世銀報告書の中で示し、ベトナム政府に注視を促した。

 (1) GDP成長率8%超の状況で、与信が40%増加しているのは行き過ぎ。
 (2) ベトナムドンと米国ドルの相場安定のための中央銀行の「ドン売り」は不適切。「傾向的なドン安」誘導は輸出に貢献するが、世界的な物価高傾向の中で多数の輸入品の値上がりを招きインフレを助長する。
 (3) 大手国営企業グループの事業多角化はリスクが大きい。
 (4) 異業種の金融分野の進出にも警戒を示す。(出所:『The Daily NNA』2007年12月4日。)

 これらの①と②は金融為替政策、③と④は企業経営の問題である。後者の問題は、株式市場における投資先について検討されるべきリスクとも言える。それぞれについて以下で簡単にコメントする。

 (1)⇒私の理解によれば、現在、株式投資に対する銀行融資の制限がされているが、不動産投資については無規制である。日本の1980年代後半における「バブル経済」では、過剰な銀行融資が株式や不動産の価格上昇を助長した。その結果が不良債権の発生となり、その後の長期間の不況の原因となった。

 ベトコム銀行・ベトナム産業開発銀行などベトナム国営銀行は今後の上場を控えている。したがって、大手国営銀行は不良債権の減少や回避に留意しており、融資の抑制をしていると想像される。他方、国営銀行の融資抑制は、民間銀行の融資拡大を促進する要因になるかもしれない。それは民間銀行の不良債権のリスクを高める。このようにベトナムの銀行全部が融資拡大をしているのではないとすれば、銀行間でリスクの格差が拡大しているとみなされる。以下、続く。

  

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