« ニュース証券によるベトナム株式売買が始まる | トップページ | ロータス投資運用会社提供「ベトナム経済ニュース(27)」:ベトナム株式11月の市況 »

2007年12月18日 (火)

ベトナムで反中国デモ:その背景と対応

 12月17日(月)『朝日新聞』によれば、ハノイとホーチミン市の中国公館前で16日に、南シナ海の西沙諸島や南沙(スプラトリー)諸島において中国が最近軍事演習したり、行政区を設けたりしていることに抗議して、ハノイで約300人、ホーチミン市で約100人が集まった。このようなデモは9日に続いて2度目だという。

 「多くは学生風で、ベトナム国旗をあしらったTシャツ姿。「中国の覇権主義反対」「侵略阻止」などと書かれた横断幕を掲げて行進したが、まもなく警官隊に解散させられた。」

 ベトナム国民は、世界で最も愛国心の強い国民ではないかと思われる。その理由は、国家が愛国教育をすることもあるが、それ以上に、多数の犠牲を出しながらも勝ち取った「自由と独立」を尊重し、それを誇りに思う気風が一般に強い。

 たとえば50歳代の父親の青少年時代は戦争一色であり、田舎に疎開したり、また自らも従軍し、さらに多数の親族や友人・知人が戦火の下で死亡している。この戦争は、自由と独立のための正義の戦争であって、誇り高く栄光に包まれた歴史の1ページを自らが刻んできた。この指摘について、いろいろ批判があるかもしれないが、少なくとも大部分のベトナム人は、このように考えているだろうし、戦争を知らない現代の青少年も、このように教育され、このような両親に育てられてきた。この歴史はベトナム国民の誇りである。

 今回のデモは、中国政府に対する批判だけならばよいが、その中国に対してベトナム政府が「弱腰」という理由から、ベトナム政府に対する批判が込められているようにも思われる。もしそうであれば、このデモは、ベトナム政府にとって解決に難しい問題だ。

 WTO加盟後、世界貿易の構成員となったベトナムが、より大きな経済発展をするためには、自国内の政治的安定が最優先にされなければならない。政治的安定が、経済成長の大前提である。政治的安定のために以前から特に国内問題では、貧富の格差、汚職の問題、外交問題では、中国の領土問題が指摘されてきた。今回は、その後者の問題が顕在化したとみなされる。

 ここでベトナム政府は、どのように対応すればよいか。こういったデモの弾圧は、それが愛国心から出ているだけに、かえって国民の反発を受ける。それだからこそ難問である。

 当面、政治的混乱が経済成長に負の影響を及ぼすことを説明・説得するしかあるまい。またベトナム政府は国際世論を味方につけながら、中国に対する抗議をすることであろう。すでにベトナムと中国は、武力紛争を通して領土問題を解決しないという合意には調印しているはずである。中国が、この合意を良いことに強引に領土拡張の既成事実を作ったとすれば、大いに非難されるべきである。

 この領土問題には、台湾・フィリピン・インドネシアも関係していると私は記憶している。これらの国々の協議の場が設定されることが望ましい。仲裁が必要なら、それは国連の役割かもしれない。いずれにせよ、ベトナム最優先の課題は経済成長である。そうでなければ、国民の不満が爆発する。そのためには政治的安定が必要である。そのためにはデモなどを自粛する。こういったことを国民に広く認識されることが求められる。そうなれば、 反中国デモは鎮静化すると私は予想している。

|

« ニュース証券によるベトナム株式売買が始まる | トップページ | ロータス投資運用会社提供「ベトナム経済ニュース(27)」:ベトナム株式11月の市況 »