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2007年12月31日 (月)

ロータス投資運用会社提供「ベトナム経済ニュース(29)」:ベトナム証券法施行細則(第3~4条)

第二章 証券の公募

第3条 証券の公募形式
 1 新規に公募される株券・証券は下記を含む:
 a) 発行組織体の資金運用のために株券・ファンド証券を新規に公募する;
 b) 所有構造の変化を通じて公開会社に移行するために株券を新規に公募するが、発行組織体の定款資本は増加しない。
 2 株券・証券の追加公募は下記を含む:
 a) 公開会社が定款資本を増やすために現行株主に株券の追加公募あるいは株券購入権を公募する; 
 b) 公開会社が現行の構造を変える為に株券を追加公募するが、定款資本は増やさない;   
 c) ファンド管理会社がファンド証券を追加公募する;証券投資会社が株券を追加公募する。
 3 債券を公募する。      
第4条 企業形態別のの新規株式公募の条件
 1 国家資本100%の企業が株式の公募を伴って株式会社に移行する場合は、国営企業が株式会社に移行する法律の規則に基づき実行される。
 2 外国資本の企業が株式の公募を伴って株式会社に移行する場合:
 a) 証券法12条1項aとbで規定された条件を満たすこと;
 b) 100%外国資本の経営者あるいはまたは合弁事業の取締役会が承認した公募で集められた資金を発行あるいは使用する予定があること;
 c) 株式公募の書類作成においてコンサルタント契約の証券会社があること。
 3 株式会社に移行した外国資本企業の場合:
 a) 証券法12条1項で規定された条件を満たすこと。
 b) 同2項cで規定された条件を満たすこと。
 4 インフラストラクチャー部門に属する新規設立企業の場合:
 a) 中央省庁、分野、省(県)および中央直属都市の経済社会発展プロジェクトに属するインフラストラクチャー工事の投資建設主体となる企業であること。
 b) 投資プロジェクトが承認権限を受けて発効されていること;
 c) 公募で得た資金を発行或いは使用する案に対して取締役会或いは創立株主の連帯責任を誓約すること; 
 d) 公募で得た資金を使用することを監査する銀行があること。
 5 法律規定により投資奨励されたハイテク分野に属する新規設立企業の場合:   
 a) 法律規定により投資推奨されたハイテク分野で活動する企業であること。
 b) 同法4項b・c・dで規定された条件を満たしていること。
 6 公募する証券投資会社はこの議定の第5章の定めに従って実行する。

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2007年12月30日 (日)

ロータス投資運用会社提供「ベトナム経済ニュース(28)」:ベトナム証券法施行細則(第1~2条)

 ロータス証券投資ファンド運用管理会社が提供する「ベトナム証券法の施行細則」の邦訳を何回かに分けて紹介する。全体で6章・31条から構成されており、証券法と双対になっている。なお証券法は、すでに日越経済交流センター(http://www.j-veec.jp/)が紹介している。

 ベトナム社会主義共和国 独立・自由・幸福 
番号:14/2007/ND-CP     ハノイ・2007年1月19日

議定 証券法における一部条項の施行細則規定      

政府は 2001年12月25日・政府組織法に基づき、2006年6月29日・証券法に基づき、財務省大臣の定義により議定する

第一章  一般規定       

第1条 調整の範囲
この議定は証券の公募、証券の上場、証券会社、ファンド管理会社および証券投資会社に関する証券法の一部条項を施行する細則を規定する。

第2条 用語解釈
 1 証券を所有する代表者とは、証券預託センターの会員であり、債券の保有を委託され、証券所有者の権利を代表する。      
 2 原処国とは、外国法人が設立された国家あるいは領土である。
 3 ファンドの純資産価値とは、ファンドの各資産総額からファンドの負債総額を引いたものである。
 4 投資管理契約とは、国内外の証券投資会社あるいは組織・個人とファンド管理会社、自己の財産投資管理をファンド管理会社に委託した契約である。

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2007年12月29日 (土)

兵庫県・竹野町と城崎温泉

 12月28日と29日は1泊して、ホームステイ中のマレーシア人の高校生ビンセント君と一緒に兵庫県の竹野町城崎温泉で過ごした。彼は、箕面船場ライオンズクラブとマレーシアライオンズクラブとの間の青年交流事業で来日している。彼のおかげで、久しぶりに温泉三昧の時間を過ごした。

 カニ刺し・焼きガニ・カニみそ・カニしゃぶ・カニすきといったカニのフルコースは、世界共通の絶品である。竹野町の福田屋さんにお世話になったが、夕食のカニを使ったカニ飯が翌日の朝食で出てきて、さらにこのカニ飯をおにぎりにしてもらった。これでもかというほどの「カニ攻撃」のサービスに、こちらは全面降伏である。

 下の写真は、ビンセント君。城崎温泉の源泉の前である。水温は80度を超えており、隣では温泉卵を食べることができる。

 今日か071229_11390001ら正月休みに入った城崎温泉は、多くの人々で賑わっていた。特に若い人の多いように感じた。それに呼応するようにアイスクリームの専門店など若い人向きの店舗も多くなっている。日本のみならず、アジアの「温泉テーマパーク」として、さらなる企画や施策がありうると思う。

 いつもの冬休みはベトナム方面で過ごすのだが、今年はビンセント君のおかげで、家族サービスをすることができた。「すれ違い」の生活が多い子どもとも久しぶりにゆっくり話すことができた。

 さて次は、数年ぶりにスキーに行く。インターネットでスキー講習(英語)のサイトがあり、ビンセント君も熱心で読んでいたが、実際の滑りは果たしてどうか。私は高校生・大学生・大学院生とスキーを続けてきたが、余り上達はしていない。しかし、急斜面に対する恐怖心は克服している。これが、本当は事故になりやすい。年寄りは無理をしないことだ。

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2007年12月28日 (金)

新しいビジネスの可能性

 ベトナム現地法人・ロータス証券投資ファンド運用管理会社の仕事をしていると、新しい出逢いが多数ある。それも若い人々が多い。

 30歳代前半の日本人で、名刺を交換すると、○○株式会社・代表取締役となっていたりする。新しい日本の企業経営の潮流を感じる。

 昨年から合同会社といった簡易な会社設立が可能となり、株式会社の最低資本金が撤廃された。新しい会社法は、このような大胆で画期的な制度改革を内容としている。それに対応する現実社会はどうなっているか? 経営学や企業論を研究教育している者として、この実態を解明する必要があると痛感している。

 若手経営者の人々が、これからの日本経済を牽引していくことは間違いない。高齢化社会における「ベテラン」が、これら新興企業を必要な時に必要なだけ支援する。これが、今後の日本経済の活路ではないか?

 これらの若手経営者は日本人に限らず、中国人・韓国人など外国人も含まれてよい。こういった外国人は、日本語や英語ができる日本留学組が中心になるだろう。アジアの若い人々が連携して、新しいビジネスを創造・共創していく。このようなビジネス=モデルが、これからの時代を拓く。

 このようなマッチングのお手伝いをしたり、その機会や場所を提供する。日本人の若手経営者ばかりでは、今後の成長センターであるアジアに連携することは難しい。こういう試みを来年早々に企画している。中国人が中心になって、日本人と韓国人が一緒だ。このような環が拡大するような試みを来年は何度か実施してみようと思う。

 

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2007年12月27日 (木)

テレビ会議

 ラオスとカンボジアについて連載、ベトナムの証券法施行細則の紹介、ベトナム投資法の概要などのブログ執筆の企画がありながら、なかなか時間が取れないでいる。

 特にベトナム証券法の施行細則やカンボジア証券法の草案は、おそらく日本で最初の公開でないかと思われる。Coming Soon.請う!ご期待。

 今日は、まったく偶然であったが、神戸と大阪での「テレビ会議」に出席した。いずれも私が主に話した。これからは東京と大阪を往復する時代ではないのかもしれない。専用回線やインターネットがあれば、もちろん海外も同様に利用できる。

 以前に、ハノイのHSBC(香港上海銀行)でホーチミン市の担当者と話したことがある。ベトナムでも遠隔会議システムは利用されている。ただし、この時は映像がなかった。

 こちらの机の延長にスクリーンがあり、その中に話し相手の机がつながっている感じになっている。空間を超えて連続した長い机の端と端で話しているような気分になる。

 ただ気になったことは、会話が重なると音声が乱れることだ。これは、ある意味で会話のルールを自然に守らされることになる。最後まで相手の話を聞いてから、それに応える。当たり前のことが、通常の会話ではできていないと反省させられた。

 こちら側の人間で名刺を交換し、会議の主催者がそれをコピーして、スクリーンの中の相手側にFAXで送る。これでテレビ会議の名刺交換が終了する。

 会社でも大学でも、こういったシステムが個人と個人間で普及すれば、新しい仕事や勉強のスタイルが生まれるだろう。すでにメッセンジャーやスカイプで映像を伴うインターネットのチャットが可能である。本格的な活用方法が検討されてもよい。

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2007年12月26日 (水)

ベトナムと中国の相違:中国の反日感情

 今日は、日越経済交流センターでベトナム進出の相談を受けた。

 相談者は、中国でのビジネスを経験されているが、反日感情が懸念されると指摘された。それに比べてベトナムは安心というわけだ。

 私には中国人の友人もいるし、留学生の指導もしている。日本人と付き合う中国人が「反日感情」をもっているわけではない。また日本人の中にも「嫌中感情」があるように思う。これは「中国脅威論」の裏返しのようにも思われる。

 こういった国民感情が、どの程度までビジネス活動に影響を及ぼすのであろうか。こういう問題は、未開拓の研究領域であろうが、現実には重要な課題である。私に時間があれば、調査研究したいテーマである。

 福田総理大臣が中国を訪問する予定である。私見では、経済は必然的に統合に進むが、国家の主権・独立や民族の文化・伝統は堅持・維持されなければならない。経済の論理と国家の論理を明確に区別して、さらにその相互関係に考慮した対話の展開が望まれる。経済の論理が優先すると、経済力の優位な国が優勢になるのは当然である。他方、国家の主権・独立だけが強調されると、経済的な排外主義や孤立路線を歩む危険性がある。

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2007年12月25日 (火)

東京に出張した:東京のビジネス

 クリスマスの日は人出が少ない。新幹線の座席にも余裕があった。

 日帰りの東京出張であったが、収穫は大きかった。東京での情報収集は欠かせない。

 東京の「何、言ってやんだ!」といった口調のビジネス姿勢は、関西の「何、言うとんねん!」と共通していて波長が合う。東京のビジネスの特徴として、「何を言われているのですか!」スタイルという先入観をもっていたが、そればかりでないことが理解できた。

 この「何、言ってやんだ!」式のビジネスは、ベトナムでも通用するであろう。率直・元気・ユーモア・したたか。アジアビジネスの根底に流れる共通点かもしれない。すでに関西式がベトナムで通用することは実証されている。

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2007年12月24日 (月)

ビンセント君(マレーシア人)のホームステイ

 12月16日~来年1月6日まで、ビンセント君(マレーシア人、16歳)がホームステイしている。国際ライオンズクラブのYE(ユース=エクスチェンジ)事業の一環である。

 これまでに大阪城・道頓堀・姫路城・神戸港・京都(金閣寺・竜安寺・三十三間堂・東寺)などを案内した。神戸の流通科学大学では、私の講義にも出席し、さらに中国人留学生と食事もした。

 ビンセント君は、中国系のマレーシア人で、英語・北京語・広東語・客家語・マレー語を話す。家族とは広東語を話しているそうだ。日本のわれわれとは英語である。

 家族の一員なので、特に気を遣う必要はないと言うものの、できるだけ日本のことを知ってもらいたい。ホストファミリーの父親として、仕事している典型的な日本人を見せなければと思うと、やや緊張する。

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2007年12月23日 (日)

新しいベトナムの個人所得税法

 『日本とベトナム』(日本ベトナム友好協会、第621号、2007年12月15日)によれば、新しいベトナムの個人所得税法が、79%の賛成多数で可決された(11月20日、第ⅩⅡ期国会、第2回会議)。

 2009年1月1日に発効する同法によれば、納税者の基礎控除は1ヶ月400万ドン、扶養控除は1人当たりで1ヶ月160万ドンであり、これらの控除後の所得が500万ドンを超えた場合に、個人所得税を納税することになる。

 また証券投資による個人所得税は、法案では25%であったが、市場振興を考慮して20%になった。

 現在、全国の高額所得者に対する所得税法令の課税対象者は、約30万人で1年間の税収は6兆ドンであるが、2009年1月には、個人所得税の納税者は230万人になり、1年間の税収額は約13兆ドンになると予測されている。

 以上、とりあえずベトナム情報である。

 

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2007年12月22日 (土)

ラオス・カンボジアの特集(2):ラオスのWTO加盟

 こらまでラオスに関する文献をいくつか集めてきた。今回から、それらの概要を紹介しようと思う。まず、次の著書を取り上げる。

Anderson Kym, LAO Economic Reform & WTO Accession Implication for Agriculture and Rural Development, Centre for International Economic Studies University of Adelaide, Institute of Southeast Asian Studies, Singapore, 1999.

 以下、続く。

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2007年12月21日 (金)

判断と決断:船井総合研究所・平間氏の講義から

 12月19日(水)、流通科学大学で私が担当する「実学」講義「21世紀の業界展望」では、(株)船井総合研究所の平間稔敬さん(人財開発チームチームリーダー・シニアコンサルタント)のお話を伺った。

21_071219no1  その中でコンサルティングの要点として、判断の部分では選択肢の中からの選択を助言をするが、決断の部分に踏み込んではいけないという指摘をされた。これは私の個人的な質問に対して答えていただいたことである。

 これは広く当てはまることかもしれない。就職・転職・結婚など決断が伴う場合、決断の助言は控える。しかし判断には助言する。それでは、この決断と判断の区別は何か。簡単に言って、大きな判断が決断と言えるのだろうか。戦略的な判断が決断?

 ベトナム進出やベトナムビジネスでの相談を受けることが多くなった。これまでの反省として、判断の部分つまり助言すべき時にしていなかったことがあったように思われる。決断の部分を除いては、もっと私が発言してもよいと思った。

 貴重なご助言を賜った平間さんに感謝を申し上げたい。

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2007年12月20日 (木)

ラオス・カンボジアの特集(1):問題意識

 今日からラオスとカンボジアの連載を開始する。これまでにベトナムは多数、ラオスは数本の拙稿を私は発表しているが、カンボジアに関する拙稿は未刊行であった。そこでラオス・カンボジアに関する経済・企業経営の現状と諸問題を考察することにする。

 ラオスとカンボジアは、すでに生産基地として確立したタイと現在進行形で投資が増大しているベトナムに挟まれて注目度は低かった。たとえばラオスにおいて総合商社の常駐の日本人駐在員は不在である。カンボジアの駐在所長がラオスを兼任している。そのカンボジアであっても、数年前までJETRO(日本貿易振興機構)投資アドバイザーが常駐していたが、今では事務所が閉鎖されてしまった。

 このようなラオス・カンボジアが、東西経済回廊の開通によって注目を集めるようになった。ミャンマーからタイを経由してベトナムを結ぶ陸上輸送が整備されると、その中間に位置する両国の経済的な役割が注目される。ともかく安価な労働力が魅力である。

 さらに両国は天然資源大国である。地球規模で経済成長が継続することを考えれば、限りある天然資源の不足は明白であり、その価格上昇は必然である。そうなれば、天然資源大国であるラオス・カンボジアは、ベトナムと同等以上に注目されて当然である。

 すでに韓国はカンボジアに査証なしに入国できるのに対して、日本は査証が必要である。ラオスに対しては世界遺産都市ルアンパバーンに韓国政府はODAによって大学を建設中である。日本は韓国に比較して、ラオス・カンボジアに対する影響力は必ずしも大きいとは言えない。日本のODA総額は韓国よりも大きいけれども、民間企業の直接投資が小さいために国家としての存在感が小さいと考えられる。

 最近になって、ようやくベトナムが日本企業によって本格的に注目され、実際に直接投資が進んでいる。しかし隣国のラオス・カンボジアに目を向ける日本企業は少数である。その理由は明白である。これら新興国に対する情報が不足しているのである。

 私見では、ベトナムに進出した企業は、ラオス・カンボジアを一体化した視点でビジネスを考えるべきである。これら3カ国はインドシナ3カ国として緊密な政治的関係を維持しているからである。その関係をビジネスとして具現化するためのインフラストラクチャーが、前述の東西経済回廊とみなされる。ベトナム・ラオス・カンボジアにおける緊密な政治関係が、今後は有望な経済関係に発展する。このような展望に基づいて、ベトナムに比較して情報不足であるラオスとカンボジアを紹介してみようと思う。 

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2007年12月19日 (水)

ロータス投資運用会社提供「ベトナム経済ニュース(27)」:ベトナム株式11月の市況

 ベトナム株式市場の11月は、ホーチミン証券取引所・ハノイ証券取引センター・OTC市場ともに著しく低迷した。ベトナム株価指数(Vn-Index)は1065.09ポイントから972.35ポイント(8.71%)まで下落した。

 外国人投資家は売却よりも、株式購入の姿勢を維持していたが、市況を好転させることはできなかった。弊社ロータス社の主観的な見解によれば、この市況低迷をもたらした本当の理由は、サブプライムローンの破綻を契機とした世界の証券市場の不安定や、中国証券市場の著しい下落、またベトナム国内の高率のインフレーションではない。それは、ベトナム証券市場それ自体の単独の下落であり、短期的に株価を上昇させる刺激要因の不足である。

 ベトナム証券市場の特徴は、小規模な個人投資家が市場を支配していることである。個人投資家の大部分は短期的な売買活動を行っているために、株式売買を行う場合は、日々のニュースと株価変動に注目している。株価が上昇しない時は購入を中止し、株価下落の場合は売却するという単純な行動をとっている。弊社の見解では、こういった需給要因が株価低迷の主要な原因であり、企業のファンダメンタルは良好に維持されている。

 12月は、待望のベトコムバンクの入札があり、またホーチミン証券取引所とハノイ証券取引センターに多数の企業が上場する予定である。これらが刺激材料となり、市場は上向くことが期待される。

 このようなベトナム証券市場の特性を考えれば、忍耐強い長期投資の投資家および合理的な株価で所有を持続している投資家にとって、より良い投資環境が到来すると弊社は信じている。

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2007年12月18日 (火)

ベトナムで反中国デモ:その背景と対応

 12月17日(月)『朝日新聞』によれば、ハノイとホーチミン市の中国公館前で16日に、南シナ海の西沙諸島や南沙(スプラトリー)諸島において中国が最近軍事演習したり、行政区を設けたりしていることに抗議して、ハノイで約300人、ホーチミン市で約100人が集まった。このようなデモは9日に続いて2度目だという。

 「多くは学生風で、ベトナム国旗をあしらったTシャツ姿。「中国の覇権主義反対」「侵略阻止」などと書かれた横断幕を掲げて行進したが、まもなく警官隊に解散させられた。」

 ベトナム国民は、世界で最も愛国心の強い国民ではないかと思われる。その理由は、国家が愛国教育をすることもあるが、それ以上に、多数の犠牲を出しながらも勝ち取った「自由と独立」を尊重し、それを誇りに思う気風が一般に強い。

 たとえば50歳代の父親の青少年時代は戦争一色であり、田舎に疎開したり、また自らも従軍し、さらに多数の親族や友人・知人が戦火の下で死亡している。この戦争は、自由と独立のための正義の戦争であって、誇り高く栄光に包まれた歴史の1ページを自らが刻んできた。この指摘について、いろいろ批判があるかもしれないが、少なくとも大部分のベトナム人は、このように考えているだろうし、戦争を知らない現代の青少年も、このように教育され、このような両親に育てられてきた。この歴史はベトナム国民の誇りである。

 今回のデモは、中国政府に対する批判だけならばよいが、その中国に対してベトナム政府が「弱腰」という理由から、ベトナム政府に対する批判が込められているようにも思われる。もしそうであれば、このデモは、ベトナム政府にとって解決に難しい問題だ。

 WTO加盟後、世界貿易の構成員となったベトナムが、より大きな経済発展をするためには、自国内の政治的安定が最優先にされなければならない。政治的安定が、経済成長の大前提である。政治的安定のために以前から特に国内問題では、貧富の格差、汚職の問題、外交問題では、中国の領土問題が指摘されてきた。今回は、その後者の問題が顕在化したとみなされる。

 ここでベトナム政府は、どのように対応すればよいか。こういったデモの弾圧は、それが愛国心から出ているだけに、かえって国民の反発を受ける。それだからこそ難問である。

 当面、政治的混乱が経済成長に負の影響を及ぼすことを説明・説得するしかあるまい。またベトナム政府は国際世論を味方につけながら、中国に対する抗議をすることであろう。すでにベトナムと中国は、武力紛争を通して領土問題を解決しないという合意には調印しているはずである。中国が、この合意を良いことに強引に領土拡張の既成事実を作ったとすれば、大いに非難されるべきである。

 この領土問題には、台湾・フィリピン・インドネシアも関係していると私は記憶している。これらの国々の協議の場が設定されることが望ましい。仲裁が必要なら、それは国連の役割かもしれない。いずれにせよ、ベトナム最優先の課題は経済成長である。そうでなければ、国民の不満が爆発する。そのためには政治的安定が必要である。そのためにはデモなどを自粛する。こういったことを国民に広く認識されることが求められる。そうなれば、 反中国デモは鎮静化すると私は予想している。

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2007年12月17日 (月)

ニュース証券によるベトナム株式売買が始まる

 『日本経済新聞』2007年12月16日の報道によれば、東京の「ニュース証券(New-S)」がベトナム株式売買の取り次ぎを始めるそうである。

 「独立系のニュース証券(東京・渋谷、西川敏明社長)は来年1月末から、個人投資家向けにベトナム株の売買の取り次ぎを始める。ホーチミン証券取引所に上場する129銘柄すべてを対象にする。ベトナムの個別株を取り次ぐのは国内の証券会社で初めて。
 顧客からの注文をアジアコマーシャル銀行証券(ホーチミン市)に取り次ぐ。ネット取引で、手数料は売買代金の1.2%程度にする予定」。

 ニュース証券のHP(http://www.news-sec.co.jp/)によれば、同社はロシア株式に特化した証券会社である。新聞報道によれば、ロシアの次はベトナムである。ニュース証券に口座を開設すれば、わざわざベトナムに行ってベトナム証券会社に口座開設をしなくても、ベトナム株式を売買できることになる。これは、日本の投資家にとって画期的である。

 私見では、ベトナム株式投資の基本姿勢は、優良株式に対する長期投資である。この観点から見れば、短期売買を繰り返す投資スタイルは最良の戦略とは思われない。もっとも、それで利益を得ることも可能であるから、投資は長期か短期かという問題は投資家の個性もしくは好みに依存すると言えるだろう。

 いくつかの中小・中堅証券会社が、ベトナム株式売買の取り次ぎの商談を進めていることを聞いていたが、その中でニュース証券が日本最初になった。先日に訪日したベトナムの証券会社も日本の投資家を呼び込みたいという希望はもっていたから、日本とベトナムの証券会社の間での取り次ぎの契約締結は時間の問題と思われた。

 このような契約の場合、当然、それぞれの希望する契約締結の条件がある。これが難しい。ベトナム側が一般に強気なのだ。ベトナム人の国民性として「誇り高い」という気質が指摘されることがあるが、これをビジネス交渉でも感じることがある。このような交渉相手は難敵である。「嫌ならいいよ」という切り札をベトナム側がもっているからだ。

 そうは言うものの、ベトナム側の「強気」は世間知らずの単なる強がりにすぎないとみなすこともできる。ベトナム人と食事を一緒にして、じっくりと両社の将来の発展を語り合い、相互理解を深めることが必要であろう。そうなれば、日本側に有利な条件を引き出すことが可能かもしれない。ベトナムビジネスにおいて、相互に尊重し合う信頼関係が最優先されるべきである。これが「誇り高い」ベトナム人とのつき合い方であると思う。

 日本初のベトナム株式売買を始めるニュース証券の英断に対して敬意を表したいと思う。また、今後の発展を期待したい。

 

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2007年12月16日 (日)

大学生に贈るメッセージ:「理想の社会人」を探せ!

 大学3年生の就職活動が本格化しつつある。個々の会社説明会に参加するための「申込書=エントリーシート」を提出する時期になっている。1月~2月の大学の期末試験が終わると、会社説明会が連日開催される。

 このような時期に大学生は自己分析をし、自己のアピールポイントや将来像を考えなければならない。これが大学生にとって難しいようだ。どのように自分の将来を描けばよいか。これは、学生のみならず社会人にとっても同様に難しい。

 そのヒントとして、私は「モデル分析」を提言したい。できるだけ多くのビジネス人をモデルとして分析する。その対象は、まず両親であろう。父親または母親の勤労スタイルを観察する。それを容認するのか、積極的に支持するのか、または回避するのか。たとえば「父親のような仕事または生活はしたくない」と考えるのか、それとは逆に、それに憧れるのか。

 こういう観察と考察によって、自分の職業観が確立していくのだと思う。それと同時に、できるだけ多数の社会人に会って、自分が理想とする立派な社会人を見つけ出すことである。それが父親または母親なら幸いであろうが、そうでなくてもよい。子どもは両親を超えて生きていくのも悪くないからだ。

 このような「理想の社会人」を見つけることを意識して、小説を読んだり、映画を見る。さらにインターンシップに参加する。このような発想を大学生に提言したい。「理想の社会人」が見つかれば、それに自分を接近させる努力をすればよい。それが自分の社会人としての出発点となる。このような観点から就職先を探せばよい。

 私自身を振り返れば、やはり憧れの大学教授に出会うことができたから、現在の私がいる。しかし私は、かつての「理想の社会人」としての大学教授を超えることは難しいと判断した。だからこそ現在、私は会社を設立した。憧れから始まった社会人生活の中から、私だけの独自の道を発見し、それを歩み始めているという実感がある。

 大学生にとって、私自身が「理想の社会人」になれば、大学における教育者として本望である。しかし私は、依然として未熟である。大学生は、ぜひ「理想の社会人」を見つけてほしい。それは具体的な人間でなくてもよい。ともかく「理想の社会人」を見つければ、それを目標または夢または憧れとして、それを比較対象として自分を評価できる。またそれに向けて努力すればよい。その過程で自分らしさが見つかる。それが自分自身の人生となる。

 社会人になるということは、自分が「理想とする社会人」を模倣する努力から始まる。その過程で自分の位置づけが発見できれば、それは幸福である。もちろん「理想の社会人」に自分が到達するのも幸福である。また、それを超えることも幸福である。このように自分の人生を歩む。それが社会人になることであると思う。就職に悩む大学生に対して以上のメッセージを贈る。

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2007年12月14日 (金)

ベトナムに駐在員事務所を設立する:税金問題の再考

 本ブログで、次の指摘をしたことがある。

 外国人駐在員事務所を設立する場合、ベトナム人代表の最低給与(月額)は500ドル、外国人の最低給与は2000ドルとなる。

 これは、ホーチミン市において現実であり、おそらく「課税のための見なし給与」であると思う。徴税を免れるために外国人が直接ベトナム人に現金を手渡す。このような場合、所得税はかからない。これでは税収が増えないから、最低給与という形式で、最低限の税金を徴収しようとする規定である。

 このことについては、再度、詳細を紹介しようと思う。

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2007年12月13日 (木)

ロータス投資運用会社提供「ベトナム経済ニュース(26)」:ベトコムバンクのIPO決まる

 ベトコムバンクのIPO(新規株式公開)が12月26日に実施されることが決定された。ロータス証券投資ファンド運用管理会社の見解によれば、このIPOの入札で株式を取得する価格と、その後のOTC(店頭市場)で購入する価格の高低の判断が難しい。

 もちろんベトナム最有力の国営銀行であるから、長期的な利益を期待する株式保有に向いているが、短期的な利益を考えるなら、より小規模な民間企業に投資した方がよい場合もある。国営銀行は一般的に言って、、経営効率化も未達成であるし、不良債権も少なくないと想像される。

 IPOで株式取得すれば、必ず儲かるという風評によって、かなり高値の入札価格が提示されることが多い。IPO株式の取得それ自体が目的であるように誤解している投資家も多いのではないか? このような意味で、今回のベトコムバンクの入札は慎重に検討されるべきである。

 以前に指摘したように、ベトナムのIPOの入札価格は高値傾向であるし、その後の店頭市場における株価は企業業績や投資家の判断を十分に吸収する傾向にある。したがって株式が取引所に上場したからと言って、株価が急上昇することにならない。このことは、すでにサコムバンクなどの上場で経験したことである。優良株=ブルーチップは長期保有して資産形成する。これがベトナム株式投資の教訓の一つである。

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2007年12月12日 (水)

ベトナム経済のリスク(3):コアビジネスは何か?

 (3) 大手国営企業グループの事業多角化はリスクが大きい。
 (4) 異業種の金融分野の進出にも警戒を示す。

⇒大手国営企業グループのみならず、民間企業においても多角化のリスクは大きい。業務分野の選択と経営資源の集中は日本では最近になって認識されるようになったが、ベトナムでの認識は薄いように思われる。自社の活動領域(ドメイン)を自覚することからベトナム企業は始めなければならない。

 たとえば建築ブームで「レンガ」工場が儲かるとなれば、レンガ工場が多数設立され、結局は供給過剰になった。人気のあるレストランがあれば、その隣りに同じようなレストランが軒を並べる。また、そもそも株式投資家それ自体が、ベトナムでは付和雷同の売買行動である。これは、日本人に似ている気質かもしれない。

 自社の分析をして、自社の得意分野に特化する。そして積極的に外国の先端技術を吸収する。そうでなければ、WTO加盟の下での国際競争市場においてベトナム企業が存続していくのは難しい。このことに早く気がついたベトナム企業は生き残り、そうでなければ存続は危ういのではないか。コア(中核)ビジネスを育成・強化する。これがベトナム企業における最大の課題であると私は考えている。

 このように考えると、上記の(3)・(4)のような多角化は、その中身と競争力を吟味しなければならない。たとえばITで有名なFPTは、FPT証券を設立した。同社は、コンピュータ取引を差別化戦略の中核として、本業の優位性を証券業に活用しようとしている。このような多角化は、ITで蓄積した技術と人材とノウハウを証券業に応用させている。同社は「範囲の経済性」を実現しており、競争優位性を保持しているとみなされる。

 他方、ただ株式市場が人気だから証券会社を設立するというだけでは、その後の企業の成長や存続が懸念される。前述の「レンガ工場」や「模倣レストラン」と同様に独自性=差別化が十分でないからである。

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2007年12月11日 (火)

ベトナム経済のリスク(2):いつ「ドン高」に転換するか?

 (2)ベトナムドンと米国ドルの相場安定のための中央銀行の「ドン売り」は不適切。「傾向的なドン安」誘導は輸出に貢献するが、世界的な物価高傾向の中で多数の輸入品の値上がりを招きインフレを助長する。

 ⇒世界銀行ラマ首席エコノミストの以上のコメントの意図は、最終的には為替相場の自由化を求めているように想像されるが、それについて明言していない。政府主導での為替介入を容認しながら、「ドン高」誘導を求めていると考えられる。

 さて、日本からベトナムに株式投資をする場合、米ドルと円の為替リスクと、米ドルとベトナムドンの為替リスクが存在している。他の条件が同一であるとすれば、円高になれば、日本の投資家は損失を被る。また、これまでのドン安傾向が継続しても、日本の投資家は損失となる。なお、ここで注記すれば、ベトナムドンのレートは米ドルに対して決定される。したがってベトナムドンと円の為替レートは米ドルを仲介して決定されている。

 以上を考慮すれば、ベトナム株式投資の為替リスクを次のように要約できる。なお( )内の+とは日本からの株式投資に有利、-とは不利を意味している。

① 円安(+)・ドン高(+) ⇒最良
② 円安(+)・ドン安(-) ⇒??
③ 円高(-)・ドン高(+) ⇒??
④ 円高(-)・ドン安(-) ⇒最悪

 ここで??は、(+)と(-)が、どの程度まで相互に相殺できるか不明ということを意味している。

 さて現在の状況は、②または④であって「最悪」または「不明」を意味する。このような為替リスクを補填するほどにベトナム株価が上昇すれば、為替リスクについて大きな懸念はないとみなされる。ベトナムに対する直接・間接投資の最近の増大は、ベトナム市場にドルが流入することを意味しており、通常なら「ドン高」が必然である。

 「ドン高」になれば、「円安」・「円高」のいずれにおいても、現状よりは悪くならないと考えてよい。この意味で、冒頭のコメントに含まれているように傾向的な「ドン安」政策を採用するベトナム政府が、「ドン高」を容認することが望まれる。また、そうすることが市場経済の原理に従うことであり、WTO加盟の趣旨にも合致している。

 ただし、為替市場を自由化するということは、それが投機の対象にもなり、為替変動=為替リスクは大きくなる。したがって、それに対する耐久力がベトナム経済に伴わなければならない。この観点から考えれば、私見では、ベトナム企業が国際競争力を装備するまでの間、為替市場の自由化には時間的猶予が必要である。

 

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2007年12月10日 (月)

ベトナム経済のリスク(1):インフレに対応する

 世界銀行ベトナム事務所のラマ首席エコノミストは、ベトナム国民が目覚ましい経済成長の恩恵を受けており、貿易赤字の拡大は懸念問題ではないと指摘した。

 一方、「ベトナム経済は急速な成長に伴って多くのリスクに直面している」という見解を世銀報告書の中で示し、ベトナム政府に注視を促した。

 (1) GDP成長率8%超の状況で、与信が40%増加しているのは行き過ぎ。
 (2) ベトナムドンと米国ドルの相場安定のための中央銀行の「ドン売り」は不適切。「傾向的なドン安」誘導は輸出に貢献するが、世界的な物価高傾向の中で多数の輸入品の値上がりを招きインフレを助長する。
 (3) 大手国営企業グループの事業多角化はリスクが大きい。
 (4) 異業種の金融分野の進出にも警戒を示す。(出所:『The Daily NNA』2007年12月4日。)

 これらの①と②は金融為替政策、③と④は企業経営の問題である。後者の問題は、株式市場における投資先について検討されるべきリスクとも言える。それぞれについて以下で簡単にコメントする。

 (1)⇒私の理解によれば、現在、株式投資に対する銀行融資の制限がされているが、不動産投資については無規制である。日本の1980年代後半における「バブル経済」では、過剰な銀行融資が株式や不動産の価格上昇を助長した。その結果が不良債権の発生となり、その後の長期間の不況の原因となった。

 ベトコム銀行・ベトナム産業開発銀行などベトナム国営銀行は今後の上場を控えている。したがって、大手国営銀行は不良債権の減少や回避に留意しており、融資の抑制をしていると想像される。他方、国営銀行の融資抑制は、民間銀行の融資拡大を促進する要因になるかもしれない。それは民間銀行の不良債権のリスクを高める。このようにベトナムの銀行全部が融資拡大をしているのではないとすれば、銀行間でリスクの格差が拡大しているとみなされる。以下、続く。

  

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2007年12月 9日 (日)

ベトナム共産党について私論(2)

 いくつかの政策の選択肢の中からどれを選択するか。これは、どの国の政府においても難しい問題である。日本の場合も同様である。そして選択の最終決定は国民に依存する。そのために選挙があり、その選択を容易にするために政党がある。

 これまでのベトナムでは、この選択の余地が十分になかった。また今後も、それほど選択の幅は大きくないと思われる。そうであるなら、その間はベトナム共産党の一党独裁は安泰ということになる。

 これまでのベトナムは国家の独立と統一を最優先にした歴史をたどってきた。少なくともホーチミンは、そのように考えていたし、「そのことで私が共産主義者と呼ばれるなら、私は共産主義者なのでしょう」といった意味のことを述べている。国家の独立や統一を目標とする思想は社会主義しかなかったし、それを支援する国は旧ソ連や中国しかなかった。

 好むと好まざるにかかわらず、ベトナム支援国が「冷戦」時代は旧ソ連しかなかったのだから、ベトナムに対する旧ソ連の影響力が強かったのは当然である。こういった時代にベトナム共産党(=労働党)は政権党として存在感を示した。旧ソ連が崩壊後、ベトナムが全方位外交に転換したのも納得できる。旧ソ連だけに支援を頼る必要がなくなったからである。

 今後のベトナムは、経済成長による所得増大と所得格差の是正という2つの課題を同時に追求していくことになる。これについて大きな異論はなく、その意味で反対政党は必要ないとも極論できる。民主化の課題を追求して多党制を容認してしまうと、政治的な安定が維持できなくなり、それは経済成長を阻害する。

 これは、ちょうど日本の高度成長時代に自民党が長期政権を担当してきた状況と同じである。大多数の日本国民は経済成長の恩恵を受け、それだからこそ自民党は大きな支持を受けてきた。この時代に所得格差は拡大し、社会的弱者は存在したが、すべての国民は経済成長の恩恵を受けた。たとえば貧困層であっても所得が増え続けた

 ベトナム共産党は、このような時代を迎えようとしている。経済成長という大きな政策課題の中で、所得格差の是正を最大限に考慮しながら、その進度の拙速と遅延に留意すればよい。なお、この「所得格差の是正に考慮」するからこそ共産党なのであって、この中には社会福祉・労働者福祉の拡充といった問題も含まれている。日本では、社会党や共産党の存在が、こういった問題の解決を自民党の政策に反映させる役割を果たしてきたと言えるだろう。

 ベトナム共産党は当面、以上のような経済成長の進度調整に集中すればよい。この場合、国民の意思を最大限に吸収する。国民の不満の増大は避けなければならない。国民の不満は、共産党の支持が失われることを意味し、それは国民も望んでいないように思われる。このような政治状況が、ベトナム共産党の一党独裁の下での民主主義であると考えられる。

 政策や意見の相違があるから、複数の政党が必要であるとするなら、当面のベトナムでは共産党一党で十分ということになる。ただし批判勢力が存在しなければ、どのような政党も腐敗する。ベトナムの場合、この批判勢力は国民それ自身であり、マスコミであり、外国政府・外国企業であるとみなされる。この批判勢力が健在であれば、そして、その批判にベトナム共産党が真摯に対応している限り、ベトナム共産党の一党独裁は継続するであろう。「一党独裁は非民主的であり、それを改めるべきである」という単純明解な意見はありうるが、それはベトナムの現状を理解していないと私は思う。

 

 

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2007年12月 8日 (土)

ベトナム共産党について私論(1)

 私は、ベトナム共産党について特に研究しているわけではないが、以下では私見を述べてみようと思う。それが、ベトナムビジネスにおけるカントリーリスクの評価にも関係するからである。

 ベトナム共産党は、ベトナム祖国の統一や独立のために多大の貢献をしたことは疑問の余地がない。それが党の権威の源泉にもなっているし、党に対する国民の信頼を寄せる根拠にもなっている。

 1975年以前の戦争を経験している世代がベトナム共産党を否定すると、それは自己否定にも通じるのではないか。父母兄弟や自分自身が経験した戦時の苦労や犠牲を有意義であったと考えるためには、ベトナム共産党が健全に発展しなければならない。そのことで過去の苦労や犠牲が価値あるものとなり、それが報われる。少なくとも心の平穏が維持できる。

 こういった父母に育てられた子どもも、そういった心情に共感する。儒教精神が健在なベトナムではなおさらだ。これが、大多数のベトナム国民の心情ではないかと想像される。さらに、ベトナム共産党を象徴する故ホーチミンの存在は依然として国民の中で大きい。これまでにホーチミンに対する悪口を私は聞いたことがない。

 もちろんベトナム共産党に対する批判も多々存在する。その一つは社会主義建設に向けた強引な路線の誤りから派生したものである。ただし、それは党自身が自己批判し、1986年の「ドイモイ政策」として修正された。またベトナム共産党も人間の集団であるから、それに伴う問題が常に発生する。権威主義や官僚主義である。さらに人間固有の欲望は汚職の温床となる。これらは人間の克服すべき普遍的な課題である。

 こういったベトナム共産党が政権を担当している。政権安定のために国民の期待に応えなければならない。さらに歴史上の栄光と権威を保持しなければならない。また共産党として将来の社会主義実現という目標から逃れることはできない。このような多重の制約条件の中でベトナム共産党は政策を主導している。これは、かなり困難な政策選択であると想像される。以下、続く。

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2007年12月 7日 (金)

ベトナム国営企業の株式会社化と財閥解体:「所有と経営の分離」を考える

 昨日の小林和子先生のセミナーで、ベトナム証券会社幹部の一人から次のような質問があった。

 「財閥解体で株式が民間に売り出されたのは、ベトナムの国営企業の株式会社化に似ている。財閥解体の前と後では企業経営に変化がありましたか?」

 この質問は、なかなか鋭い。日本の財閥解体を理解し、それを通して、ベトナム国営企業の民営化を連想する。さすがに証券会社の経営幹部である。

 持株会社(財閥の場合)または総会社(ベトナムの場合)が株式を所有し、その前者の所有者は財閥家族、後者は政府省庁であった。そして、これらが会社を支配していた。明らかな「所有者支配」の状況である。

 これに対して株式が広く売り出されると、一般の個人株主に株式所有が分散する。このような財閥解体後の企業経営の状態は「経営者支配」とみなされた。株式分散によって「所有と支配の分離」が生じる。これは言い換えれば、大量の株式を所有する安定株主が不在であり、株式取得を通した「乗っ取り」の可能性が高まったことを意味する。

 それを阻止するために経営者が考えた手段が「株式持合い」であった。また取引先や金融機関に安定株主として株式を所有してもらうことであった。このように「経営者支配」の下で経営者が自らの地位を維持するために、「株式持合い」すなわち「安定株主工作」が進行していった。

 ベトナムの場合、国営企業の株式会社化といっても、依然として政府が株式の過半数を維持している。したがって「経営者支配」という状況は未だ生まれていない。国家所有の比率が100%から過半数に低下したという程度であり、国家による「所有者支配」は維持されている。これが財閥解体との大きな相違である。ベトナムでは未だ「所有と支配の分離」はしていない。国営企業でも民間企業でも事情は同じである。

 このような状況でベトナム国営企業の経営効率化を促進するためには、専門的・職業的な経営者の養成と、それらに対する政府株主からの規律付けを明確にすることである。経営目標を経営者が明示して、それが達成できなければ、株主総会において経営者は更迭される。株主としての政府と経営者としての専門家を分離する。政府が経営をするのではなく、政府は株主に徹する。経営は専門経営者に任せる。これは「所有と経営の分離」である。

 この専門経営者は外国人であってもよい。政府は最大株主として経営者を任免できる限り、所有者支配=政府支配は維持されている。ベトナム政府は国家資産を保持できるのだから、何も心配することはない。有能な経営者に経営を任せればよいのだ。

 おそらく近い将来、ベトナム国営企業の経営を立て直すために、民間の専門経営者が起用される時代が来るであろう。その経営者が外国人であっても、まったく不思議でない。企業経営のことは専門経営者に委任する。国営企業の改革と株式市場の発展に伴って、ベトナムにおける新たな企業統治の機構が確立されなければならない。昨日のセミナーで、こんなことを考えさせられた。

 なお国営企業の経営者の月額給与の上限を1,500ドルにするという提案がある。株式会社の場合、株主総会で自由に決定されればよいし、上限1,500ドルというなら、内外を問わずに公募すればよい。あくまでも国営企業の支配権は国家に属するのであるから、政府は自信をもてばよいのだ。しかし、これは時期尚早の意見かもしれない。どのような改革にも時間がかかるが、その時間的余裕がベトナム国営企業にあるのかどうかが判断の決め手である。WTO加盟後のグローバル経済競争は「待ったなし」である。

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2007年12月 6日 (木)

神戸と東京で仕事:ベトナムを巡る人々

 今日は多忙だった。でも内容は充実。そんな1日だった。

 朝から、神戸の流通科学大学で1時限目の講義(履修ガイダンス)をして直ちに東京に向かう。茅場町の東京証券会館3階の(財)日本証券経済研究所において、小林和子主任研究員のセミナーに参加。このセミナーには、来日中のベトナム証券会社幹部が出席した。この来日は、ハノイの商工会議所(VCCI)と日越経済交流センター(大阪)が訪問先を調整した。

071206_15300001 写真上の中央が小林先生。右が通訳のビンくん。セミナー講師の小林先生とは旧知の仲。日本の証券市場における歴史研究の第一人者である。東大や早大などでも非常勤講師を歴任されている。ビン君は貿易大学で金融論を教えていて、その当時から私は通訳を依頼したり、一緒にトヨタベトナム社を訪問したりした。現在は一橋大学大学院博士後期課程.に在籍中。今回の証券関係の通訳のためには最適任である。071206_15310001  

 写真下は、ベトナム人出席者である。合計9名は、いずれも1970年代生まれの若手経営幹部である。VNS証券、ホーチミン市証券、ヴィエットドラゴン証券、ハブバンク証券、ベトコンバンク証券、ハノイ商工会議所からの参加である。

 このセミナーの後に(株)三菱総合研究所でベトナムのビジネスリスクについて講演した。私の講演は「関西風」の特徴を出すように意識した。私の後に、東京大学の佐藤安信教授が「WTO加盟1年のベトナムビジネスの法制度リスク:ベトナム進出企業が直面する紛争処理を中心に」というテーマで報告された。ベトナムの法制度の問題点が指摘され、私にとっても非常に有益であった。ベトナム証券法の解釈についても示唆があった。ベトナムの法律が不備だからといって、その法の網の目をくぐることは大きなリスクである。佐藤先生と雑談したが、この先生も「ベトナム好き」と直感した。「今度はハノイあたりで飲みましょう」と話した。

 このセミナー終了が午後8時過ぎ。それから三菱総合研究所のビルに面した日本経済新聞社の遠西記者に会った。上記の証券セミナー中に遠西さんから電話があった。私の東京訪問の情報を知ってたのかと思ったのだが、そうではなく、まったくの偶然だそうだ。遠西さんとは、彼が大阪本社在籍中に一緒にベトナム訪問したことがある。ラオバオでベトナムとラオス国境を一緒に超えたのは印象深い想い出だ。

 以上、今日の出来事。明朝の2時限目には講義である。朝6時台の新幹線で帰ることにする。こういう過密なスケジュールは初めてだが、ベトナムの話なら元気一杯だ。

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2007年12月 5日 (水)

ロータス投資運用会社提供「ベトナム経済ニュース(25)」:Phu Thanh社の戦略的パートナーとなる

 現在、店頭株式(OTC)市場で売買されているPhu Thanh(フータイン)社が、11月末に第3者割当増資し、ロータス証券投資ファンド運用管理会社(LotusIMC)は10%の株式を取得した。

 ベトナム国家証券委員会から認可を取得してから1年、ロータス社は初めて戦略的パートナーとして取締役を派遣することとなった。戦略的パートナーとは、安定株主として投資先の企業成長を支援する株主のことである。その一環として、戦略的パートナーは投資先に取締役を派遣することがある。ロータス社は、同社の投資諮問委員会を代表して私を取締役に推薦しており、それをPhu Thanh社も歓迎している。

 Phu Thanh社は、電子告知板・木目鋼製ドアーの製造についてベトナムの先発会社であり、同社の主力商品である電子告知板は現在、取引銀行の90%、証券会社の100%の市場占有率を示している。この電子告知板は、連続2年間「ベトナムイエロースター」賞を獲得した。

 もう一つの有力商品である木目鋼製ドアーに関して現在は、市場の需要を確認する段階に留まり、大量生産は顧客の需要や消費水準を確認してから実施することになる。

 Phu Thanhの設立者Ho Hoang Hai社長は、ベトナム北部の移動屋根の商品やベトナムにおけるデジタル写真の先駆者であり、わずか31歳。ハノイ若手企業家協会のメンバーである。

 今年の電子告知板の売上高は400億VND、税引き後の利益は45億VND、新しい定款資本金の10%に達すると予測されている。さらに同社は、Khanh Phat社(定款資本金220億VND)に対して、賃貸オフィスビル建設のために10%を出資している。

 Phu Thanhの製品は高品質・高性能であるために、ベトナム人にとって既に聞き慣れた商標である。今日までに獲得された成果に満足せずに、新規の需要を作り出し、また顧客のニーズを満たすために常に研究開発を継続している。このような同社の革新性と強い商標(ブランド力)は競争相手の意欲を減退させるほどである。

 以上は、ロータス社から私に届いたPhu Thanh社の概要である。投資ファンドとして投資先の経営者にインタビューし、その能力を判断する。投資決定後は、その株式上場を支援する。投資ファンドの投資家は、その株価上昇の利益を獲得できる。ベトナム経済成長を支援する投資運用会社であるロータス社が、いよいよ始動である。

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2007年12月 4日 (火)

ベトナム株式市場における投資信託:「命から2番目に大事なお金」を誰に任せるか?

 日本の証券会社の人と話をしていると、「われわれは、お客様の命から2番目に大事なお金を預かっている」というセリフを聞くことがある。この指摘が適当がどうかは議論の余地はあるが、少なくとも「命の次に大事と言っていいほど大事なお金」という表現には、多くの人々が同意するであろう。

 それでは、一番大事な自分の生命を任せる手術を受ける場合、その患者は、どのような病院を選択するであろうか。まず世間の評判を聞くことから始めるのが一般的であろう。いわゆる「名医」を探そうとする。少なくとも東大や京大の医学部付属病院だから絶対安心というような判断は容易にしないであろう。大学病院と言っても、実際の執刀は若手の研修医が担当するかもしれない。主任教授が執刀するにしても、その教授の学問的な研究業績は立派でも、執刀の手技が優れているとは限らない。「メスの切れが悪い」医学部の教授は、企業経営に不向きな経営学の教授よりも、人間の命を左右するだけに困った存在である。

 このような一流大学の医学部に対する信仰が、まだまだ根強く残っている。それが、命の次に大事なお金の世界である。つまり、大手の有名な投資運用会社が設定した投資信託なら安心だという信仰である。

 このブランド信仰は、歴史や実績に基づいて形成されるから確かに無視できない。しかし、このブランド信仰が当てはまらない場合がある。投資対象が新興市場の場合である。

 未知の新興市場の株式投資において、欧米・日本市場の過去の実績に基づいたブランドが通用するのであろうか。新興市場には、それに適合した新しい専門家が登場してくるのではないか。そうであるなら、そういった専門家の存在の有無を確かめることが必要であろう。大学病院というブランドに対する信頼よりも、実際に執刀する専門医の実績と評判を確認し、その執刀医との十分な対話を通して醸成された信頼の方が安心できると私は思う。

 私は、このような専門医と類似のイメージをベトナム株式市場における「ロータス証券ファンド投資運用会社」にもっている。ハノイの同社を訪問し、ソン会長やタイ社長に面会すればよい。そして何でも質問すればよい。そのベトナム株式投資の専門家としての実力を自分で確かめるとよい。命の次に大事なお金だからこそ、ブランド信仰だけに基づいた投資には慎重になるべきである。

 日本の投資家は、このようにして自らの「投資眼」を養成しなければ、これからの国際金融市場には対処できないと思われる。サブプライムローンの破綻によって、日本の機関投資家が被害を被ったという問題も、それら投資家の過度の「ブランド信仰」の結果ではなっかったのか。

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2007年12月 3日 (月)

竹原信夫氏大いに語る:『日本一明るい経済新聞』編集長を特別講師に迎えて

 先週の土曜日、流通科学大学の「実学」講義の一環である『21世紀の業界展望』が開講された。私が、この講義を担当して4年になる。

 この日は、産業情報化新聞社の代表取締役・『日本一明るい経済新聞』(月刊)の編集長である竹原信夫氏を特別講師に迎えた。http://www.akaruinews.com

Photo  竹原氏は、日本工業新聞社の大阪経済部長を経て、1992年に上記の新聞社を設立された。 現在のマスコミは暗いニュースが多すぎるという観点から、ともかく明るいニュースを提供しようという趣旨で『日本一明るい経済新聞』が創刊された。

 写真は、講義終了後の記念撮影。竹原信夫氏は、NHK「おはよう関西」、毎日放送「ちちんぷいぷい」に生出演中である。土曜日午後の時間であり、通常の水曜日よりも受講生は少なかったが、質疑応答はより活発であった。竹原氏の「明るい講義」が、受講生の積極性を促したのだと思う。

 明るく元気な中小企業の豊富な取材経験から、「ビジネスで成功する社長の条件「あいうえお経営」である」と指摘された。それは次の通りである。

 あ: あかるい(=明るい)性格の社長
 い: いし(=意志)の強い社長
 う: うん(=運)が強いと思っている社長
 え: えん(=縁)を大切にする社長
 お: おおきな(=
大きな)夢をもっている社長

Da21fc610af48bc23989d08d627b50ee  ここでは省略するが、「あいうえお」の各社長の特徴について、竹原氏から具体的・詳細に講義では説明していただいた。この「あいうえお経営」は、具体的な成功事例から抽出された帰納法的な結論である。

 この場合、一つの反証があれば、この結論は成立しない。性格が明るい社長でもビジネスに失敗する事例は多いと考えられる。その反対に、性格が暗い社長でもビジネスに成功する場合もありうる。これが企業経営の妙味であると私は思う。しかし少なくとも、「あいうえお経営」を実行している社長は成功の可能性が高いと言うことができるであろう。

 最後に、ご多忙の中で、わざわざご来学を賜り、貴重な講義を賜った竹原氏に感謝を申し上げたいと思う。受講生より以上に私自身が、企業経営について大いに勉強させていただいた。これは「役得」というべきなのであろうか。改めて心からご講義の御礼を申し上げます。

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2007年12月 2日 (日)

ベトナム情報、日本株を動かす?

 JUKI・ベトナムは、ホーチミン市のタントワン輸出加工区に最も早くから進出し、当初は中国のリスク分散として工業用ミシンの組み立てを意図していたが、その後に精密部品生産・加工(ロストワックス鋳造)に転換した。中国の組み立てとベトナムの部品製造の棲み分けに成功し、現在のベトナムでは部品設計が独自にできる水準に達しようとしている。

 いろいろお世話になった前任の佐藤社長は日本に帰国されたが、今でも記憶に残っている指摘がある。「ホーチミン工科大学の学生は優秀だ。こういった人材を十分に確保したい」。最近では、ベトナム人のIT人材が注目され、理工系学生に対する日本企業の採用意欲が高くなっている。しかし佐藤前社長は、早くから進出した現地企業として、その採用ブームの前にベトナム人の優秀性に着目されていた。

 丸紅は、ベトナム中部で石炭火力発電所・風力発電所の建設を検討していると報道された。来年度中に石炭火力発電所の建設準備を進める予定で、投資総額は15億ドルと言われている。丸紅はベトナムで工業団地開発に関与していないが、資源エネルギー分野では先行している。ベトナムで老舗の総合商社は日商岩井、現在の双日である。日本の総合商社の中で、現在でもベトナムでの取扱量は首位を維持している。

 また、ベトナム即席ラーメン市場のシュア過半数を維持するエースコックは、キリンビバレッジの協力で飲料品の販売に乗り出すという。エースコックは、ベトナム国内販売網を熟知しているから、キリンが生産する飲料品販売ルートは容易に開拓できる。ベトナム人の嗜好に合致した商品投入ができれば、その成功は間違いないであろう。エースコックは、ベトナムにおける「総合食品メーカー」に向けて着実に戦略を進めている。

 このようなベトナム情報が、「材料銘柄」として日本の株価に反映されるようになってきたのではないか。この検証は必要であるが、ベトナムを過小評価してはならない。少なくとも、小さなベトナム情報が日本の株価を動かす可能性は十分にあると言える。

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2007年12月 1日 (土)

森を見て山を歩くと頂上に着く!

 「木を見て森を見ない」という例えがある。一本一本の木に注意を奪われて森全体を見ようとしないということから、目の前の些細なことにこだわり全体を見失うことの例えである。

 一つ一つの細かいことに気をとられてしまって、もっと大切な全体的なことに対して顧みる余裕がなくなってしまうことを意味する。

 同様に「森を見て山を見ない」という指摘をしたい。木を見て、さらに森を見ているのだが、山の起伏まで関心が及ばないことを意味している。飛行機から地上を見て、森は見えるのだが、その山の起伏は確認できないことを想像してほしい。

 森の中を歩いていて、次第に深い谷に入ったりする。山の起伏を考慮して、また登りの道を探る。道に迷うと困る。山の起伏は森を歩いて理解できる。

 以前に私は、竹内宏氏の著作からのアイデアで、「虫の眼」(マイクロ)・「鳥の眼」(マクロ)・「魚の眼」(潮流=トレンド)での分析が重要だと指摘したことがある。これと同じ意味で、「木」(マイクロ)・「森」(マクロ)・「山」(起伏=トレンド)を見ると表現できるであろう。

 木を見て森を見て山を歩く。これで客観的な分析は万全であろう。山を歩くとは、自分で森を体験することだ。ベトナム株式投資で言えば、ベトナム現地を訪問することだ。

 ロータス投資運用会社のタイ社長が述べていたが、新興市場にありがちな短期変動に惑わされることなく、長期的な成長トレンドを材料にして株式投資することがベトナム株式投資における成功の秘訣である。実際にベトナムを訪問すれば、その成長の躍動を必ず感じることができる。ベトナム人の勢い、日本企業のベトナムに対する動きを把握する。ベトナム企業を訪問してみる。

 森を見るだけでなく、実際に森の中を歩いて、山の起伏を体験する。そうすれば、間違いなく頂上にたどり着くだろう。

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