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2007年11月15日 (木)

ベトナム日本センター・ビジネスコース講師研修:成果発表

 JICA((国際協力機構)が主催し、PREX(太平洋人材センター)が実施する上記の研修コースの成果発表の講師を務めた。場所は、JICA大阪国際センター(大阪府茨木市)である。

 研修生4名は、貿易大学の教員であり、すでに紹介したように先の日曜日には拙宅で盛り上がった間柄である。研修生も私もリラックスした雰囲気で話ができた。

 その中で印象に残った質問は、「どうして日本企業は、大学の成績を重視しないで人柄や人間性を重視した採用をするのか?」ということであった。「そのような採用をしていたら、日本企業の優位性が崩壊するのではないか?」という痛烈な意見が次に続いた。

 私は、「はい、その通りです」と率直に答えたかったのだが、それでは研修にならないので次ように常識的に回答した。
 (1)自然科学系の新卒採用では成績を重視している。
 (2)社会科学系の新卒採用の配属は営業職が大部分であり、それは人柄・人間性が学力よりも重要である。
 (3)採用前の学力よりも、その後の社内教育を通して会社の社風・経営理念を学ばせることを日本企業は重視している。それが日本企業の「強み」になっている。
 (4)卒業大学の偏差値が考慮され、さらにSPI(Synthetic Personality Inventory: 能力適性テストと性格適性テストをひとつに組み込んだ総合適性検査)を実施することで一定以上の学力の人材を採用している。

 ベトナムの大学教員である研修生は、それでも納得のいかない様子だった。なぜ大学で勉強しなくて良いのかが理解できないのである。これに対しては、そういう人材を日本企業が採用しているからだとしか答えようがない。企業が厳しく大学生を採用するようになれば、大学生も当然それに対応して勉強するであろう。

 私見を率直に言えば、特に大学教育に依存しなくても、それ代わる教育基盤が日本で整備されているように思われる。たとえば新聞を丹念に読めば、それだけで知識や教養は高まるし、最寄りの図書館所蔵の書籍を自分で読めば、それは大学で勉強することと同等以上に効果がある。ベトナムに比べて日本の教育水準の底辺が高いことが、大学教育の内容や質の相違になっているのではないか。つまり日本では、それほど大学で勉強しなくても何とかなるのである。それほどに一般的な教育水準が日本で高いと考えられる。

 以上、なかなか刺激的な問題を議論することができた。講義時間の最後に私が「私は50%ベトナム人とよく言われるが----」といった挨拶をすると、研修生のひとりが「いやいや、あなたは51%ベトナム人だ」と返答してくれた。

 このジョークというか、言葉の掛け合いこそが、ベトナム人との対話の醍醐味である。そしてまた、このようなお墨付きを頂戴して嬉しかった。日本とベトナムjの人的関係の広がりと深化に少しでも貢献できたように思われる。ハノイとホーチミン市での再会を約束して講義を終えた。

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