« ホーチミン市『投資ガイドブック』から(9):外国人の支社と駐在事務所の設立 | トップページ | ベトナム日本センター・ビジネスコース講師研修:成果発表 »

2007年11月14日 (水)

「バリューチェーン」における関連事項の精査:「特別クラス」の講義から

 今日は、流通科学大学における1時限目と2時限目の連続した「特別クラス」の講義内容の一端を紹介する。

 マイケル=ポーターは30代の若さでハーバード大学の教授になった世界的に有名な教授である。彼の著書『競争の戦略』そして『競争優位の戦略』は今日でも読み続けられる名著である。後者には「バリューチェーン」(価値連鎖)という概念が提起されている。

競争優位の戦略―いかに高業績を持続させるか Book 競争優位の戦略―いかに高業績を持続させるか

著者:土岐 坤,M.E.ポーター
販売元:ダイヤモンド社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 その目的は、企業活動において付加価値を生み出す過程の全部を把握するためである。この過程を分解することによって企業の活動が流れが理解できる。この流れを短縮させたり、または入れ替えたりすることによって、企業のリストラ(=組織の再構築)が可能になる。また、この分解された過程それぞれの仕事を吟味すれば、差別化できたり、コスト削減できたりすることが可能となり、それが競争優位を生み出すことになる。

 このような分析と戦略策定のためには、まず企業の構成員すべてが個々の仕事を列挙することから始めなければならないだろう。それらの仕事の重複や不足を精査し、そこから仕事を再統合することも可能であろう。組織の効率化である。さらに仕事の列挙によって、その中から差別化・コスト削減の可能性が発見できるかもしれない。

 このような話を具体的な事例を交えて説明した。この『競争優位の戦略』は、私が助教授の時に読んだが、今読んでみると、その理解の程度が深化していることが実感できた。このことから、次の仮説的な教訓を指摘しておきたい。

 1.経営学の理解には経験が必要である。若い頃は字面の理解に囚われる。年齢を経て本質的な内容を理解できる。

 2.この経験とか年齢が必要という場合、経営学の文献を読み重ねるということなのか、具体的な企業経営を経験するということなのか、そのいずれか、または両方かは不明確である。少なくとも私の場合は、自らの会社を設立したという経験が、この著書の理解を格段に深めたという感想がある。

 3.それにしても、このような緻密な研究をするマイケル=ポーターの天才は驚嘆である。経営学の分野でノーベル賞を受賞したのは、これまでは組織論のサイモンだけである。私見では、マイケル=ポーターの受賞があっても不思議ではない。

 以上のような講義をしたが、学生の表情を見ていると、十分に理解してくれたようだ。午前中の連続した講義の学習効果は高い。また優秀な学生が集まる「特別クラス」ならではの充実感を教員として享受することができた。

|

« ホーチミン市『投資ガイドブック』から(9):外国人の支社と駐在事務所の設立 | トップページ | ベトナム日本センター・ビジネスコース講師研修:成果発表 »