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2007年10月28日 (日)

日本経営学会関西部会が立命館大学で開催:久々に知的な刺激を受けた!

 10月27日(土)午後に「日本経営学会関西部会第522回例会」が、立命館大学びわこくさつキャンパス(BKC)で開催された。

 私は、井口知栄・立命館大学准教授が報告された「多国籍企業子会社の役割変化:マレーシアとシンガポールの事例を中心にして」のコメンテーターを務めた。

 「多国籍企業論」というよりも、私は「国際ビジネス」それ自体に関心がある。通常は、今回のようなテーマは専門外でお断りするのだが、神戸大学の大先輩である田中先生(主催校・立命館大学経営学部長)からの依頼となれば、ほとんどのことを引き受けざるをえない。

 井口先生とは当日に初対面であり、報告前に簡単な打ち合わせを行った。事前に送っていただいた論文を読ませていただいて、その文献の渉猟とサーベイの力量には関心していた。事実、お目にかかって、その能力と明解な論理力に改めて驚嘆した。

071027_18050001  先生は、ロンドン大学を卒業されて、レディング大学で博士号を取得。すでに国際学会で何度も報告されている。おそらく将来、日本を代表する国際派の経営学者として、さらに大活躍されるであろう。報告を聞かせていただいて、そのように実感した。

 ご報告の要旨は、次のようなものである。多国籍企業の海外子会社は、当初は本社に依存して、次に進出国の「能力を活用する」ことから始めるが、その後は自立性が増大し、進出国で独自に「能力を創造する」ように変換していく。

 この「能力」について、研究開発(R&D)の水準に焦点を当てて調査する。その区分は、(1)基礎研究に関する研究開発(2)製品開発に関する研究開発(3)生産技術に関する研究開発となる。

 本国では通常、中央研究所が設置され(1)が行われる。進出国では、技術移転を伴う(3)から始まり、それが(2)に移行していく。この(2)の段階になれば、それは能力活用型から能力創造型の子会社に変化していることを意味する。

 このような変化は、先行研究によれば、子会社の立地がカナダやアイルランドのような先進国で発見されている。井口先生の実態調査によれば、その変化・移行が、マレーシアやシンガポールの電機電子産業でも見られる。

 井口先生は、このような研究を通して、多国籍企業が進出国の技術発展に及ぼす影響を明らかにされようとしている。私の関心で言えば、ベトナム進出企業の研究開発について、マレーシアと同様の移行がありうるのかという問題がある。たとえばホーチミン市のJUKIでは、製品開発の研究開発にまで進化しているように思われる。同社の佐藤前社長は、「ホーチミン工科大学の優秀な人材を最大限に活用したい」と言われていた。

 井口先生によれば、マレーシアで最優秀の人材は、より高い報酬を提示する欧米企業に就職するそうである。他方、日系企業は、現地での人材不足を補足するために日本人技術者を日本から派遣しなければならないそうである。欧米企業は、日系企業よりも人材面での現地化が進んでいる。この指摘は、私の学生時代から続く日本企業の課題である。

 現地で最優秀の人材を採用するための追加的な報酬の方が、日本人を派遣する費用よりも経費は低いと考えられる。それにもかかわらず、日本人技術者に日本企業が依存する理由は何であろうか。日本企業が、外国人技術者を全面的に信頼していないからであろうか。そうであるなら、日本企業は「グローバル企業」として将来も発展していけるのであろうか。いろいろ考えさせられる問題である。

 以上のほか、コメンテーターの仕事を通して、知的な刺激を大いに頂戴した。この機会を提供していただいた田中先生、そして立派な報告をされた井口先生に感謝を申し上げたい。最後に、やはり学会には、時間が許す限り、出席しなければならないというのが率直な私の感想である。 

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