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2007年10月19日 (金)

ベトナム共産党書記長が北朝鮮を訪問

 ベトナムのノン=ドック=マイン共産党書記長が北朝鮮を10月16日~18日まで公式訪問し、金正日・労働党総書記から歓迎を受けた。各紙報道によれば、経済協力について話し合われる予定と言われている。

 1992年に韓国とベトナムは国交正常化し、2004年に中国を経由してベトナムに滞在していた脱北者をベトナムは韓国に移送した。これらに北朝鮮は反発して、両国間の関係は冷却していた。今回のマイン書記長の訪朝は、北朝鮮からの招聘である。北朝鮮の意図は何か?

 ベトナムはドイモイ政策を採択した1986年以来、国際社会の仲間入りを目指し、全方位外交を展開してきた。その結果として、南北分断の韓国と北朝鮮の双方との国交を維持してきた。また中国に配慮しながらも、台湾との経済関係は深化してきた。さらにロシアに対する郷愁にも似た友好関係を維持しながらも、敵対した米国との経済関係が進展し、現在は対米輸出が総輸出額の首位になっている。

 このようなベトナムをどう見るか? 簡単に言えば、これがベトナムの全方位外交の現時点までの成果である。特定の同盟国や友好国をもたず、それぞれの国と互恵的な立場での外交を推進する。いわゆる自主外交である。ベトナムは未だ発展途上国であるから、このような立場が自国の発展にとって最も有効であると考えられる。より卑近に言えば、このような立場であるからこそ、多数の国々からの経済支援が実現できる。

 さらに言えば、ベトナムの長い戦争の歴史は、平和と政治的安定が経済成長の基盤であることを実感的にベトナム人に教えている。現在、ベトナムは経済成長を最優先課題としてるが、それが可能な大前提は平和維持である。ほとんどのベトナム人に聞けば、「ベトナムは戦争をしていたから、現在の経済は遅れている」と理解している。平和の重要性をベトナムは、どの国よりも認識している。事実、1950年代のベトナムはタイやシンガポールと経済的に大差なかった。

 ベトナムの全方位外交は、経済援助ほしさの八方美人と揶揄することも可能かもしれないが、それは皮相的な見解であろう。上記のような「戦争の歴史」からの深い認識があることを指摘しておきたい。

 ベトナムの直接投資や貿易の実態を見れば、米国・日本・韓国・中国との関係が緊密である。これらの国とベトナムの関係が強化されるほど、これらの国に対して北朝鮮は、ベトナムとの関係を改善・発展させることで間接的な影響力を行使できる。ベトナムを舞台にして、これらの国に北朝鮮は自由に接近することができる。北朝鮮にとって、ベトナムは無視できない存在になってきたと考えることができる。

 ベトナムにとって北朝鮮との関係強化は、北朝鮮との懸案事項を抱える日本・韓国・米国等に対して一定の影響力をもつことができる。ベトナムと北朝鮮の関係強化は、ベトナムが強力な外交カードの国になるつつある兆候とみなすことができる。

 

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