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2007年10月31日 (水)

ホーチミン市『投資ガイドブック』から(7):投資許可の審査

 外国企業の投資許可審査は、省人民委員会および工業団地・輸出加工業団地・ハイテクパーク・経済団地の管理委員会によって分担される。重要かつ問題のある分野に対しては、上記の省人民委員会と管理委員会が、投資政策と首相承認の経済発展計画に基づいて許可する。

A 首相承認の投資プロジェクト
 投資プロジェクトは下記の分野であり、その資金・投資規模を問わない。
1.空港建設・運営、航空輸送
2.国家の港湾建設・運営
3.石油探査・採掘・加工、鉱物資源探査・採掘
4.放送、テレビ放映
5.カジノ経営
6.タバコ生産
7.大学研修施設建設
8.工業団地・輸出加工区・ハイテク団地・経済特区設立

 首相の承認および委任により、その計画が法律上の規程による条件を充足し、ベトナムが締結してメンバーになっている国際協定に基づいた上記の投資プロジェクトが計画された場合には、投資決定を首相に提案することなく投資証明書の許可機関は投資証明書を交付できる。

 首相の承認および委任、あるいはベトナムが締結してメンバーになっている国際協定における市場開放の条件に合致していない上記に含まれない投資プロジェクト計画の場合には、投資証明書発行機関が代表として、部門監督省・計画投資省・関連機関などの意見を収集した後に投資決定を首相に提案する

B 省人民委員会ト
 省人民委員会は、投資金額と投資分野に関わらず、省における下記の投資プロジェクトに対して投資登録・投資証明書を発行する。

 工業団地・輸出加工区・ハイテク団地・経営団地以外のプロジェクト
 工業団地・輸出加工区・ハイテク団地の管理委員会を設立したい地方に対するそれらのインフラ開発計画

 省の計画投資省は、省人民委員会に代わって投資証明書の手続きを受理する責任をもつ。

C 管理委員会
 管理委員会は、工業団地・輸出加工区・ハイテク団地の中にある投資プロジェクトに対する投資登録および投資証明書の発行を行う。(以下、続く)

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2007年10月30日 (火)

ホーチミン市『投資ガイドブック』から(6):投資証明書の取得

 外国企業を設立するためには、投資プロジェクトに関する投資手続きが必要である。すなわちベトナムに投資する外国人投資家は、投資証明書と経営登録証明書を取得しなければならない。

 投資証明書は、すでに紹介したように(1)投資プロジェクトの種類、(2)投資禁止プロジェクト、(3)条件付き投資プロジェクトに従って発行される。

 投資証明書は、50年以内の期限があり、それを70年まで期限延長する場合は政府の許可が必要である。投資証明書は、外国人投資家がベトナムに対して実施可能な投資分野・投資金額・場所・土地使用面積・関連インセンティブ(もしあれば)などの事項を表記する。さらに投資証明書には、投資プロジェクトに関する将来の発展計画書の添付が必要である。

 投資証明書の手続きは、法的に正式に申請を受け付けた日から勤務15日間以内(投資登録規程の場合)、あるいは30日間以内(投資査定規定の場合)に発行される。

 登録規程は、条件付投資分野リストに該当しない投資プロジェクトと3,000億ドン以上の外国投資プロジェクトに対して適用される。その審査規程は下記の2通りである。

 (1)資本金3,000億ドン以上の外国投資プロジェクトに対する審査内容は、インフラ計画、土地使用計画、原材料と天然資源などの一般的計画との適合性、さらに土地使用の要望、プロジェクトの進行スケジュール、環境対策について検討される。

 (2)3,000億ドン未満の条件付き投資分野リストに該当する外国投資プロジェクトに対する審査内容は、それぞれ分野の条件の適合性について検討される。3,000億ドン以上の案件であれば、上記(1)の要素が検討される。(以下、続く)

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2007年10月29日 (月)

ホーチミン市『投資ガイドブック』から(5):間接投資と外国人の所有制限

 ホーチミン市『投資ガイドブック』によれば、間接投資について次のように説明されている。

 外国人投資家は、ベトナムにおいて下記の形態のような間接投資に参加できる。
• 株式・証券・債権・その他の有価証券の購入
• 証券投資ファンドに出資
• その他の間接金融制度を通しての投資

 株式・証券・債権・その他の有価証券の購買手続き、投資家が経営に直接参加しない投資、経済組織の経営は、証券法および関連法の規定に従って実施される。

 共通投資法において、外国投資家は株式を買ってベトナムの会社に出資することができる。ただし、外国投資家の所有制限は下記で示される。
(1)所有比率・投資方式・市場接近目的に対応したベトナムの国際協定
(2)ベトナムが締結した国際協定の条項に基づいて実施するという条件の条件付投資分野の規定(例:WTO加盟に伴うベトナムの協定)

 一般に、現在の外国投資家の株式所有は、その会社がベトナム証券市場に上場しているか、どのような経営分野で活動するか、また何%の所有比率かによって制限される。現在、上場会社の外国投資家の所有比率は49%、未上場会社の外国投資家の所有比率は30%となっている。

 特にWTO加盟に伴うベトナムの協定において、ベトナム企業の例えば未上場株式を外国投資家は次の比率で購入できる。

2007年1月11日から2008年1月11日までは、規定によれば法定資本金の最大30%であり、もしそれ以上になれば、ベトナム政府あるいは権限機関からの他の承認規定が求められる。

2008年1月11日から2008年12月31日までは、法定資本金の最大99%以下になる。

 次の分野における株式投資は、2009年1月1日から原則として制限されない。
(A)商業銀行株式の購入
(B)協定一覧表に記載していない分野 (以下、続く)

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2007年10月28日 (日)

日本経営学会関西部会が立命館大学で開催:久々に知的な刺激を受けた!

 10月27日(土)午後に「日本経営学会関西部会第522回例会」が、立命館大学びわこくさつキャンパス(BKC)で開催された。

 私は、井口知栄・立命館大学准教授が報告された「多国籍企業子会社の役割変化:マレーシアとシンガポールの事例を中心にして」のコメンテーターを務めた。

 「多国籍企業論」というよりも、私は「国際ビジネス」それ自体に関心がある。通常は、今回のようなテーマは専門外でお断りするのだが、神戸大学の大先輩である田中先生(主催校・立命館大学経営学部長)からの依頼となれば、ほとんどのことを引き受けざるをえない。

 井口先生とは当日に初対面であり、報告前に簡単な打ち合わせを行った。事前に送っていただいた論文を読ませていただいて、その文献の渉猟とサーベイの力量には関心していた。事実、お目にかかって、その能力と明解な論理力に改めて驚嘆した。

071027_18050001  先生は、ロンドン大学を卒業されて、レディング大学で博士号を取得。すでに国際学会で何度も報告されている。おそらく将来、日本を代表する国際派の経営学者として、さらに大活躍されるであろう。報告を聞かせていただいて、そのように実感した。

 ご報告の要旨は、次のようなものである。多国籍企業の海外子会社は、当初は本社に依存して、次に進出国の「能力を活用する」ことから始めるが、その後は自立性が増大し、進出国で独自に「能力を創造する」ように変換していく。

 この「能力」について、研究開発(R&D)の水準に焦点を当てて調査する。その区分は、(1)基礎研究に関する研究開発(2)製品開発に関する研究開発(3)生産技術に関する研究開発となる。

 本国では通常、中央研究所が設置され(1)が行われる。進出国では、技術移転を伴う(3)から始まり、それが(2)に移行していく。この(2)の段階になれば、それは能力活用型から能力創造型の子会社に変化していることを意味する。

 このような変化は、先行研究によれば、子会社の立地がカナダやアイルランドのような先進国で発見されている。井口先生の実態調査によれば、その変化・移行が、マレーシアやシンガポールの電機電子産業でも見られる。

 井口先生は、このような研究を通して、多国籍企業が進出国の技術発展に及ぼす影響を明らかにされようとしている。私の関心で言えば、ベトナム進出企業の研究開発について、マレーシアと同様の移行がありうるのかという問題がある。たとえばホーチミン市のJUKIでは、製品開発の研究開発にまで進化しているように思われる。同社の佐藤前社長は、「ホーチミン工科大学の優秀な人材を最大限に活用したい」と言われていた。

 井口先生によれば、マレーシアで最優秀の人材は、より高い報酬を提示する欧米企業に就職するそうである。他方、日系企業は、現地での人材不足を補足するために日本人技術者を日本から派遣しなければならないそうである。欧米企業は、日系企業よりも人材面での現地化が進んでいる。この指摘は、私の学生時代から続く日本企業の課題である。

 現地で最優秀の人材を採用するための追加的な報酬の方が、日本人を派遣する費用よりも経費は低いと考えられる。それにもかかわらず、日本人技術者に日本企業が依存する理由は何であろうか。日本企業が、外国人技術者を全面的に信頼していないからであろうか。そうであるなら、日本企業は「グローバル企業」として将来も発展していけるのであろうか。いろいろ考えさせられる問題である。

 以上のほか、コメンテーターの仕事を通して、知的な刺激を大いに頂戴した。この機会を提供していただいた田中先生、そして立派な報告をされた井口先生に感謝を申し上げたい。最後に、やはり学会には、時間が許す限り、出席しなければならないというのが率直な私の感想である。 

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2007年10月27日 (土)

ロータス投資運用会社提供「ベトナム経済ニュース(15)」:上場株式と未上場株式

 以下は、ハノイのロータス証券投資ファンド運用管理会社のザンタインIR担当責任者からの報告である。

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 昨日、投資会社の日本人社長がロータス社を訪問しました。会議は主に定期報告書の内容や証券市場の動態また投資方針についてでした。

 その話し合いの中で一番気になるところは、やはり上場株式と未上場株式に関する日本人投資家の認識です。日本ではベトナム証券市場に関する情報が少なく、上場株よりも未上場株の方が安価で、上場してから株価は上昇する可能性が高く、魅力的だと考える投資家が多いようです。

 ただし実際は、未上場株の情報の透明性や信頼性が上場株よりも劣り、株価も上場株より安くないのです。その典型的な例ですが、昨年販売されたある銀行の未上場株は今年になって株価が半分に下落してしまいました。他方、上場株の中でも1年も経過しない内に3~4倍も株価が上昇した実例があります。

 株式投資は、リスクの高い投資分野だと言われています。上場株・未上場株を問わず、広い視野で見て、投資対象を選択するべきであるということが弊社・タイ社長からの助言です。
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 コメント: 「未上場株を買って必ず儲かる」という日本人の思い込みがあるが、通常は大きなリスクが伴う。「上場しないリスク」である。もともと未上場株は、より大きなリスクがある。したがって上場時の大きな利益も期待できる。ハイリスク=ハイリターンである。

 これに対してベトナムの未上場株は、株式市場の黎明期における政府の上場促進政策が後押しして「上場しないリスク」は小さい。したがって通常の結論は、ローリスク=ローリターンである。それをローリスク=ハイリターンと思い込むところに誤解が生じる。

 現在、ローリスク=ハイリターンが期待できる株式投資の方法は、「戦略的パートナー」として株式会社化する準備段階で株式を取得することである。この時に取得した株式は、その後にIPOの入札を経て、未上場株としてOTC市場で売買された後に上場することになる。

 このように最も魅力的な戦略的パートナーは、企業からは安定株主として期待されているから、少なくとも3年~5年の保有が必要である。また、最低でも数百万ドルの資金が用意できなければならない。そして最大の要件は、情報力と信頼性である。こうした条件をベトナムで備えているのは、現在のところ金融機関や投資ファンド会社しかない。

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2007年10月26日 (金)

ホーチミン市『投資ガイドブック』から(4):直接投資の形態

 ホーチミン市の『投資ガイドブック』によれば、直接投資において、投資家は自社の経営戦略と投資分野に合わせた投資形態を柔軟に選択することができる。

自営企業は、一個人が登録して、自分が企業の所有者になって、法律上、自分の財産で企業活動に責任を持つという企業である。民間企業では証券発行が許可されない。個々人は一つの民間企業しか設立できない。

合名会社は、最低2人の出資者が会社の所有者で、一緒に一つの会社名の下で経営される。上記の2人の出資者以外には、他の出資者も参加できる。出資者は個人で、会社に関する義務について自分の財産で責任を持つ。合名会社では証券発行が許可される。出資者は会社に出資金額の範囲の金額しか責任を持たない。出資者は自分の出資金額相当の債務の責任を負う。

個人の有限会社は、一つの組織または一個人が会社の所有者になる。会社の所有者は会社の債務と会社の法定資金の限りにおいて、他の財産債務に関する責任を負う。個人の有限会社では証券発行が許可されない。

二人以上有限会社は、組織または個人の出資者数が50人以上は許可されない。出資者は会社の負債と会社の出資金契約の限りにおいて、他の財産債務に関する責任を負う。出資者の出資金はお互いに譲渡することができる。有限会社では証券発行が許可されない。

株式会社では、その企業における法定資金が同等に幾つかの部分に分割される。これが株式である。株主は個人・組織であり、その最少数は3名、最大数に無制限である。株主は企業に出資金の限りにおいて、債務と他の財産債務に関する責任を負う。株主は自由にお互いに株式を譲渡することができる。株式会社では資金募集のために証券発行ができる。

外国投資家は、100%外国系企業を自分で設立できる(法律規定によって禁止分野以外)。あるいは、外国投資家は有限会社・合併会社・株式会社を設立するために、ベトナムまたは外国のパートナーと提携できる(“BCC”)。外国投資家は、ベトナムにおいて新たに法人を設立することなく、生産提携あるいは利益分割、または製品および他の方式の経営提携をするために、国内パートナーと経営提携契約書を締結することができる。

外国投資家は、建設・譲渡・運営の契約書(“BOT”)、建設・運営・譲渡の契約書(“BTO”)、建設・運営の契約書(”BT”)を国営機関と締結できる。その結果、その国営機関は新たな案件を設定・拡大・近代化し、または交通・経営・発電・水道供給・廃棄物処理・干ばつおよび首相承認分野案件を法的に実施できる。(以下、続く)

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2007年10月25日 (木)

ホーチミン市『投資ガイドブック』から(3):ホーチミン市長が来阪

 本日、10月25日(木)午前11時から大阪国際会議場(グランキューブ大阪)において、大阪府とホーチミン市の間で友好都市提携の調印式が開催された。

 大阪府の太田房江知事に対して、ホーチミン市からはレ=ホワン=クワン市長、そして在大阪ベトナム総領事館から新任のレー=トゥク=リュウ総領事が出席した。

Img_1343  写真は、25日の夜に行われた懇談会(リーガロイヤルホテル)の様子である。右は、ベトナム代表団の副団長であるベトナム外務省ホーチミン支所代表のレ=コック=フン氏。左は、日越経済交流センター理事長代行の織田事務局長である。

 今回のホーチミン市長(=人民委員会委員長)の来阪は、大阪府・京都府・兵庫県・大阪市・堺市・大阪商工会議所・関西経済連合会・関西経済同友会・大阪国際交流財団・日本経済新聞社が主催する「アジア主要都市サミット」(10月26日)に参加することが目的である。

 このような都市間の友好関係が発展するためには、より具体的な民間レベルの交流がその後に続かなければならない。今まで以上に、ベトナムに関する情報の広い発信と普及が望まれる。

 このような意味で、現在連載中のホーチミン市が発行する『投資ガイドブック』は、ベトナム法制度の基礎的な情報を提供している。そこでは、ベトナムの投資形態は次のように説明されている。

 共通投資法によれば、投資形態は直接投資と間接投資に区分される。直接投資は、投資家が出資し、投資対象の活動の管理に参加する形態である。間接投資は、(A)株式・証券・債券とほかの有価証券を購入すること、(B)証券ファンド投資、(C)その他の間接金融制度を通して投資する形態である。

 直接投資と間接投資の概要は、次回に紹介する。(以下、続く。)

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2007年10月24日 (水)

大阪府中小企業家同友会「オンリーワン研究会」の開催

 10月23日に表題の研究会が開催され、私は「乗り遅れるなベトナムビジネスがいま熱い:ベトナム市場は中小企業の新大陸だ――魅力と留意点――」というテーマで講演した。参考文献は次の図書である。

乗り遅れるな!ベトナムビジネスがいま熱い Book 乗り遅れるな!ベトナムビジネスがいま熱い

著者:上田 義朗,ブレインワークス
販売元:カナリア書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 同友会の皆さんは非常に熱心な受講生であって、講演していて楽しかった。笑いを取るところで笑っていただけるのは、やはり大阪だからこそである。11月には兵庫県の同友会企業を訪問し、交流と勉強会をされるそうである。私もお誘いを受けたが、なかなか時間と体力の都合がつかないのが残念である。

 「もの作りに優しい国、大阪でなければ経済は発展しない」と会員の経営者の方が言われたことが印象的であった。日本の「強み」と言われている「もの作り」をさらに強化する。このためにもアジア諸国の人々との協力が欠かせない。このような観点から、ベトナムは絶好のパートナーになりうると思う。

 この研究会では、野田技研の野田社長もベトナム進出のご経験をお話になった。「中小企業のわれわれが、ベトナムの東大や京大といわれる優秀な大卒人材を採用できる」。「ベトナム人は日本人より以上に熱心で向上心がある」。このようなご指摘が印象的であった。

 もちろんベトナムでの問題点も多数存在している。そのいくつかを指摘したが、それらは日本人が注意すれば、解消・回避できると思われる。より多くの経営者の方々にベトナムのことを知っていただきたいと思う。それがベトナムに対する私の「恩返し」でもある。

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2007年10月23日 (火)

ホーチミン市『投資ガイドブック』から(2):外国投資の禁止分野と条件付き分野

 ベトナム国会では、2005年11月に「投資法」が通過した。投資法の目的は、投資家の活動に対する統一的な法制度そしてベトナムの経済分野すべてにおいて、安定的・公平的・明示的な競争に基づいた経営と投資が行われることによって、投資を奨励することである。

 「共通投資法」は、投資家の自由な投資方法の選択に対して一般的な規則を述べている。投資禁止分野以外について投資家は、ベトナムのすべての経済分野に参加できる。条件付投資分野の場合は、一定条件に基づいて投資できる。

投資禁止分野
• 国防・国家安全・公益に影響と損害を与える投資事業。
• ベトナムの歴史文化遺産及び習慣・伝統を損ねる投資事業。
• 国民の健康、ベトナムの生態環境を損ねる投資事業。
• 有害廃棄物処理に関わる事業:海外からベトナムへ有毒廃棄物を持ち込む事業、国際条約において禁じられている有毒化学物質もしくは毒剤の使用または製造。
 (注) 禁止投資分野リストの詳細は「添付資料1」をご覧ください。

条件付投資分野
 外国人投資家は、ベトナムの法律によって定められた条件付投資分野に投資すれば、その条件を厳守しなければならない。そして、それはベトナムが成員となるために締結した国際条約によって規定されている(例:WTO加盟に当たってのベトナムの約束)。

 下記は外国投資に適用される条件付投資分野の一覧である。
• 放送・テレビ放映。
• 文化的作品の製作・出版および配給。
• 鉱物の探査および開発。
• 長距離通信および情報伝達網の設置、長距離通信およびインターネットサービス。
• 公共郵便網の設立、郵便および急送便サービスの提供。.
• 河川港・海港・空港の建設および運営。
• 鉄道・空路・道路・経路・内陸水路での貨物および乗客の輸送。
• 漁獲。
• たばこ製造。
• 不動産事業。
• 輸出入および流通分野事業。
• 教育・訓練。
• 病院・診療所。
• ベトナムが締結し成員となっている国際条約が、外国投資家に対して市場開放を制限しているその他の投資分野。

 2007年1月11日に、ベトナムはWTOの正式加盟国となった。それに伴って、条件付投資分野における外国人投資家の投資機会は拡大された。(以下、続く。)

 コメント:たとえば日本の総合商社は駐在事務所の設立しか従来は認可されていなかったが、WTO加盟に伴って三井物産の現地法人が初めて認可された。また双日も現地法人の設立を申請中である。

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2007年10月22日 (月)

ホーチミン市『投資ガイドブック』から(1):はじめに

 日越経済交流センター(http://j-veec.jp/)では、ハノイ代表のソンさん(ITIP社会長・ロータス証券投資ファンド運用管理会社会長)に加えて、ホーチミン市ではセンター代表としてタムさんに仕事をお願いしている。投資先や貿易相手の発掘・相談やホテル予約などである。

 彼女から、ホーチミン市の「投資貿易促進センター(ITPC)」が発行する『投資ガイドブック』(2007年)が届いた。以下では、何回かに分けて、その内容を紹介する。もちろん投資法や企業法の全訳などは原文を参照すればよいのだが、このガイドブックは要点を簡潔に明示するという点で便利である。最初は、同書に掲載されたITPCからの挨拶(はじめに)の部分を紹介する。

 世界とアジア各国における競争激化の中、ベトナムはアジア地域における最良の投資の要所です。

 ホーチミン市はベトナムの経済・文化・技術・科学の中心としてベトナムで最多の外国投資を誘致してきました。潜在力をもった経済を背景に政府はインフラ整備・情報公開に取り組んでおり、ホーチミン市は現在、ベトナムにおける外国投資の30%を占め、駐在員事務所が2,500(56カ国)集まっています。

 現在、ホーチミン市における日本のNidec社は、5億ドルから10億ドルに投資金額を拡大すると発表し、米国のインテル社は、投資金額10億ドルのプロジェクト実施のライセンスをホーチミン市から取得しました。

 われわれITICは、最新で有用な情報を提供することを責務のひとつとしています。つまり、外国投資家に対して必要な規則と法律の情報、ホーチミン市の投資機会の優遇策、投資時における各機関の情報を提供いたします。それでは、投資ガイダンス『ベトナム・ホーチミン市における投資と経営』をご覧下さい。

 われわれは、ホーチミン市の投資機会と経営プロジェクトを本投資ガイダンスの中で案内することによって、投資家と外国経営者を支援することを望んでおります。われわれの支援のための詳細な情報について、ご連絡をお待ちしております。皆さまと一緒に仕事ができますことを楽しみに致しております。(以下、続く。)

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2007年10月21日 (日)

議論に必ず勝つ方法は何か?

 私の大学生時代に、経営学者の故・古林喜楽神戸大学学長が「議論に必ず勝つ方法は何か? それは相手の言うことを聞かないこと」と喝破されたことを聞いた。もう20年以上も前である。

 この指摘は半分冗談と気に留めていなかったが、それ自体は印象深く記憶に残っていた。最近になって、この意味が理解できるようになったような気がする。つまり「議論の基礎になる考え方」(注:これを「パラダイム」と呼ぶ)の相違や共通点のことを故・古林先生は述べられたのだ。

 会議などで議論が混乱することがある。これはパラダイムの違う意見を持ち出すからだ。たとえば、まとまりかけた結論に対して、悪く言えば「イチャモン」をつける人がいるが、それはパラダイムの違う意見を突然に持ち出しているからだ。こういう意見に論理性と説得性があれば、それは参考意見とか付帯決議とするべきである。ただし従来は、多数決で無視されるのが通常である。

 パラダイムの違う対立する意見は、いくら議論しても一致しない。議論が平行線というのは、そもそもパラダイムが違うのだ。他方、パラダイムが相違しても部分的に意見が一致することもある。それは、現実的な問題についての具体的な対応の場合である。換言すれば、パラダイムが異なっても、結論に選択の余地が少ない問題の場合である。

 もちろん同じパラダイムの中では一貫した論理性が必要である。そうでなければ、議論それ自体が成立しない。非論理的な意見について批判は当然ありうるが、パラダイムが違っても論理性をもった意見は、傾聴されるべきであると思う。なぜならパラダイムが永久に不変ということはありえないからだ。パラダイムのシフトは、国家・社会・企業を問わずに発生するものである。

 相手の立場を考えて議論するとは、相手のパラダイムの土俵に上ることである。しかし、そうしたからと言って、自分のパラダイムを代える必要はない。こういった「大人の議論」が最近になって遅まきながら理解できるようになってきた。これも私が提唱する「実学」の効用である。

 冒頭の古林先生の指摘は、次のように変更できる。「議論に必ず勝つ方法は何か? それは相手のパラダイムを見抜くことである」。これができれば、そのパラダイムの限界も見えてくる。そうなれば、より包括的な見解を発表できる。これで議論は勝利だ。相手のパラダイムに安易に引きずり込まれてはダメだ。相手のパラダイムの限界を突く!

 国会での与野党の論争、国際問題として北朝鮮との交渉、対米交渉、そしてビジネス交渉などについて、以上の観点から再検討できるのではないか。

 

 

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2007年10月20日 (土)

ベトナムが国連・非常任理事国に選出される

ベトナムは、第62回国連総会で安全保障理事会の非常任理事国に選出された(10月16日)。任期は、来年1月から2年間。今年1月のWTO(世界貿易機関)加盟に加えて、ベトナムの国際的な地位は格段に上昇した。

この選出についてズン首相は「この重責を担っていくため、国連憲章の目的と原則、国際法を徹底して履行する。-----世界の紛争の防止・平和解決・緊張緩和のために各国とともに努力していく」と表明している。

さらにベトナム有力紙は「ベトナム国民が全地球的問題に責任を高める好機である。長年の戦争を経験した国として、ベトナムは戦争と不安定が生み出す痛みと損失をはっきり理解している」と論評している。

日本は平和憲法を堅持する国として国際貢献を模索してきたが、ベトナムも「長年の戦争を経験した国」として国際社会での役割を果たすことになった。

政治的・経済的に連携を深める両国にとって、国連を舞台にした新たな関係の構築が本来は望まれる。戦争の惨禍を深刻に体験した日本とベトナムは、国際平和に対する強い発言力を共通してもっているはずである。こういった日本とベトナムの積極的な役割を私は期待したい。

さらにベトナムの経済改革の後退が許されず、より政治的な安定が保証される国際環境が整備されたとみなされる。いよいよベトナムの時代の到来である。

1994年8月、ダイエー社長・流通科学大学理事長であった中内功がベトナムを訪問して10年以上の歳月が経過した。当時の中内功はベトナムを「夜明け前の国」と表現した。日本については「午後3時の国」とも言った。その中内功が存命であれば、現在のベトナムを、そして日本を何と評価するであろうか?

私見では、ベトナムは「午前10時」にはなっている。これから日の当たる時間がしばらく続くことは間違いない。ベトナムの時代が到来。感慨深い。

なお付言すれば、北朝鮮のベトナムに対する接近は、ベトナムが非常任理事国になったことと無関係ではないと思われる。国連の安全保障理事会にベトナムを通して北朝鮮は一定の影響を行使したいと考えて当然である。今後、ベトナムの全方位外交・自主外交の真価が問われる局面が、好むと好まざるにかかわらず、来る場合があるかもしれない。

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2007年10月19日 (金)

ベトナム共産党書記長が北朝鮮を訪問

 ベトナムのノン=ドック=マイン共産党書記長が北朝鮮を10月16日~18日まで公式訪問し、金正日・労働党総書記から歓迎を受けた。各紙報道によれば、経済協力について話し合われる予定と言われている。

 1992年に韓国とベトナムは国交正常化し、2004年に中国を経由してベトナムに滞在していた脱北者をベトナムは韓国に移送した。これらに北朝鮮は反発して、両国間の関係は冷却していた。今回のマイン書記長の訪朝は、北朝鮮からの招聘である。北朝鮮の意図は何か?

 ベトナムはドイモイ政策を採択した1986年以来、国際社会の仲間入りを目指し、全方位外交を展開してきた。その結果として、南北分断の韓国と北朝鮮の双方との国交を維持してきた。また中国に配慮しながらも、台湾との経済関係は深化してきた。さらにロシアに対する郷愁にも似た友好関係を維持しながらも、敵対した米国との経済関係が進展し、現在は対米輸出が総輸出額の首位になっている。

 このようなベトナムをどう見るか? 簡単に言えば、これがベトナムの全方位外交の現時点までの成果である。特定の同盟国や友好国をもたず、それぞれの国と互恵的な立場での外交を推進する。いわゆる自主外交である。ベトナムは未だ発展途上国であるから、このような立場が自国の発展にとって最も有効であると考えられる。より卑近に言えば、このような立場であるからこそ、多数の国々からの経済支援が実現できる。

 さらに言えば、ベトナムの長い戦争の歴史は、平和と政治的安定が経済成長の基盤であることを実感的にベトナム人に教えている。現在、ベトナムは経済成長を最優先課題としてるが、それが可能な大前提は平和維持である。ほとんどのベトナム人に聞けば、「ベトナムは戦争をしていたから、現在の経済は遅れている」と理解している。平和の重要性をベトナムは、どの国よりも認識している。事実、1950年代のベトナムはタイやシンガポールと経済的に大差なかった。

 ベトナムの全方位外交は、経済援助ほしさの八方美人と揶揄することも可能かもしれないが、それは皮相的な見解であろう。上記のような「戦争の歴史」からの深い認識があることを指摘しておきたい。

 ベトナムの直接投資や貿易の実態を見れば、米国・日本・韓国・中国との関係が緊密である。これらの国とベトナムの関係が強化されるほど、これらの国に対して北朝鮮は、ベトナムとの関係を改善・発展させることで間接的な影響力を行使できる。ベトナムを舞台にして、これらの国に北朝鮮は自由に接近することができる。北朝鮮にとって、ベトナムは無視できない存在になってきたと考えることができる。

 ベトナムにとって北朝鮮との関係強化は、北朝鮮との懸案事項を抱える日本・韓国・米国等に対して一定の影響力をもつことができる。ベトナムと北朝鮮の関係強化は、ベトナムが強力な外交カードの国になるつつある兆候とみなすことができる。

 

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2007年10月18日 (木)

ベトナム全方位外交の成果:北朝鮮と非常任理事国

 ベトナム共産党のノンドックマイン書記長が北朝鮮を訪問し、金正日から大歓迎を受けた。他方、国連ではベトナムが非常任理事国に選出された。これらのことは、今年1月のWTO加盟に加えてベトナム外交の現在までの到達点を示している。

 以下では、これについてコメントする。でも、ちょっと待って。別の原稿を執筆中。

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2007年10月17日 (水)

タックスヘイブンについて(3):その10の特徴

 タックスヘイブンについて唯一の客観的な定義は存在しないと指摘されている(p.24)。しかし「現在およそ80あるとされているタックスヘイブンの国と地域に見合った10の指標を掲げておきたい」(pp.24~27)。

 (1)非居住者に対してだけ、わずかな課税か、無税。
 (2)銀行の秘密保持が強化されている。
 (3)職業上の守秘義務の範囲が広い。
 (4)登記手続きが、いい加減ですむ。
 (5)国際資本の移動が、全面的に自由にできる。
 (6)執行が敏速である。
 (7)大金融センターの支柱になる。
 (8)経済的・政治的に安定している。
 (9)ブランドイメージが良好である。
 (10)双方向的な合意網をもっている。

 それぞれについて説明が必要であるが、それは原著を参照していただきたい。タックスヘイブンの特徴は、ただ無税であるとか、金融自由度が大きいだけでなく、(7)の役割を果たせるような情報技術のインフラ水準が高いことが必要である。また(8)も本質的に重要であると指摘されている。政治が安定しなければ、安心して資金を預けられないのは一般に通用する理屈である。

 さらに(9)は逆説的である。あまりにも贈収賄や犯罪といったダーティなイメージが強くなると、タックスヘイブンとみなされない。それは「犯罪国家」と同じ意味になる。租税回避のための「洗練さ」が必要とされる。(10)の「双方向」とは、「一般に諸大国と協定を結んでいて、企業の子会社に二重課税しないように配慮している」ことを意味している。そのためにも、明確な「犯罪国家」ではタックスヘイブンになりえない。

 このようなタックスヘイブンを利用した具体的な事例が紹介されている(p.93)。2005年末にアメリカの税務当局は、マイクロソフトのアイルランドにある子会社が、マイクロソフトの知的所有権を所有し、その資産が160億ドルに達することを摘発した。この子会社は、アイルランドに2001年~2004年に10億ドルの税金(12.5%)を支払っている。しかし本来、こういった知的所有権はアメリカの親会社に属すると考えられる。もしそうであれば、アメリカでは35%の課税がなされていたのである。

 いわゆる多国籍企業の上記のような節税手法は、日本企業でも多々ありうると考えられる。国税当局からの指摘に対して、「国税当局と見解が相違している。税理士に任せている」と企業が答えるのが一般的である。

 企業の社会的責任(CSR)という場合、その最大の要素は「黒字を出して納税する」ということであろう。これが、あらゆるステークホルダー(利害関係者)に対して満足をもたらすことでもある。この意味で、タックスヘイブンにおける日本企業の実態がさらに解明・精査されてもよい。それが、日本企業が積極的にCSRを果たすための前提であるとも考えられる。

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2007年10月16日 (火)

タックスヘイブンについて(2):どういう国と地域なのか?

 クリスチアン・シャヴァニュー&ロナン・バラン著・杉村昌昭訳『タックスヘイブン』作品社、2007年5月10日を参照しながら、以下では、どういう国や地域が相当するかを指摘する。この原著はフランス語であり、翻訳者は龍谷大学教授である。

 「タックスヘイブン利用者のためのリストの一例」(p.28)によれば、次の7つの区分によって国や地域が分類されている。(1)第一級の推奨地、(2)第二級の推奨地、(3)利用価値あり、(4)場合によっては避けた方がよい所、(5)多くの場合避けた方がよい所、(6)絶対に避けるべき所、(7)将来有望な所。

 上記の(1)に含まれる1人当たり国民所得の日本より大きな国は、バーミューダ(イギリス)、リヒテンシュタイン、ヴォー州(スイス)、アイルランド、香港である。この表には含まれていないが、ルクセンブルクチャネル諸島も該当するとみなされる。また興味深いのは(6)の国にカンボジアとモンテネグロが含まれていることである。

 カンボジアは発展途上国であるが、私の訪問時の調査によれば、金融制度はベトナムなどに比較して自由である。しかしタックスヘイブンという観点から見れば、たとえば守秘義務を果たすことができないという大きな欠陥があるのかもしれない。ここで「タックスヘイブン」の定義を明確にしなければならない。

 同書によれば、タックスヘイブン(TAX HAVEN:租税回避地)は、次のように定義されている(pp.22~23)。

 「国際協力開発機構(OECD)の指標によると、タックスヘイブンとは、資本収入に対して税金を課さないか、ほとんど課さない権限をもち、加えて次の特徴のうちの一つをそなえている場所である。
 (1)透明性が欠如している。
 (2)外国の政府に対して情報を提供することを拒否する。
 (3)架空の企業をつくれる可能性をもっている。
この三点である。」

 OECDの「「金融活動作業部会」(FATF)にとっては、タックスヘイブンとは、金融に関する規制が欠如した――つまり、マネーロンダリング(資本洗浄)を予防・探知・抑止するという国際的な行政協力の機能が働かない――「非協力的な国や地域」のことである」。

 次に、その特徴について10項目を指摘しておこう(pp.24~27)。(以下、次回に続く)。

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2007年10月15日 (月)

ベトナムにおける紛争解決

 交通渋滞の話題を先週に紹介したが、そこでタクシーの運転手とのトラブルについても言及された。以前に私もタクシー運転手とは何度か口論したことがある。

 最も派手だったのは1999年のベトナム留学中のホーチミン市であった。私は名刺を見せて、ベンタイン市場に行くように言ったのだが、タクシーは中華街にあるベンタン市場に向かった。どうも周囲の様子がおかしいので「どうなっている」と口論になった。

 もちろん私のベトナム語の発音が悪いのだが、私の言い分は「ちゃんと名刺を見せた」というものだ。運転手は「お前はベンタン市場と言った」と反論した。たまたま私は「元気」であったので口論になったのであって、いつも私が運転手に文句を言っているわけではない。怒る元気のない時は「何でもいいよ」という気分になる。

 こういう口論では自動車を止めて、料金を払う払わないという議論になる。周辺のベトナム人に来てもらって、どちらの言い分が正しいかを聞いてもらうのが一般的だ。交通事故の場合でも野次馬が集まっていることがあるが、それらの人々は目撃者であって、どちらの方が悪いとか悪くないとか双方の言い分を聞いてくれる。

 この口論でも、私は「皆さん。俺は名刺を見せたんだ」と周辺のベトナム人に大声でわめいた。当時は、今と違って元気があった。結局、メーター通りの料金を払って、その後に「ベンタイン市場に行って」と言ったが、その運転手には乗車拒否された。

 ベトナム人は、何かトラブルや問題があった場合に、関係者の意見を聞くという習慣があるように思う。たとえば政府の政策が発表された後であっても、その法律によって不利益を受けたり、不都合・不合理な部分があれば、政府当局に抗議・異議を申し立てることができる。そういう受付の機関も設置されている。これは実質的に機能している。

 このような政策施行の過程は、国家証券委員会も同様であり、その法律や規制によって証券会社や証券運用会社に不利益があれば、個別に異議や要望を申し立てることができる。それに国会証券委員会も真摯に対応している。このような民主的な議論の風土がベトナムには存在している。

 これが、ベトナム共産党の一党独裁の体制が継続する理由のひとつである。抑圧・強権的な手法は、政権党である共産党の自殺行為になる。そのことを党も理解し、国民も認識していると考えられる。

 

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2007年10月14日 (日)

タックスヘイブンについて(1):1人当たり国民所得の観点から

 先日、世界銀行の統計によれば、1人当たり国民所得が日本は、2006年に世界第19位であり、購買力平価では世界第24位であることを指摘した。これが、日本の経済力の低下を示すのかどうか? また、日本の人口減少が続けば、この順位は上昇するのであろうか? こういった問題提起ができる。

 それに加えて、日本よりも上位の国について検討する必要がある。それらの国々の多くは、「タックスヘイブン」と呼ばれる国や地域である。つまり「租税回避」のためにグローバル企業や富裕層が、こういった国や地域に所得を移転しているために、それらの国や地域の所得が上昇しているのである。

 これは、金融のグローバル化が進展したと指摘できるが、そういった「キレイごと」ではなく各国の経済政策・租税制度の有効性が疑問視される事態を招いている。いわば合法的な「脱税」が世界的に拡大している。さらにタックスヘイブンの国や地域は、犯罪に関係する資金の「マネーロンダリング」の温床とも言われている。

 日本を取り巻く情勢を考えてみれば、「東アジア共同体」やAFTAなどアジアでも経済統合の動きは進展しており、さらに二国間協定としてFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)の締結が進行中である。たとえばベトナムとも年内にEPA締結が目標とされている。

 しかし、より大きな視野で見ると、こういった「タックスヘイブン」の問題を世界的に検討するべき時期に来ているように思われる。これは、いわゆる外国投資ファンドの実態を解明することにもなる。その議論・規制の主体が、国際金融機関(IMF:国際通貨基金、BIS:国際決済銀行)か国連かはさておき、こういった問題について本格的な議論がなされてもよい。

 以下、少し連載して検討してみようと思う。

 

 

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2007年10月13日 (土)

吉田寛先生、大いに語る

 土曜日の午後、三宮の(財)ひょうご産業活性化センター会議室において、吉田寛先生の講演会があった。久しぶりに吉田先生のお元気な張りのあるお声に感心した。

 吉田寛先生は、兵庫県立神戸商科大学名誉教授であり、その後に流通科学大学情報学部長、同名誉教授を歴任されている。兵庫県の公安委員会委員の仕事もされていた。その功績によって、この春に叙勲された。

 個人的には私が情報学部の助教授であった時に、いろいろお世話になった。吉田先生は国際会計学がご専門であるが、けっして「専門バカ」ではなく、幅広い見識をおもちである。また、数年前にはペンネームで「小説」を刊行されている。

 吉田先生は、これからは「プロ=専門家の時代」であると強調された。各自が高い専門性をもたなければ、今後の日本の発展は難しいというお話であった。これに私も賛成である。専門性をもつということは、一般には資格をとったり、MBAなどの学位を取得すると考えられるが、必ずしもそれだけではないと思う。

 たとえばマーケティングのプロという人物はいるが、そういった人物が資格をもっているわけではない。しかし実績と自信がある。新商品の開発や販売戦略に成功した。そういった自負をもてれば、それはプロとみなされるであろう。

 それでは「プロ」の条件は何か? それぞれの職業や職場によって異なるであろう。「プロ」とは何か? たとえば大学教授であれば、私見であるが、毎年に1本は論文を発表し、さらに専門分野で研究会を主催できる。こういう研究実績があれば、自然に教育は可能であろう。

 もちろん多様な「プロ」の条件があってよい。各自が、それぞれの分野で「プロ」を目標にして、もしくは「プロ」であり続けるために努力することが重要であろう。吉田先生のお話から、以上のような啓発を受けた。まずますのご健康をお祈りしたい。次の研究会は12月である。ぜひ時間があれば、出席したいと考えている。

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2007年10月12日 (金)

ロータス投資運用会社提供「ベトナム経済ニュース(14)」:怒らないで!ベトナムの交通事情

 i以下では、ザンタインさんのレポートを紹介する。彼女は、ロータス証券投資ファンド運用管理会社(LotusIMC)に10月1日から勤務している。日本人向けの投資家広報(IR)担当者として期待の☆である。

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 ベトナムに来られた方はきっとベトナムの交通事情に驚いたことでしょう。バイクの川の中を泳ぐように走る自動車。2人乗りや3人乗りのバイク。信号を守らない---。

 実は、交通の混乱状態を一刻でも早く軽減することを目的にして、2003年からハノイ市内のバイク所有権の登録が一時禁止されました。しかし、この施策によって混乱状態が解決されるところか、ハノイ市の在住者は郊外在住者に2~3万円程度を支払い、バイク所有権の登録を依頼し、バイク登録を続けたのです。その結果、市内交通はより混雑な状況に陥りました。一方、この施策に対して市民からの強い反対もあったので、2005年にバイク登録禁止は実施中止になりました。

 交通渋滞を軽減するためには、まず道路の車両流量を減らさなくてはなりません。そのために従来は対面通行であった道が一方通行また車両通行禁止になる事例が増えました。

 この方法で道路の車両流量が減ってきたようですが、そのために目的地まで遠回りになることが多くなり、タクシーの乗客にとって、これはあまり望ましくないようです。

 日本人はハノイに来る場合、日航ホテルに宿泊することが非常に多いと思います。日航ホテル前の道も一方通行です。この前に会った日本人客は、タクシーで日航ホテルからオフィスまで15,000VNDしか掛からなかったのに、オフィスから日航ホテルまでは25,000VNDでした。そこで自分が運転手に欺されたと思って、かなり怒り出しました。

 一方通行はよくあることなので、あまり怒らないでください。

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 (解説) 交通渋滞の解消は、ハノイでもホーチミン市でも重要課題である。さらに排気ガスによる大気汚染も深刻な問題となっている。この根本的な解決策は公共交通の導入しかない。すでに市内循環バスは走っているが、その時刻表の信頼性は高くない。そこで軌道交通の導入として、ホーチミン市では地下鉄の建設計画が進行中である。

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2007年10月11日 (木)

福森哲也『ベトナム株投資完全マニュアル』が出版:ロータス社が紹介される

 福森哲也『ベトナム株投資完全マニュアル』(パンローリング社、2007年11月5日、1800円+税)を入手できた。著者の福森さんとは以前に東京でお目にかかり、来週16日には仙台商工会議所で開催される「ベトナム投資セミナー」で講師としてご一緒する。

ベトナム株投資完全マニュアル [本気の海外投資シリーズ6] ベトナム株投資完全マニュアル [本気の海外投資シリーズ6]

著者:福森哲也
販売元:パンローリング
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 上記の著書は、その書名の通り、ベトナム株式投資の全貌を明らかにするもので、類似書の中では最も奥深い内容をもっている。「奥深い」という印象を受ける理由は、福森さんがベトナムと長く付き合い、そのベトナムを愛しておられるからであろう。本書は、単なる金儲けのハウツー本ではなく、ベトナムそしてベトナム人が生き生きと紹介されている。それが、本書の魅力である。

 第6章、「法人投資家や10万ドル以上の大口個人投資家への朗報」という表題になっており、ロータス証券投資ファンド運用管理会社が写真入りで紹介されている。私についても過分に記述されており、恐縮である。

 福森さんの指摘によれば、「難点は日本で営業活動をしていないことです」と指摘されている。この営業活動について考えてみれば、いわば「産地直送の投資信託」と考えればよいかもしれない。販売や営業のための「中間マージン」を排除しているのだ。

 ただし、日本では9月30日から「金融商品取引法」が施行された。一般投資家に対する説明義務が強化されている。これは、投資者保護の強化が目的であり、金融商品を扱う銀行・証券会社・保険会社などを規制する法律である。

 このロータス社は、ベトナム法に基づいた外国会社である。ベトナム国内では正式の投資運用会社であるが、日本では勧誘・営業活動はできない。したがって、福森さんが指摘するように「営業活動をしていない」のではなくて、「営業活動ができない」のである。そこで日本で「投資運用業」の登録を準備中である。

 なお、外国会社と直接取引するなんて心配だ。契約書も英語だ。こういう不安を解消するために日本の投資家は「中間マージン」(証券会社など金融機関に対する手数料)を払っている。この意味で「中間マージン」は無駄な支出ではない。

 しかし、私は以前に「日本の金融制度にも流通革命が必要だ」と指摘したことがある。グローバル経済の時代、外国投資ファンドも自己責任で外国で買えばよい。他方、自分での投資が不安な人は別途に費用を支払う。いわゆる護送船団方式の金融業務から、多様な顧客のニーズに対応する多様な金融業態に変化していく時代になると私は思う。

 なお、本書は以下のブログでも紹介されている。内容は詳細であるので、ぜひ参照していただきたい。http://blogs.yahoo.co.jp/nhatanhj1/52306653.html

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2007年10月10日 (水)

ハノイの小松さんテレビ出演

「越後のBaちゃん」が日本のテレビに!

認知症という魔法にかかった「越後のBaちゃん」のベトナム生活が、本日NHK教育放送で放映されました。ベトナムが国際面や外信・経済・社会面ではなく、今流行の投資やビジネスでもない福祉関係で取り扱われるのは初めてではないかと関係者の間で注目されているそうです。

在ベトナム・ローバの介護人

        

★ 放映日 2007年10月10日 水曜日 20時~20時30分

★ 局 名 NHK 教育放送

★ タイトル 「ヒロさんと認知症とベトナムの空」

再放送は翌週の13時20分~13時50分。

以上、主演の小松さんからの放送案内でした。本日お見逃しの方は、ぜひ来週の再放送をご視聴下さい。

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2007年10月 9日 (火)

インドシナ3カ国の動向:昨日の続き

 昨日、1人当たり国民所得の国別順位を示した。世界銀行の資料である。こういう統計数値は、生活実態から乖離しているのが通常である。たとえば所得1億円の富豪が1人いて、それ以外の99人が所得1万円の低所得者とすれば、その平均値は100万円である。したがって国内の所得の格差・不均衡を示すために、ジニ係数が用いられたりするのが一般的である。

 したがって1人当たり国民所得が大きいからと言って、その国の国民が広く幸福であるかどうかは問題である。一握りの大富豪と多数の貧民が共存する場合もあるからだ。

 ここでは単純に1人当たりの国民所得の順位をインドシナ3カ国で見ることにする。為替レートと購買力平価の順位を抜粋して示せば、次のようになっている。

169

ベトナム

690

150

ベトナム

3,300

178

ラオス

500

152

カンボジア

2,929

180

カンボジア

480

172

ラオス

2,050

 ラオスとカンボジアでは為替レートでは、その金額や順位に大差ないが、購買力平価になれば、カンボジアがラオスを逆転する。カンボジアの方がラオスよりも生活しやすいと言えるようだ。確かに、カンボジアの物価が相対的に安いというのが私の実感だ。このようなドル換算方法の相違から何が指摘できるのか、少し理論的に検討が必要とされる。

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2007年10月 8日 (月)

もはや日本経済は衰退か?

 以下は、一人当たりの国民所得である。左は名目、右は購買力平価に基づいている。購買力平価に基づく国民所得は、いわゆる「為替投機」などの影響を受けないので、その国の所得水準をより実態に即して表現するとみなされる。

 以下の表を見れば、日本は上位10カ国にも含まれていない。購買力平価で見れば、アジア諸国(地域)の中で香港(中国)よりも下位に位置している。私の不勉強が理由だが、この順位は私にとってショックだった。日本は当然、上位10カ国の中に含まれていると思っていたからである。

1人当たり国民所得:為替レート(左)と購買力平価(右)
 

順位

国名

USドル

順位

国名

国際ドル

1

ルクセンブルグ

76,040

1

ルクセンブルグ

59,560

2

バーミューダ

             a

2

バーミューダ

      a

3

ノルウェー

66,530

3

リヒテンシュタイン

      a

4

リヒテンシュタイン

      a

4

合州国

44,260

5

チャネル諸島

      a

5

ノルウェー

43,820

6

スイス

57,230

6

チャネル諸島

      a

7

デンマーク

51,700

7

スイス

40,930

8

アイスランド

50,530

8

香港(中国)

38,200

9

アイルランド

45,580

9

オランダ

37,580

10

合州国

44,970

10

アイスランド

36,560

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------

---

---

------

---

19

日本

38,410

24

日本

33,150

49

韓国

17,690

45

韓国

23,800

111

タイ国

2,990

87

タイ国

9,140

129

中国

2,010

102

中国

7,740

161

インド

820

146

インド

3,800

169

ベトナム

690

150

ベトナム

3,300

178

ラオス

500

152

カンボジア

2,929

180

カンボジア

480

172

ラオス

2,050

世界平均

7,439

世界平均

10,218

(注)a 2006年のデータは利用不可。順位は推定。

(出所)World Development Indicators database, World Bank, 14 September 2007, pp.1-4.

 購買力平価で日本の順位が下がる理由は、日本の物価高を反映している。日本とベトナムを比較すれば、通常の為替レートで約50倍の所得格差であるが、購買力平価では約10倍。実際の感覚に合致している。

 世界そしてアジアにおける日本の「経済大国」としての地位は、次第に下落している。もちろん、この数値は1人当たりであるから、経済規模それ自体を示していないが、この数値が国民生活の実態を示すとも言える。従来と今後の日本経済を本気で考えなければならない順位であると思う。

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2007年10月 7日 (日)

愛読書を再紹介:とみ新蔵『柳生連也武芸帖』リイド社

 以前に紹介したが、表題の『柳生連也武芸帖』は、何度も読み返すに値する私の愛読書である。以下では、その中の一部を紹介する。これはビジネスにも通じる。

 「共に必殺の剣気を放射しつつも、心の裡(うち)は水面に映った月のように実体なく虚影。共に新陰流「水月」の剣境」(第5巻、p.97)。

 この描写は、徳川家光の御前試合において、尾張の本家柳生流の柳生連也と江戸の柳生新陰流の柳生宗冬が対決する場面である。双方は必殺の激しい闘志を秘めながらも、表面上は平静を維持する。これは、大きな商談に向かう時の心境に共通するのではないか。

柳生連也武芸帖 1 (1) (SPコミックス) Book 柳生連也武芸帖 1 (1) (SPコミックス)

著者:とみ 新蔵
販売元:リイド社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 これからのビジネス人は、かつて指摘されたような組織の中の一兵卒である企業戦士としてではなく、ひとりの剣士としての生き方を探求することが必要であろう。企業=組織に依存して生きていけない時代に変化したからである。自分の人生が政府や会社に依存する時代ではなく、自分で責任をもつ時代となった。つまり自分の生き方を自分で律することが求められている。

 そうであるとすれば、各人は何を基準にして、何をより所にして自己を規制すればよいのであろうか。ビジネス活動で生死をかけることはないが、取引相手や商談相手を傷つけたり、期待を裏切ったりするのが日常である。WINーWINの「落とし所」の商談は最善であるが、その実現は簡単でない。ビジネスで生きていく上で、何らかの加害者に自分がなることは避けられない。

 その場合、加害者としての責任や自己嫌悪との向き合い方を考えなければならない。たとえば「リストラ」を宣告して従業員を解雇する。人事担当者は個人的に辛い仕事だ。先輩・同僚の「クビ」を切るのだから。通常は、会社の指示に従っていると自己を納得させて、自己を防衛する。そうしなければ、「リストラ」を命じる当人は精神的に変調を来すのではないか。

 それでは、それを指示した経営者の責任はどうなるのか。これも責任を感じる人は少ないであろう。企業防衛のために不可欠だと自己を納得させる。こうして従業員は当然のように「無慈悲」にも解雇される。しかし、そういった事態を招いた責任や加害者意識を感じる経営者がいても不思議ではない。また、それが人間として当然ではないか。経営者として当然でも、人間として当然でないことは存在する。

 多くの人々の殺戮を余儀なくされ、さらに剣の道を究めようとした柳生連也の心境は、以上で述べた競争社会に生きるビジネス人の生き様にも共通している。殺戮を好まないにもかかわらず、そうせざるをえない。剣士の宿命だ。このような状況が改善されるためには、平和の時代の到来を待たなければならない。ビジネスの世界にも同様に平和が訪れるためには、やはり資本主義社会の矛盾が解消されなければならないであろう。その日までは、強い意志をもった自律した武士・剣客として生きる。これが、今後のビジネス人の生き方ではないか。

 柳生連也が現代に生きていれば、極めて優秀なビジネス人であると同時に、情け無用の殺戮を繰り返すビジネス人にはならなかったであろう。柳生連也は剣士としての矜恃をもっていた。強いだけを至上目的にしなかった。それではビジネス人としての矜恃は何か。これは即答の難しい問題だ。

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2007年10月 6日 (土)

昼食の時間がない:新企画「親子で行くベトナム・スタディツアー」の提案

 今日は「AO入学試験」の試験があった。それに「修学指導日」が重なった。高校生を相手に試験面接しながら、その間の昼休みに大学生の父母と面会した。なんで、こんなに忙しいねん。

 AO入試とは「アドミッション=オフィス入試」の略である。一般には次のように説明されている。出願者自身の人物像を学校側の求める学生像(アドミッション・ポリシー)と照らし合わせて合否を決める入試方法である。

 学力試験の得点で合否が決まる従来の一般入試とは異なり、志望理由書や面接などにより出願者の個性や適性に対して多面的な評価を試みる点に特色がある。引用は次を参照。http://ja.wikipedia.org/wiki/AO%E5%85%A5%E8%A9%A6

 私は、起業家事業継承者を希望する学生を面接した。通常の入試ではなく、入学後の目的と意欲の高い学生が受験する。高校生時代に将来を決めることは難しいかもしれないが、自分の将来像を大学受験時に考えておくことは有意義である。何らかの目的がなければ、その反省も修正もありえないからだ。何も決まらないままに何となく大学生活を過ごすよりも、そういった学生は先進的だ。まず大学に入学してから、いろいろな自分の可能性を追求してほしいと思う。

 学生の父母と話す機会も有意義であった。お父さんが来られたが、私と同世代か、私よりも若年の感じを受けた。すっかり私も老け込んだものだ。学生を交えてお父さんと話していて、新しいコンセプトの教育・研究イベント企画を考えた

 親子で行くベトナム・スタディー・ツアー:新しい家族のあり方を親子で考える旅」:長寿社会とアジアの時代、ベトナム旅行を通じて親子が一緒になって、ベトナムの人々から家族のあり方や活力を体感的に学習する。親子が共に元気になる研修旅行。

 お父さんには「有給休暇をとって一緒に行きましょう」と言ったものの、こういう場合、お母さんはよいとして、お父さんの時間が取れないのが問題だ。いずれにせよ、こういうコンセプトの研修旅行があってもよいし、このような新しい親子関係の時代に日本が移行してきたようにも思われる。実施目標は来年3月の春休み。今から準備をしてみよう。

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2007年10月 5日 (金)

ロータス投資運用会社提供「ベトナム経済ニュース(13)」:新卒者の採用事情

 ハノイの「ロータス証券投資ファンド運用管理会社」では、10月1日から新しいIR(投資家向け広報)担当者タインさんが働いている。タインさんは日本に7年間在住し、日本の病院で看護師として働いていた。看護師の資格のみならず、日本滞在中に日本語教師の資格も取得している。

 タインさんは、人間の傷病よりも企業経営の分析や発展に興味が変化したという理由でロータス社に求職してきた。金融証券に関する知識と経験は今後に習得してもらうとして、彼女の優れた日本語能力と誠実な人柄については私が8月に面接して確認した。以下では、彼女からのレポートを紹介する。

----------------(以下、引用)--------------------

 ベトナム進出の日本企業が投資金額でも投資件数でも年々増加している。それに伴ってベトナム人の大学卒業者の求人も増大してきた。私は、以前に勤務していた日系会社の採用担当者として何度か面接を経験した。そこでは新卒者に対する考え方が、雇用者と被雇用者の間で相違しているような気がした。
 
 まず、雇用者の立場から見ると、新卒者は若くて、仕事の経験がないと認識されている。だからこそ仕事のやり方を始め、人間関係など細部に至るまで社員教育をしなければならない。給料については経験者よりもずっと低いし、会社にとって人件費が大きく節約できる。また新卒者は「白紙」ような気持ちをもっているから、上司の指導や指示を何でも素直に聞いてくれ、職場でのトラブルが生じる可能性が低い。このように考える雇用者が多いではないかと思われる。上記の理由で新卒者の採用を好む雇用者は少なくない。

 一方、大学生は在学中また卒業直前に就職について関心が高くなり、さまざまな情報源から情報を収集する。大学生から見ると、ベトナム進出日系企業は大手企業が多く、ベトナム企業よりも高い給料を必ず出してくれると思い込んでしまう。また現在のベトナムでは日本語教育が質量ともに不足し、それが需要に追い付かない状況である。そこで新卒者は「日本語ができれば、経験がなくても良い給料がもらえる」と誤解してしまう。このような新卒者が非常に多いというのが私の実感である。
 
 それのみならず、ほとんどの大学生はアルバイトとしてガイド・秘書・通訳・翻訳など幅広い仕事を経験している。アルバイトと言っても、その仕事から得られた経験は学生にとって貴重であり、そのことが学生自身に対して実力以上の自信をもたせることになる。

 こういった新卒者も、卒業してから数年が経って経験を積むと、考え方が大きく変わってくるように思う。さらに結婚・出産の年齢になれば、そろそろ精神的に落ち着きたいと思う人が増えてくる。少しでも給与のよい会社で働きたいという新卒時のような気持ちが希薄になる。高い給料の職場よりも、長期に渡って継続して働ける安定した職場を選好するようになる。もちろん、両者の特徴を同時に備えた職場が最善である。

 つい先日、ベトナム人数人を面接した。その中の半分以上は大学新卒者だった。予想の通り、そして驚くべきことに、経験者よりも新卒者の方が高い給料を希望した

 以上は、私の個人的な経験であり、一般化できないかもしれない。ただし、そうであるとしても、雇用者と被雇用者が相互に十分に理解し合って、お互いの時間を無駄にしないようにしてもらいたい。就職についてミスマッチをなくし、それぞれの好機を見逃さないことを期待したい。

----------------(以上、引用)--------------------

 (解説) 日本企業のベトナム進出の増加に伴って、日本語ができるベトナム人の採用が活発になる。この場合、新卒者と経験者のどちらがよいのか。タインさんの見解に基づけば、新卒者は高い給与の職場、経験者は安定した職場を選好する。ただし私の経験では、同じ仕事を繰り返すような進歩のない職場には、いくら安定していると言っても経験者は不満をもつようだ。ベトナム人の向上心に応える職場でなければならない。
 以上、こういった雇用問題の実態調査は研究の価値があるように思われる。また日本のような本格的な就職情報の提供がベトナムでも必要とされていると指摘できる。

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2007年10月 4日 (木)

ベトナムにおける企業経営者の悩み?

 ベトナムにおける企業経営者は悩みが多い。社会主義を目標にする政府は、市場経済を容認しているとはいうものの、所得格差の是正や貧困の解消も重点課題としているからだ。

 たとえば、株式売買について現在は売却金額の0.1%の税金が設定されているが、その税率が導入期の格安の設定であることは明白だ。投資家や経営者の立場としては、この水準は維持してほしいと政府に要望したいが、一般の国民の立場としては富裕層を優遇していると考えてしまう。

 こういう矛盾した問題を抱えているベトナム人経営者について、われわれ外国人はどのように考えればよいのか。つまりベトナム共産党員・支持者でありながら、企業経営者であったり、株式投資家であったりするベトナム人をどのように理解し、どのように対応すればよいかという問題である。

 最悪は、ステレオタイプの区分である。白か黒(注:この場合は「赤」?)かという識別だ。そんなにベトナム人は単純ではない。たとえば国営企業の経営者(赤)であっても、市場経済を理解する人(白)は多数存在している。さらに、そういう人物は風格があったり、人間的に魅力があったりする。

 おそらく、こういった経営者は、思考方法を変換しているのだと思う。ビジネスを実践する時は、ビジネスの合理的な思考方法、社会主義や共産党の政策を考える時は、綱領や方針に従った思考方法を使い分けている。このような多面的な思索が、その人間性を深める効果をもっている。

 ベトナムにおける社会主義は、市場経済を推進することや、株式市場が発展することと矛盾していない。そうであるにもかかわらず、ビジネスに成功したベトナム人経営者に対して、「ベトナムは社会主義から資本主義に変化した」といった話をすると、その話し手の無教養や無知を示すようなものである。また逆に、ベトナム共産党の人々に対して「社会主義国で株式投資はケシカラン!」と言うことも同様に自己の無知を証明している。

 私は、ベトナムが前人未到の新しい社会主義国家を目標にしているのだと理解している。先行する中国や旧ソ連をモデルにしないベトナム型社会経済発展の道をベトナム政府は探求している。こういう試行錯誤をしているベトナムに対して、「社会主義だからダメ」とか「資本主義になったから良い」といった先入観をもった単純な思考方法で対処していては、思わぬ誤解やミスリーディングな結果をもたらす可能性がある。

 以上のような観点から、ベトナム人そしてベトナム企業経営者と付き合うことを勧める。彼・彼女らの多様な側面が新たに発見できるかもしれない。

 

 

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2007年10月 3日 (水)

特別クラス:商談から入金へ

 流通科学大学には「特別クラス」があって、成績優秀な学生が受講できる。このクラスの「経営学」の講義を私は担当している。

 事例に基づいた議論を中心にした講義が特徴である。予め話す内容を準備しておくのだが、実際に学生の意見が出されると、その後の議論の展開は臨機応変だ。それが真剣な対話になることもある。

 このような緊張感のある雰囲気は、ビジネスにも似ている。商談の展開は予測不能だ。臨機応変の会話が相互を理解し、相互の信頼を生む。ただしビジネスは商談だけでは困る。最後に入金があってこその商談である。入金のない商談をしても、それは時間の無駄と言えないでもない。

 商談を入金につなげる部分にこそ、現実のビジネスの核心がある。最後の「詰め」が大事というわけだ。では、その核心とは何か。さまざまな業種や取引相手で、その内容は異なると思われる。しかし共通しているのは、人間の心理の問題であるように思う。

 この心理を巧みに操れる人間は、優秀なビジネスピープルのみならず、優秀な詐欺師になれるのかもしれない。両者の相違は、取り扱っている商品が正当か不当かだけの相違であろう。繰り返される詐欺事件の報道から、以上のようなことを考えた。

 

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2007年10月 2日 (火)

中内功『新装坂・わが安売り哲学』千倉書房の刊行

 ダイエー創業者・故・中内功を再評価する動きがある。死後3年、経営者として失敗した中内功は、事業家・思想家として認識されるされるべきであると、大塚英樹『流通王・中内功とは何者だったのか』(講談社、2007年)が指摘している。これは本ブログでも紹介した。

 さらに本年9月に千倉書房から、中内功が執筆し、後に絶版になった『わが安売り哲学』が復刊された。これは中内の思想を示す原点である。私は旧版を古本で読んだことがあるが、今回はハードカバーの本格的な装丁である。

 本書で紹介されているダイエーと松下電器の社運を賭けた「価格戦争」も、今から思えば、最終的にダイエーが勝った。販売価格を小売店が自由に決められる「オープン価格」が、今日では一般的となり、松下電器が固執した「メーカー指定価格」は消滅したからである。この本は1969年に出版されている。その先駆性は明白である。

 新装坂の出版は、以下のように新聞各紙でも紹介されている。また、5冊以上の購入の場合は、2割引となっている。多数の人々に読んでもらいたい好著である。日本の流通革命にとって、この本は「バイブル」であると同時に、今後も広く世界に読み続けられる著書となるであろう。ぜひ、近い将来の英訳版の出版が望まれる。こんなビジネスピープルが日本に存在したことは、世界の日本人観を修正するかもしれない。

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2007年10月 1日 (月)

「ウォッチ・ミー」:ベトナム国立交響楽団の教訓

 ハノイ在住の小松さん(日本ベトナム友好協会理事)から頂戴したDVDを見た。フジTVの番組『感動エクスプレス』の「ウォッチ・ミー」である。

 ベトナム国立交響楽団が、日本人指揮者・福村芳一氏と「チャイコフスキー交響曲第5番」の演奏に挑戦する物語である。この交響楽団は故ホーチミンによって結成されたそうだ。楽しそうに彼自身が指揮棒を振っている姿が放映されている。これは、フランス留学中に西欧文化に触れたホーチミンの教養や思想を象徴している。おそらく西欧の文化や政治を体感したホーチミンは、帰国後の「国づくり」にそれを生かしたのだと想像される。

 番組によれば、チャイコフスキー交響曲第5番が選ばれた理由は、それがベトナムの歴史に重なるからである。沈痛な哀しみから始まって、最後には希望の明かりが見えてくる展開である。また、チャイコフスキーが、ベトナムと交流のあるロシア人だからである。

チャイコフスキー:交響曲第5番 DVD チャイコフスキー:交響曲第5番

販売元:ニホンモニター・ドリームライフ
発売日:2005/10/26
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 この番組の物語は、1992年の出来事である。当時のハノイやホーチミンの様子が映し出されるが、今日の様子とは別世界である。15年間の歳月は、着実にベトナムを発展させた。おそらく今日のベトナム人は、それに自信をもっているはずだと確信した。当時の一人当たり国民所得は200ドル代の時代だ。今日は、その3倍以上の600~700ドル代になっている。

 オーケストラは個々の楽団員の演奏力が基礎となるが、さらに全体の調和が必要となる。指揮者の福村氏は、楽譜を見てばかりの楽団員に対して「ウオッチ・ミー」と何度も叫ぶ。指揮に従わないのだ。それは無理もない。ある楽団員は、サーカスの音楽演奏のアルバイトで生計を立てていたりする。全体の調和に慣れていない。ひとりひとりの力量を向上させることと当時に、楽団員全員の心を一つにしなければならない

 練習に遅刻する人が多い。自分で練習してこない。こういう時に福村は本当に怒る。指示をするが、その通りにできない。経験が十分にないからだ。教え込むには何年もかかると思われるが、練習の期間は1ヶ月少ししかない。

 福村氏は、それぞれの楽団員の苦しい生活事情を理解しながらも、交響楽団として演奏の水準に妥協しない。その指導に、楽団員は真剣に応えようとする。教える人間も習う人間も必死である。公演の成功に向けてがある。音楽に対する情熱がある。それだからこそ必死になれる。そして何よりも、福村氏の熱心さが楽団員に伝播したのではないか。楽団員の心に火を付けたのは、やはり福村氏だったように思われる。

 ハノイのオペラ座での公演は大成功であった。その後、ハノイから列車でフエ・ダナンそしてホーチミン市まで演奏旅行に出発する。移動中にも夜遅くまで練習は続く。楽団員は、自分の技量に最初は自信をもっていたが、外国人演奏者の指摘によって、自らの技量の未熟を自覚する。「上手くなりたい」と本気で練習する。

 厳しい指導を通じて、その指導の意味すら何のことか最初は理解できなかった楽団員が、次第に自らの成果に気づき、そして自信をもってくる。そうなれば上達は早い

 これらの物語は、ベトナム人の気質の一端を示しているように思われる。さらに今日のベトナム人従業員に対する指導のあり方に教訓を与えてくれるように思われる。

 その最大の教訓は、福村氏のような強い指揮=リーダシップを発揮する人物の存在ではないかと思われる。それも偉そうなだけではダメだ。本当に偉くなければ意味がない。本当に熱心でないとベトナム人も反応しない。このように考えれば、日系企業の労働問題の多くは、日本人管理者の力量の問題として、自らに跳ね返ってくる。このような自戒・自省を日本人はする必要があると私は思う。それだからこそ日本人はベトナムで尊敬される。 

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