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2007年10月 5日 (金)

ロータス投資運用会社提供「ベトナム経済ニュース(13)」:新卒者の採用事情

 ハノイの「ロータス証券投資ファンド運用管理会社」では、10月1日から新しいIR(投資家向け広報)担当者タインさんが働いている。タインさんは日本に7年間在住し、日本の病院で看護師として働いていた。看護師の資格のみならず、日本滞在中に日本語教師の資格も取得している。

 タインさんは、人間の傷病よりも企業経営の分析や発展に興味が変化したという理由でロータス社に求職してきた。金融証券に関する知識と経験は今後に習得してもらうとして、彼女の優れた日本語能力と誠実な人柄については私が8月に面接して確認した。以下では、彼女からのレポートを紹介する。

----------------(以下、引用)--------------------

 ベトナム進出の日本企業が投資金額でも投資件数でも年々増加している。それに伴ってベトナム人の大学卒業者の求人も増大してきた。私は、以前に勤務していた日系会社の採用担当者として何度か面接を経験した。そこでは新卒者に対する考え方が、雇用者と被雇用者の間で相違しているような気がした。
 
 まず、雇用者の立場から見ると、新卒者は若くて、仕事の経験がないと認識されている。だからこそ仕事のやり方を始め、人間関係など細部に至るまで社員教育をしなければならない。給料については経験者よりもずっと低いし、会社にとって人件費が大きく節約できる。また新卒者は「白紙」ような気持ちをもっているから、上司の指導や指示を何でも素直に聞いてくれ、職場でのトラブルが生じる可能性が低い。このように考える雇用者が多いではないかと思われる。上記の理由で新卒者の採用を好む雇用者は少なくない。

 一方、大学生は在学中また卒業直前に就職について関心が高くなり、さまざまな情報源から情報を収集する。大学生から見ると、ベトナム進出日系企業は大手企業が多く、ベトナム企業よりも高い給料を必ず出してくれると思い込んでしまう。また現在のベトナムでは日本語教育が質量ともに不足し、それが需要に追い付かない状況である。そこで新卒者は「日本語ができれば、経験がなくても良い給料がもらえる」と誤解してしまう。このような新卒者が非常に多いというのが私の実感である。
 
 それのみならず、ほとんどの大学生はアルバイトとしてガイド・秘書・通訳・翻訳など幅広い仕事を経験している。アルバイトと言っても、その仕事から得られた経験は学生にとって貴重であり、そのことが学生自身に対して実力以上の自信をもたせることになる。

 こういった新卒者も、卒業してから数年が経って経験を積むと、考え方が大きく変わってくるように思う。さらに結婚・出産の年齢になれば、そろそろ精神的に落ち着きたいと思う人が増えてくる。少しでも給与のよい会社で働きたいという新卒時のような気持ちが希薄になる。高い給料の職場よりも、長期に渡って継続して働ける安定した職場を選好するようになる。もちろん、両者の特徴を同時に備えた職場が最善である。

 つい先日、ベトナム人数人を面接した。その中の半分以上は大学新卒者だった。予想の通り、そして驚くべきことに、経験者よりも新卒者の方が高い給料を希望した

 以上は、私の個人的な経験であり、一般化できないかもしれない。ただし、そうであるとしても、雇用者と被雇用者が相互に十分に理解し合って、お互いの時間を無駄にしないようにしてもらいたい。就職についてミスマッチをなくし、それぞれの好機を見逃さないことを期待したい。

----------------(以上、引用)--------------------

 (解説) 日本企業のベトナム進出の増加に伴って、日本語ができるベトナム人の採用が活発になる。この場合、新卒者と経験者のどちらがよいのか。タインさんの見解に基づけば、新卒者は高い給与の職場、経験者は安定した職場を選好する。ただし私の経験では、同じ仕事を繰り返すような進歩のない職場には、いくら安定していると言っても経験者は不満をもつようだ。ベトナム人の向上心に応える職場でなければならない。
 以上、こういった雇用問題の実態調査は研究の価値があるように思われる。また日本のような本格的な就職情報の提供がベトナムでも必要とされていると指摘できる。

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