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2007年9月 2日 (日)

マーケティングの教祖(=グル):フィリップ・コトラーがベトナムで講演した!

 今日は、ラオスで休日だ。この調査旅行も終盤となり、さすがに疲れた。これまでに書きためておいたベトナム関係の記事を紹介し、それについてコメントする。

 日本における経営学者の中には、ベトナムの高等教育はマルクス=レーニン主義に今でも基づいていると考えている人々がいる。もちろん社会主義社会を志向する国家として、それは履修科目の中に含まれている。しかしマルクス=レーニン主義の講義科目は、欧米や韓国ですら同様に存在している。

 ベトナムと欧米・韓国との相違は、やや極端に言えば、前者が必修科目であり、後者が選択科目という程度であろう。このように考えれば、日本における今日の高等教育は「偏向」していると言ってよいかもしれない。ほとんどの大学では講義科目としてマルクスやレーニンを学ぶ機会が消失している。それは学問的・学術的な素養として不可欠なように私には思われるが、大学における「学生満足最優先」の風潮は、そういった素養なんて遠回りな教育は後回しにされているように思われる。

 さて、このようなベトナム経営学の現状誤認を改訂するためには、表題の事実を指摘することが一助になるだろう。マーケティング学界・実務界の大御所であるコトラーがベトナムに来て、その講演にベトナム人は納得した。日越経済交流センターのタム代表は、「私の考えていたことと同じだった」と感想を述べた。すでに彼女は、コトラー『マーケティング原理』(ベトナム語版)を読んでいた。日本のマーケティングを学ぶ大学生でも読了者は少数である。以下の引用はThe Saigon Times, Weekly, No.35-’07(830),August 25,2007,pp.20-21.

 この8月に来越したコトラーは述べる。「米国において人々は、インテルが中国ではなくここベトナムで工場建設していることを知らない。ヤマハやナイキがここベトナムに存在することを知らない」と。「2000年以来、ベトナムの皆さんはビジネス界の門戸を開放してきた。ビジネスピープルをビジネスさらに世界に向けて目覚めさせてきた。7年間で、皆さんが成し遂げたことが、いかによりよいものであったかを誰もが知り得た。私たちは期待しています。次の7年間で、皆さんベトナムのブランドが成長し、高く尊重されることを」。

 私見では、この2000年は「企業法」が施行された年であり、さらに同年に証券取引センターがホーチミン市で開設されている。まさに民間企業が尊重され、株式会社が認知された元年である。コトラーが、世界に向けたベトナムビジネスの本格的な出発点として2000年を特徴づけたことは、さすがに卓見である。ただし私は、株式会社や株式市場の開設が社会主義を志向する国家戦略と矛盾しないと考えているが、コトラーにすれば、証券取引所が開設されたことが、社会主義から資本主義への転機を意味するのかもしれない。

 コトラーの主張の要点は、ベトナムのブランド価値を向上させることである。世界に向けてベトナムに関する認識度を高めるために、あらゆる機会を活用することである。たとえば確かに、今年のサッカーアジア杯における日本=ベトナム戦はベトナムに対する日本人の認識を高めた。

 コトラーを招聘した主催者は、外資系コンサルティング会社であったが、その影響は大きかった。会場に入れない人々のためにビデオ放映もされたそうである。このようなイベントは、ベトナム自身に対する影響より以上に、ベトナム市場経済の発展を世界に認識させることになる。

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