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2007年6月15日 (金)

小松みゆき『越後のBaちゃんベトナムへ行く』を読む:ベトナム人を知るための好著

 ハノイ生活の畏友・大先輩である小松みゆきさんが著書を出版された。小松みゆき『越後のBaちゃんベトナムへ行く:ラストライフを私と』2B出版、2007年6月5日(税別1334円)。これは面白いし、写真やイラストも楽しい。

 この著書のキーワードとして、もちろん、ハノイ生活15年になる小松さんが経験した「ベトナム」と「ベトナム人」を最初に指摘できる。ベトナム人の特徴は何か。彼もしくは彼女は何を考えているか。具体的な体験を交えて私は小松さんから多々ご教示いただいた。それは本書も同様だ。私も実感するのだが、自らの生活を通した「ベトナム人観」は、それほど大きく間違っていない。

 次のキーワードは、やはり「Baちゃん」だ。今年88歳になる小松さんのお母様には、確か5年前の2月にお目にかかった。ちょうどハノイ在住10年記念パーティということで、小松さんや鈴木さん(現在、お菓子ポエメのオーナー)を主賓にして、当時のJETROハノイに勤務されていた肥後さんや馬場さんを始めとする何人かをご招待したことがある。このとき、小松さんのお母様は誕生日であり、そのお祝いも兼ねた。

 お母様は認知症であり、その逸話は本書の中でも数多く取り上げられている。それが深刻ではなく軽妙に書かれている。私の亡き母は最後は「要介護5」の認定であったが、そういった介護について共通の経験は小松さんと私の関係を緊密にしたように思う。ただし母親に対する接し方は娘と息子では異なるし、その思いは一様ではない。

 お母様の逸話の中では、行方不明と入院について緊迫感がある。前者の行方不明事件の時に私はハノイに滞在していた。本書に登場しているソンさん(現在、在日本ベトナム大使館2等書記官)と食事をしているときに、小松さんから行方不明という一報があったのだ。このときは私も緊張したことが想起された。

 私は、この部分で小松さんの「リスク管理」の一端を理解したし、その重要性を再認識した。つまり、何か緊急の事件の場合、だれに助けを求めるかを準備しておくということだ。日本なら警察とか消防署という公的機関になるが、一般に外国では、そういった機関は外国人にとって当てにならない場合が多い。通常、日本大使館に連絡というのが一般的だが、やはり信用できる人が、いざというときに最も頼りになる。私にとってハノイでは、そういった日本人が小松さんであり、鈴木さんだ。こういう「リスク管理」は、外国では常に考えておいたほうがよい。

 本書に関連した話題は尽きないが、かなりマニアックで私的な世界に入ってしまう。ぜひ一般の読者の皆さんの感想を頂戴したいと思う。本書を通して、ベトナム人の思いやりを感じることができるし、ベトナム社会や文化の一端を感じ取ることができるだろう。また、こういった社会なら、自分も老後を過ごしてもよいと思われるかもしれない。

 本書は、小松さんご自身とお母様の半生記であるが、それは異色のベトナム案内、ベトナム入門書にもなっている。ベトナム観光客のみならず、ベトナムでビジネスをされる方にも一読を勧めたい。はるかに日本よりも楽しく元気にベトナムで生活されているように私には思える小松さんとお母様に対して、これまでのご好意に感謝するとともに、より一層のご健康とご多幸をお祈りしたいと心から思う。

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