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2007年6月24日 (日)

「ケインズ経済学」はベトナムで継承されている?

 日曜日であるにもかかわらず、「兵庫県大学退職教職員懇談会」が主催する第1回の講演会で「ベトナム社会主義の現状と株式市場の発展」というテーマで話した。こういうテーマは、どちらかというと苦手だ。しっかりとマルクスやレーニンの古典を勉強する機会がなかったからだ。

 ただし少なくともベトナム社会主義共和国は、自由放任・弱肉強食・優勝劣敗の市場経済を認めていないことは確かだ。国家管理に基づいた市場経済を想定している。これは「市場経済」ではないという批判があるかもしれない。しかしそうであれば、これまでの日本も「市場経済」でなかったことになる。たとえば、バブル崩壊後の銀行救済を想起すればよい。それは、日本において国家が市場管理したことの証明である。

 日本の経済発展の歴史を見れば、政府=国家の産業政策に基づいて企業が活動してきたことは間違いない。さらに政府の支援に基づいて企業が発展してきたと言える。これらの日本の歴史を考慮して、ベトナム政府に対しては総合的な産業政策の立案が提言されてきた。いわゆるケインズ経済学である。それに対して、フリードマンらが提唱した新自由主義経済が、今日では世界を席巻し、規制緩和や小さな政府が推奨されてきた。

 以上のように2つのタイプの市場経済を考えれば、ベトナムにおける国家管理の容認は、ブレない基本方針だ。それは、正確さは欠くが、ケインズ経済学がベトナムで継承されている言ってもよいかもしれない。それでは、日本はどうなのか。格差社会の拡大が指摘される中で、ベトナムよりも日本こそが、その市場経済の有り様を真剣に考えなければならないように思う。ベトナムについて考えることが、日本について考えることに通じる。

 せっかくの休日に講演を引き受けて、当初は後悔していたが、いろいろ勉強をさせていただいた。こういう機会を頂戴して感謝である。主催者の神戸大学工学部名誉教授・金持(かなじ)先生を始め、皆さまのご健康とご活躍をお祈りしたい。

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