« 小松みゆき『越後のBaちゃんベトナムへ行く』を読む:ベトナム人を知るための好著 | トップページ | 『日刊工業新聞』に弊社TET(テト)が掲載されていた!:小山貴広社長から紹介 »

2007年6月16日 (土)

ロータス社提供「ベトナム経済ニュース」(10):未公開株取得の留意点

 ベトナムでは、国営企業の民営化によって企業改革を推進することが基本政策である。「親方=金星紅旗」(:日本では「親方=日の丸」)の意識をもった国営企業は、非効率的な経営が蔓延していた。たとえば国営企業間の取引は非競争的であり、高価格の取引が普通であったように思う。換言すれば、コスト削減の意識が希薄であった。

 このような国営企業が株式会社化すれば、経営に対する一般株主の「チェック機能」が働く。また、企業の経営評価の指標としての役割を「株価」が果たすことになる。さらに当然、国営企業が株式会社形態になれば、直接金融による資金調達が可能となるし、ベトナム株式市場の発展にも貢献する。

 以上の意図で、国営企業の株式会社化、そして上場を政府は推進していると考えられる。したがって、「未公開株」を取得しても「なかなか上場しないというリスク」:場合によっては」詐欺」と言える)は、日本に比べてベトナムではより低い。

 未公開株式を取得すれば、必ず儲かる。これはベトナムで依然として有効だ。この取得は、ほとんどの場合に機関投資家や金融機関に限定される。新規株式公開(IPO)以前に、既存の経営者を支持する「安定株主」を確保しておくニーズが企業側に存在する。たとえばホーチミン市の某民間企業の未公開株式の譲渡時には、申し込みのあった投資ファンド代表と面接する予定である。

 これは、自社にとって有利な大株主(戦略的パートナー)を企業側が選択することを意味している。このようにベトナム株式の人気を背景にして、株式発行主体=供給側の企業が「強気」になっている。

 そうだからと言って、かなり無理な増資が行われている場合も多い。たとえば上場企業・ハパコ(銘柄コード:HAP)は増資(=新株発行)を発表したが、それは現在の資本金の4倍にも及ぶ金額と言われている。単純に言って、1株当たりの利益は4分の1になる。株価収益率(PER)は4倍に跳ね上がり、かなり割高な株式になる。当然、既存株主に対する利益が希薄化する。

 ハパコは、このようにして調達した資金を何に使うのだろうか。本業の製紙業の生産増強や生産性向上に使用されるのであれば、国際競争力が強化される。これは好ましい資金使途である。しかし、これらの調達資金が他社の株式投資に向けられるとすればどうだろうか。これは「マネーゲーム」を過熱させる。このような事情が真実であるとすれば、ハパコ増資の引き受けについて慎重にならざるをえない。

 ベトナム株式市場の健全な発展を期することが、ベトナム証券業界の関係者すべての願いであろう。この「健全な発展」の手段は、以前にも指摘したように、証券行政の「ブレーキ」と「アクセル」の使い分けである。さらに場合によっては「エンジン=ブレーキ」の使用もありうる。以上、結論として国家証券委員会の役割と責任は重大ということだ。

 本ブログは、ロータス社からの情報に基づいて筆者が付言・加筆した。ロータス社の公式見解ではない。

|

« 小松みゆき『越後のBaちゃんベトナムへ行く』を読む:ベトナム人を知るための好著 | トップページ | 『日刊工業新聞』に弊社TET(テト)が掲載されていた!:小山貴広社長から紹介 »