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2007年5月 4日 (金)

「ダリ展」に行く:個性と創造性の表出

 大阪・天保山の「サントリーミュージアム」で5月6日まで開催中の「ダリ展」に行った。「生誕100年記念」、「創造する多面体」という副題が付いている。個性・独創性・新規性---。こういった才能の表出が「ダリ」だと思う。

 そうは言うものの、初期の写実画の正確な描写は意外であった。ピカソもそうだが、いわゆる前衛的な芸術画家は最初から「ムチャクチャ」ではない。しっかりとしたデッサン力が最初に修得されている。そういう基礎能力があってこそ、その後の個性や新規性が発揮できると痛感した。(芸術と同様に学問も同様だ。)

 「サントリーミュージアム」で入場券を買うのに10分間、さらに入場するために10分間の待ち時間、それに隣接する「海遊館」では最長で「3時間待ち」であった。いつもなら閑散としているのに、さすがに黄金週間である。これほどの顧客動員には驚嘆する。確かに景気は回復しているような気がする。

 おそらくダリは、立体感の把握や描写に優れた才能があったのだと思われる。この意味で、彼がデザインした「家具」は秀逸だ。普遍的な「驚き」や「遊び心」を多数の人々に訴える。他方、絵画は鑑賞者によって評価が分かれるのではないか。「よく理解できない」という「つぶやき声」が入場者の中から聞こえた。

 個性や新規性は魅力的だが、それが長続きする必要がある。そのような工夫がないと、すぐに飽きられる。また、過度に個性的であれば、多くに受け入れられず、特殊化してしまう。経営戦略においても、差別化=差異化戦略は存在するが、特殊化戦略は強調されない。

 特殊化は、それを支持する顧客が少数限定的である。逆に、特殊な分野を一般化・普及させる努力が求められるかもしれない。他方、少数限定であるからこそ「ブランド化」するという現象もありうる。一般に妥協してしまえば、それで個性は終わりだ。そこで「ブランド形成」は中断する。

 ダリの不可解な世界を人々の頭越しに見ながら、以上のようなことを考えた。それにしても、この人出は予想外だった。かなり多数の人々に景気回復が実感されているように思われる。果たして、それは本当か。

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